2019年(令和元年)の年末調整の仕方を解説! 変更点や注意点はある?

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2019年_年末調整

2019年も暮れに差し掛かり、令和最初の年末調整の時期が近づいてきました。会社で給与計算を行っている担当者の方にとって、年末調整は今年最後の一大イベントのはず。スムーズに年末調整を進めるために、準備しておきましょう。
本記事では、2019年の年末調整における変更点や注意点について解説します。

年末調整とは?

年末調整とは、1年間に源泉徴収により従業員から徴収した所得税(復興特別所得税を含む)の過不足を1年の終わりに精算する手続きです。

年末調整をする目的

会社員などの給与所得者は、源泉徴収として毎月の給料から所得税を天引きされています。しかし、所得税は1年間に得た所得の合計額をもとに計算されるので、1年が終わってみないと所得税の額は確定しません。

源泉徴収された金額は概算の額なので、年間の所得税額と一致しないのが普通です。そのため、1年の終わりに年末調整という形で、所得税の過不足を精算することになります。

年末調整の対象となる人

年末調整の対象となるのは、年末まで会社に在籍している人です。ただし、12月に支給されるべき給与等の支払い後に退職した人や死亡退職した人、心身の障害で退職後再就職できない人などは、年末に在籍していなくても年末調整の対象になります。

年間の給与収入が2,000万円を超える従業員については、年末調整はできません。本人が確定申告する必要があります。

なお、年末調整をするためには、給与所得者の扶養控除等申告書を提出していることが条件になります。給与所得者の扶養控除等申告書は、扶養控除などの諸控除を受けるために必要になる書類です。

2019年の年末調整のスケジュール

2019年の年末調整のスケジュールは、例年と特に変わりません。大まかな年末調整のスケジュールは、以下のようになります。

1. 申告書用紙等の準備(11月中旬頃)

年末調整に必要な源泉徴収簿、法定調書、申告書用紙等の書類は、手引き(「年末調整のしかた」)と一緒に税務署から会社宛に郵送されます。書類が届いたら内容を確認しましょう。

2. 申告書用紙を従業員に配布(11月中旬~下旬頃)

給与所得者の扶養控除等申告書、保険料控除申告書及び配偶者特別控除申告書を必要に応じて従業員に配布し、記入して提出するよう指示します。

3. 申告書用紙を従業員から回収(11月下旬頃)

従業員から申告書用紙を回収し、記載内容のチェックを行います。

4. 所得税の計算(12月上旬~中旬頃)

12月の給与が確定すると、年間の給与額や賞与額、社会保険料、源泉徴収額も確定します。確定した年間の給与等の総額をもとに正しい所得税額を計算し、差額を精算します。

5. 税務署や役所に提出する書類の作成(翌年1月)

税務署に法定調書(源泉徴収票、支払調書)を、従業員の住所地の役所に給与支払報告書を提出します。

年末調整の必要書類や作成書類

年末調整の際には、さまざまな書類が必要になります。年末調整で使う書類や税務署等に提出しなければならない書類は、以下のとおりです。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶)

従業員が年末調整において配偶者控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除などを受けるために必要な書類です。マル扶を提出しないと年末調整が受けられないので、配偶者や扶養親族がいない人なども含め、年末調整の対象になる人は全員提出しなければなりません。

マル扶の提出期限はその年の最初の給与支給日なので、年末調整時に翌年分のマル扶を従業員に記入させる会社が多いと思います。この場合、年末調整時に当年分のマル扶と翌年分のマル扶の両方を従業員に配布し、当年分については変更がないかどうか確認してもらい、翌年分については翌年の状況をふまえて記入してもらうことになります。

・保険料控除申告書(マル保)

従業員が年末調整において生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除を受けるために必要な書類です。

・配偶者特別控除申告書(マル配)

従業員が年末調整において配偶者控除や配偶者特別控除を受けるために必要となる書類です。

マル扶だけでは配偶者の所得等の状況がわからないため、マル配も合わせて記入してもらう必要があります。

・住宅借入金等特別控除申告書

年末調整において住宅ローン控除を受ける従業員が提出する書類です。住宅ローン控除を受ける場合、初年度については確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整により控除が受けられます。

・源泉徴収票

会社が従業員に支払った年間の給与に関して、支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の合計額、源泉徴収税額などを記載する書類です。従業員に交付するほか、一定の場合、税務署にも提出する必要があります。

・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

弁護士や税理士に支払った報酬、外部に支払った原稿料や講演料などについて作成する書類です。支払調書を支払先に交付する義務はありませんが、一定額以上支払った場合、税務署に提出しなければなりません。

・法定調書合計表

源泉徴収票や支払調書の内容を集計した書類です。税務署に提出するために作成が必要です。

・給与支払報告書

源泉徴収票と同様の内容を記載する書類で、従業員が住んでいる市区町村ごとに作成が必要です。

年末調整の計算方法

年末調整で所得税を精算するときには、次のような計算を行います。

1. 課税給与所得金額の計算

各従業員の給与について、給与所得控除後の金額から各種の所得控除の金額を差し引きして、課税給与所得金額を算出します。

2. 年調所得税額の計算

課税給与所得金額が出たら、「令和元年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」を使って年調所得税額を算出します。住宅ローン控除を受ける従業員については、住宅ローン控除額を差し引きして年調所得税額を出します。

3. 年調年税額の計算

年調所得税額に102.1%をかけて、復興特別所得税を含む年調年税額(100円未満切捨て)を算出します。

2019年の年末調整の変更点や注意点は?

2019年の年末調整では、これまでと大きな変更はありません。ただし、2020年度から制度の変更があるため、注意しておかなければならない点があります。

税制改正により2020年(令和2年)から年末調整が変わる

2020年(令和2年)から適用になる税制改正により、所得税に関して大きな変更があります。2020年の年末に行う年末調整からは、税額等の計算や必要書類の書式が変わることになります。

2019年までは基礎控除は一律38万円でしたが、2020年以降は基礎控除額が所得に応じて変わり、合計所得金額が2,400万円以下の人は48万円に引き上げになります。また、給与所得控除については所得区分ごとに一律10万円引き下げられます。

このほかに、所得税額調整控除の創設、各種所得控除を受けるための配偶者や扶養親族等の合計所得金額の見直しなどの変更もあります。

今回の税制改正により、ほとんどの従業員は税額に大きな影響を受けません。しかし、年末調整で使う書類等が変更になるため、会社が行う手続きは複雑になることが予想されます。

2019年の年末調整時には新様式の扶養控除等申告書を提出

年末調整の方法が変わるのは2020年分からですが、2019年分の年末調整時に2020年分の給与所得者の扶養控除等申告書を従業員に記入させる会社は多いと思います。2020年分の扶養控除等申告書は2019年分のものと様式が変わっているため、従業員が混乱するおそれがあります。

例えば、「源泉控除対象配偶者」や「控除扶養親族」の要件が変わるため、これまで扶養親族等だった人が該当しなくなるといったケースも出てきます。

また、2020年分の扶養控除等申告書では、「単身児童扶養者」という欄が追加されています。ここは児童扶養手当を受給しているシングルマザーやシングルファーザー(未婚の場合含む)がチェックする欄ですが、チェックを忘れると住民税の非課税措置が受けられません。

2019年分の年末調整時には、扶養控除等申告書の記入の仕方で従業員が混乱するおそれがあります。従業員へ事前に注意喚起するようにしましょう。

まとめ

2019年の年末調整はこれまでと変わりませんが、2020年からは年末調整が大きく変わる予定です。2020年以降は年末調整の書類も複雑になるので、あらかじめ国税庁のWeb
サイトなどで確認しておきましょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。



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