年末調整で医療費控除はできるのか?

年末調整で医療費控除はできるのか?
1年で支払った医療費については、10万円を超える分については所得税の医療費控除を受けることができます。
ただし、年末調整では社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅を購入した際のローン控除及び人的控除しか受けることができませんので、医療費控除をうけるためには自身で確定申告を行う必要があります。
年末調整は会社が手続きをしてくれるので、簡単なのですが、自分で確定申告をするとなるとめんどうだ、と感じる方も多いでしょう。でも、年末調整で控除されないものをそのままにしておくのは、損です。きちんと控除を受けるための手続きをしましょう。
ここでは年末調整で対応外の医療費控除について、控除してもらえるものと、確定申告に必要なものを説明します。
年末調整で対応できない医療費で、控除ができるもの
年末調整では対応できないけれど、控除できる医療費に含まれるものは、本人及び親族にかかった医療費です。
親族については、遠方の家族であっても扶養家族であるならば対象になります。
医療費の範囲となるもの
・治療又は療養に必要な医薬品の購入費
・通院費、入院中の食事の費用
・松葉杖、義歯を購入した費用
・重大な疾患がみつかり、治療を受けるきっかけとなった健康診断費用
・柔道整復師等により施術の対価
・保健師等による療養上の世話代(親族の場合は認められない)
・出産費用、助産師による分娩の介助代
※これらは、診療又は治療のために直接必要であるかどうかで判断します。
医療費に含まれないもの
・未払い医療費
・美容整形費用:インプラントなどのほか、歯列矯正にかかった費用については、咀嚼(そしゃく)障害を治療するためであると認められれば医療費控除の対象となります。
一方、美容目的となれば対象外です。
・疾病予防費用:インフルエンザなどの予防接種などは対象外です。
・健康増進費用:掛かり付けの医師に処方してもらったとしても、サプリメントなどの費用は対象外です。
医療費控除の金額の計算
医療費控除の控除額は、以下の図のようにあらわすことができます。
具体的な計算式としては「(医療費の額-保険で支払われた額等)-10万円」で算出された金額で、これには上限があり200万円となります。
※課税標準の合計額の5%相当額が10万円未満の場合は、その金額
保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。そのため、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
医療費控除の対象となる期間と期限
まず、医療費控除を受けられる対象となる期間は確定申告を行う前年の1月1日から12月31日までの1年間です。この期間内での医療費を1年間の医療費として医療費控除の計算を行います。
また、還付申告を行えば医療費控除は5年まで間遡って申告が可能なので、過去5年以内に1年間で10万円をこえる医療費を支払っていた場合、遡って控除を申告できます。
医療費控除の申請期限は確定申告の期限と同じく、原則として2月16日から3月15日までとなります。
医療費控除を受ける際には以下を用意
医療費控除を受けるために確定申告を提出する際には、領収書を送付しなければいけません。
交通機関を利用したときなど、切符など領収書が発行されないものについては、その詳細を記録しておく必要があります。
治療などを受けた人ごとに、医院・薬局別に領収書をまとめておくとよいでしょう。提出するものになるので、バラバラになって無くしてしまうことのないように、ホチキス又はクリップなどでまとめておきましょう。確定申告書には領収書1枚ごとに記載する必要はないので、人ごとに同じ医院などにかかった費用を合算しておくとよいでしょう。
領収書のほか、会社からもらう源泉徴収票も必要です。紛失したなどの場合は再発行して貰いましょう。
確定申告書・医療費明細の記載方法
年末調整対応外の医療費控除を受けるためには、「確定申告書A」を用意します。国税庁のHPからダウンロードするか、直接税務署から入手するなどしてください。
会社から受け取る源泉徴収票を元に指定の箇所に記載をしていきます。医療費控除の金額を計算するためには、医療費の明細書を記載します。
医療費の明細書には、人ごと医院ごとの金額の合計を記載し、その後支払った医療費の合計額、保険金などで補填される金額など、書面にそって計算し、金額を確定申告書Aの医療費控除の欄に転載します。
まとめ
年末調整では医療費控除が行えないため、自分で確定申告を行わなければいけません。
確定申告は、年末調整と比べると手間がかかりますが、自分だけでなく親族にかかる医療費、またそれに係る交通費等も対象となり、節税効果があります。医療費の支出が10万円を超えるようであれば確定申告をしましょう。
また、医療費が10万円を超えるかどうかは年末まで予想がつかないことも多いと思いますので、万が一超えてしまっても焦らなくてよいように医療機関が発行した領収書等は、捨てずに取っておくようにしましょう。
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