• 作成日 : 2016年10月20日
  • 更新日 : 2017年4月17日
  • 年末調整

年末調整の仕訳と勘定科目をわかりやすく解説

年末調整の仕訳と勘定科目をわかりやすく解説

年末調整の仕訳と勘定科目をわかりやすく解説

年末調整は、毎月従業員から預かってきた源泉所得税について年間の精算を行う重要な業務です。

この年末調整の仕訳を間違うことなく計上できるようになれば、源泉所得税の一連の流れを理解できるようになったと言えるでしょう。毎月の給与での預かり源泉所得税と年末調整での精算の流れを順に見ていきましょう。

年末調整で精算する預かり金とは

年末調整では預り金を精算することになります。この精算するもととなっている預り金は毎月従業員から預かっている源泉所得税です。

毎月の給与仕訳の確認

まずは前提として、毎月の給与支払時の仕訳を確認しましょう。※各数字に具体的な意味はありませんのでイメージとして捉えてください。

・給与支給時(毎月)

<借方><貸方>
給料 100現金預金 65
預り金(源泉所得税)10
預り金(社会保険料)10
預り金(雇用保険料)10
預り金(住民税)5

「現金預金」勘定は、各会社の支払いサイクルにより「未払金」勘定の場合がありますが、今回は「現金預金」勘定で統一して説明します。

※「未払金」勘定となる例…月末締め翌20日払いの場合など

毎月従業員に払うべき給与を100とすると、源泉徴収している所得税や従業員負担分の社会保険料、雇用保険料、特別徴収の住民税を預かり金として給与から天引きして会社が預かり、差し引いた65を従業員に支給しているという仕訳です。

それぞれの会社により使用している勘定科目や金額の違いなどはあっても、大まかには上記のような給与仕訳を毎月起票しているかと思います。

・源泉所得税納付時(毎月)

<借方><貸方>
預り金(源泉所得税)10現金預金 10

従業員から預かった源泉所得税は翌月10日までに、税務署へ納付します。税理士等、給与以外の報酬支払時に預かった源泉所得税も一緒に納付するので、前月に起票した給与仕訳の「預り金(源泉所得税)」と金額が一致しないこともありますが、基本的に前月分の「預り金(源泉所得税)」は翌月10日に精算されることになります。

・年末調整月(年に一度、基本的に12月)

<借方><貸方>
給料 100現金預金 70
預り金(源泉所得税) 5預り金(源泉所得税)10
預り金(社会保険料)10
                預り金(雇用保険料)10
                預り金(住民税)5

年末調整で還付金がある場合、起票する会計仕訳はこのようになります。12月度(会社によっては1月などになる場合もあります)の給与仕訳に、借方に「預り金(源泉所得税)」勘定が登場します。

この際、借方の「預り金(源泉所得税)」の金額(この場合、5)が年末調整の結果の従業員への還付額です。貸方は、通常の月と同じように、源泉所得税を含む預り金の12月度分の計上がなされます。

年末調整の仕訳については、まず基本的に「1,毎月の給与仕訳で源泉所得税を預かり」、「2,翌月10日に前月の源泉所得税を納付し」、「3,12月に年末調整で年間の精算を行い、差額を還付・もしくは徴収する」の1年間の流れとして理解しておいてください。

源泉所得税はなぜ毎月預かって年末調整で精算するのか

源泉所得税は毎月従業員から預かって翌月に税務署に納付しているのに、なぜ年末調整で「過不足を精算」する必要があるのでしょうか。

年末調整をする意味とは

年末調整は「控除額を正しく反映し、年間の所得税納付金額の差額を還付もしくは調整する」ために行います。所得税は、各人の事情に応じて様々な「控除」の制度が用意されています。

たとえば、配偶者や扶養家族の事情により控除を受けることができる「配偶者控除」や「扶養控除」。

年間に支払った各種保険料により控除を受けることができる「生命保険料控除」や「地震保険料控除」などがあります。年末調整の際にこれらの事情について書類で申告を行うことで、各人の事情に応じた控除を所得税の納付に正しく反映させることができるのです。

年末調整をするとなぜ多くの場合「還付」になるのか

年末調整を「1月の給与で支給されるちょっとしたボーナス」のように感じている方も多いかと思います。

年末調整では「差額の還付もしくは徴収」が起きるはずですが、なぜ多くの場合、徴収ではなくボーナスのように感じる還付が起きるのでしょうか。

それは、先ほど述べた各種控除制度は、12月に「このようなことが実際にあったので控除してください」と年の終わりに申告するような形式になっているからです。

そのため、「各種控除が適用されない場合」で所得税を毎月徴収(※扶養家族等の控除は前年の申告が適用された状態で毎月徴収)しておき、年末調整で控除適用の申告をして還付が起きる仕組みになっています。

「今年は保険料をこれくらい払う」という予定はあっても実際には途中で保険を解約したりすることも考えられます。

そのため、たとえば保険料で言えば秋頃に送られてくる「実際に今年はいくら払い込みがありました(送付月までの払込実績+12月末までの予定額)」という保険会社からの証明書を提出し、書類に所定の記入を行うことで所得税の控除を受けることができるのです。

まとめ

年末調整の仕訳とその意味についての解説、いかがでしたでしょうか。実際の会計科目計上の理由となる背景までを理解することで体系的な理解ができるようになるかと思います。

ぜひ、一年間の源泉徴収の流れと、源泉徴収制度の思想を理解して仕訳を作成してみてください。