• 作成日 : 2015年6月3日
  • 更新日 : 2019年4月23日
  • 社会保険

社会保険の加入義務~対象者と新規適用届の書き方~

社会保険とは、公的医療保険(健康保険)、年金保険(国民年金、厚生年金保険)、労働保険(雇用保険・労災保険)の総称です。しかし、一般的には公的医療保険(健康保険)、年金保険(国民年金、厚生年金保険)をあわせたものを指します。
社会保険の適用事業所で勤務する人は、社会保険に加入することになっています。保険料の一部は事業所が負担しなければならないため、経営者にとっては悩みの種でもあります。しかし社会保険は厚生労働省の定めにより、条件に当てはまる人や事業所には必ず加入義務があります。
日本では「すべての国民は何らかの社会保障制度のもとに生活する権利がある」という考えが社会保障の基盤となっているため、社会保険の加入義務対象者の範囲は非常に広くなっています。

ここでは社会保険の加入対象となる人と社会保険の適用事業所を確認し、事業所が加入義務にあてはまる場合はどうすれば加入できるのかについて解説します。

加入義務の対象となる被保険者(従業員)

一般の被保険者としての資格を取得するためのは、資格取得届を提出する必要があります。資格取得届の提出方法について詳しくはこちらのページで解説しております。

資格取得届の提出が必要となる、社会保険の被保険者について、詳しい該当条件をみてみましょう。

常時雇用されている労働者

社会保険の適用事業所の場合、すべての正社員に加入が義務付けられています。このなかには試用期間中の者も含まれ、同様に社会保険への加入義務が発生します。

パート・アルバイト

パート・アルバイトは、正式にはともに「パートタイム労働者」といいます。

パート・アルバイトが社会保険の適用範囲となるケース
1.1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務を行っている正社員など一般社員の4分の3以上の者
2.1の要件を満たしていなくても、次の「短時間労働者の要件」全てに該当する者
•週の所定労働時間が20時間以上
•勤務期間1年以上またはその見込みがある
•月額賃金が8.8万円以上
•学生以外
•従業員501人以上の企業に勤務している

短期間契約・臨時的事業のなど労働者

雇用期間が短い労働者や、臨時・季節に左右される労働者などは、一定期間の雇用を満たす場合に加入義務が発生します。

1.日雇い労働者
原則として、一日単位で雇い入れられる労働者のことです。ただし1ヶ月を超えて継続雇用されることが決まった場合は、1ヶ月を超えた日から加入義務が発生します。

2.2ヶ月以内の期間で雇われる労働者
短期間契約の労働者を指します。ただし所定の期間を超えて継続雇用されることが決まった場合は、所定の期間を超えた日から加入義務が発生します。

3.4ヶ月以内の期間で雇われる季節労働者
季節に左右される業務(茶葉の摘み取り・年末年始の郵便業など)に従事する労働者のことです。ただし、雇用初日から換算して4ヶ月を超えて継続雇用される予定の労働者は、雇用初日から当然被保険者扱いとなります。

しかし、業務の都合でたまたま継続して4ヶ月を超えた雇用が行われた場合は、加入義務は発生しません。

4.臨時的事業で雇われる労働者
万博など、普段は行われない臨時のイベントなどに従事する労働者のことです。ただし、雇用初日から換算して6ヶ月を超えて継続雇用される予定の労働者は、雇用初日から当然被保険者扱いとなります。

しかし、季節的業務の場合と同じく、業務の都合でたまたま継続して6ヶ月を超えた雇用が行われた場合、加入義務は発生しません。

なお、所在地が一定しない業務(サーカスなど)に従事する労働者は、どれだけ長期にわたり雇用されても、加入義務は発生しません。

事業主

事業主の場合は、法人の場合と個人経営の場合で加入義務が異なります。

1.法人の代表者
代表者、理事、監事、取締役、無限責任社員など、法人から報酬を受けている代表者等には加入義務があります。

2.個人事業主
使用される者に該当しないため、社会保険の加入義務はありません。これらの個人事業主は、社会保険ではなく、自身で国民年金や国民健康保険に加入することとなります。

年齢要件

ある一定年齢に達すると、社会保険の加入義務からはずれる場合があります。

1.70歳
任意加入を希望する場合を除き、厚生年金保険を脱退します。ただし健康保険は継続して加入義務があります。
2.75歳
健康保険を脱退し、加入義務をはずれます。それ以降は後期高齢者医療制度の対象となります。

継続雇用制度と社会保険との関連性については「社会保険と雇用の延長による在職老齢年金」のページをご参照ください。

加入義務の対象となる事業所

従業員が勤めている会社(事業所)の健康保険、厚生年金保険に加入するには、まずは勤務先が適用事業所である必要があります。
事業所にも強制適用になる事業所と任意で適用になる事業所があり、それぞれの加入条件については以下のとおりです

強制適用事業所

以下のいずれかに当てはまる場合には、強制適用事業所となります。
1. 適用業種である事業を行い、常に5人以上の従業員を使用する事業所
適用除外規定により被保険者にならない従業員であっても、常時使用されている場合には、「5人」の中にカウントされます。

2. 常に1人以上の従業員を使用する国や地方公共団体

3. 常に1人以上の従業員を使用する法人

任意適用事業所

強制適用事業所に該当しない事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受ければ、適用事業所とすることができます。そのためには、事業所で働く被保険者に該当する者の2分の1以上からの同意が必要です。無事に同意が得られれば、申請のはこびとなります。

社会保険の加入に必要な手続き

健康保険と厚生年金の加入手続きはまとめて行うことができます。事業所は2つの保険への加入義務が発生した日から5日以内に、事業所所在地を管轄する年金事務所に「新規適用届」を提出しなくてはなりません。
ただし実際に事業を行っている事業所の所在地と登記上の所在地が一致しない場合は、実際に事業を行っている事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。
例えば登記上は大阪に事業所があるが、実際は東京で事業を行っている場合は、東京の管轄の年金事務所に提出します。
提出方法は電子申請でも可能で、そのほか郵送や窓口持参も認められています。

社会保険加入のための必要書類

事業所が法人事業所の場合は新規適用届以外に、「法人(商業)登記簿謄本(コピー不可)」、個人事業所の場合は事業主の世帯全員の住民票(コピー不可・マイナンバーの記載のないもの)を添付する必要があります。
(任意適用事業所の場合は、さらに提出必要書類が追加されます。)
なお、実際に事業を行っている事業所の所在地と登記上の所在地が一致しない場合は法人(商業)登記簿謄本ではなく、「賃貸借契約書のコピー」などの所在地が確認できる書類が必要です。

「新規適用届」の書き方

次に新規適用届の実際の書き方を、実物を見ながら解説します。

「新規適用届」オモテ面

健康保険厚生年金保険新規適用届

(出典:新規適用届|日本年金機構

新規適用届のオモテ面を記入する際のポイントは以下の6つです。
・1のような「※」のついた欄は記入が必要なし。

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント1

・7の「事業所所在地」は都道府県名を除いて記入する。

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント2

・8の「事業所名称」のフリガナでは、株式会社を「カ」、有限会社を「ユ」、合名会社を「メ」、合資会社を「シ」と記入する。

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント3

・18とエは厚生年金基金に加入している場合に記入する。

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント4

・22.23.25.26は該当する番号に○をつけます。株式会社などの法人格を持つ場合は「法人」、個人経営の事業所などは「個人」、地方公共団体などは「国・地方公共団体」を選びます。

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント5

・23のうち「法人番号」と「会社法人等番号」の両方を持っている場合は「法人番号」を選択する。

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント6

「新規適用届」ウラ面

健康保険厚生年金保険新規適用届のポイント7

続いて新規適用届のウラ面を記入する際のポイントを確認しましょう。

健康保険厚生年金保険新規適用届の裏面

キとクは該当するものすべてに○をつけます。記載されている手当すべてを支給している場合は、すべてに○をつけます。

まとめ

社会保険の加入義務の対象となる従業員には、正社員以外にもさまざまな雇用形態を含みます。加入義務の対象にもかかわらず、社会保険に加入せず、保険料を支払わない時期が生じた場合は、いざというときの生活保障額や年金給付額が少額になる可能性があります。
また、極端な場合、受給資格期間が満たず、年金が給付されない事態に至る可能性もあるため、加入義務の対象となる従業員を正確に把握しておくことは非常に重要です。
また、事業所の加入に関しては、申請までの期日が5日以内と短いので、加入義務がある場合は直ちに新規適用届の作成・提出を行う必要があります。
従業員が社会保険の被保険者となるための手続きも併せて行い、従業員が安心して働けるようヌケ・モレのない対応を心掛けましょう。

監修:川本 祐介 (社会保険労務士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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