• 更新日 : 2018年9月4日

健康保険未加入のリスク

会社に勤めている間は、自分では何もしなくても、会社の社会保険に自動的に加入しています。しかし、会社を退職したら、自分で国民健康保険等の加入手続きを行わなくてはなりません。

転職先が決まっていて数週間のことだから国民健康保険に加入しなくてもいい、と思っている方がいるかもしれませんが、転職までの期間が例え1日だったとしても、また、その間に病院にかからなかったとしても、その1日は国民健康保険に加入して保険料を納めなくてはいけません。国民健康保険は任意ではないのです。加入しなければ法令違反になります。

今回は、健康保険未加入のリスクについて考えたいと思います。

病気になったときは全額負担

会社を退職すると14日以内に市町村や国民健康保険組合へ国民健康保険加入の手続きを行いますが、これを怠り、未加入のままだったとしたら、どのようなリスクがあるのでしょうか。

辞職して無職だったとします。国民健康保険に未加入のまま、病気やケガで病院にかかった場合、当然保険証はないので自由診療となり、全額負担しなければいけません。

また、保険診療の場合、病気ごとに診療の内容や処方できる薬などが決まっているので、どの病院へ行っても金額に大きな差がないと思っていいでしょう。しかし、自由診療は文字通り「自由」なので、いくら請求されても文句は言えないのです。

辞職した翌日から保険料が発生

医療費の全額負担に懲りて国民健康保険加入の手続きに行ったとします。この場合、手続きに訪れた日からの保険料が発生するのではなく、会社を辞めた翌日からさかのぼって請求されます。つまり、未加入の期間を滞納期間とみなされ、支払い請求されてしまうのです。

ただし、さかのぼれる期間には限度が決められており、国民健康保険料の場合は2年、国民健康保険税の場合は5年となっています。これは根拠となる法律が異なっているためで、国民健康保険料は「国民健康保険法」、国民健康保険税は「地方税法」によって定められています。

ただし、加入した後、保険料を支払っていない、つまり滞納している場合には、時効は事実上成立しません。この「時効」は、未加入であったため、一度も請求されたことがなかった人にあてはまる原則で、健康保険に加入している人が滞納している場合は支払の請求や財産の差し押さえがくることになるため、滞納者に対しては、現実的に時効は成立しないということになります。

健康保険は日本国民の義務

では、健康だから、病院に行かないから加入しないでもいいのでしょうか。そういうわけではありません。日本は国民皆保険制度を採用しており、これは、国民全員が公的医療保険制度の下にいることを表しています。

健康保険の加入は法律で定められた義務ですから、加入するべき者が加入しなければ、義務を怠った場合の罰則があります。罰則規定には「10万円以下の過料(金銭罰)」があります。

それだけではありません、もしも、偽りやその他不正な行為により保険料を免れていたなら、免除されていた金額の5倍を過料として科することも場合によっては認められます。

未加入者や滞納者の問題は年々深刻化しており、徐々に厳しくなっています。場合によっては保険料よりも高くなる諸々の罰則があり得るのです。

事業者が未加入の場合

個人が健康保険に加入する必要があるように、企業も社会保険などに加入する義務があり、これを怠るとしかるべき罰則があります。また、近年においては罰則が強化されています。

企業が健康保険に未加入だった場合、6 カ月以下の懲役または50 万円以下の罰金に処せられます。ただし、以下の者は健康保険の適用外です。

・臨時の雇用者(2カ月以内の期間で雇用された者、日々雇い入れられる者)
・季節的業務に4カ月以内の期間を定めて雇用される者
・臨時的事業のため6カ月以内の期間を定めて雇用される者

まとめ

経済的な理由から国民健康保険への不加入者が増えているようです。病気にならない、なっても病院に行かないと自分が思うだけではすまない行為です。

健康保険への加入は保険料を納めるのに見合うメリットがあります。病気になってほんとうに経済的に医療費が払えないと心配するような場合でも、さまざまな制度で生活を守るように仕組みが組まれているのです。

国民の義務でもあると同時に、自分の生活を守る制度として健康保険の仕組みを知り、未加入のリスクをおかさないように注意しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

HRプラス社会保険労務士法人 監修

HRプラス社会保険労務士法人
東京都渋谷区恵比寿を拠点に、HR(人事部)に安心、情報、ソリューションをプラスしていくというコンセプトのもと、全国の顧問先に対し、人事労務に関するコンサルティングを行っている。企業が元気にならないと雇用は生まれない、賃上げはできないとの思いから「人事労務で疲弊する日本中の経営者・人事マンを元気にする!」をミッションに掲げ、人事労務担当者の立場に立った人事労務相談、就業規則や諸規程の整備、IPO支援、海外進出支援、社会保険事務のアウトソーシングなどを展開。

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