• 作成日 : 2016年4月25日
  • 更新日 : 2018年7月4日
  • 所得税

退職金にも所得税はかかる!計算方法と注意すべきこと

退職金にも所得税はかかる!計算方法と注意すべきこと

退職金にも所得税はかかる!計算方法と注意すべきこと

退職金=退職所得。退職金にも所得税は課せられます。

ここではそもそも税法上「退職所得」とはどんなお金を意味するのか、と言うところから始め、退職金の源泉所得税の計算方法を解説するとともに、退職時に重要な書類となる「退職所得の受給に関する申告書」についても紹介します。

退職する側はもちろん、退職金を支払う企業側の担当者も必読です。

退職金の所得税はどうやって計算する?

「退職所得」とはそもそも何か?

退職金は税法上「退職所得」と呼ばれます。この意味での退職金は、退職時に特別に支払われる一時的な賃金のこと。

定年退職や転職等により退職金の支払いを受けた場合はもちろん、解雇予告手当を受け取った場合や、勤めていた企業の倒産により定期賃金や退職金が未払の場合に、その一部を未払賃金立替払制度により国から受け取った場合も「退職所得」に分類されます。

在職中に受け取る賃金や賞与等は「給与所得」になりますが、定年退職後引き続き同じ企業で再雇用される場合や役員に就任した場合に受け取る退職金は「退職所得」となります。

あとで見るように退職金の所得税の計算には独自の計算式を用いるため、退職金なのか通常の賃金なのかをはっきりさせておかなくてはなりません。

退職金の「所得控除」の計算方法

課税対象になる退職金の金額の計算は、次のように行います。

(収入金額(源泉徴収前の金額)−退職所得控除額)×1/2=課税対象になる退職金の金額

まずはこのうち「退職所得控除額」の計算方法を見ておきましょう。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
(80万円未満の場合は、80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、勤続年数が13年と3ヶ月の人の退職所得控除額を計算する場合、勤続年数は端数を切り上げて14年となります。勤続年数が20年以下なので上図の上段の計算式を使います。(ただし、平成25年分以後は、法人役員や議員・公務員としての勤続年数が5年以下である場合、上記計算式の1/2計算の適用はありません)

40万円×(勤続年数)=40万円×14年=560万円

勤続年数が40年の人の場合は次のような計算式となります。

800万円+70万円×(勤続年数−20年)=800万円+70万円×20年=2,200万円

退職所得控除額の計算には例外が2つあります。1つ目の例外は、退職の原因が障害者になったことである場合です。

この時、退職所得控除額はもともとの計算式で計算された金額に100万円を加算した金額になります。2つ目の例外は、前年以前に退職金を受け取ったことがある場合、または同じ年に複数の勤務先から退職金を受け取る場合などです。この場合は退職所得控除額の計算方法が異なる場合があるので、注意しましょう。

退職金の「所得税」の計算方法

退職金の所得税を計算する時は、原則として他の所得とは分離して計算します。なお、退職金の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出している人については、勤務先が所得税額及び復興特別所得税額を計算し、その退職金の支払の際、退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。

一方で、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しなかった人については、退職金の支払金額の20.42%の所得税額及び復興特別所得税額が源泉徴収されますが、本人が確定申告を行うことにより所得税額及び復興特別所得税額の精算をすることができます。

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出している人の退職金の所得税額を求める計算式は以下の通りです。

退職金の所得税額を求める計算式

(出典:退職金にかかる税金|国税庁HP

これを先ほどの退職所得控除額を求める計算式と合わせて考えてみましょう。

勤続年数が15年の人の源泉徴収前の退職金の金額が1,300万円だったとすると、課税対象になる退職金の金額は次のようになります。

〔収入金額(源泉徴収前の金額)−(40万円×勤続年数)〕×1/2=1,300万円−(40万円×15年)×1/2=350万円

速算表に基づけば、適用される所得税率は20%です。

(課税対象となる退職金の金額×20%−427,500円)×102.1%=(350万円×20%−427,500円)×102.1%=278,222.5円→278,222円(1円未満の端数は切り捨て)

以上から、勤続15年で退職金1300万である場合の所得税額は278,222円です。

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していない人の退職金の所得税額を求める計算式は以下の通りです。

1,300万円×20.42%=2,627,300円

「退職所得の受給に関する申告書」とは何か?

退職所得の受給に関する申告

「退職所得の受給に関する申告」はどんな手続きか?

「退職所得の受給に関する申告書」の項目を記載し、企業など退職金の支払者に提出するだけの手続きです。この書類は退職金の支払者が保管することになっており、税務署長から特に提出を求められない限り、税務署に提出する必要はありません。

「退職所得の受給に関する申告書」はなぜ重要か?

前述の速算表を見てもわかるように、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出した場合と、提出しなかった場合の所得税額には大きな差が生じることがあります。「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出し忘れてしまった場合には、確定申告をすることで、退職金の所得税額の精算は可能です。しかし正確な納税並びにスムーズな退職のためにも、退職時にはきっちりと「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しましょう。

まとめ

退職金も所得は所得。他の所得とは別に所得税が課せられます。何が退職金で何が退職金でないかの分類をきっちりするとともに、「退職所得の受給に関する申告書」を忘れずに勤務先に提出しましょう。

監修:岡本 洋人 (特定社会保険労務士)

主治医のような社会保険労務士法人 代表社員

社労士業務を『人』中心の労働集約型から『コンピューティング』による知的情報化サービスへの進化させることにより、社労士の枠組みを超えて「経営に直結する課題」を解決するコンサルタントへの進化をめざしています。 それにより、2026年の年間労働時間1200時間、平均年収700万円という当事務所の『働き方改革』を実現します。
『働き方改革』実現に向け、人工知能(AI)やロボット(RPA)を活用した自動化システムの開発、ペーパレス化やクラウド化によるテレワークの導入にも積極的に取り組んでいます。