- 更新日 : 2025年4月18日
週3日勤務のパートやアルバイトは有給休暇を取得できる?条件を解説
週3日勤務のパートやアルバイト従業員も、有給休暇を取得できるのか気になる方も多いでしょう。正社員と同様に取得するためには、一定の条件を満たす必要があります。
本記事では、パートやアルバイトの有給休暇の取得条件や計算方法、取得の流れについて詳しく解説します。これから働く方や、すでに働いている方にとっても役に立つでしょう。
目次
週3日勤務のパートやアルバイトは有給休暇を取得できる?
週3日勤務のパートやアルバイトも、一定の条件を満たせば有給休暇を取得できます。基本的に、雇用形態に関係なく有給は付与されるものの、週1日または年間48日以上の勤務日数が必要です。
たとえば、週3日勤務のパートが、所定労働時間が30時間未満で、6ヶ月以上勤務した場合、5日の有給が付与されます。
さらに、2019年4月に施行された働き方改革関連法により、有給休暇の取得が義務化され、雇用主は、年10日以上の有給休暇が付与されている従業員に対し、最低5日を取得させる義務があります。
もし会社が「パート・アルバイトには有給休暇がない」と言った場合、それは違法です。
そもそも年次有給休暇とは?
有給休暇の正式名称は「年次有給休暇」で、これは給与が支払われる休暇のことです。有給休暇を取る際、働かなくても賃金が支払われます。
原則として、従業員は希望する日に有給休暇を取得でき、企業側はこれを拒否できません。ただし、「年5日の取得義務」に関しては、企業が従業員の意見を聞き、できるだけ希望を尊重する必要があります。
また、有給休暇を取得した分の賞与を減らすなど、従業員に不利益な扱いをすることは違法です。この制度は、労働者の心身の疲労回復を目的とし、働きやすい環境を整えるために重要な役割を担っています。
週3日勤務で有給休暇を取得する条件
週3日勤務のパートやアルバイトでも、週5日勤務の正社員と同様に、法的に定められた有給の権利が得られます。有給休暇を取得する条件は、下記の2つです。
- 所定労働日の8割以上出勤している
- 6ヶ月以上の継続勤務
しっかりと条件を把握しておくことが重要です。
条件1.所定労働日の8割以上出勤している
有給休暇を取得するには、まず就業規則や雇用契約で定められた所定労働日数の8割以上の出勤が必要です。もし出勤率が8割未満であれば、有給休暇は付与されません。
なお、休んでも出勤日とみなされるケースもあります。たとえば、年次有給休暇を取得した日や、業務上の理由で療養が必要な場合、育児・介護休業期間、産前産後休業期間などです。
これらの期間も出勤日としてカウントされ、8割出勤に含められます。したがって、実際に働いていなくても、一定の条件下で出勤日として計算される点を押さえておきましょう。
条件2.6ヶ月以上勤務を継続している
有給休暇は、雇用形態にかかわらず、入社から6ヶ月以上継続して勤務している従業員に付与されます。パートやアルバイトの場合、勤務日数やシフトの有無は関係なく、6ヶ月以上の勤務を経過すれば、すべての従業員に有給が付与されることになります。
たとえば、週3日勤務のパートでも、勤務日数にかかわらず、6ヶ月が経過していれば有給休暇の取得が可能です。正社員と同じルールで、勤務形態に関係なく平等に有給休暇が適用されることを覚えておきましょう。
有給休暇の取得が義務づけられている日数は?
年間10日以上の有給が付与される労働者には、企業が最低でも5日以上の有給休暇取得を促す義務があります。このため、1年間に1日も有給を取得しなかった場合、企業は法律違反です。
ただし、企業側が一方的に時期を指定して強制的に有給を取らせることは基本的にできません。繁忙期を避けるなどしつつ、従業員の希望を尊重しながら、有給休暇の取得を進めることが求められています。
週3日勤務で年間所定労働日数が121〜168日の場合の有給日数を、下記の表にまとめているので、あわせてご確認ください。
継続勤務年数 | 有給日数 |
---|---|
0.5年 | 5日 |
1.5年 | 6日 |
2.5年 | 6日 |
3.5年 | 8日 |
4.5年 | 9日 |
5.5年 | 10日 |
6.5年以上 | 11日 |
有給休暇時の給料の計算方法
有給休暇時の給料の計算方法には、いくつかの種類があります。ここでは、下記の3つの計算方法を紹介します。
- 通常賃金
- 平均賃金
- 標準報酬日額
会社によって採用されている計算方法が異なるため、あらかじめ確認しておくのがおすすめです。
通常賃金
通常賃金は、従業員が通常働いた場合に受け取るべき金額と同額が支払われるものです。アルバイトやパートの場合、通常賃金は所定労働時間をもとに算出されます。たとえば、週に決まった時間勤務している場合、その時間に応じた賃金が支給される仕組みとなります。
平均賃金
平均賃金における有給休暇の賃金計算方法は、原則として、「3ヶ月の合計賃金」を「3ヶ月間の総日数」で割った金額が基準です。
しかし、賃金が時間額や日額、出来高給などで決められていて、労働日数が少ない場合、計算方法は少し異なります。その場合は、「3ヶ月の合計賃金」÷「3ヶ月の労働日数」に0.6を掛けた金額と比較し、高い方を選択します。
0.6を掛ける計算式は、最低保障額を算出するためのものです。
標準報酬日額
標準報酬日額は、健康保険料の算出基準となる「標準報酬月額」を30で割った金額です。この金額は、従業員が受け取る報酬をもとに算出されます。
また標準報酬日額は、支給開始日が属する月以前の直近12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均をもとに計算されます。基本給だけでなく、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当なども計算に含まれる点に注意しましょう。
このようにさまざまな要素を考慮して、標準報酬日額が決定されます。
週3日勤務のパート・アルバイトの有給休暇の使い方
週3日勤務のパートやアルバイトでも、有給休暇を取得する権利はあります。しかし、実際に有給を取得するためには、いくつかの手続きが必要です。ここでは、週3日勤務の従業員が有給休暇を取得する際の流れについて解説します。
申請書類を作成する
有給休暇の取得方法は会社によって異なるため、各社のルールに従う必要があります。会社が提供する申請フォーマットに従って申請書を作成し、必要事項を記入するのが一般的です。
休暇を取る理由については、明確に伝える義務はなく、「私用のため」と記載するだけで問題ありません。個人的な用事や趣味、旅行に加え、結婚式やお葬式、家族の用事、病院への通院、公的手続きなども私用として扱えます。特別な理由がなくても、有給休暇を活用することは可能です。
有給休暇を申請する際のメールの書き方を知りたい方は、下記記事もあわせてご参照ください。
有給休暇は使わないと2年で消失するため注意が必要
有給休暇は、取得しないまま2年を経過すると消失してしまうため、注意が必要です。取得した有給休暇は、必ず2年以内に使い切るようにしましょう。
初年度は、契約から6ヶ月後に有給が付与され、その後は毎年同じ月を基準に新たな有給が付与されます。
病気やケガで長期間働けない場合や、冠婚葬祭などの理由で有給休暇が必要になる場面もあるため、計画的に有給を取得することが大切です。無駄に使いすぎず、予想外の事態に備えて有給休暇を残しておくことをおすすめします。
書類を職場に提出する
有給休暇を取得する際は、まず申請書類を作成し、職場の担当者に提出します。申請は早めに行うことが推奨され、職場のスケジュールを考慮し、繁忙期を避けるなどの配慮も大切です。
万が一、スケジュールが合わない場合、企業は時季変更権を行使し、有給休暇を別の日に変更できます。
しかし、企業がこの権利を行使できるのは、事業の正常な運営に支障をきたす場合に限られます。単に人手不足や繁忙期を理由にするだけでは、時季変更権が認められないことがあるため、注意が必要です。
退職時に取得するときは早めに会社に相談する
退職時に長期間の有給休暇を取得したい場合、できるだけ早く会社に相談するようにしましょう。これにより、退職前に希望の休暇期間を確保しやすくなります。
退職により取得できなかった有給休暇に関しては、パートやアルバイトを含むすべての従業員に対して、「有給休暇の買取り」が認められています。この場合、未使用の有給休暇が金銭的に補償されますが、補償金は通常の給与ではなく、賞与として処理される点に注意が必要です。
従業員は、退職のタイミングを見越して、できるだけ早期に有給休暇の取得や買取りについて会社と調整しておくとよいでしょう。
週3日勤務は入社後6カ月の有給休暇取得は義務?
週3日勤務のパートタイマーの場合、入社から6ヶ月後に5日の有給休暇が付与されますが、この時点では、事業主が年5日の年次有給休暇を従業員に取得させる義務は課されません。
有給休暇の取得義務は、年10日以上の有給休暇が取得されている場合のみです。
原則として、入社後5年半が経過し、かつ直近1年間の出勤率が8割を超える場合に10日の有給休暇が付与されます。
しかし、週2日以下の勤務のパートタイマーに関しては、10日以上の有給休暇が付与されないため、取得義務の対象外です。
パートタイマーとして働く場合、勤務日数や出勤率により有給休暇の取得義務の有無が変わる点にご注意ください。
退職日までに有給休暇を取得できない場合は、下記記事で紹介している対処法を試してみるのもよいかもしれません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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