- 更新日 : 2025年4月2日
スメルハラスメント(スメハラ)は労災認定される?具体的な基準や手続き、事例なども解説
職場におけるスメルハラスメント(スメハラ)は近年増加しており、深刻な社会問題になっています。自分自身が被害を受けた際にどのように対処すればよいのか、特に精神的な病気を発症した場合に労災申請が可能なのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。この記事では、スメハラの具体的な内容や原因、実際の労災認定の条件・手続き、申請方法、企業が行うべき具体的な対策まで、初心者にもわかりやすく解説します。
目次
スメルハラスメント(スメハラ)とは
スメルハラスメント(スメハラ)とは、においによって周囲の人に不快感を与えるハラスメント行為を指します。これは、意図的な嫌がらせはもちろんのこと、無意識のうちに発しているにおいが原因で周囲に不快な思いをさせてしまう行為も含まれます。スメルハラスメントは、セクハラやパワハラといった従来のハラスメントと同様に職場環境を悪化させる要因となり、近年、その存在が社会的に認識されるようになってきました。
スメルハラスメントの原因となるにおい
職場におけるスメルハラスメントの原因となるにおいは多岐にわたります。代表的なものとしては、汗や皮脂による不快な体臭や口臭が挙げられます。不衛生な生活習慣に起因する場合や、加齢臭やワキガ臭のように本人の体質に由来する場合、さらにはニンニクやカレーといった食事によるにおいもスメハラの原因となることがあります。
また、近年問題視されているのが、タバコの臭いです。喫煙者本人の身体や衣服に染み付いた臭いは、非喫煙者にとっては特に不快に感じられることが多く、ハラスメントに該当する可能性があります。さらに、香水やコロンといった香り製品も、使用量や香りの種類によってはスメハラを引き起こす可能性があります。たとえ少量の香りであっても、苦手な人がいることを考慮する必要があります。近年、種類が増えている柔軟剤の香りも、強すぎると周囲に不快感を与えたり、体調不良を引き起こしたりするケースも報告されています。その他、整髪料の強い香りやペットの臭い、職場の芳香剤や植物のにおいなども、人によっては不快に感じることがあり、スメハラの原因となります。
スメルハラスメントが問題となる理由
スメルハラスメントは、単に「臭い」という生理的な不快感だけでなく、様々な面で深刻な問題を引き起こす可能性があります。
精神的・身体的な健康への影響
まず、スメハラは被害者の精神的な健康に悪影響を及ぼします。不快な臭いを我慢し続けることは、ストレスの原因となり、集中力の低下、イライラ、不安感、さらには抑うつ状態を引き起こす可能性があります。特に、敏感な人にとっては、吐き気や頭痛といった身体的な症状を引き起こすこともあります。このような状態が長期化すると、適応障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)といった精神疾患につながるリスクも否定できません。
職場の人間関係への影響
また、スメハラは職場の人間関係にも悪影響を及ぼします。臭いの発生源となっている人物に対して、周囲の従業員が避けたり、陰口を言ったりするようになり、孤立感を深める可能性があります。スメハラが原因で職場の雰囲気が悪化し、コミュニケーションが円滑に行われなくなることもあります。最悪の場合、スメハラを受けた従業員が退職を余儀なくされるケースも考えられます。これは、企業にとっても人材流出という大きな損失につながります。
企業の生産性の低下
さらに、スメハラは業務効率の低下も招きます。不快な臭いが充満した環境では、従業員は集中して業務に取り組むことが難しくなり、ミスが増加したり、作業スピードが低下したりする可能性があります。スメハラによって従業員のモチベーションが低下し、生産性の低下につながることもあります。
スメルハラスメントが労災認定される条件
スメルハラスメントによって精神的な病気になってしまった場合、労災として認定されることがあります。しかし、どのようなケースでも認められるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。ここでは、スメハラが労災として認定されるために必要な条件について詳しく解説します。
医師によって精神疾患と診断されること
労災として認定されるためには、まず医療機関で精神疾患の診断を受ける必要があります。具体的には、うつ病、適応障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、精神的な症状が明確に医師によって診断されていることが求められます。単にストレスが溜まっているという状況や、病院に行かずに個人的に感じているだけの不調では、労災として認められることは難しいです。
精神疾患と診断された場合、医師から「診断書」を取得することが重要です。診断書には、発病の原因が職場環境(特にスメルハラスメント)にあることが明記されていると労災認定の可能性が高まります。
精神疾患の原因がスメルハラスメントであると認められること
労災として認定されるためには、精神疾患が業務に関連して発症したこと、つまりスメルハラスメントが原因であるという「業務起因性」を証明しなければなりません。具体的には、次のような点を明確にする必要があります。
スメルハラスメントの事実
スメルハラスメントが実際に存在していたこと、そしてそれが本人に精神的な負担を与えていたことを、第三者にも理解できる形で示すことが必要です。スメルハラスメントが起きていた期間や頻度、どのような臭いがどのような状況で発生していたか、という具体的な情報を集め、証拠として提出することが求められます。
スメルハラスメントによる心理的負荷の程度
労災として認められるためには、スメルハラスメントによって受けた心理的なストレスや負担が、一般的なストレスの範囲を超えて強いものだったと評価される必要があります。例えば、日常的に臭いにさらされることが継続的かつ強いストレスとなり、そのストレスが精神疾患を引き起こすに十分であったと、労働基準監督署によって判断される必要があります。
スメルハラスメントで労災を申請する方法
スメルハラスメントによって精神疾患を発症した場合、労災申請を行うことで、労働災害として認定され、治療費や休業補償などを受けられる可能性があります。この章では、スメハラを原因とする労災を具体的にどのように申請すればよいのか、申請の流れや注意点について詳しく解説します。
医療機関を受診して診断書を取得する
労災申請の第一歩は、医療機関を受診して正式な診断を受けることです。精神疾患(うつ病、適応障害、PTSDなど)を発症していることを医師に確認してもらい、診断書を発行してもらいましょう。
診断書には、「スメルハラスメントが精神疾患の主な原因になった可能性がある」ことが明記されていると、労災申請において有利になります。医師に詳しい経緯を説明し、職場でのスメルハラスメントが精神疾患に直接影響したことを診断書に書いてもらうことが重要です。
スメルハラスメントの証拠を収集する
スメハラによる労災認定は証拠が重要なポイントになります。スメハラが実際に起きていたことや、精神疾患との関係性を示すための具体的な証拠を集めましょう。
主な証拠としては、以下のようなものが有効です。
- 医療機関で発行された診断書
- スメルハラスメントの記録
- 同僚や上司など第三者による証言
- 会社への相談記録・対応記録
証拠収集の際には、客観的な視点でスメルハラスメントの実態を第三者に伝えることができるよう意識しましょう。
労働基準監督署へ申請する
労災申請は、職場を管轄している労働基準監督署に対して行います。申請書を作成し、診断書や証拠資料とともに提出します。
申請書は労働基準監督署の窓口または厚生労働省のウェブサイトから入手できます。提出書類には細かな記載方法があるため、分からない点があれば事前に労働基準監督署に確認するとよいでしょう。
労働基準監督署が審査を行う
申請が受理されると、労働基準監督署は調査・審査を開始します。この過程で、申請者本人や会社側、医師などへの聞き取り調査や、提出された証拠資料の確認が行われます。
調査では特に、スメルハラスメントと精神疾患の間に明確な因果関係(業務起因性)があるかどうかが重点的に確認されます。そのため、労災申請時には、この因果関係をはっきり示すための証拠が重要になります。
労災認定の結果が通知される
調査・審査が終わると、労働基準監督署から労災認定の可否について結果が通知されます。認定されると、治療費の補償や休業補償(給与の一部を補填する給付)などの給付が受けられるようになります。
もし認定されなかった場合でも、審査結果に不服がある場合は、異議申し立てや再審査請求を行うことが可能です。その場合は、再度証拠を見直したり、新たな証拠を提出したりすることで再認定の可能性を高めることができます。
スメルハラスメントの労災申請に有効な証拠
スメルハラスメントは視覚的にはっきり見えるものではないため、労災申請の際には客観的な証拠をしっかりと準備することが極めて重要です。具体的に有効となる証拠としては、以下のようなものが挙げられます。
医療機関で発行された診断書
精神疾患を発症したことを客観的に証明するために、医師による診断書が非常に重要です。特に、スメルハラスメントが原因となって精神疾患を発症したと医師が明記した診断書であれば、労災申請が認められる可能性がより高くなります。
スメルハラスメントの記録
スメルハラスメントが発生した日時、状況、誰が原因となっていたか、具体的にどのような臭いによってどのような影響を受けたのかを詳細に記録したものが証拠として有効です。日記やメモはもちろん、職場内のメールやSNSでのやりとりも証拠として認められることがあります。
同僚や上司など第三者による証言
スメルハラスメントの状況を直接見たり感じたりした同僚や上司からの証言は非常に有効です。書面に証言を記録してもらうと、さらに効果的です。第三者による証言は、本人だけでは証明が難しい客観性を担保する役割を果たします。
会社への相談記録・対応記録
会社にスメハラの被害を相談した際の記録や、会社がその後どのように対応したかを記録しておくことも重要です。会社に相談したにもかかわらず、対策がなされず放置された場合、会社の管理責任も問われる可能性があり、労災認定の可能性が上がります。
スメルハラスメントによる労災認定の事例
スメルハラスメントによって労災が認定された事例も実際に存在します。2021年に大阪府の会社員が職場のタバコ臭や体臭に日常的にさらされてうつ病を発症し、労働基準監督署から労災認定を受けました。このケースでは、本人が継続的に会社へ改善を求めたにもかかわらず会社が対策を講じなかったことや、医師による診断書、同僚の証言などの証拠が十分に揃っていたことが認定の決め手となりました。
このように、客観的な証拠を集めて適切な申請を行えば、スメルハラスメントによる精神疾患が労災として認定される可能性があります。
スメルハラスメントの労災申請を行う際の注意点
労災申請を円滑に進めるためには、以下のような注意点を押さえておく必要があります。
職場への報告や相談を事前に行う
労災申請を行う前に、できれば会社の担当部署や上司にスメハラの問題を相談した記録を残しておきましょう。相談しても会社が対応しなかったという記録がある場合、企業の管理責任が問われ、労災認定に有利に働きます。
申請書類は正確かつ詳細に記入する
申請書類に不備や曖昧な点があると、審査期間が延びたり認定が難しくなったりする可能性があります。申請時には、できるだけ具体的かつ明確に、スメハラの状況や精神疾患との関係性を記入するようにしましょう。
専門家への相談も検討する
スメハラを原因とする精神疾患の労災申請は非常に難しいケースが多いため、一人で進めるのが困難な場合は、社会保険労務士や弁護士など専門家への相談を検討しましょう。専門家のサポートがあると、証拠集めや書類作成がスムーズになり、労災認定の可能性も高まります。
企業がすべきスメルハラスメント対策
スメルハラスメントは、従業員の健康や職場環境、さらには企業の生産性にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、企業にはスメハラを防止し、適切な対策を講じる社会的な責任があります。ここでは、企業がスメハラを防ぐために実施すべき具体的な対策について詳しく解説します。
スメルハラスメントに関する従業員教育の実施
スメルハラスメントの対策として最も重要なことは、企業内での認識と理解を深めることです。企業はまず、スメルハラスメントがどのような問題を引き起こすのか、その影響やリスクを従業員に十分に周知しなければなりません。
具体的には、社内研修や講習会を定期的に実施し、スメルハラスメントの定義や具体例、起こりやすい状況を従業員に伝えます。また、スメルハラスメントが企業や個人にどのような悪影響を与えるのかを丁寧に説明し、従業員一人ひとりが自分の行動を意識するよう促す必要があります。
さらに、無自覚でスメルハラスメントの加害者にならないための身だしなみや衛生習慣に関する指導も行うと効果的です。特に、夏季など汗をかきやすい時期や、食事の臭い、香水や柔軟剤の使用方法など、日常生活で注意すべきポイントを具体的に示すことが大切です。
就業規則・ハラスメント規定への記載
企業は就業規則やハラスメント防止規定に、スメルハラスメントについて明確に記載する必要があります。多くの企業ではパワハラやセクハラに関するルールを設けていますが、スメルハラスメントに関しては明記されていない場合も少なくありません。
就業規則にスメルハラスメントを明記することにより、企業としての明確な姿勢を示し、従業員にも明確な行動基準を提示できます。また、規定の中でスメルハラスメントを行った場合の罰則や処分を明確に定めることで、職場全体に対して抑止力を高める効果があります。
規定を作成・改定する際は、具体的にどのような行為がスメルハラスメントに該当するのかを例示し、従業員が理解しやすくなるように工夫しましょう。
匿名で相談できる窓口の設置・運営
スメルハラスメントは非常にデリケートな問題であり、被害者が直接加害者に伝えることが難しい場合が多いです。そのため、企業としては、従業員が安心して相談できるような仕組みを作る必要があります。
その一環として、社内に匿名で相談できる窓口を設けることが効果的です。相談窓口にはプライバシー保護を徹底した運用ルールを設け、相談者が安心して相談できる環境を整備します。また、相談窓口の担当者はハラスメントに関する専門的な知識や対応方法を十分に身につけておくことが重要です。
窓口を設けるだけでなく、実際に相談があった場合には迅速かつ適切な対応を行い、従業員の信頼を得られるよう努めましょう。
職場環境の改善と衛生管理の徹底
スメルハラスメントの多くは、個人の衛生意識だけでなく、職場環境そのものにも原因があります。そのため、企業として職場環境や設備を改善し、臭いが発生しにくい快適な空間を作ることも重要です。
例えば、適切な換気設備を設置・整備して空気の循環を良くしたり、喫煙所をオフィスから十分に離れた場所に設置したりするなど、臭いの問題を物理的に軽減することが可能です。また、従業員に対して清潔な職場環境維持への協力を呼びかけるとともに、清掃の頻度を高めることも効果的です。
企業側が積極的に職場環境の改善を進めることにより、従業員も自発的に衛生管理に協力するようになります。
ハラスメント発生時のマニュアルの作成
スメルハラスメントが実際に発生した際の対応方法をまとめたマニュアルを作成し、社内に周知しておくことも大切です。具体的な対応マニュアルがあれば、スメルハラスメントが発覚した場合に迅速で適切な対応が可能になります。
マニュアルには、相談を受けた際の具体的な対応手順や、加害者・被害者双方への対応方法、再発防止策などを明記しておきます。また、対応を行う担当者の役割や責任範囲を明確にし、対応に一貫性を持たせることも重要です。
定期的にマニュアルを見直し、必要に応じて改定や改善を行うことで、より実効性のあるハラスメント対策を維持しましょう。
定期的なモニタリングと対策の見直し
スメルハラスメント対策は一度行えば終わりではなく、定期的なモニタリングや評価を通じて、その効果を検証し続ける必要があります。例えば、従業員アンケートや職場環境調査などを定期的に実施し、スメルハラスメントのリスクや実態を把握することが大切です。
調査結果に基づき、対策が十分かどうかを評価し、問題点があれば速やかに改善することで、職場のリスクを継続的に軽減できます。
また、調査結果や対策の改善状況について従業員にフィードバックすることで、企業全体の意識向上にもつながります。
スメルハラスメントで困ったときの相談窓口
スメルハラスメントに悩んだとき、一人で問題を抱え込んでしまうと精神的な負担が増え、職場環境がさらに悪化してしまう可能性があります。そのため、問題を解決するためには、信頼できる相談窓口を活用し、早めに対応を開始することが大切です。
職場内の相談窓口
最初に考えるべき相談先は、自分が所属している会社や職場に設置されている相談窓口です。多くの企業では、ハラスメントに関する相談窓口や担当部署を設けています。
相談する際は、できるだけ具体的にスメルハラスメントの状況を説明できるように準備しておくとよいでしょう。相談した日時、誰がどのような状況で臭いを発生させ、それによってどのような影響を受けているのか、具体的な被害状況を伝えます。また、企業側が対応しやすいように、改善してほしい具体的な内容も伝えると効果的です。
ただし、職場内の窓口に相談しても十分な対応が得られない場合や、会社が問題を放置してしまうケースもあります。その場合は次に説明する外部の相談窓口を利用することを検討しましょう。
労働基準監督署
会社がスメルハラスメントへの対応を行わない場合や、スメルハラスメントが原因で精神疾患を発症し、労災申請を検討する場合は、労働基準監督署へ相談するのが効果的です。
労働基準監督署は、職場での安全衛生や労働環境に関する問題について相談を受け付けています。特に、スメルハラスメントによって精神疾患が発生しているような深刻なケースでは、労災申請を行うための具体的なアドバイスや支援を受けることができます。
労働基準監督署への相談時には、スメルハラスメントが原因でどのような健康被害を受けているのか、職場での対応状況や会社への相談結果などを詳細に伝える必要があります。できれば、診断書や具体的な記録、証言などを持参して相談に臨むと、より具体的な支援を受けることが可能です。
労働基準監督署は企業への指導や監督の権限も持っているため、会社が問題を放置している場合には、監督署から企業に対して指導が行われる場合もあります。
都道府県労働局や労働相談センター
地域にある都道府県労働局や労働相談センターでも、スメルハラスメントに関する相談を無料で受け付けています。これらの窓口は公的機関であり、職場内でのハラスメントやトラブルに対して幅広く相談に応じてくれます。
都道府県労働局や労働相談センターに相談するメリットとしては、専門的な立場からの客観的なアドバイスや、労働者としての権利や救済方法について詳しく教えてもらえることが挙げられます。さらに、問題が深刻な場合は、労働局から企業側に対して改善を求める調整が行われることもあります。
相談する際には、スメルハラスメントがどのような状況で起きているのか、どのような対応を希望しているのか、具体的な情報を整理しておくと、より効果的なアドバイスやサポートが受けられます。
弁護士や社会保険労務士などの専門家
スメルハラスメントの問題が複雑である場合や、会社の対応に問題があり法的な解決が必要になる場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家への相談も検討しましょう。
弁護士に相談すると、ハラスメント行為に対する法的な対策や慰謝料請求、労災認定に向けた法的支援などを受けることができます。特に企業がスメルハラスメントを放置したり、被害者に不利益な扱いをしたりする場合には、弁護士による対応が効果的です。
また、社会保険労務士に相談すると、労災申請手続きの具体的なサポートや、職場環境の改善を会社に求めるための支援を受けることができます。労災申請に関しては、社会保険労務士の支援により、スムーズに進めることが可能になります。
専門家への相談は費用が発生する場合がありますが、初回の相談は無料というサービスも多いため、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
精神科・心療内科などの医療機関
スメルハラスメントの影響で精神的に辛いと感じた場合は、迷わず精神科や心療内科を受診しましょう。医療機関では専門の医師が症状を詳しく聞いてくれ、適切な診断や治療を受けることができます。
医療機関での診断や治療は、自身の健康を守るために重要であると同時に、労災申請の際に必要となる診断書を取得するためにも欠かせません。受診する際は、自分が職場でどのようなストレスや影響を受けているのかを具体的に伝えると、医師も適切な診断やアドバイスを行いやすくなります。
スメルハラスメントに関してよくある質問
最後に、スメルハラスメントに関してよくある質問とその回答をまとめました。
スメルハラスメントを理由に会社を訴えられる?
可能です。スメハラで精神的苦痛や病気を患った場合、企業に損害賠償や慰謝料を求める裁判を起こすことができます。ただし、十分な証拠や医師の診断が必要です。
スメルハラスメントの労災認定にかかる期間は?
通常は数か月~半年程度ですが、1年以上かかる場合もあります。証拠が明確であれば審査がスムーズになります。
スメルハラスメントは匿名で対応してもらえる?
企業内相談窓口では匿名対応が可能な場合がありますが、労災認定や裁判など公式手続きでは匿名が難しく、実名が必要になります。
スメルハラスメント防止のための対策を講じましょう
スメルハラスメントは個人の健康を害し、企業の生産性にも悪影響を及ぼす深刻な問題です。しかし、労災申請や企業側の適切な対応によって解決することが可能です。重要なことは早期に適切な機関へ相談し、医師の診断や客観的な証拠を揃えることです。また、企業側もハラスメント防止のために積極的な対策を講じる必要があります。スメハラを決して放置せず、一人で悩まずに積極的に相談や専門家の支援を利用しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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