• 更新日 : 2025年3月18日

外国人エンジニアの採用が注目される理由やメリット、おすすめ採用サイトを紹介

日本のIT業界では、エンジニア不足が深刻化しており、優秀な人材の確保が企業にとって大きな課題となっています。いま解決策として注目されるのが、外国人エンジニアの採用です。

本記事では、国内で採用可能な外国人エンジニアの種類や要件、雇用するメリットや注意点について解説します。

国内採用できる外国人エンジニアの種類・要件

国内で採用できる外国人エンジニアは、専門分野ごとにわかれます。主な区分と業務内容は、以下のとおりです。

エンジニア主な業務内容有能な分野
ITエンジニアWebや業務効率改善など、ソフトウェアやアプリの開発・システムの設計・プログラミングのコーディングなどソフトウェア・アプリ・Webサービス
組込みエンジニアAI・ロボット分野の組込みソフトウェア開発(機械や装置の制御プログラムを組み込むこと)、ソフトウェアのトラブルシューティングなどAI・ロボット・IoT
機械エンジニア自動車・半導体・家庭製品などの分野における新製品の開発や改良、CADを使用した開発、3D/2D CADを使用して製品設計など自動車・半導体・家電
電気回路エンジニア自動車・大型装置・医療用機器などの分野におけるアナログ回路設計やデジタル回路設計など自動車・医療機器・大型装置

なお、外国籍のエンジニアが日本で働く際には、特定の在留資格が必要です。次項より詳しく解説します。

在留資格の要件

外国籍のエンジニアが日本で働くには、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザが必要です。頭文字をとって、通称「技人国」ともよばれます。

「技術」とは、「理学・工学・そのほか自然科学分野に属する技術または知識を要する業務」を指し、エンジニアの就労ビザに該当します。

他にも、「高度専門職・企業内転勤・特定活動・身分系在留資格」の在留資格でも、日本でエンジニアとして就労可能です。

在留資格の種類詳細
技術・人文知識・国際業務理学・工学・その他の自然科学分野に属する技術、または知識を有する業務のこと。(これがエンジニアビザに相当)
高度専門職「高度人材ポイント制」を活用し、高度な技術・経験をもつ人材採用が可能
企業内転勤海外の本店や支店で「技術・人文知識・国際業務」関連の業務をおこなっている外国人社員を日本に呼べる
特定活動インターンシップ制度などを利用し、一時的に外国人エンジニアを呼び寄せられる
身分系在留資格永住者・定住者・日本の配偶者・永住者の配偶者は、原則どの職種にもつける

日本で外国籍のエンジニアを採用するには、上記のいずれかの在留資格が必要になります。在留資格については、以下の記事でも解説しています。あわせて、ぜひご覧ください。

関連記事:外国人雇用の注意点 – 関連する法律や手続きを解説

就労ビザの取得要件

エンジニア就労ビザの取得要件は、種類によって異なります。ここでは、一般的な「技術・人文知識・国際業務」の取得要件について解説します。具体的には以下のとおりです。

要件詳細
学歴短期大学・大学院を含む大学、もしくは日本の専門学校を卒業していること
職務経歴関連する業務で10年以上の実務経験があること
法務大臣が定めた情報処理に関する資格法務大臣が定めた資格を取得していること

外国人エンジニア採用における実態

日本で働く外国人労働者は、令和6年10月の時点で2,302,587人、令和3年10月時点で1,727,221人です。直近3年では、575,366人も増加しています。

そのうち、エンジニアとして就労できる「専門的・技術的分野の在留資格」を取得している人は、令和6年10月時点で718,812人、令和3年10月時点では359,520人と約2倍に増えています。

国内IT分野の人材不足が深刻化するなか、外国人エンジニアの需要は今後も高まっていくでしょう。

参考:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和3年10月末現在)
参考:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)

外国人エンジニアが注目される理由

IT分野を中心に技術者不足が深刻化し、企業は即戦力エンジニアの確保が急務といえます。次章より、外国人エンジニアが注目される理由について解説します。

  • 国内の人材不足が進んでいるため
  • スキルレベルの高い人材確保

国内の人材不足が進んでいる

経済産業省の調査によると、日本のIT関連産業は2019年をピークに、今後は人材が減少すると予想されています。 さらに、国内現役エンジニアの年齢は2030年にかけて上昇し、高齢化も進む傾向です。

参考:経済産業省「IT人材育成の状況等について」

その結果、レガシーシステムを運用・保守できる人材が限られ、対応に追われるなど業務に手が回らない状況が生まれています。

くわえて、日本は少子高齢化による労働人口が減少し続けており、国内だけでは人材不足を解消するのは困難です。

IT技術が進歩する一方で、人材育成が追い付いていない点も、人材不足に拍車をかけているといえるでしょう。

スキルレベルの高い人材を確保できる

経済産業省が2016年に実施した調査によると、日本のITスキルはレベル3前半であると発表されています。一方で、米国はレベル4、インド・中国はレベル3後半に達しており、国外に比べてスキル不足といえます。

参考:経済産業省「IT人材育成の状況等について」

また、IT教育が充実している国ではエンジニアの数が多く、競争率が非常に高い傾向です。そのため、スキルがあっても母国で仕事につけないケースも少なくありません。

こうした背景から、高度なスキルをもつ外国人エンジニアが日本へ興味を示し、日本企業にとって人材確保の機会が生まれています。

技術革新を支える人材確保が急務である国内のIT業界にとって、優秀な外国人エンジニアの確保は競争力強化につながる重要な戦略といえるでしょう。

外国人エンジニアを採用するメリット

外国人エンジニアが注目されている背景を踏まえて、採用するメリットもおさえておきましょう。

  • 質の高いIT人材を確保できる
  • 先端技術を扱える人材を確保できる
  • 社内のグローバル化につながる
  • 海外進出のきっかけになる

外国人労働者を雇用するメリットは、以下の記事でも紹介しています。あわせて、ぜひご参考ください。

関連記事:外国人労働者を雇用するには?受け入れるメリットや問題、採用方法を解説

質の高いIT人材を確保できる

母国で就職が難しい外国人エンジニアが、キャリアの選択肢として日本を就職先に選ぶケースが増えています。こうした背景から、日本企業は高いスキルをもつ優秀なIT人材を確保できるでしょう。

また、日本で働く外国人エンジニアは専門スキルにくわえ、在留資格の取得に必要な条件もクリアしています。質が保証される外国人エンジニアは、日本の労働市場にとって貴重な人材となりえます。

先端技術を扱える人材を確保できる

世界中で盛り上がりをみせる、AI・AR(拡張現実)・VR(仮想現実)といった先端技術分野は日本でも扱える人材が限られており、人材確保が難しい状況です。

そのため、外国人エンジニアの採用を視野に入れることで、技術に精通した人材を確保するチャンスが広がります。

また、多くの最先端技術は海外発であり、技術に関する最新情報も外国語で発信されているケースも少なくありません。世界共通言語を話せる外国人エンジニアがいれば、素早い情報収集が可能になります。

社内のグローバル化につながる

外国人エンジニアは、成長意欲が高い傾向です。母国を離れてキャリアを築くため、来日後も日本語の学習や専門スキルを磨き続けています。

意欲ある人材は周囲にもよい影響を与え、社内全体のモチベーションアップにつながります。いままでにない発想やアイデアを生むきっかけにもなるでしょう。

海外進出のきっかけになる

外国人エンジニアを採用する際は、アジアをはじめとする近隣国からの採用がおすすめです。理由のひとつに、文化・慣習に共通点が多く、コミュニケーションを図りやすい点が挙げられます。

さらに、採用者から母国での経験や新鮮な情報を得られるでしょう。現地の市場動向や技術情報は、一般的な調査では把握しにくい部分もあります。そのため、母国の最新事情に精通した人材は非常に貴重です。

海外進出を検討する企業にとっては、技術力の強化だけでなく、戦略を立てるうえでも重要な判断材料になるでしょう。

外国人エンジニア採用における留意点

外国人エンジニアを採用するうえで、いくつか注意点があります。具体的には以下のとおりです。

  • 在留資格の確認
  • 詳細な契約内容
  • 言語や文化の違い
  • 手続きが煩雑

在留資格の確認

外国人エンジニアの採用は、在留資格を確認することが重要です。就労できない外国人を誤って雇用してしまうと、企業側も不法就労助長罪に問われ、罰則の対象です。慎重に確認しましょう。

参考:厚生労働省「不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。」

確認方法は、在留カードの項目に記載されています。具体的には以下のとおりです。

  • 「就労制限の対象者」欄
  • カード裏面の「資格外活動許可」欄

くわえて、在留カードが偽造されていないかも確認しましょう。偽造カードの労働者を採用してしまうと、罰則のリスクがあります。

真偽のチェックは、出入国在留管理庁より無料配布される「在留カード等読取アプリケーション」が便利です。罰則対象とならないように、正確な在留資格か確認したうえで採用しましょう。

詳細な契約内容

外国人エンジニアの採用は、契約書・労働条件通知書の内容をしっかり作成することも重要です。

日本人の場合は、契約書に書かれていない業務でも対応してもらえる場合があります。しかし、外国人エンジニアは契約書に記載されていないことは、「しなくてよい」と解釈する傾向があります。

そのため、業務内容・勤務時間・給与・福利厚生・退職条件など、すべての条件を詳細かつ具体的に記載し、外国人労働者にも伝わる母国語で作成しましょう。内容を明確にすることで、外国人エンジニアとの良好な関係を築けます。

言語や文化の違い

外国人エンジニアを採用する際は、言語や文化の違いによるトラブルにも配慮しなければなりません。

たとえば、日本人同士なら感覚的に伝わる業務上の指示でも、外国人には伝わらない場合があります。そのため、具体的かつ明確なコミュニケーションを図ることが重要です。

また、同じ職場で働く日本人へ理解・協力を得ることも欠かせません。国籍の違いを受け入れ、柔軟に対応することが多様性の一歩となります。

手続きが煩雑

外国人エンジニアを採用する際には、在留資格の申請など複雑な手続きがあり、知識がない場合、社内の人間だけで手続きを進めるのが困難な場合があります。たとえば、以下のとおりです。

  • 在留資格認定証明書の交付申請
  • 在留期間更新許可申請

手続きの間違いや提出が遅れると、許可が下りるまでに時間がかかり、結果として雇用開始のタイミングがずれてしまうことが考えられます。

専門知識のある担当者がいない場合は、行政書士などの専門家への手続き委託を検討してもよいでしょう。

外国人エンジニアに特化した採用サイト4選

外国人エンジニアに特化した採用サイト4社を紹介します。

  • RISE for Business
  • IT JOBs in Japan
  • NINJA
  • マイナビ Global Agent

RISE for Business

RISE for Businessは、「IT・機電・建設」分野に特化した外国人エンジニアの採用マッチングサービスです。ベトナムやミャンマーを中心に、25,000名の登録エンジニアを擁し、日本企業に就職希望する優秀な人材をつなぎます。

特徴内容
特化分野IT・機電・建設エンジニア
登録者数25,000名のエンジニアが登録
対象国ベトナム・ミャンマーを中心に、多国籍のエンジニア
独自コミュニティ18年かけて海外人材事業を通じ、90万名の独自ネットワークを構築
料金体系初期費用・月額費用は0円、完全成功報酬型(採用決定まで費用は一切不要)

【採用時成功報酬】

40万円/名・60万円/名・80万円/名

採用スピードイベント開催サービスを活用した自社説明会やセミナーで、短期間で母集団形成が見込める
サポート体制採用事務代行・外国人採用特化の適性検査「CQI」レポートの閲覧

参考:RISE for Business

IT JOBs in Japan

日本のIT JOBは、日本語教育機関である日本語オンラインスクールが運営する、外国人ITエンジニア専門の人材紹介サービスです。 日本語レベルを事前にスクリーニングし、業務でのコミュニケーションに問題がない日本語レベルN2以上の候補者をメインに紹介します。

特徴内容
特化分野ITエンジニア
日本語レベルN2以上の候補者をメイン
料金体系完全成果報酬制(採用決定まで費用は一切不要)

採用決定時の年収の35%の手数料がかかる

採用スピード最短2営業日で人材を紹介、採用決定まで平均1ヶ月
サポート体制日本語プライベートレッスンの特典付き

参考:IT JOBs in Japan

NINJA

NINJAは、世界146カ国・約40,000人の外国人エンジニアが登録している求人サイトです。日本在住のエンジニアが多く、日本語能力N1(ビジネスレベル)の会員も87%います。

採用決定までの費用が発生しない完全成功報酬型です。募集から面接、採用までをサポートしてもらえます。外国人エンジニアの採用がはじめてでも、安心して採用活動をおこなえます。

特徴内容
登録者数世界146カ国・約40,000人の外国人エンジニアが登録
日本在住者の割合登録者の93%が日本在住
日本語レベル日本語レベルN1(ビジネス日本語)をもつ会員が87%
料金体系完全成功報酬型(採用決定まで初期費用・採用報酬が発生しない)
検索機能在留資格・国籍・母語・日本語・英語力・その他スキルなどの詳細な検索機能
サポート体制はじめての外国人エンジニアを採用する企業向けに、手続きのサポートがある

参考:NINJA

マイナビ Global Agent

マイナビGlobal Agentは、大手求人サイトであるマイナビが運営する、留学生専門の人材紹介サービスです。

韓国・ベトナム・台湾にパートナー企業があり、国内外で積極的に採用イベントを開催しています。 理系分野での採用実績が豊富で、新卒外国人留学生27,000名以上が登録しています。

特徴内容
登録者数新卒外国人留学生27,000名以上
言語能力日本語N1レベルの留学生が55%、N2レベルが36%(日常のコミュニケーションに困ることはない)
特化分野約5,000名の理系外国人留学生データベースから、企業の求める条件に合致した人材を紹介
サポート体制在留資格サポートやジョブマッチング会など、手厚いサポートを提供
料金体系初期費用0円、完全成功報酬型

内定者辞退や早期退職(30日以内)の場合は返金制度あり

参考:マイナビ Global Agent

外国人エンジニアの採用ニーズは今後も高まる

IT分野の人材不足を解消するには、外国人エンジニアの採用が有効な解決策です。 高いスキルを持ちながら母国での就職が困難な背景から、日本企業にとってもチャンスです。

日本で働く外国人エンジニアの数が増えていることからも、外国人エンジニアの需要は今後も高まるといえます。企業の成長やグローバル化の加速も見込まれるでしょう。


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