- 更新日 : 2026年3月31日
雇用契約書で必須の記載事項は?労働基準法に基づいた作成方法、注意点を解説
雇用契約書の必須記載事項は、労働基準法で定められた「契約期間・就業場所・労働時間・賃金・退職」の5項目です。
- 必須の「絶対的」と規定時のみの「相対的」がある
- 「労働条件通知書」と兼用して作成するのが一般的
- 労使トラブルを防ぐため入社日までに書面等で交付
Q:雇用契約書の作成は法律で義務付けられていますか?
A:いいえ。ただし、交付義務のある労働条件通知書と兼用し、合意の証明として書面で取り交わすのが基本です。
雇用契約書には就業場所や労働時間、賃金、休憩・休日など、労働基準法で定められた記載事項を明記する必要があります。
本記事では、労働基準法に基づいた正確な作成方法と必須記載事項を解説します。契約内容を明確にすることで、労使間でのトラブルを防ぎ、信頼関係を築くことが可能です。本記事を参考に、記載漏れのない雇用契約書を作成しましょう。
目次
雇用契約書の記載事項は?
雇用契約書の記載事項は絶対的記載事項と相対的記載事項の2種類に分かれます。
雇用契約書は民法第623条の規定に基づいた契約書で、雇用者と従業員との間で労働条件を定めるものです。トラブルを防ぐためには、雇用契約書の作成は欠かせません。
以下では、後ほど解説する労働条件通知書で明示が必要な事項を用いて、雇用契約書の各記載事項の詳細を解説します。
絶対的記載事項
絶対的記載事項は、雇用契約書において労働条件を明確にするために必ず記載しなければいけない事項です。具体的な事項は以下のとおりです。
| 絶対的記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 労働契約の期間・更新の有無及び更新する場合の条件 | 有期契約か無期契約か、契約期間の長さ、更新の有無や更新の際の条件を明記する |
| 就業場所・従事すべき業務 | 勤務地や従事する業務を具体的に記載する |
| 労働時間・休憩・休日 | 始業・就業時間、残業の有無、休憩時間や休日のルールを記載する |
| 賃金(退職手当および臨時に支払われる賃金は除く) | 基本給や手当、支払い方法・時期、昇給の有無を明記する |
| 退職・解雇 | 退職の手続き、解雇の条件を明記する |
上記の事項は労働基準法第15条に基づき、雇用契約の締結時に書面または電子媒体での交付が義務付けられています。義務を果たさない場合、労働基準関係法令違反として30万円以下の罰金が科される可能性があるため注意が必要です。 契約内容を明確にし、不要な労務トラブルや罰則のリスクを防ぐため、絶対的記載事項に漏れがないよう必ず確認しましょう。
相対的記載事項
相対的事項とは、企業が制度を設ける場合に記載が必要な項目です。法律で記載を義務付けられていませんが、労働条件を明確にするため、契約書に記載することが望ましいとされています。具体的な事項は以下のとおりです。
| 相対的記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 退職手当 | 支給対象者、計算・支払い方法、支払い時期を記載する |
| 臨時賃金(退職手当を除く)・賞与 | 賞与や特別手当の有無を記載する |
| 労働者負担の費用 | 食費や寮費などの自己負担額を記載する |
| 安全衛生 | 職場の衛生管理、健康診断の実施に関する事項を記載する |
| 職業訓練 | 社内研修やスキルアップ制度の有無を記載する |
| 表彰・制裁 | 表彰制度や制裁の種類や程度を記載する |
| 休職 | 休職するための条件や復職手続きについて記載する |
上記は、口頭での明示でも問題ありませんが、パートタイム労働者については、昇給・退職手当・賞与の有無を書面で明示する必要があります。口頭での明示でも足りる場合であっても、書面に記載することで、労働者との認識のズレを防ぎ、トラブルの回避につながります。
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雇用契約書と労働条件通知書の違いは?
雇用契約書と労働条件通知書は、書類の目的や「法的な作成義務の有無」に明確な違いがあります。
雇用契約書自体には作成義務がありませんが、労働条件通知書は法律で明示・交付が義務付けられています。
民法第623条において雇用契約は口頭でも成立するとされているため、雇用契約書の作成は必須ではありません。一方、労働条件通知書は労働基準法第15条に基づき、雇用契約締結時に必ず労働者に交付しなければならない書面です。
しかし、口頭のみでは労働条件の認識にズレが生じやすいため、実務上は「合意の証明」として双方の署名・捺印が入る雇用契約書を書面で取り交わすのが基本です。
| 項目 | 雇用契約書 | 労働条件通知書 |
|---|---|---|
| 目的 | 労働条件の合意を証明する | 労働条件を明示する |
| 法的義務 | 作成義務はない(民法上、口頭契約も有効) | 労働基準法第15条に基づき、交付が義務付けられている |
| 交付のタイミング | 企業により異なる | 労働契約締結時 |
| 署名・捺印 | 必要(合意の証明のため) | 不要 |
雇用契約書や労働条件通知書の詳しい定義・違いについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
雇用契約書と労働条件通知書を1枚にまとめることは可能?
雇用契約書と労働条件通知書は、「労働条件通知書兼雇用契約書」として1枚の書類にまとめることが可能です。
労働基準法で定められた明示義務を果たしつつ、労使双方の合意の証明を同時に得られるため、多くの企業で採用されています。
別々の書類を作成・管理すると、人事労務担当者の業務負担が増えるだけでなく、記載内容に齟齬が生じるリスクがあります。兼用の書類を作成し、会社控え用と従業員交付用の2部を作成して署名・捺印を交わすことで、書類管理の手間を大幅に削減できます。実務の効率化を図るため、自社のフォーマットを兼用型にアップデートすることをおすすめします。
雇用契約書の交付タイミングはいつ?
雇用契約書は、原則として「入社前(内定時)」から遅くとも「入社日の初日」までに交付・締結するのがベストです。入社前に労働条件の合意を得ておくことで、従業員は安心して働き始めることができます。具体的な交付のタイミングと注意点について解説します。
おすすめの交付タイミングは内定日や入社日
雇用契約書は、内定を出したタイミング、または入社日当日に交付・取り交わしを行いましょう。 入社前に明確な労働条件を提示し合意を得ることで、従業員が労働条件に納得した上で業務を開始できるためです。
企業によって運用手順は異なりますが、内定通知書と一緒に郵送や電子メールで送付し、入社前までに署名・捺印して返送してもらう方法がもっとも確実です。あるいは、入社初日のオリエンテーションや研修の場で内容を一緒に確認し、その場で取り交わすケースも一般的です。できるだけ早期に契約内容を確認し合うことが、労使間の信頼関係構築につながります。
入社後(雇入れ後)の交付や取り交わしは避ける
入社して働き始めてから後日、雇用契約書を交付・締結することは極力避けるべきです。 労働条件の適用時点が不明確になり、「事前の説明と違う」といった労使トラブルの原因となるリスクが高まるためです。
たとえば、働き始めてから提示された残業時間や手当の条件が、面接時の説明と異なっていた場合、従業員は強い不満を抱き、早期離職につながる恐れがあります。さらに、労働条件通知書を兼ねている場合、労働基準法第15条において「労働契約の締結に際し」労働条件を明示することが義務付けられているため、入社後の後出しは法律違反(明示義務違反)に問われる可能性もあります。 トラブルや法的リスクを防ぐため、必ず入社日までに手続きを完了させましょう。
雇用契約書の交付方法は?
雇用契約書(および労働条件通知書)の交付は、従来の紙面による手渡しや郵送だけでなく、電子メールや電子契約システムを用いた電磁的方法でも可能です。ここでは、法律で認められている交付方法と、電子化を導入する際の必須ルールを解説します。
原則の書面交付に加えて電子メールやFAXも可能
労働条件の明示は原則として書面交付とされていますが、2019年(平成31年)4月の法改正により、FAXや電子メール、SNSメッセージ機能などでの交付も可能になりました。 ペーパーレス化の推進や、多様な働き方に合わせた手続きの迅速化が背景にあるためです。
電子媒体を活用することで、人事労務の事務処理にかかる工数や、書類の印刷・郵送コストを大幅に削減できるメリットがあります。近年は、PDFファイルを添付したメール送信や、署名もオンラインで完結できるクラウド型の電子契約システムを利用する企業が増加しています。状況に応じて適切な方法を選択し、業務効率化を図りましょう。
労働者の希望(同意)がない電子交付は法令違反となる
電子メール等で雇用契約書を交付する場合、必ず事前に労働者本人が電磁的方法による明示を「希望(同意)していること」が絶対条件です。 労働者の希望を無視して一方的に電子データのみで明示することは、労働基準関係法令違反(労働基準法第15条違反)となり、30万円以下の罰金が科される可能性があるためです。
さらに、送信するデータは、労働者がいつでも閲覧でき、必要に応じてプリンター等で印刷(書面として出力)できる形式でなければなりません。電子化を導入する際は、必ず入社前の段階で従業員から同意を取得し、印刷可能なPDF形式などで送付する運用フローを整えましょう。
SMS(ショートメール)での交付は情報不足に注意する
SMS(ショートメッセージサービス)を利用した交付自体は法律で禁止されていませんが、実務上は避けるのが無難です。 SMSは文字数制限が厳しく、PDFなどの添付ファイルが送れないケースが多いため、労働条件という複雑で重要な情報を十分に伝えきれないからです。
絶対的記載事項などの必要な情報が網羅されていない場合、労働条件の明示義務を果たしたとみなされず、後々「聞いていなかった」という労使トラブルに発展するリスクが高まります。スマートフォンで確認してもらう場合であっても、ファイルが閲覧できる通常のEメールや、専用の労務管理ツールを活用することをおすすめします。
雇用契約書を作成する際のポイントは?
雇用契約書を作成する際は、必要な事項を漏れなく明記する必要があります。記載漏れや口頭での伝達に頼ることは、トラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。以下では、雇用契約書作成のポイントを紹介します。
1. 記載事項を網羅する
雇用契約書を作成する際は、記載すべき事項を漏れなく網羅することが重要です。
とくに、雇用契約書が労働条件通知書を兼ねる場合、労働基準法で定められた絶対的事項を必ず記載しなければいけません。また、就業規則で定められた相対的記載事項がある場合は、対象の事項を明示する必要があります。
相対的記載事項の書面での交付は義務ではありませんが、契約書に盛り込むことで労使双方の認識を明確にできます。
さらに、有期雇用従業員については、契約更新の有無や更新基準を明記し、とくに更新の可能性がある場合は判断基準を具体的に示しましょう。
2. 労働時間を明確にする
雇用契約書を作成する際は、労働時間を明記することが重要です。具体的には、始業時間と就業時間、休憩時間、所定労働時間を記載します。
また、フレックスタイム制や裁量労働制、みなし労働時間制、固定残業制など、変則的な労働時間制度を導入する場合は、詳細な内容の記載が必要です。
たとえば、フレックス制ではコアタイムとフレキシブルタイム、裁量労働制では適用業務とみなされる労働時間を明記することで、労使間の認識のズレを防げます。
さらに、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働させることは原則できません。ただし、36協定を締結すれば、一定の範囲内で法定労働時間を超えた労働が可能になります。
契約書には、時間外労働の有無や上限時間を明記し、適切に管理することが重要です。
3. 転勤や人事異動の有無を記載する
雇用契約書を作成する際は、転勤や人事異動の有無を明確に記載することが重要です。企業の運営上、在職中に勤務地や職種の変更が必要になる場合があるため、転勤・人事異動・職種変更について契約書で明記する必要があります。
就業規則に転勤や移動の規定があっても、雇用契約書に記載されていなければ、従業員に転勤を命じても無効となる可能性があります。そのため、契約書には転勤や異動の対象範囲を具体的に記載し、労使間で合意を取ることが重要です。
また、2024年4月の労働基準法改正により、すべての従業員に対して「就業場所と業務の変更の範囲」を明示する義務が追加されました。将来的な配置転換を見据え、変更の可能性がある範囲を正確に記載する必要があります。
就業場所や業務の変更範囲における具体的な記載例は以下のとおりです。
- 限定しない場合:「会社の定める営業所」「会社が指示するすべての業務」
- 一部限定する場合:「東京本社および神奈川県内の支社」「総務部および人事部における業務全般」
- 完全に限定する場合:「変更なし(採用時の就業場所・業務に限定する)」
さらに有期契約労働者に対しては、更新上限の有無、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件の明示も義務化されています。法改正による追加項目を網羅した最新のフォーマットを使用し、法令遵守を徹底しましょう。
参考:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省
4. 試用期間の条件を明記する
雇用契約書には、試用期間の条件を明記することが重要です。
試用期間を設けることで、労働者の適正を見極め、本採用の可否を判断できます。しかし、契約書に使用期間の記載がないまま本採用を拒否すると、試用期間特有の解雇が認められず、通常の解雇と同様に厳しく判断される可能性があるため注意が必要です。
試用期間中の解雇や本採用の拒否は、試用期間満了後よりも広範囲で認められます。試用期間を定めない場合、解雇の合理性が厳しく問われ、事業主にとって不利になることがあります。
とくに新卒社員の本採用拒否に関する合理的な理由は、能力不足や協調性の欠如、勤務態度不良などが、企業側で丁寧に繰り返し指導しても改善の見込みがない場合のみです。
また、試用期間は就業規則の範囲内で設定する必要があり、契約書でより長い期間を定めても、就業規則の規定が優先されます。
雇用契約書のテンプレート【無料ダウンロード可能】
マネーフォワードでは、雇用契約書のテンプレートを無料でダウンロードできます。必要事項を記入するだけで作成できるため、ぜひご活用ください。
【雇用形態別】雇用契約書を作成する際の注意点は?
雇用契約書の記載事項は、雇用形態によって異なります。適切に契約を結ぶためには、事前に各雇用形態の要件を確認しておくことが重要です。以下では、雇用形態別の注意点を解説します。
正社員の雇用契約書に必要な記載事項
正社員は、期間の定めがない無期雇用契約の従業員です。
正社員は在職中に転勤や人事異動、業務内容の変更が生じる可能性があるため、契約書に異動の有無や転勤の可能性(地方・海外を含む)を明記し、採用時に口頭でも説明して合意を得ることが重要です。
また、試用期間の有無、適用される労働時間制、休日、休暇などの設定も記載する必要があります。
契約社員の雇用契約書に必要な記載事項
契約社員は、期間を定めた有期雇用契約の従業員です。雇用契約書には、契約期間と更新の有無の記載が必要です。更新がある場合は更新を、更新がない場合は更新がない旨を記載します。
また、有期労働契約が3回以上更新される、または1年を超えて継続雇用している労働者の契約を更新しない場合、契約満了の少なくとも30日前までに予告が必要です。
さらに、2024年の法改正により、更新上限の有無と内容、および無期転換申込機会や無期転換後の労働条件の明示が義務付けられました。
| 更新上限の明示 | 有期労働契約を締結する際や契約更新時に、契約の更新回数や契約期間の上限があるかどうかの具体的な内容を明示する |
|---|---|
| 無期転換申込機会の明示 | 「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込む権利があること(無期転換申込機会)を明記する |
| 無期転換後の労働条件の明示 | 「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングに合わせて、無期転換後の労働条件を明示する |
参考:2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました|厚生労働省
上記の内容を適切に記載することで、未然にトラブルを回避できます。
パート・アルバイトの雇用契約書に必要な記載事項
パート・アルバイトの雇用契約書には、労働条件を明記する必要があります。パートタイム労働法第6条により、昇給・退職手当・賞与の有無を契約書に記載しなければいけません。
記載しない場合は法律違反となり、10万円以下の過料に処される可能性があります。また、雇用期間に定めがある場合は、契約社員と同様に契約期間や更新の有無、更新条件などの明記が必要です。
雇用契約書に関するよくある質問
雇用契約書は、作成して従業員に交付したら終わりではありません。入社後の条件変更やルールの優先順位、書類の保管など、運用・管理フェーズでも法令に基づいた対応が求められます。ここでは、実務でよく生じる3つの疑問について解説します。
記載内容は後から(入社後に)変更できる?
雇用契約書に記載された労働条件は、使用者と労働者の「合意」があれば後からでも変更可能です。 労働契約法第8条において、「労働者および使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と定められているためです。
労働者に有利な変更(昇給など)であれば、労働契約法第12条に基づき、就業規則の変更により一方的に適用できるため個別の同意は不要です。一方、労働者にとって不利益な変更(賃金カットなど)は、原則として労働者の明確な合意が必要となります。 ただし、会社側に合理的な理由(深刻な業績悪化など)がある場合、不利益な変更であっても就業規則の変更が有効と判断されるケースがあります。判例における合理性の判断基準は以下のとおりです。
- 労働組合または従業員の大部分の合意の有無
- 労働者が受ける不利益の程度
- 変更の必要性の有無
- 代償措置・経過措置の有無 など
就業規則と雇用契約書はどちらが優先される?
内容に違いがある場合、原則として「労働者にとって有利な条件」が優先されます。 労働契約法第12条により、就業規則の基準を下回る労働条件を雇用契約書で定めた場合、その部分は無効となり、就業規則の基準が適用されるためです。
たとえば、就業規則で「所定労働時間は1日7時間」と定めているにもかかわらず、雇用契約書で「1日8時間」として合意したとしても、この契約は無効となり7時間が適用されます。反対に、就業規則よりも雇用契約書の方が労働者に有利な条件(給与が高い、休日が多いなど)であれば、雇用契約書の内容が優先されます。 もちろん、労働基準法などの強行法規に違反する内容(最低賃金割れなど)は、労使の合意があってもすべて無効です。契約内容を変更・締結する際は、法令および自社の就業規則と矛盾がないか必ず確認しましょう。
雇用契約書の保管期間(保存期間)はいつまで?
雇用契約書や労働条件通知書などの労働関係の重要書類は、退職や解雇などの期日から「5年間(当面の間は経過措置として3年間)」の保存が義務付けられています。 労働基準法第109条において、労働者の権利保護や、事後的な労務トラブルを解決する目的で定められているためです。
注意点として、保存期間の起算日は「書類を作成した日」ではなく「従業員が退職・解雇・死亡した日」となります。つまり、在職中の従業員の雇用契約書は、期間を問わず常に保管し続けなければなりません。 また、紙の書類をキャビネットでファイリングするだけでなく、電子帳簿保存法の要件を満たした上でデータとして電子保管することも可能です。従業員数が増えるほど書類の管理コストは増大するため、クラウド型の労務管理システムなどを活用し、紛失を防ぎつつ検索性の高い保管体制を整えることをおすすめします。
雇用契約書の作成におけるトラブルの実態と注意点
マネーフォワードが実施した調査によると、入社手続きでトラブルが発生しやすい項目のうち、「雇用契約書・労働条件通知書の締結」と回答した割合は28.3%でした。また、同手続きにおけるトラブルの主な原因について尋ねたところ、最も多かったのは「本人(入退社する従業員)の対応の遅れ・不備」で、35.3%でした。次いで「人事担当者の知識不足・確認ミス」が30.8%となっています。
知識不足や確認ミスを防ぐ
調査結果のとおり、人事担当者の知識不足や確認ミスは労務トラブルの要因となります。雇用契約書を作成する際は、労働基準法で定められた絶対的記載事項に漏れがないよう、最新の法令や就業規則と照らし合わせて確認することが重要です。
スムーズな手続きのための工夫
従業員の対応遅れを防ぐためには、入社前の段階で雇用契約書を交付し、合意を得ておくことが求められます。電子契約システムを用いた電磁的交付も可能となっているため、従業員が確認しやすい環境を整えることも、円滑な作成に向けた注意点です。
出典:マネーフォワード クラウド、入社手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目・トラブルが発生する主な原因【入退社に関する調査データ】(回答者:881名(有効回答:手続き業務に携わった経験がある597名)、集計期間:2026年2月実施)
記載事項に漏れのない雇用契約書を作成しよう
雇用契約書は、就業場所や労働時間、賃金、休暇など基本的な労働条件を正確に明示する重要な書類です。
記載事項を漏れなく確認し、自社の実情に合わせて作成すれば、労使間の誤解やトラブルを防ぎ、安心できる職場環境の構築につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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