• 更新日 : 2025年3月5日

【テンプレート付き】手書きのタイムカードは違法じゃない!書き方と訂正方法

タイムカードを手書きで書くことは、基本的に違法ではありません。

しかし、手書きによるタイムカードには改ざんや記入ミスのリスクがあるため、適切な勤怠管理を行える状況は限られます。

この記事では手書きのタイムカードの書き方や無料テンプレートのご紹介、そして誤った記入をしてしまった際の訂正方法をご紹介します。

手書きのタイムカードは原則として違法性はない

タイムカードを手書きで記録すること自体は、原則として違法ではありません。

しかし、厚生労働省のガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために「客観的な記録」が必要とされています。

使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること

(1)原則的な方法

  •  使用者が、自ら現認することにより確認すること
  •  タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン│厚生労働省

※現認=使用者(雇用主)が従業員の出退勤の様子を直接目で見て確認すること

手書きによる記入は、タイムレコーダーを使うような機械的な記録方法と異なり、常に改ざんや記入ミスのリスクがあります。

手書きでありながら「客観的な記録」として認められるには、使用者の現認に加え、厳格な改ざん防止措置を講じたり、業務日誌といった他の業務記録と照合する必要があります。

しかし、これらの条件を揃えることは簡単ではありません。

そのため、手書きのタイムカードは労働時間を客観的に把握するための記録としては認められにくく、従業員が自身の労働時間を申告する「自己申告制」とみなされる可能性が高いです。

手書きのタイムカードで勤怠を記録することは、違法とは言えませんが、あまり推奨できる方法でもありません。

手書きのタイムカードのメリット

しかし、手書きによるタイムカードにはいくつかのメリットもあります。

導入コストが低い

手書きによるタイムカードの最大のメリットは、導入コストの低さです。

会社はタイムカードのフォーマットを人数分印刷するだけで済みますので、導入費用を大きく抑えられます。

また、従業員も指定のフォーマットに出退勤の時間を記入するだけで、記入には特別な知識や技術も必要ありません。

たとえば日本語に慣れていない技能実習生や、パソコンやスマートフォンの操作が不安な高齢の従業員でも、手書きならば簡単に勤怠記録を付けることができます。

フォーマットのカスタマイズ性が高い

フォーマットのカスタマイズ性の高さも、メリットのひとつです。

手書きのタイムカードのフォーマットは、ExcelやWordなどで作成でき、インターネット上で無料配布されています。

たとえば遅刻・早退の日数や欠勤日数、有給休暇の取得日数など、管理者が把握したい情報を組み込みたければ、フォーマットを編集して簡単に項目を追加できます。

反対にフォーマットから不要と思われる情報があれば、削除も容易です。

手書きのタイムカードのデメリット

続いて、手書きのタイムカードのデメリットを解説します。

常に改ざんのリスクがある

手書きのタイムカードは本来の出勤時間と異なる時間を記入したり、後から時間を書き換えることが可能なため、勤怠情報を改ざんされるリスクがあります。

▼ 改ざんの例

  • 本当は遅刻していた従業員が定時に出社したように見せかける
  • 退勤時間を調整して残業時間を水増しする
  • 本人がいない場合に、代わりに同僚に出退勤の時間を記入してもらう

こうした勤怠情報の改ざんが横行する環境になってしまうと、出退勤の記録時間が正確でなくなるため、従業員給与計算が適切に行えなくなります。

そのため、タイムカードの記入ルールは社内でしっかり定めておかなければいけません。

また、従業員による改ざんだけではなく、管理者が労働基準監督署に残業時間を少なく見せるために、タイムカードに手を加えるような場合も考えられます。

従業員・管理者の両者にとって、勤怠情報をいつでも改ざんできる状況は好ましくありません。

整理・保管が大変になる

手書きのタイムカードは紙媒体であるため、電子データと比べると整理・保管が大変です。

2020年に改正された労働基準法109条により、タイムカードは5年間の保存が義務付けられています。

経過措置として当分は3年分でもよいとされていますが、手書きのタイムカードでは社内に一定の保管スペースが必要になり、定期的に整理も必要となります。

また、管理がずさんになっていると、労働基準監督署による臨検監督などの際、すぐに勤怠記録を提出できない場合もあるでしょう。

紙の書類であるため、きれいに整理しておかなければ、書類の取り違えや紛失リスクもあります。

参考:改正労働基準法等に関するQ&A│厚生労働省(P6)

記入や計算のミスが生じやすくなる

手書きのタイムカードでは機械的な記録・計算ができないため、人為的なミスも起こりやすくなります。

▼ 記入・計算ミスの例

  • 出退勤の時刻を誤って記入する
  • 記入した数字が判別できなかったり読み間違えが発生する
  • Excelなどの表計算ソフトに転記する際の入力ミスが起こる

こうしたミスはダブルチェックなどで防ぐにも限界があり、いつ発生してもおかしくありません。

また、集計作業をExcelなどの表計算ソフトに入力して行う場合は入力の工数もかかるため、他の業務に割く時間が減ってしまいます。

改ざんや記入・計算ミスのデメリットがあることから、手書きによる勤怠時間の管理はシステムで行う場合と比べ、信頼性は低いと言えます。

手書きのタイムカードを活用しやすい2つの状況

上記のメリット・デメリットを踏まえた上で、下記のような場合であれば手書きのタイムカードを活用しやすいでしょう。

従業員3名以下など、非常に小規模の会社である場合

管理する従業員の数が少なければ、使用者によるタイムカード記入時の現認や日々の勤怠管理が行いやすくなります。

そのため、タイムカードの改ざんや記入・計算ミスが発生しにくくなるでしょう。

とにかくコストを抑えたい場合

何らかの理由でシステムの導入などに費用をかけられない場合、手書きのタイムカードであればコストを大幅に抑えられます。

ただし、こちらもある程度小規模の会社でなければ実際の運用は難しくなります。

上記のパターンに当てはまる場合は、手書きのタイムカードの運用を検討してみてもよいでしょう。

【Excel】今すぐ使えるタイムカードの無料テンプレート・フォーマット

弊社サイトで作成したタイムカード(出勤簿)の無料テンプレートをご紹介します。

▼ダウンロードはこちら

タイムカードのテンプレートやフォーマットは、法律で厳格に定められたりしているわけではありません。

ただし、従業員の労働時間や休憩時間を正確に把握し、適切に管理する必要があります。

上記の雛形を元に、自社で扱いやすいようにカスタマイズしてみてください。

タイムカードの訂正は手書きでOK

手書きでタイムカードを記入していると、どうしても書き間違いや記入漏れが発生します。

こうした場合、訂正も手書きで支障ありません。

▼タイムカードへの記入を忘れてしまった場合

  1. 上長や人事部へ報告
  2. 手書きで記入する

▼タイムカードへ誤った時刻を記入してしまった場合

  1. 上長や人事部へ報告
  2. 誤って記入した時刻部分へ二重線を引く
  3. 訂正印をもらう
  4. 正確な時刻を記入する

基本的には上記のような対応になり、どちらも手書きによる訂正で問題はないです。

ただし、その会社独自のルールが定められている場合もあるため、自己判断せずに上長や人事部へ正直に申し出ることが大切です。

手書きでタイムカードを記入する際の注意点

手書きでタイムカードを記入する際の注意点を解説していきます。

必要な情報を盛り込む

勤怠管理に必要な情報は、あらかじめタイムカードのフォーマットへ盛り込んでおきましょう。

労働基準法により、企業は従業員の勤怠状況を正しく管理する義務があるからです。

▼ 勤怠管理に必要な情報の一例

  • 始業、就業時間
  • 休憩時間
  • 時間外労働時間(残業時間)
  • 深夜労働時間
  • 休日労働時間
  • 出勤日数
  • 欠勤日数
  • 年次有給休暇取得日数
  • その他の特別休暇の取得日数

適切な勤怠管理ができていないと、給与計算の誤りや、従業員を過重労働させてしまうリスクにつながります。

場合によっては労働基準監督署に指導を受ける可能性もあるため、勤怠管理には十分に注意しましょう。

本人以外が記入しない

タイムカードは本人以外が記入しないようにしましょう。

たとえば本人が忙しいという理由で他の従業員に記入を依頼した場合、故意ではなくとも記入した時刻が間違っていればトラブルの元になりかねません。

「出張先で記入できない」といった例外を除いて、正確な勤怠管理をするためには、本人によるタイムカード記入を徹底しましょう。

勤務実態をしっかり把握する

使用者は従業員の勤務実態を、タイムカードと合わせてしっかり把握しましょう。

手書きのタイムカードの運用を行う場合、改ざんを防ぐための社内の仕組み作りが大切になります。

実際に出退勤の様子を目視で確認する「現認」はもちろんのこと、現認を行った上での定期的なタイムカードのチェックも欠かさないようにしましょう。

鉛筆を使わない

タイムカードを手書きで記入する際、鉛筆の使用は厳禁です。

当然ながら消しゴムを使えば鉛筆で記入した文字は消えてしまうため、簡単に記録の改ざんができてしまいます。

そのため、鉛筆によるタイムカードの記入を認めてしまうと客観的な記録としての信頼性を失うことになります。

「手書きでタイムカードを記入する際は、消せないボールペンで記入する」などの社内規則を定めることが大切です。

記入忘れや訂正時のルールを決めておく

タイムカードに誤った数字を書いてしまったり、記入を忘れてしまった場合の、報告や修正のルールをあらかじめ決めておきましょう。

たとえば「記入を忘れていた場合は、本人が後日勝手に記入せず上長へ申告する」「誤った数字を書いてしまった場合は修正前に上長の許可を取る」といったルールを設けておきます。

また、従業員がミスを隠そうとせずきちんと報告できるような社風作りも重要です。

たとえば記入ミスがあっても一方的にそれを責めるのではなく、再発を防ぐためにどうすればよいか一緒に考えるなどして、従業員が安心して報告しやすくなる環境を整えましょう。

また、故意に勤怠記録を書き換えるなどの不正があった場合の、処分のルールも決めておくとよいです。

手書き以外の3つの勤怠管理方法

ここまで手書きのタイムカードを使った勤怠管理の方法をご紹介してきましたが、「手書きは厳しいかもしれない……」と思われた方もいるかもしれません。

そうした方に向けて、手書き以外の3つの勤怠管理方法を最後にご紹介します。

①タイムレコーダー(タイムカード)

タイムレコーダーは、専用のタイムカードの用紙を差し込むと、差し込んだ時刻が自動で印字される機器です。

この作業を打刻と呼び、出退勤時にタイムレコーダーを使うことで自動で勤怠の記録ができます。

専用の機器に用紙を入れるだけなのであつかいやすく、手書きと同様、簡単に出退勤の時刻を記録できることがメリットです。

また、人の手を介さない機械的な記録になるため、手書きのタイムカードと違い記入ミスは起こりません。

一方で集計が手作業であったり、タイムカードを差し込んだ個人の判別はできないため、代理打刻などの不正が発生するリスクがあります。

集計記録をcsvで出力して転記の手間を省けるタイムレコーダーや、生体認証による記録でなりすましを防ぐタイムレコーダーもありますが、通常のものと比べると高額になります。

タイムレコーダーによる勤怠管理について、詳しくは関連記事をご参考ください。

関連記事:「タイムカードとは?仕組みや押すタイミング、注意点を解説」

②アウトソーシング

アウトソーシングは外部の業者に勤怠管理を委託する方法です。

勤怠管理の負担は大幅に軽減できるものの、一般的に外注コストは安くありません。

また、社内に勤怠管理のノウハウが蓄積されず、突発的な事態に対応できないデメリットがあります。

③勤怠管理システム・アプリ

勤怠管理システム・アプリは、各従業員がPCやスマートフォンで専用のツールやアプリにアクセスし、出退勤を記録する方法です。

▼ 勤怠管理システム・アプリのメリット

従業員の負担が減る集計作業の自動化や過去の勤怠記録の振り返りが、電子データで簡単にできる
不正やミスが減る生体認証を用いての打刻や、打刻漏れを検知するアラート機能を使うことで不正やミスが減る
勤怠情報を分析できるデータを一元管理することで、勤怠情報をまとめて分析し社内改善へ活かせる

近年は生成AIによる自動分析機能が備わっている場合もある

勤怠データの保管が楽になる電子データであるため、保管の場所を取らない

クラウドに保存しておけば、パソコンの故障時も安心

法改正へ柔軟に対応できる働き方に関する何らかの法改正があった場合、システム側でフォーマットの改修などの対応をしてくれる

勤怠管理システムには上記のようなメリットがあり、正確な勤怠管理が期待できます。

一方で、システムの導入時は混乱が発生しやすく、利用にあたって継続的にコストがかかるといったデメリットもあります。

勤怠管理システム・アプリについて、より詳しくは関連記事をご参考ください。

関連記事:「2025年最新 – 勤怠管理システムおすすめ比較!機能・料金・クラウド対応など」

勤怠管理は手書き以外の方法も検討しよう

手書きのタイムカードを使えば大幅にコストを抑えられますが、勤怠情報の客観的な記録は難しくなります。

より費用はかかりますが、勤怠情報の改ざんや記入ミスを防ぐためには、タイムレコーダーや勤怠管理システムの導入がおすすめです。

正確な勤怠管理は企業の義務です。

従業員が少なく勤怠管理をしっかり行える場合や、費用を抑えたい場合は別として、できるだけ機械的な勤怠管理の仕組みを導入しましょう。


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