- 更新日 : 2024年10月30日
オーナーシップとは? 意味や従業員が持つメリット、リーダーシップとの違いを解説
オーナーシップとは、仕事に対して当事者意識を持ち、主体的に取り組む姿勢やマインドのことです。従業員がオーナーシップを持つことで組織の力を強化し、生産性向上や会社の成長につながります。
本記事では、オーナーシップの意味や求められている理由を解説し、従業員が持つメリットや育成する方法も紹介します。
目次
オーナーシップとは?
オーナーシップとは、組織の中で主体性を持って取り組む姿勢のことです。「オーナー」とは「所有者」という意味で、業務に対して当事者意識を持って取り組むことは、他者から与えられるのではなく自ら所有していることを表します。
指示されたから行うという受け身の姿勢で仕事をするのではなく、使命感を持ち、自分の意思で積極的に取り組むことがオーナーシップの特徴です。
このようなオーナーシップは、リーダーシップやフォロワーシップとは異なります。違いをみていきましょう。
リーダーシップとの違い
リーダーシップとは、指導者として統率していく能力です。チームの先頭に立ち、目標達成に向けて人材管理や円滑な業務進行をサポートするなど、チーム全体を先導するマネジメント力を指します。
これに対し、オーナーシップは、自分の業務に対して主体的に取り組む姿勢を指し、自分自身をセルフマネジメントすることです。リーダーシップがチームとの関わりを表すのに対し、自分との関わりであるという点で異なります。
フォロワーシップとの違い
フォロワーシップとは、チームの成果を高めるため、主体的にリーダーやほかのメンバーに働きかけることです。リーダーをサポートし、リーダーの意思決定や行動が間違っていると感じた場合は助言を行います。
チームではメンバー全員がリーダーを支えることが必要ですが、フォロワーはほかのメンバー以上にリーダーを支える存在です。
フォロワーシップの根底には、オーナーシップがあります。チームの仕事に当事者意識を持って主体的に取り組むオーナーシップの姿勢があるからこそ、フォロワーシップが発揮されるようになります。
オーナーシップが求められている理由
企業活動には、オーナーシップが求められています。その背景には、ビジネスの変化が激しい時代や、人材不足の深刻化があげられます。
詳しくみていきましょう。
ビジネスの変化が激しい
現代のビジネスはIT技術の進化や価値観の多様化などにより変化が激しく、将来の予測ができない状況です。変化に対して素早く判断し行動できなければ、企業は生き残れません。
ただ指示を待って動く姿勢では、競争に勝つことはできないでしょう。従業員一人ひとりが責任を持って自主的に判断し、当事者意識をもって対応できなければなりません。そのために求められているのがオーナーシップです。
人材不足
少子高齢化による生産年齢人口の減少で、人手不足に悩む企業は増えています。少ない人材で生産性を高めていくためには、一人ひとりの生産性を高めていかなければなりません。
そのためには、個々の従業員が当事者意識を持ち、自主的に動くオーナーシップの姿勢が不可欠です。人材不足による生産性の低下を防ぎ、会社を成長させるためにオーナーシップが求められています。
オーナーシップがない人、オーナーシップがある人
オーナーシップがある人には、次のような特徴があります。
- 主体性がある
- 責任感が強い
- 組織への貢献意識が強い
- 全体の成果のために行動する
- 自分の強み・弱みを客観的に把握している
- コミュニケーションスキルが高い
オーナーシップがある人は強い責任感があり、マネージャーのようなチームをまとめる立場になくても、チーム全体の状況や結果に責任を持って行動します。常に、チームのために自分は何ができるかを考えながら行動しているのが特徴です。
また、オーナーシップがある人は自分の強みや弱みを把握しているため、自分がどのような強みを発揮すればチームの生産性が高まるのかを判断できます。自分が苦手なことやスキルが足りないと思うことは、ためらわず周囲に頼ることができることも、オーナーシップがある人の特徴といえるでしょう。
コミュニケーションスキルが高いため、周囲との信頼関係を築けるのも特徴のひとつです。情報交換して業務を円滑に進めることができ、生産性を高められます。
反対に、オーナーシップがない人は、自分から動こうとしません。仕事に責任感がなく、指示を待って行動します。
従業員がオーナーシップを持つメリット
従業員がオーナーシップを持つことで、組織が強くなり、成長できるというメリットがあります。具体的にみていきましょう。
モチベーションが高くなる
オーナーシップを持つことで、従業員のモチベーションが高まります。
自分がチームのなかでどのような役割をするのかを判断して行動できるため、自分の強みを最大限発揮できる状態を作り出せます。結果を出すことができ、仕事へのモチベーションが上がるでしょう。
従業員がモチベーションを高めて業務にあたることで生産性が高まり、業績アップという結果をもたらします。サービスの質も向上し、その結果、長期的には顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
組織として強くなる
オーナーシップを持つ従業員は主体的に行動するため、パフォーマンスが上がり、組織全体の生産性が向上します。このような従業員が増えることで会社は競争力を高め、組織として強くなるでしょう。
オーナーシップを持つ従業員は責任感も強く、注意力を働かせて業務にあたります。そのため、人為的ミスやトラブルが減少します。さらに、自ら積極的に問題解決に取り組む姿勢があり、リスクを予測して早めに対処していくこともできるでしょう。オーナーシップを持つ従業員が増えることで組織はリスク管理を強化し、より強い組織ができあがります。
会社の成長につながる
オーナーシップのある従業員がいる会社は生産性を高め、成長します。また、オーナーシップにより当事者意識を持つと、各自が会社の成長について考えるようになります。従業員同士で業務のノウハウやスキルを積極的に共有し、目標に向けて協力し合うでしょう。
また、周りから依頼される前に先回りして対応し、少しでも改善できそうな業務があれば自ら解決策を考えて行動します。結果として業務が迅速に進み、会社の利益につながる結果を出すでしょう。それにより、会社の成長も加速します。
オーナーシップを持つ人材を育てるには?
オーナーシップを持つ人材を育てることで、組織を強くし、会社の成長につながります。人材の育成には、積極的な環境づくりやカルチャーの醸成が必要です。
詳しくみていきましょう。
意見やアイデアを発信できる環境づくり
オーナーシップを育成するためには、自由に意見やアイデアを発信できる環境づくりが大切です。組織の中で自分の意見や気持ちを誰に対してでも安心して発言できる、心理的安全性の高い状態でなければなりません。
意見を自由に発言できる雰囲気ではない職場は、主体性を発揮することできません。 「このような意見を出したら、非難されるのではないか」「ほかのメンバーによく思われないかもしれない」という不安が起こると、主体性や積極性は失われます。 オーナーシップを育むためには、従業員が安心して発言できる環境を整えることが必要です。
失敗を責めず挑戦しやすいカルチャーを作る
従業員のオーナーシップを育成するためには、失敗を責めず、挑戦しやすい文化・風土を作ることが大切です。
失敗が許されない雰囲気がある職場は、積極的な行動を躊躇させます。オーナーシップの発揮にはリスクがあり、「指示されたことだけをやっていれば安全」という気持ちを抱かせるでしょう。
失敗しても責めず、「それを糧にして次に活かそう」というカルチャーを醸成することで、挑戦を恐れないオーナーシップが育まれます。また、積極的に行動する従業員を評価していくことも欠かせません。
目標設定を自分で立てる
目標設定の方法を変えることも大切です。上司から与えられた目標にそのまま取り組んでいては、オーナーシップを育てることはできません。会社の目標である数字をそのまま従業員個人の目標に設定しても、自分のこととして主体的に取り組むのは難しいでしょう。
組織の目標をそのまま個人に設定するのではなく、従業員一人ひとりが現状やスキルをもとに考え、納得できる目標を設定することが大切です。
仕事に裁量・権限を与える
業務の判断や仕事のやり方を上司が管理している職場では、オーナーシップが育ちません。部下自らが考え、責任を持って仕事に取り組むために、裁量や権限を与えることも必要です。
裁量を与えられれば自分で考えざるを得ない環境になり、自主性や積極性が育まれます。大きな方向性だけを決めて、具体的なやり方は自分で決めるという仕組みを作るのもよいでしょう。自分で考えながら仕事を進められるため、責任感が生まれます。仕事へのモチベーションも高まるでしょう。
従業員のオーナーシップを育もう
オーナーシップとは、ただ指示を待つのではなく、当事者意識をもって仕事にあたる姿勢を指します。オーナーシップのある人は主体性があり責任感も強く、組織への貢献意識が強いという特徴があります。
オーナーシップのある従業員を育成するには、意見や気持ちを自由に発言できる環境づくりや、挑戦しやすい風土の醸成が必要です。
従業員のオーナーシップを育み、会社の成長につなげましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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