- 更新日 : 2024年1月19日
ホワイト企業の特徴とは?見分け方やランキングからは分からないこと
ホワイト企業に明確な定義は定められていません。一般的に働きやすい職場がホワイト企業とされます。長時間労働などの健康を損ねるような働き方をさせないよう、労働基準法などの遵守が徹底されています。離職率が低い、年収が高い、労働時間が短いといった点がホワイト企業の特徴です。ただし誰にとっても働きやすいわけではありません。
目次
ホワイト企業とは?
どのような企業がホワイト企業に該当するのか、明確な基準や要件などは定められていません。一般的には残業や休日労働が少ない会社、有給休暇がきちんと取得可能な企業、パワハラやモラハラがない企業をホワイト企業と呼びます。労働条件が劣悪で従業員にとって快適に働けない職場がブラック企業と呼ばれるのに対し、ホワイト企業は職場環境や就労条件が良好に保たれています。従業員を大切にしているからで、これから就職する大学3・4年生向けの「入社したい企業ランキング」で上位に入っている企業がホワイト企業に該当すると言えるでしょう。
ホワイト企業の特徴
特徴を見ると、その企業がホワイト企業であるかどうか、おおよそ判断できます。ホワイト企業のほとんどには、共通して以下に説明する特徴があります。
離職率が低い
ホワイト企業の特徴の1つ目には、離職率が低いことが挙げられます。ホワイト企業は従業員が働きやすい環境を整えているため、従業員エンゲージメントが高いからです。長期間にわたって安定して働け、離職者は減少します。従業員の定着率が高くなり、離職率は低くなります。
年収が高い
年収の高さも、ホワイト企業に見られる特徴の1つです。ホワイト企業は従業員の働きに対して、適切な報酬を支払うことを重視します。従業員の貢献を公正に報酬へ反映させる評価制度が整備され、成果に応じた給与・賞与がきちんと報酬として支払われます。そのため年収が高くなり、また従業員のモチベーションアップにより、さらにパフォーマンス向上が図れるという好循環につながっています。
残業時間が短い
ホワイト企業には残業時間が短いという特徴もあります。労働時間の適正化を図り、従業員に過度な残業を強制しないためです。働き方改革を推進し、労働時間の短縮や効率化を重視しています。これにより従業員は仕事とプライベートのバランスを取りやすくなり、健康な働き方が促進されています。
有給取得率が高い
有給取得率が高いことも、ホワイト企業によく見られる特徴です。ホワイト企業では働き方改革が進み、ワークライフバランスの重視も尊重されています。休みやすい職場づくりや意識の向上により、有給休暇の積極的な取得が推進されているからです。
採用条件と実態に乖離がない
ホワイト企業は就労環境が良好に整えられているため人材獲得においても偽ることを必要とせず、採用条件と実態に乖離がありません。入社前に提示された条件通りの就労が叶えられ、就職希望者に対して誠実なホワイト企業であるとみなされます。
従業員の心理的・身体的ケア体制が整っている
ホワイト企業の特徴には、従業員の心理的・身体的ケア体制が整っている点も挙げられます。従業員の健康維持に十分に気を配ることは、ホワイト企業にとって必須条件とされます。ストレス解消や肉体的疲労の回復のため、施設や設備を備えたり適切な施策を準備するなどが求められます。
オフィス環境が整っている・綺麗
オフィス環境が整っている・綺麗である企業はホワイト企業である可能性大です。オフィス環境は従業員の快適さと生産性に直結するため、ホワイト企業では働きやすい環境づくりに力を入れています。快適なオフィススペース、充実した設備、そして働く人々の声を反映した改善策が取られています。従業員が業務に集中できる環境を整えることで、クリエイティブなアイデアの生み出しや仕事の効率化が図られています。
ホワイト企業ランキングからは分からないこと
ホワイト企業ランキングからは求職者にとってその企業が本当にベストな就職先企業であるか、判断できない場合もあります。
自分の能力・性格とマッチしているかどうか
ホワイト企業ランキングでは分からないことの1つ目に挙げられるのは、自分の能力・性格と本当にマッチしているかという点です。ホワイト企業ランキングは企業外部からの情報に基づいて格付けされ、内部しか分からないことは加味されません。実際に従業員になって働いてみなければ分からない部分も多く、ランキングが上位でも自分とは合わない可能性があります。自分の能力・性格に合った企業を見つけるためには、多くの情報にあたり、企業研究をしっかり行うことが重要です。
ホワイト企業ランキングは、あくまで定量・要件に沿って決められている
ホワイト企業ランキングは定量・要件で格付けされ、定性的な要素は格付けに反映されていません。こうした決定方法がミスマッチとなる可能性がある点も注意が必要です。従業員の働きやすさや満足感には、定量的な要素だけではなく定性的な要素が関与します。このため自分にとって働きやすい企業を選ぶためには将来の目標や理想像、価値観を明確にすることが大切です。
ホワイト企業の認定制度
ホワイト企業認定制度とは、ホワイト企業を評価し、認定する制度です。労働環境や福利厚生、従業員の声を尊重する取り組みといった項目が評価され、一定基準以上の企業がホワイト企業に認定されます。
ホワイト企業の認定を行っているのは、一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称:ホワイト財団)です。同財団は1,000社以上の企業を対象に行った調査から、ホワイト企業の認定に役立つ70項目の質問を作成しました。ホワイト財団はこの設問を以下の7つの項目群に分け、総合的に判断・評価を行っています。
- ビジネスモデル・収益性
- ワークライフバランス
- 健康経営
- 人材育成
- ダイバーシティ&インクルージョン
- リスクマネジメント
- 労働法遵守
ホワイト企業ランキングに頼ることなく自分に合った企業選びをしよう
ホワイト企業は人材を貴重なものと捉え、従業員を大切にしている会社です。法令を遵守し、積極的に職場環境の改善や、適切な人事制度の導入などを行っています。長時間労働のように健康を損なう働き方はさせず、年収も高水準です。離職率が低い、労働時間が短い、有給取得率が高いといった特徴も見られます。大学3・4年生といった就職活動中の学生の多くが入社を希望する会社は、必ずと言っていいほどホワイト企業ランキング上位に社名が挙がっています。
しかし、就職する会社をホワイト企業ランキングだけで決定するのは非常に危険です。ホワイト企業ランキングにはミスマッチを起こす可能性も多くあります。転職活動をする際は注意点をよく理解して、しっかりと自分に本当に合う企業を選びましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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