- 更新日 : 2026年1月8日
中抜けとは?テレワークや勤怠管理のルール設定と注意点【周知文テンプレ付き】
中抜けとは、業務時間内に一時的に仕事から離れて再度仕事に戻るまでの時間のことを言います。
私用によるものと会社都合によるものがあるので、勤怠管理上の扱いに注意が必要です。
この記事では、業務時間内の中抜けや勤怠管理上の中抜けの扱いと例、中抜けに関する注意点について解説します。
目次
業務時間内の中抜けとは?
中抜けには、個人的な都合によるものと、会社都合によるものがあります。それぞれの違いについて確認しておきましょう。
個人的な都合における中抜け
子どもの送迎や自身の通院、役所での所用など労働者のプライベートな理由で業務時間内に一時的に仕事から離れることです。「私用による離席」とも言い換えられるでしょう。
近年はテレワークの普及によって、個人的な都合における中抜けがより身近なものになりました。従業員のワークライフバランスが実現できる一方で、「無断の中抜け」が起きるリスクもあります。
無断の中抜けとは、会社に申告をせずに業務時間内に家の用事を済ませることです。無断の中抜けが続けば、適切な勤怠管理ができなくなってしまいます。テレワーク中は従業員の働いている様子が確認しづらいことから、無断の中抜け、いわゆる「サボり」に注意しなければなりません。
会社都合による中抜け
1日のなかで忙しい時間帯とそうでない時間帯の間の時間が中抜けとして扱われます。観光業界や医療業界、飲食業界などによく見られる勤務形態です。会社都合の中抜けであっても、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、中抜け時間に対する賃金の支払い義務はありません。後ほど詳しく解説しますが、時間単位の年次有給休暇として扱う場合は時間に応じた賃金を支払う必要があります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
労働時間管理の基本ルール【社労士解説】
多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。
労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。
時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール
年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。
本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。
出勤簿(エクセル)
従業員の労働時間を正確に把握することは、企業の労務管理における重要な業務です。
本資料は、日々の勤怠管理にご利用いただける「出勤簿」のテンプレートです。 Microsoft Excel(エクセル)形式ですので、ダウンロード後すぐに編集してご活用いただけます。
勤怠管理表(ワード)
従業員の勤怠状況を正確に把握することは、労務管理の重要な基盤となります。
本資料は、日々の勤怠管理にご利用いただける「勤怠管理表」のテンプレートです。 Microsoft Word(ワード)形式ですので、ダウンロード後すぐに編集してご活用いただけます。
勤怠管理上の中抜けの扱いと例
中抜けの勤怠管理はどのように行うことが適切なのでしょうか。扱い方として「休憩時間とする」「時間単位の年休とする」「1日2回の勤務とする」これら3種類の方法があります。適切な勤怠管理を行うためにも、それぞれの特徴や注意点を把握しておきましょう。
中抜けを休憩時間として扱う
個人的な都合による中抜けは休憩時間として扱うことが一般的です。この場合、1日の労働時間が中抜けしている分だけ短くなるので、始業時間の繰り上げ、もしくは就業時間の繰り下げを行います。たとえば、就業時間が9~18時、休憩時間が12~13時の場合で15~16時まで中抜けしたとしましょう。この場合、始業時間を9時から8時に繰り上げ、もしくは終業時間を18時から19時に繰り下げます。
個人的な都合による中抜けを休憩時間とすることで、本来の労働時間を確保できて生産性の低下の予防が可能です。従業員にとっては年次有給休暇を使わないで済むというメリットがあります。一方で始業時間や終業時間の変更があることで生活リズムが崩れてしまう点はデメリットに感じられるかもしれません。
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省
中抜けを時間単位の年休として扱う
中抜けを時間単位の年次有給休暇(年休)として扱う場合、中抜け時間は「休暇」となるので始業時間や終業時間の変更は行いません。この場合、企業側は年次有給休暇の消化を促進でき、従業員は生活リズムを崩すことなく中抜けできるというメリットがあります。時間単位の年次有給休暇制度を導入するためには、就業規則への記載と労使協定の締結が必要です。労使協定では、以下の項目を定めます。
- 時間単位年休の対象者の範囲
- 時間単位年休の日数
- 時間単位年休1日分の時間数
- 1時間以外の時間を単位として付与する場合の時間数
労働基準法に基づき、雇用主は法定の年次有給休暇付与日数が10日以上のすべての従業員に対し、年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務付けられています。時間単位年休の取得分をこの5日から差し引くことはできません。また、会社側が従業員に中抜けを時間単位の年次有給休暇を取得するよう強制することもできないので注意しましょう。
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省
参考:「時間単位の年次有給休暇制度導入促進リーフレット」|厚生労働省
中抜けを1日2回の勤務として扱う場合
朝と夜が忙しい業種では、中抜けを1日2回の勤務として扱うことも少なくありません。この場合の中抜けは休憩時間ではないので、労働時間に応じて適切な休憩時間を従業員に付与する必要があります。労働基準法による休憩の付与の規定は以下のとおりです。
- 労働時間が6時間を超える場合は少なくても45分の休憩時間を労働時間の途中に付与
- 8時間を超える場合は少なくても1時間の休憩時間を労働時間の途中に付与
あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で従業員が日々の始業・終業時刻や労働時間を自由に決められるフレックスタイム制では、フレキシブルタイムの途中で中抜けが可能です。
フレキシブルタイムとは、いつ出退勤をしても良い時間帯で、必ず勤務しなければならない時間帯であるコアタイム以外の時間帯となります。
なお、フレキシブルタイムやコアタイムの設定は義務ではないので、コアタイムを設けずに従業員が働く日を自由に決められるようにすることも可能です。なお、フレックスタイム制においても前述した休憩時間は付与しなければなりません。
参考:e-Gov|労働基準法
中抜けに関する注意点
中抜けを導入するにあたっていくつか注意点があります。トラブルを予防するためにも、中抜けを導入するための土台作りをしっかり行っておきましょう。
移動時間は中抜けではない
注意したいのが、会社都合による移動時間は中抜けではないという点です。使用者の明示または黙示の指示によって指揮命令下に置かれている時間は労働時間となります。たとえば、移動中にパソコンやスマホなどを用いて業務を行っている場合は中抜けにはなりません。会社への通勤時間や、テレワークで中抜けをしている時間であっても、使用者の明示または黙示の指示によって指揮命令下に置かれている時間は労働時間となることに注意しましょう。
中抜けや休憩時間中は従業員は完全に業務から離れて自由な状態でなければならないのです。会社の都合によって何らかの業務を行っている場合はすべて労働時間となります。特に、会社から直接指示があったわけではないものの、業務せざるを得ない状態とする「黙示の指示」には気を付けなければなりません。
一方、午前中は自宅でテレワークを行い、午後からは出社して業務を行うケースで、会社から移動の命令がなく、従業員の都合で出社した場合の移動時間は休憩時間として扱います。この移動時間中にパソコンやスマホで業務を行っていた場合は中抜けや休憩時間にはなりません。このように、テレワーク時に移動時間が発生することも想定しておきましょう。
参考:労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
中抜けのルールを設定しておく
中抜けを導入する前に、あらゆるケースに対応できるルールを設定しておきましょう。中抜けのルールを設定しておかないと、給与計算に影響を及ぼしたり、人事担当者の業務が煩雑化したりするためです。場合によっては給与を巡って従業員とトラブルに発展する可能性もあります。
より適切な勤怠管理を行うのであれば、勤怠管理システムを活用すると良いでしょう。勤怠管理システムであれば、パソコンやスマホ、タブレットなどあらゆる端末から打刻できるのでテレワークにも適しています。
中抜けを時間単位の年次有給休暇として扱う場合、年間上限日数を超えないようにしなければならず、残業時間中の中抜けの場合は休憩時間として扱う必要があります。勤怠管理システムで年次有給休暇の取得実績の管理や残業時間中の中抜けの扱いの設定を行うことで適切かる効率的な勤怠管理が期待できます。
労使協定の締結、就業規則への明記について
中抜けを休憩時間として扱い、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げを許可する場合は、その旨を就業規則に明記しなければなりません。
この場合、労使協定の締結は不要です。時間単位の年次有給休暇を導入する際は、中抜けに限らず、労使協定の締結と就業規則への明記が必要になります。就業規則の記載例については、厚生労働省の「時間単位の年次有給休暇制度導入促進リーフレット」を確認してください。
就業規則に中抜けの扱いを明記したら、すべての従業員に周知します。就業規則はすべての従業員がいつでも閲覧できるように、掲示する、書類で配布する、データ化するなどの方法で周知を徹底しましょう。周知を怠った場合、就業規則自体が無効になる可能性があるので注意が必要です。
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省
「時間単位の年次有給休暇制度導入促進リーフレット」|厚生労働省
在宅勤務中のルール周知文のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
中抜けの扱い方について就業規則に明記しておきましょう
ここまで、中抜けの扱い方について解説しました。従業員がテレワーク中にスムーズに中抜けできるように中抜けのルールを設定し、就業規則に明記しておきましょう。就業規則の周知も徹底してください。
中抜けのルールが曖昧な場合、無断の中抜けが起こったり、トラブルに発展したりする可能性もあるのです。中抜けに関する正しい知識を身に付け、適切な勤怠管理を行いましょう。
よくある質問
中抜けとは何ですか?
業務時間内に一時的に仕事から離れて再度仕事に戻るまでの時間のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
中抜けはどう扱えばいいのでしょうか?
「休憩時間」「時間単位の年休」「1日2回の勤務」いずれかの扱いとなります。中抜けの扱いについては、就業規則に明記しておく必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
派遣社員の勤怠管理の方法は?派遣先・派遣元の法律上の義務や責任なども解説
派遣社員の勤怠管理は、法律上の義務や給与計算、職場トラブル防止など、企業が必ず押さえるべき重要な業務です。しかし、派遣元と派遣先の役割分担が曖昧になりやすく、トラブルやミスも起きや…
詳しくみる長時間労働の基準とは?36協定と過労死ラインをわかりやすく解説
自社の労働時間が「長時間労働」にあたるのか、判断に迷うことはないでしょうか。長時間労働は、従業員の心身の健康を損なうだけでなく、企業の生産性低下や法的リスクにもつながる重要な経営課…
詳しくみる【社労士監修】出勤率8割の計算方法|満たない場合の有給休暇は?日数の数え方や例外を解説
有給休暇の取得には「出勤率8割以上」という条件があるため、8割に満たない場合は付与されないのでしょうか。育児や介護などで休んだ日は出勤日数に含まれるのでしょうか。この記事では、有給…
詳しくみる休憩時間の付与は義務?労働基準法のルールや短い、長い場合を解説
労働時間が6時間を超える場合、従業員へ休憩時間を付与することは法律上の義務です。労働基準法第34条に基づき、6時間超で45分、8時間超で少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与え…
詳しくみる残業時間の平均はどれくらい?2024年4月からの上限規制についても解説!
日本の全産業の残業時間の平均は、厚生労働省の調査で月10時間と言われています。近年、残業時間は減少傾向にありますが、その大きな理由の一つが働き方改革です。 この記事では日本の残業時…
詳しくみる勤怠記録の必要項目とは?厚生労働省のガイドラインや効率的な管理・保存方法まで解説
企業のコンプライアンスと従業員の健康を守る上で、適切な勤怠管理は不可欠です。しかし、具体的にどのような項目を記録すれば良いのか、法的な要件を正確に把握できているでしょうか。 この記…
詳しくみる


-e1762262472268.jpg)
-e1762262460348.jpg)