- 更新日 : 2025年11月19日
年金は何種類ある?厚生年金などの公的年金と私的年金の違い
一口に年金といっても、その種類はたくさんあります。国の制度である厚生年金などの公的年金だけでなく私的年金もあり、仕組みも複雑です。
本稿では年金の種類とともに、厚生年金などの公的年金と私的年金の違いについて解説します。
目次
年金は合計6種類ある
まず、年金の種類について見ていきましょう。年金には国が保険者である公的年金と、民間企業が保険者である私的年金があります。
2種類の公的年金
公的年金には国民年金と厚生年金がありますが、この2つはどのような関係にあるのでしょうか。
国民年金
日本では1961年に国民年金法が完全施行され、すべての国民が何らかの年金に加入するという「国民皆年金」が実現しました。
当時は、加入する年金は被保険者の職業によって縦割りになっており、国民年金は自営業者など雇用されていない人が加入する年金でした。自営業には給与という概念がないため、加入期間に応じた定額制の年金となっています。
その後、1985年に将来の年金一元化に向けて抜本的な改正が行われ、国民年金はすべての国民が加入する定額部分の基礎年金という位置付けになりました。
支給される年金は老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の3種類です。
厚生年金
厚生年金は1942年に労働者年金保険法の施行によって、工場労働者を対象とした制度から始まった被用者年金です。その後対象者が拡大され、1944年に現在の名称になりました。
在職中の給与に比例する報酬比例部分と、定額部分という設計になっています。
1985年の年金制度の改正によって、定額部分は国民年金の基礎年金に移行し、厚生年金の報酬比例部分はその上乗せという位置付けになりました。
年金の種類は老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金の3つで、これらは2階部分であり、いずれも1階部分には対応する国民年金の基礎年金があります。
4種類の私的年金
私的年金は、公的年金(1階部分は国民年金、2階部分は厚生年金)の上乗せ部分という位置付けです。
種類は確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金、個人年金保険の4つです。
確定給付企業年金(DB)
確定給付企業年金は、企業が従業員と将来の給付内容を約束し、老齢となったときに従業員が給付を受けられる年金制度です。
給付内容があらかじめ定められることから、DB(Defined Benefit Plan)と呼ばれています。
確定給付企業年金には、企業が厚生労働大臣の認可を受けて企業年金基金を設立する「基金型」と、労使合意の年金規約を企業が作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施する「規約型」があります。
年金資産の管理および運用は、基金型では企業年金基金が行い、規約型では企業が行います。
確定拠出年金(DC、企業型、個人型)
企業と従業員が掛金を拠出し、資産運用は加入者である従業員が自ら行い、運用の成果によって将来受け取る金額が決まる年金制度です。
拠出金があらかじめ決められていることから、DC(Defined Contribution Plan)と呼ばれています。
日本の確定拠出年金には、企業型DCと個人型DC(通称iDeCo:イデコ)があります。
企業型DCは企業が導入するもので、掛金は会社だけでなく、規約で定めれば個人が事業主の掛金に上乗せして拠出することもできます(マッチング拠出)。
iDeCo(イデコ)は公法人の国民年基金連合会を主体として、受付金融機関が窓口となって運営する制度です。20歳以上60歳未満の人が加入でき、掛金は加入者が拠出します。年金の受取期間が5年以上20年以下の有期年金であることが特徴です。
国民年金基金
公的年金制度では、自営業者などは1階部分の国民年金の老齢基礎年金しか支給されません。
国民年金基金連合会は、自営業者が加入すると将来上乗せとして受け取ることができる国民年金基金を運営しています。
同じ連合会が運営する確定拠出型のiDeCoでは掛金が決まっているに対し、加入時の年齢はプランによって異なります。また、終身年金である点も異なります。
個人年金保険
個人年金保険は、民間の生命保険会社が運営するものです。契約してから満期まで生存していた場合に保険金が支給される生存保険に該当します。
契約で「60歳」「65歳」など一定の年齢まで保険料を積み立てることを定め、その年齢に達すると積立金をもとに年金が支給される貯蓄タイプの保険です。
年金受取開始前に被保険者が死亡した場合は、死亡給付金が支給されます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
社会保険・労働保険の手続きガイド ‐入社・退職・異動編‐
入社や退職に伴う社会保険の手続きは多岐にわたり、ミスが許されません。特に厚生年金や健康保険は従業員の将来の給付や医療に直結するため、正確な処理が求められます。
手続きの不備でトラブルになる前に、本資料で社会保険・労働保険の正しい手順や必要書類を確認しておきませんか?
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
健康保険・厚生年金保険 実務ハンドブック
健康保険・厚生年金保険の基本ルールをはじめ、手続きの仕方やよくあるミスへの対処方法について解説した実用的なガイドです。
年間業務スケジュール一覧も掲載しているので、ぜひご活用ください。
社会保険加入条件 簡単図解 ミニブック
パートやアルバイトの社会保険加入条件を、最新の法令に基づいて正しく判断できていますか?要件の確認漏れは、未加入によるトラブルや遡及徴収のリスクにつながりかねません。
本資料では、複雑な加入条件を視覚的にわかりやすく図解しています。自社の現状チェックや従業員への説明にご活用ください。
公的年金における第1号・第2号・第3号被保険者とは
すべての国民が加入する国民年金には、被保険者の種類が3つあります。それぞれ対象となる人の要件が、国民年金法で定められています。
第1号被保険者
自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など、厚生年金保険の被保険者とならない人が該当します。
具体的な要件は日本国内に居住し、20歳以上60歳未満であることです。
国民年金保険料の納付義務は、本人または保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれかが負います。
第2号被保険者
厚生年金保険の被保険者である会社員などが該当します。年齢要件や国内居住要件はありません。
国民年金保険料については、会社員として加入する厚生年金保険から国民年金に拠出する仕組みになっているため、本人は納付しません。
第3号被保険者
厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている配偶者が該当します。
要件は被扶養配偶者として年収が130万円未満であること、20歳以上60歳未満であることの2つで、国内居住要件はありません。
国民年金保険料は、会社員である配偶者が加入している厚生年金が一括して拠出するため、個別に納める必要はありません。
共済年金は公的年金でも私的年金でもない?
私的年金として保険会社が運営する個人年金保険を取り上げましたが、個人年金には共済が実施しているものもあります。
共済は非営利事業として運営されており、組合員とその家族が加入できます。
保険会社のように営利を目的としていないため、積極的な資産運用は行わず、リスクの低い国債などを運用対象としています。
生命保険と類似する事業を行っている共済には、こくみん共済(全労済)、都道府県民共済、コープ共済連、JA共済などがあります。
例えばこくみん共済(全労済)では、年金コースとして一定期間年金を受け取れる「確定年金」と、一生涯にわたって年金を受け取れる「終身年金」を選択できます。
共済の個人年金も公的年金を補完する役割を担っていますが、位置付けとしては公的でも私的でもなく、準公的といえるのではないでしょうか。その意味では、国民年金基金も同様に捉えてよいでしょう。
年金にはどのような種類があるのか知っておこう!
年金の種類とともに、厚生年金などの公的年金と私的年金の違いについて解説しました。
年金制度は非常に複雑ですが、自身や家族の将来にかかわる制度なので、無関心でいるわけにはいきません。
まずは年金の種類を知り、基本となる公的年金の2階建ての仕組みを理解することから始めてはいかがでしょうか。
よくある質問
年金は何種類ありますか?
公的年金と私的年金を合わせて、6種類あります。詳しくはこちらをご覧ください。
共済年金は公的年金および私的年金とは違いますか?
公的でも私的でもなく、準公的年金といえます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
特別支給の老齢厚生年金とは?受給要件と金額・手続きを解説
特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金加入歴が1年以上あり、昭和36年4月1日(女性は昭和41年4月1日)以前に生まれた人に支給される年金です。受給開始年齢は生年月日や性別によって定め…
詳しくみる算定基礎届の年間平均とは?条件や申立書の書き方・記入例、デメリットまで解説
算定基礎届(定時決定)における年間平均適用(保険者算定)とは、繁忙期などの影響で算定基礎届(定時決定)の算定で用いる4月〜6月の給与が一時的に高くなる従業員の社会保険料を、過去1年…
詳しくみる雇用保険の傷病手当について
健康保険には、傷病手当の制度が設けられています。私傷病により働くことができない被保険者の生活を守るために設けられた制度で、会社を休んでいる間に十分な賃金が受けられない場合に支給され…
詳しくみる社会保険の証明書発行手続きについて解説!健康保険被保険者資格証明書など
日本では国民皆保険・国民皆年金が実現しており、すべての国民は何らかの公的医療保険と公的年金に加入しています。 適切に加入手続きがなされていれば、各種の社会保険の被保険者資格が与えら…
詳しくみる65歳以上の従業員の社会保険手続き
昨今の高年齢者の増加に伴い、60歳を過ぎた方々が就業を続けるケースが増えてきました。 これは、社会保険の「高年齢者雇用安定法の改正」や「厚生年金の受給開始年齢の65歳への段階的引上…
詳しくみる労災認定とは?基準・保険給付の金額・会社が被るデメリット4つを解説
労災認定とは、労働災害によって発生した怪我や病気に対して、労災保険の認定を受けることです。対象の従業員が申請し、要件を満たしていれば各種の保険給付を受け取れる仕組みになっています。…
詳しくみる


