• 更新日 : 2025年12月15日

特別支給の老齢厚生年金とは?受給要件と金額・手続きを解説

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特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金加入歴が1年以上あり、昭和36年4月1日(女性は昭和41年4月1日)以前に生まれた人に支給される年金です。受給開始年齢は生年月日や性別によって定められており、60~64歳から受け取れます。

かつての年金支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際の緩和措置として設けられました。

特別支給の老齢厚生年金の金額は被保険者であった期間や報酬額によって変わり、請求の案内は支給開始年齢に達する3ヶ月前に送付されます。

特別支給の老齢厚生年金とは?

特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、スムーズな移行のために設けられた、65歳になるまで受け取れる年金です。

昭和60年に法律が改正され、それまで60歳から支給されていた老齢厚生年金は、65歳からの支給に変更されました。受給開始が5年後となることに対する緩和策として設けられた制度が、特別支給の老齢厚生年金です。

対象となる方に対し、60歳から64歳の間に、65歳からの本来の年金とは別の枠組みで年金が支払われます。

65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利は終了します。その代わり、65歳からは本来の「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取ることになります。

参照: 特別支給の老齢厚生年金|日本年金機構

特別支給の老齢厚生年金の受給要件は?

特別支給の老齢厚生年金は、男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前生まれで、厚生年金加入1年以上など、以下の要件をすべて満たす方が対象です。

  • 年齢(生年月日)
    男性は昭和36年4月1日以前であること。女性は昭和41年4月1日以前であること。
  • 老齢基礎年金の受給資格期間:
    保険料を納めた期間や免除された期間などを合計した期間が10年以上あること。
  • 厚生年金保険の加入期間:
    厚生年金保険(または共済組合)の被保険者期間が1年以上あること。
  • 支給開始年齢:
    生年月日に応じて定められている支給開始年齢に達していること。

支給開始年齢

特別支給の老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「定額部分」があり、生年月日や性別によって定められている年齢に達すると支給されます。

▼ 男性の支給開始年齢

生年月日報酬比例部分定額部分
昭和16年4月1日以前60歳60歳
昭和16年4月2日~

昭和18年4月1日

60歳61歳
昭和18年4月2日~

昭和20年4月1日

60歳62歳
昭和20年4月2日~

昭和22年4月1日

60歳63歳
昭和22年4月2日~

昭和24年4月1日

60歳64歳
昭和24年4月2日~

昭和28年4月1日

60歳
昭和28年4月2日~

昭和30年4月1日

61歳
昭和30年4月2日~

昭和32年4月1日

62歳
昭和32年4月2日~

昭和34年4月1日

63歳
昭和34年4月2日~

昭和36年4月1日

64歳
昭和36年4月2日以降

▼ 女性の支給開始年齢

女性の場合、男性よりも5年遅れで支給開始年齢が引き上げられています。

生年月日報酬比例部分定額部分
昭和21年4月1日以前60歳60歳
昭和21年4月2日~

昭和23年4月1日

60歳61歳
昭和23年4月2日~

昭和25年4月1日

60歳62歳
昭和25年4月2日~

昭和27年4月1日

60歳63歳
昭和27年4月2日~

昭和29年4月1日

60歳64歳
昭和29年4月2日~

昭和33年4月1日

60歳
昭和33年4月2日~

昭和35年4月1日

61歳
昭和35年4月2日~

昭和37年4月1日

62歳
昭和37年4月2日~

昭和39年4月1日

63歳
昭和39年4月2日~

昭和41年4月1日

64歳
昭和41年4月2日以降

たとえば、2025年(令和7年)で62歳になる女性は、昭和37年4月2日~昭和39年4月1日生まれに該当するため、特別支給の老齢厚生年金の支給開始は63歳からです。周囲が62歳から受給していたとしても、生年月日により支給開始年齢が異なるため、自分の生年月日の区分を確認しましょう。

一方、男性で現在62歳の方は、すでに特別支給の老齢厚生年金の対象世代(昭和36年4月1日以前生まれ)を過ぎており、原則として65歳から老齢基礎年金・老齢厚生年金の本来支給を受けることになります。

特例として、以下のいずれかに該当する者が報酬比例部分の支給開始年齢に達した場合は、定額部分を合わせた特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

  • 厚生年金被保険者期間が44年以上(資格を喪失している場合に限る)
  • 障害等級に該当する程度の障害状態にあることを申し出ている(資格を喪失している場合に限る)
  • 厚生年金被保険者期間のうち坑内員まであった期間と船員であった期間の合計が15年以上

参照: 特別支給の老齢厚生年金|日本年金機構

特別支給の老齢厚生年金は、いくらもらえる?

年金額は「報酬比例部分」と、生年月日が早い一部の方の「定額部分」の合計です。加入期間や過去の平均年収によって決まり、たとえば平均年収420万円・加入30年なら年額約69万円が目安となります。

年金額の計算方法(報酬比例部分・定額部分)

特別支給の老齢厚生年金の額は、報酬比例部分と定額部分の合計で求められます。

現在は「定額部分」の支給開始年齢が65歳(=実質支給なし)となっている世代が、これから特別支給の老齢厚生年金を受け取り始める中心となります。

それぞれの計算方法は以下のとおりです。

報酬比例部分(全員が対象)

厚生年金に加入していた全期間の給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)と、加入月数に応じて計算される部分です。

計算式は平成15年3月以前と4月以降で異なります。

▼ 平成15年3月以前

平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間月数

▼ 平成15年4月以降

平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 平成15年4月からの被保険者期間月数

報酬比例部分の給付乗率※は昭和21年4月1日以前に生まれた方は異なります。

また、定額部分が受給可能な人であって、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある場合には、配偶者や子どもの数に応じて加給年金が加算されます。令和7年4月以降の加給年金の金額は以下のとおりです。

  • 配偶者につき239,300円
  • 2人目までの子どもにつき各239,300円
  • 3人目以降の子どもにつき各79,800円

定額部分の計算方法(生年月日が早い方のみ対象)

一定の金額、乗率、被保険者期間月数から求めます。計算式は以下のとおりです。

定額部分の計算式(令和7年4月分から)
  • 昭和31年4月2日以後生まれの場合
    1,734円 × 生年月日に応じた率※1 × 被保険者期間の月数
  • 昭和31年4月1日以前生まれの場合
    1,729円 × 生年月日に応じた率※1 × 被保険者期間の月数

※1 定額部分の乗率は1.875~1.000で、生年月日に応じて定められています。
(詳しくは「年金額の計算に用いる数値」より確認できます)

特別支給の老齢厚生年金の申請(請求手続き)はどう進める?

特別支給の老齢厚生年金を受けるためには、請求手続きが必要です。支給開始年齢に達する3ヶ月前に基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所、年金加入記録があらかじめ印字された「年金請求書」が日本年金機構から送付されるので、案内にしたがって手続きを行います。

請求手続きの注意点

請求書は前もって送付されますが、請求手続きは特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢になってからでなければ行えません。また、特別支給の老齢厚生年金は繰り下げができないため、請求は速やかに行うことが求められます。

働きながら特別支給の老齢厚生年金をもらうと減額される?

働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、賃金と年金額との合計が基準額以上になると年金支給が減額されます。

特別支給の老齢厚生年金の減額・支給停止の判断には、以下の金額が用いられます。

▼ 基本月額

特別支給の老齢厚生年金の12分の1(加給年金を除いた月額)

▼ 総報酬月額相当額

その月の標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額 / 12

基本月額+総報酬月額相当額が51万円を超える場合は、51万円を超える部分の1/2を減額されます。減額される期間は、51万円を超えている間です。また、総報酬月額相当額と基本月額の合計から51万円を控除して得た額の2分の1が基本月額以上となる場合には、年金全部の支給が停止されます。

特別支給の老齢厚生年金のデメリット・注意点は?

最大の注意点は、65歳からの年金とは異なり「繰下げ受給」ができないことです。受け取らない、もしくは請求を遅らせるメリットはなく、時効5年のリスクがあります。

受け取らない選択をしても増額しない(繰下げ不可)

特別支給の老齢厚生年金に「繰下げ受給」の制度はありません。「働きながら受給すると減額されるから、受け取らないでおこう」と考えて請求を遅らせても、年金額が増えることはありません。請求を忘れていると、5年の時効によって過去の分の年金を受け取れなくなるおそれもあります。

65歳から受け取る本来の老齢基礎年金・老齢厚生年金には、受給開始を66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」を選択でき、遅らせた月数に応じて年金額が増額されます。

65歳になったらどうなる?(権利消滅と本来年金への移行)

65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利は消滅します。

65歳からは、本来の「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取る権利が発生します。 特別支給の老齢厚生年金を受け取っていた方も、65歳になる時期に改めて本来の年金の請求手続きが必要となります。

特別支給の老齢厚生年金の対象か確認し、手続きを準備しましょう

老齢厚生年金は65歳から支給されますが、生年月日が昭和36年4月1日以前の男性と昭和41年4月1日以前の女性は、60~64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れます。

特別支給の老齢厚生年金は生年月日や性別によって支給開始年齢が異なりますが、支給開始年齢の3ヶ月前にはあらかじめ必要な情報が印字されている請求書が日本年金機構より送付されます。届いたら支給開始年齢になるのを待って、請求手続きを行いましょう。

特別支給の老齢厚生年金に繰り下げは適用されず、請求を遅らせても年金額は割り増しされません。賃金と年金額の合計が基準額以上になると、減額や支給停止になる点にも注意が必要です。

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よくある質問

特別支給の老齢厚生年金とは?

老齢厚生年金の受給開始年齢引き上げに伴い、60歳から64歳までに厚生年金から特別に支給される年金です。詳しくはこちらをご覧ください。

特別支給の老齢厚生年金の請求手続きは?

支給開始年齢の約3ヵ月前に送付される案内にしたがって、受給手続きを行います。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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