• 更新日 : 2025年2月21日

7時間労働の休憩時間は?労働法に基づく定義や注意点を解説

7時間労働の休憩時間は、45分以上が法定の基準です。労働基準法に従い、休憩時間の定義や適切な休憩の取り方を理解することは、従業員の心身を配慮するためにも重要です。

本記事では、休憩時間の定義や基本的なルール、注意点について徹底解説します。

7時間労働は45分の休憩が必要

7時間勤務してもらう場合、少なくとも45分の休憩を与える必要があります。

労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超え8時間以内の場合には、45分の休憩を設けるよう明示しています。つまり、7時間勤務では上記の範囲に該当するため、法律上、45分の休憩の確保が必須です。

業務中に休憩が必要な理由は、労働者の健康を守り、集中力を保ちながら仕事に取り組むために重要であるためです。適切な休憩を業務に挟むことで、体や脳の疲労が軽減され、集中力や判断力が向上するため、業務ミスや事故の発生を未然に防ぐ効果も期待できます。

もし、長時間休まずに働き続けると、精神的・肉体的ストレスを増大させ、結果的に生産性の低下や健康リスクにつながる可能性があります。そのため、休憩を設けることは環境の質を高めるためにも重要です。

法律で定められた休憩時間は最低限の基準のため、企業は状況に応じて適切に休憩を与えるとより良い職場環境を提供できるでしょう。

労働時間に応じた休憩時間の基準

6時間を超えて労働する場合、使用者は従業員が適切に休憩を取り、業務から離れてリフレッシュできる環境を整える必要があります。具体的には、十分な休憩時間の確保や休憩室の設置、静かな環境で落ち着けるような場所の提供などが効果的です。

もし、勤務シフトに見合った休憩が確保されなければ、法令違反と判断されるリスクがあるため、事前に基準を正確に把握しておくことが大切です。

以下では、労働時間に​合わせた​休憩時間の規定について解説します。

法律における休憩の定義については、以下の記事を合わせてご覧ください。

休憩とは?法律上の定義や3原則、休憩から外れるケースを解説

労働時間が6時間を超え8時間以下の場合

労働時間が6時間を超え、8時間以内の勤務形態の場合、45分以上の休憩時間を設けなければいけません。

たとえば、朝9時に出社し、午後4時45分に退社する場合、就業時間は合計で7時間45分に相当します。上記の場合、必要な休憩時間は45分であり、実働時間は7時間となるため、法的な基準を満たします。

7時間働く場合も45分の休憩が求められるため、各従業員の労働時間を正確に把握し、しっかりと休憩できるよう配慮することが大切です。

労働時間が8時間を超える場合

勤務時間が8時間を超えるシフトでは、法律により1時間の休憩が義務付けられています。

たとえば、午前9時から午後5時まで働く場合、勤務時間は8時間となるため、少なくとも60分の休憩を取る必要があります。実際には、休憩を含めて所定労働時間が8時間になるよう調整してください。

また、同じ労働者が午前9時から午後7時まで勤務すると、全体の労働時間は10時間になります。上記の場合、所定労働時間8時間に対して、法律で定められた最低1時間の休憩が必須です。

休憩時間は労働時間に含まれないため、8時間を超えた時間のうち1時間の休憩時間を差し引いた1時間が、法定労働時間を超えた時間外労働となります。割増賃金を適切に計算するためには、正確な労働時間の把握と管理が必要です。

労働時間が6時間の場合

労働時間が6時間を超えた際は、法律上、従業員に休憩を取らせる必要があります。

勤務時間がぴったり6時間であれば、休憩を割り当てなくても規定違反になりません。しかし、6時間を1分でも超えると、45分間の休憩を設ける義務が発生します。

微妙な時間差ですが、休憩の必要性を左右する重要なポイントとなるため注意が必要です。

たとえば、午前9時から午後3時までの勤務であれば、休憩なしでも法律上問題はありません。しかし、午前9時から午後3時1分まで働いた場合は休憩が必要のため、勤怠管理には注意が必要です。

法律で明示された休憩時間は最低基準であり、企業は状況に応じて基準以上の休憩を与えられます。ただし、基準を下回ると法律違反になるため、適切に管理しましょう。

労働時間の基本的な計算方法

労働時間は基本的に、勤務開始から終了までの時間から休憩時間を差し引いて計算します。休憩は業務から完全に離れ、自らのペースで心身をリセットするためのフリータイムとみなされるため、給与は発生しません。

たとえば、午前9時から午後6時まで勤務し、60分の休憩を取った場合、実働時間は8時間となります。時給が1,200円であれば、1日の給料は「1,200円×8時間」の9,600円です。

労働時間の計算方法は、各勤務形態に応じた正確な賃金計算のための基本です。なお、労働契約や就業規則で別途定められた計算方法がある場合は、会社の規則に従う必要があります。

労働時間の計算方法に関する詳細な情報は、以下の記事をご覧ください。

労働時間とは?計算方法や勤務時間、残業代の注意点を解説!

労働基準法による休憩時間の定義

労働基準法には、休憩時間に関する基本的なルールを「休憩の3原則」として規定しています。企業が従業員に適切な休憩を与え、業務の合間に十分なリフレッシュを実現するための必須ガイドラインとしています。

企業が原則を確実に守ることは、従業員の健康維持と働きやすい職場環境の確立に直結するため重要です。以下では、休憩時間に関する基本的なルールについて説明します。

一斉付与の原則

一斉付与の原則とは、すべての労働者に対して同一のタイミングで休憩を提供するという考え方です。一斉に休憩を与えることで、特定の労働者だけが有利・不利な状況に置かれることを防ぎ、全員が同一の休憩環境のもとで業務できるようにすることを目的としています。

そのため、個々の労働者に異なる時刻で休憩を割り当てることは、基本的には認められていません。しかし、業務の性質や現場の状況により、全員が同時に休憩を取るのは困難な場合もあります。

困難な場合は、労使双方が明確な合意と書面の取り交わしが求められます。主に、どの従業員がどの時間帯に休憩を取るかなどを具体的に決めることが一般的です。

また、次の業種では全員が同時に休憩を取るのが難しいため、一斉付与の原則が適用されません。適用されない場合は、シフトやグループに分けて休憩時間を設定するなど、従業員全員が偏りなく休憩を取れる仕組みづくりが欠かせません。

  • 運輸・交通業
  • 商業
  • 金融・広告業
  • 映画・演劇業
  • 通信業
  • 保険・衛生業
  • 接客・娯楽業
  • 官公署 など

自由利用の原則

自由利用の原則とは、休憩時間中に従業員が業務から解放され、心身ともに休憩を取る権利が保障されているという重要な考え方です。たとえば、従業員は休憩時間中に食事をしたり、散歩をしたり、好きな音楽を聴いたりするなどリラックスするために自由に過ごせることが求められます。

企業は休憩中に従業員に仕事を命じたり、業務を課したりすることはできません。そのため、休憩の最中に業務を強制したり、休憩が終わる前に仕事を始めさせたりすることは、法的に認められません。

もし、休憩中に企業から介入が行われた場合、休憩時間ではなく実動時間としてカウントされ、賃金の支払い義務が発生します。

つまり、従業員が休憩を取る時間は従業員自身が仕事から離れて自由に過ごすものであり、企業が目的を損なうようなことがあってはなりません。

自由利用の原則には一部例外があり、労働基準法第33条では特定の職業は条件に応じて例外を認める場合があるとされています。

  1. 警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急隊員、および児童自立支援施設で子どもと生活を共にする職員
  2. 乳児院、児童養護施設、障害児入所施設で子どもと生活を共にする職員
  3. 家庭で保育を行う居宅訪問型保育事業の労働者(ただし、同じ家で複数の保育者が同時に一人の子どもを保育する場合を除く)

参考:労働基準法施行規則 第33条

ただし、例外はごく少数であり、ほとんどの場合、休憩は従業員が自由に使える時間として認められています。

途中付与の原則

途中付与の原則とは、働いている時間中の適切なタイミングで休憩を挟むことが求められるルールです。途中で休憩を挟む理由は、従業員が連続して長時間働くことによる疲労やストレスを防止し、効率的かつ安全に業務を遂行することが目的です。

法律では、休憩時間は「労働の途中で与えなければならない」と定められています。そのため、始業前や終業後に休憩を取らせることは法に反します。

たとえば、午前9時から午後5時まで働く際に午後5時以降に休憩を設けることは、勤務時間外の休憩となり、法的には認められません。

正しく運用するためには、勤務の途中、具体的には「午後12時から午後12時45分まで」というように休憩を設ける必要があります。

休憩時間が労働時間とみなされるケース

休憩時間は通常、仕事をしていない時間であるため、賃金の支払い対象にはなりません。企業が休憩時間としていても、実際には労働時間として扱われるケースがあります。労使間でのトラブルを避けるためにも、以下では各ケースについて解説します。

たばこ休憩

たばこ休憩は、労働時間中に行われる短時間の休憩を指すことがほとんどです。

今している業務を完全にストップしてのたばこ休憩は、正式に休憩時間として認められることが一般的です。しかし、喫煙所が近くに設置されており、すぐにでも仕事を再開できる状況下に置かれている場合、手待ち時間として労働時間に含まれるケースもあります。

手待ち時間は、労働者が業務に従事していなくても、使用者の指示を受けたらすぐに業務を再開できる待機状態の時間を指します。そのため、基本的に労働時間に含まれ、賃金の支払いが発生することが特徴です。

たばこ休憩が労働時間の一環とされるかは、業務からの解放度合いや職場の喫煙環境により異なります。企業は就業規則でたばこ休憩の取り扱いを明確にし、労使間で共通認識をもつことが重要です。

仮眠時間

仮眠時間を休憩時間として設定する企業も存在します。しかし、一般的に仮眠中であっても、業務への対応が求められる場合は手待ち時間とみなされ、休憩時間と判断されません。

たとえば、看護師が仮眠を取っている間でもナースコールに対応しなければならない場合、休憩時間として認められない可能性があります。一方で、仮眠中の対応を他の従業員が行い、業務に戻る必要がない状況であれば、「労働から離れている時間」とみなされ、休憩時間とされる場合があります。

そのため、仮眠時間を休憩時間とする場合は、業務対応の必要性や実態を踏まえて適切に運用することが重要です。

休憩中の電話番や来客対応

休憩中に電話番や来客対応をさせると、従業員は仕事をしている状態だと判断され、休憩と認められない場合があります。

急な来客や電話対応が必要な場合には、実際の休憩時間を確保しなおすことが重要です。

企業は、就業規則で休憩中の電話番や来客対応の取り扱いについて明確にし、休憩時間の確保を適切に管理しましょう。

残業中の休憩

残業中の休憩は、法律では明確に定められていません。

しかし、労働時間が8時間を超えていれば、残業中であっても1時間の休憩が必要です。長時間にわたる労働は、業務だけでなく心身に悪影響を及ぼす可能性があるため、企業が残業中に追加の休憩を提供することは、労働者への配慮としても適しています。

たとえば、就業規則で「残業2時間ごとに15分の休憩を付与する」とすると従業員との間でトラブルが起こりにくくなるでしょう。

休憩時間に関する注意点

法律を遵守して休憩時間を付与することにより、労働者の健康や働きやすさを確保できます。以下では、休憩時間に関する注意点を紹介します。

雇用形態に関係なく付与する義務がある

休憩時間は、雇用形態や勤務形態にかかわらず、すべての労働者に与えなければいけません。

たとえば、労働時間が6時間を超えれば、正社員やパート・アルバイトに関係なく45分以上の休憩が必要です。ただし、管理職以上の労働者には法律が適用外となる場合があります。

管理監督者に該当する管理職は自己の裁量で業務を行う立場であるとされるため、休憩時間の規定は適用されません。そのため、必要に応じて事前に就業規則で休憩時間に関するルールを定めておきましょう。

休憩中は給与が発生しないことを周知する

休憩中は賃金支払いの対象となりません。賃金はあくまでも仕事の対価として支払われるため、仕事をしていない休憩中は賃金を支払う義務がありません。

しかし、休憩時間中に何かしらの業務が必要となった場合は、労働時間として給与の支払いが必要です。休憩時間中に仕方なく必要となった業務に関しては、休憩を取り直すなど、ルールを事前に就業規則で決めておくことが重要です。

労使間で明確な取り決めを行い、休憩中は給与が発生しないと周知しておきましょう。

休憩時間を分割して付与できる

休憩時間は法律では、休憩時間は分割して与えることも可能です。

たとえば、1時間の休憩を45分と15分に分けることや、30分を2回に分けることが認められています。ただし、分割した休憩時間があまりに短い場合、十分な休息を取れたと認められない可能性があるため注意が必要です。

したがって、休憩時間の目的を損なわない範囲で、企業に応じた柔軟な運用方法を工夫しましょう。

勤務時間中に休憩を取らせる必要がある

休憩時間は、原則として勤務中に取らせる必要があります。休憩時間は、勤務中に体や頭を休める時間として付与されるため、労働時間の途中に付与することが基本です。

そのため、労働時間前や退社直前に休憩を与えても、本来の目的を成さないため、認められません。

休憩は労働者が健康に仕事を続けるために重要で、企業の仕事効率の向上にもつながるため、適切に管理することが大切です。

適切に休憩時間を付与しなければ法律違反になる

法律上、労働時間が6時間を超えたら45分以上、8時間を超えたら1時間の休憩が義務付けられています。

従業員に休憩を与えないまま業務を遂行させると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

具体的な違反例は、休憩中に労働を強いることや6時間以上労働しているにもかかわらず休憩を与えないこと、使用者の管理不足で休憩が取れない状況を放置することなどです。​

法的リスクを避けるためには、労働時間をしっかり管理しながら休憩を与えましょう。

従業員が休憩時間を取れなかった場合の対処法

従業員が適切に休憩を取れなかった場合、原因を突き止めて正しく対処することが重要です。法的リスクを避けるためにも、以下では休憩が取れなかった際の対処法を紹介します。

時間をずらして付与する

業務の都合により、決められた時間に休憩を取れないこともあります。

もし、休憩を取れなかったら、使用者は労働時間内の別の時間帯に休憩を取らせられます。ただし、休憩時間を労働時間の前後にずらせないため注意が必要です。

企業は、従業員が適切な休憩を取れるよう調整しつつ、労働者が適切なタイミングで休憩が取れているか管理することも重要です。

給与を支払う

労働者が休憩時間中に業務を行った場合、休憩とは認められず、労働時間として賃金の支払いが発生します。

支払う賃金は、労働時間の種類により異なります。所定労働時間内であれば、通常の賃金の支払いで問題ありません。一方、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要です。

ただし、合理的理由なく休憩を付与しなかった場合、罰則の対象となり、懲役刑または罰金刑が科されるため注意が必要です。上記についても注意のうえ労働者が休憩時間を取得できなかった場合、労働時間としてカウントし、正しい額の給与を支払うようにしましょう。

7時間労働でも適切に休憩を与えよう

7時間労働の場合、労働基準法に基づいて45分以上の休憩を与えなければいけません。休憩時間の確保は労働者の健康性を維持するためにも重要な要素であり、企業は適切に休憩を与える責任があります。​

休憩中の電話番や来客対応など、実働的に労働時間とみなされる場合も注意しながら適切に休憩を与えましょう。


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