- 更新日 : 2024年12月17日
5連勤は違法?きつい?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
従業員の方はもちろん、労務担当者として従業員の労働時間を管理する中で、連続勤務が続く状況に頭を悩ませたこともあるでしょう。連日の勤務は従業員の健康リスクやモチベーション低下につながり、企業にとっても生産性や労務トラブルの原因となりかねません。
本記事では 「5連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
5連勤は違法?
結論として、5連勤は必ずしも違法ではありません。
週に1日の法定休日を設けている場合、理論上12日連続での勤務が認められるため、5連勤はこの範囲内に収まっており、違法ではありません。
また、4週間で4日の法定休日を与える方法であれば、最大48日連続勤務も可能とされていますので、もちろん5連勤は問題ありません。したがって、5連勤はどのような法定休日の与え方であっても、法律上違反することはないといえます。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
5連勤はきつい?その理由とは
5連勤は、一見「普通の勤務」と感じるかもしれませんが、人によっては十分にきついと感じる状況です。
特に、体力を使う仕事や長時間労働が伴う職種では、連続して働くことで疲労が蓄積しやすく、体力の回復が追いつかなくなることがあります。朝から晩まで働く日々が続けば、平日のうちに十分な睡眠や栄養を取る時間を確保するのは難しくなり、週の後半には身体が重く、仕事の効率も低下しがちです。
精神的な疲労も見逃せません。5日間休みなく働き続けることで、仕事と私生活のバランスが崩れやすくなります。「あと数日働けば休める」という気持ちで何とか乗り切ることがあっても、精神的なリフレッシュができないまま毎日仕事に向き合い続けることで、ストレスが少しずつ蓄積されていくのです。特に繁忙期やプレッシャーのかかる業務が続くと、仕事が終わっても気持ちが切り替わらず、休日に入る頃には心身ともに疲れ切っているケースもあります。
また、5連勤がきついと感じる要因として、日々の生活リズムも影響します。例えば、通勤時間が長い場合や、家庭の育児・家事などとの両立を求められている人にとっては、仕事が終わってからも休息の時間が限られてしまいます。1日の疲れを完全に取りきれないまま次の日を迎えることの繰り返しは、週末の休みを「回復のためだけに使う」状況を生み出し、生活の充実感やリフレッシュの機会を奪う原因にもなります。
介護職で5連勤がきついと感じやすい理由
介護職において5連勤が続くと、そのきつさは他の職種よりも顕著に感じられることが多いです。介護の仕事は身体的負担が大きく、立ち仕事や力仕事が日常的に求められます。例えば、利用者の移乗介助や入浴介助を行う際には腰や膝に大きな負担がかかり、疲労が蓄積されやすくなります。また、5日間連続して動き回ることで、体力の回復が追いつかず、週の後半になると身体が重く、思うように動けないと感じる人も少なくありません。
さらに、介護職は精神的な負担も大きい仕事です。日々、利用者一人ひとりの健康状態や安全に気を配りながら、細やかなサポートを続ける必要があります。そのため、「人の命や生活を支えている」という責任感が強く、緊張感が途切れないまま連勤を乗り切らなければなりません。特に、認知症の方や身体的にサポートが必要な方をケアする場合、予期せぬトラブルや対応に追われることも多く、精神的な疲労は想像以上に大きくなるでしょう。
また、介護職の勤務は早朝から夜間に及ぶことも珍しくなく、シフト制による不規則な生活リズムも5連勤をきつく感じる要因のひとつです。夜勤明けに短い休息時間を挟んで日勤に入るなど、十分な睡眠や休息が取れないまま次の勤務が始まることもあります。こうした不規則な働き方が続けば、疲れが抜けきらないまま、心身のバランスを崩してしまうこともあります。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
勤怠管理を効率化するならシステムの導入が鍵!選び方やメリットを解説
勤怠管理は従業員の労働状況を把握するための大切な業務ですが、手作業では時間がかかりミスも発生しがちです。 また、計算を間違うようなことは許されないため、正確性を維持しながらも業務の効率化を図ることが重要です。 この記事では、勤怠管理をより効…
詳しくみるフレックスタイム制の柔軟性拡大!清算期間が1ヶ月から3ヶ月に
フレックスタイム制とは? フレックスタイム制(労働基準法第32条の3)とは、1ヶ月以内の一定の期間(清算期間)の総労働時間をあらかじめ定めておくことで、労働者はその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決め、生活と仕事との調和を図りな…
詳しくみる労働基準法第68条とは?生理休暇の取得方法や企業が配慮すべきポイントを解説
労働基準法第68条は、女性労働者が生理による体調不良で働くことが著しく困難な場合に取得できる「生理休暇」について定めた規定です。本記事では、労働基準法第68条の基本概要や適用範囲、最新の判例や厚生労働省のガイドラインの情報を解説します。人事…
詳しくみる子の看護休暇とは? 有給・無給?対象となる子どもや取得条件を解説
子の看護休暇とは、小学校入学前の子を育てる従業員が取得できる休暇です。育児・介護休業法が根拠にあり、取得した日時が無給か有給かは企業が定めることができます。本記事では、子の看護休暇を取得できる条件や注意点などについて詳しく解説します。子の看…
詳しくみる6時間勤務に休憩はいらない?休憩の付与ルールや注意点を解説
休憩は、従業員が心身をリフレッシュさせ、休憩後の業務に臨むためにも重要な時間です。しかし、休憩はただ付与すればよいわけではありません。法に則った時間や方法によって、付与することが求められています。 休憩は、正しく付与しなければ、罰則の対象と…
詳しくみる【テンプレート付き】手書きのタイムカードは違法じゃない!書き方と訂正方法
タイムカードを手書きで書くことは、基本的に違法ではありません。 しかし、手書きによるタイムカードには改ざんや記入ミスのリスクがあるため、適切な勤怠管理を行える状況は限られます。 この記事では手書きのタイムカードの書き方や無料テンプレートのご…
詳しくみる