- 更新日 : 2025年6月10日
労働者名簿は一覧形式でも問題ない?無料テンプレートも
労働者名簿は、一覧形式で作成しても問題ありません。労働基準法には労働者名簿の様式についての具体的な指定がないため、必要な情報がすべて記載されていれば、1人1枚の形式でも一覧形式でも構いません。
ただし、一覧形式にする際にはいくつかの注意が必要です。
労働者名簿は一覧形式でも問題はない
労働者名簿の形式には特に定めがないため、必要事項を網羅していれば一覧形式で作成していても問題はありません。一覧形式は、特に複数の労働者を一度に把握しやすい点で利便性が高く、事業所ごとに管理する場合にも有用です。
一方で、労働者の経歴や住所の変更、緊急連絡先などの情報を記載しておきたい場合は、1人1枚の個別名簿にすることで詳細な情報を管理しやすくなります。
労働者名簿には、氏名、生年月日、住所、履歴、性別、業務内容、採用日、退職日など、法律で定められた事項がすべて含まれている必要があります。これらを一覧形式で見やすく記載し、必要に応じて項目を追加することで、法令を満たした形で一覧化できます。
会社や事業所の規模が大きくなるほど一覧形式での管理が難しくなりがちです。多数の労働者を抱える場合は、一覧形式が煩雑になることもあるため、必要に応じて部門ごとや部署ごとの一覧表を作成するなど、管理のしやすい工夫が必要です。
労働者名簿が一覧形式で管理されることが少ない理由
一覧形式では、労働者一人ひとりの履歴や異動記録などの詳細情報を記載するスペースが限られています。労働者名簿には住所変更、婚姻・離婚、社内異動などの経歴を含めることが多いため、1人1枚の形式の方が情報の詳細な管理や更新がしやすいとされています。
また、労働基準法で労働者名簿には複数の項目が記載されていることが求められています。特に個別の経歴や住所など、詳細な履歴情報を残す必要がある場合、一覧形式よりも個別名簿の方が柔軟に記載できます。
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そもそも労働者名簿とは?
労働者名簿とは、従業員の基本情報を一元管理するための重要な書類です。これは従業員の氏名や住所、生年月日など、法律で定められた項目を事業所ごとに記載して保管する義務があります。労働基準法では、労働者名簿は「賃金台帳」「出勤簿」と並ぶ「法定三帳簿」の一つとされ、適切に整備されていない場合には罰則の対象となることがあります。
労働者名簿は従業員の入社時に個別に作成され、記載事項に変更があれば随時更新することが求められています。また、法令上の義務を果たすことに加え、従業員の通勤経路の確認や緊急連絡先の確認など、人事・労務管理においても活用される場面が多く、欠かせない書類です。
労働者名簿の対象者
労働者名簿は、基本的に雇用されている全従業員が対象です。労働基準法第9条により、パートやアルバイトも含め、賃金を支払われる従業員全員が対象とされています。
ただし、以下のようなケースでは名簿作成の対象外となります。
- 日雇い労働者:労働基準法第107条で管理義務が定められていないため。
- 派遣労働者:派遣元で管理されるため、派遣先には作成・管理義務がない。
- 代表者・役員:労働基準法上の「労働者」に該当しないため、名簿の管理対象にはならない。
さらに、出向中の従業員については「自社に在籍しているかどうか」によって名簿作成義務が異なります。出向元と出向先で雇用関係がある在籍出向の場合、両方で労働者名簿が必要です。これに対し、出向先のみが雇用関係を持つ移籍出向の場合、出向先のみが作成義務を負います。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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