- 更新日 : 2024年10月7日
【個人情報保護方針同意書】個人情報の取り扱いに関する同意書の書き方は?無料テンプレートつき
個人情報は、デジタル技術の進歩とともに有用性が高まっていますが、それと同時に個人の権利や利益が侵害されるリスクも大きくなっています。
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、個人情報取扱事業者が、個人情報をあらかじめ特定した利用目的を超えて利用する場合や第三者に提供する場合などには本人の同意を得る必要があることを定めています。
個人情報取扱同意書は、その同意を記録するための文書です。
目次
個人情報の取り扱いに関する同意書とは?
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)では、個人情報取扱事業者や行政機関が個人情報を取り扱う場合に守るべきルールを定めています。取り扱いに当たってあらかじめ本人の同意を得ることも、そうしたルールの一つです。
個人情報保護のルール
個人情報取扱同意書に関連する個人情報保護ルールを確認しておきます。詳細は以下の通りです。
- 個人情報は、利用目的を特定し、その目的の達成に必要な範囲内で利用しなければならない。この範囲を超えて利用する場合には、あらかじめ本人の同意を得る必要。
- 個人情報は、あらかじめ本人の同意がなければ第三者に提供することはできない。第三者に提供した場合には、「誰の、どんな情報を、いつ、誰に」提供したかの記録を保管する必要がある。
- 本人から個人情報の開示請求や訂正・削除の請求、あるいは苦情の申出があったときは、迅速かつ適切に対処しなければならない。
同意があったことを明確に記録
個人情報の取り扱いに関する同意の方法は法律で決まっているわけではありません。口頭で伝えても構いません。しかし、万が一トラブルが生じた場合を想定して、同意を示す文書を作成し保管しておく方がよいでしょう。
なお、法律では「あらかじめ」の同意を求めていますので、個人情報を取得する際に同意をもらっておき、その日付を必ず記載しておきます。
同意を得る対象によっては、Webサイト上に「同意して送信する」といったボタンを設け、同意を取得することも考えなくてはなりません。この際に必要なのが、画面上でそれぞれの内容を初めから最後までスクロールして読んでから、同意の送信ボタンを押せないようにする設計をすることです。このような対応をすることで、同意できたかどうかが把握しやすくなるでしょう。
個人情報の取り扱いに関する同意書が必要な場面は?
個人情報とは、氏名、生年月日、住所、勤務先、顔写真など特定の個人を識別できる情報のことです。生年月日や電話番号などは氏名と組み合わせれば個人の識別が可能であり、メールアドレスもユーザー名によって識別可能な場合は個人情報に該当します。
顔認証データや虹彩(こうさい)、手指の静脈、掌紋(しょうもん)などのデータ、パスポート番号、基礎年金番号、運転免許証番号、住民票コード、マイナンバー、保険者番号なども個人情報です。これらの情報を当初の利用目的の範囲を超えて利用したり、第三者に提供したりする場合には個人情報取扱同意書の取得が必要です。
なお、犯罪の経歴、犯罪による被害か被った事実、病歴などは要配慮個人情報といい、本人に差別や偏見などの不利益が及ばないように取り扱いに配慮が必要な情報です。要配慮個人情報は取得する際に個人の同意が必要とされるもので、本記事の同意書では使いません。
個人情報の取り扱いに関する同意書の書き方は?
個人情報の取り扱いにおいて本人の同意が必要なのは、個人情報の利用目的および第三者への提供に関する事項です。同意書のポイントも、これら2つの事項となります。また、本人による開示・訂正・利用停止の請求や問合せ窓口についても記載しておきましょう。
個人情報の利用目的・個人情報の第三者提供
利用目的と第三者提供は、個人情報取扱同意書の肝となる事項です。そもそもどのような目的で個人情報を取得するのか、今後の利用目的の見通しはどうか、第三者への提供の可能性はどうか、そういった内容を綿密に検討して、貴重な情報の適切かつ有効な利用を図りましょう。
個人情報の開示請求
本人から個人データの開示、訂正、利用停止などの請求があった場合、適切に対応することを記しましょう。なお、個人データを第三者に提供した際の記録(誰の、どんな情報を、いつ、誰に提供したかの記録)も開示請求の対象となります。
個人情報に関する相談窓口
個人情報に関する問合せや相談に対応する窓口を設け、同意書に記載しておくことは、当事者の安心と信頼の形成に役立ちます。
個人情報の取り扱いに関する同意書の無料テンプレート
個人情報取扱同意書のポイントは、利用目的と第三者提供に関する事項です。その結果を書類に整理する際には、下記のURLからダウンロードしてご利用ください。
ワード:https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/4468
エクセル:https://biz.moneyforward.com/payroll/templates/4472
なお、利用目的については利用する事業者の業務内容に応じて、第三者提供については関連事業者との法律的な関係などによって記載方法が異なります。社内だけでなく関係事業者も含めて十分な検討を行ってください。
知っておきたい「個人に関する情報」
ここまで個人情報の取り扱いについて同意書の作成を中心に説明してきました。取扱同意書は、有用な個人情報を適切に利用するために必要な手続きであるだけでなく、事業者がどのように活用するかを整理したものでもあります。利用目的や第三者提供についての検討をしっかり行ってください。
さて、個人情報保護法では、個人に関する情報は以下の4つにカテゴライズしています。
①個人情報
②仮名加工情報
③匿名加工情報
④個人関連情報
①の個人情報についてはここまで説明してきましたので、それ以外の3つの情報のポイントを以下に紹介します。参考にしてください。
②仮名加工情報(かめいかこうじょうほう)
他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように、個人情報を加工して得られた情報です。
【例】個人情報 「山田太郎 男性 40歳 得点75」
<氏名をIDに変換すると仮名加工情報になる>
仮名加工情報 「(ID)男性 40歳 得点75」
③匿名加工情報
特定の個人を識別できないように、個人情報を復元不可能な形で加工して得られた個人に関する情報です。
【例】購買履歴(ID-POSデータ)を加工した匿名加工情報を利用して、消費者属性と購買傾向を新商品開発に利用
④個人関連情報
個人に関する情報であって、個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報のいずれにも該当しない情報です。個人関連情報を提供する相手方が、これを個人データとして取得することが想定されるときは、本人の同意が得られていることが必要です。
【例】Cookie、IPアドレス、端末ID、位置情報、ウェブ上での閲覧履歴や購買履歴
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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