- 更新日 : 2025年11月11日
2024年診療報酬の改定のポイントをわかりやすく解説
令和6年度(2024年度)の診療報酬改定が、2024年3月に公布されました。改定の背景や、改定された主なポイント、関連事業者への影響についてわかりやすくご紹介します。また、いつから施行されるのかについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
診療報酬とは?
診療報酬とは、医療機関に医療行為の対価として支払われる費用のことです。1点=10円で計算され、自己負担分(原則3割)は患者が、残りは加入している医療保険者が支払います。
診療報酬の改定は2年に1回、市場価格を適切に反映させる必要がある薬価の改定は1年に1回です。改定率は国の予算編成により内閣によって決められ、個々の価格については中央社会保険医療協議会の議論も踏まえた形で厚生労働大臣が決定します。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
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2024年診療報酬改定の背景
2024年度の診療報酬改定は、物価高騰や賃金上昇、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響などを踏まえて実施されました。医療・介護・障害福祉サービスの連携を強化し、医療DXやイノベーションの推進により質の高い医療を実現することも、改定の背景にあります。
なお、2024年度の診療報酬は、全体的に0.88%の引き上げです。この引き上げにより財源を確保し、社会保障制度の安定性と持続可能性を高めることが期待されています。
2024年診療報酬で改定のポイント
2024年の診療報酬改定の主なポイントとしては、次の5点が挙げられます。
- 賃上げ・基本料の引き上げ
- 医療DXの推進
- 感染症対策
- 生活習慣病にかかる疾病管理
- 地域包括医療病棟の新設
それぞれのポイントについて解説します。
賃上げ・基本料の引き上げ
診療報酬を0.88%引き上げることで、医療関係職種の賃金の引き上げを実現します。原則として、令和6年に2.5%、令和7年は2.0%の賃上げを目指します。
入院時の食費基準額は1食あたり30円の引き上げです。基本的には引き上げ分は全額患者負担ですが、低所得者については所得区分などにより10~20円の負担とします。
また、賃上げに加え、後述しますが感染症対策を実施するため、さらなる資金が必要です。初診料・再診料も見直し、財源確保に努める必要があります。
医療DXの推進
医療情報取得加算が新設され、マイナ保険証を使った効率的な情報取得を実施したときには1点加算されます。なお、新規に情報取得をしたときだけでなく、3ヶ月に1回は再診時も加算されるため、定期的な財源確保に役立ちます。
新設された医療DX推進体制整備加算が適用されるには、マイナ保険証の診察室等での活用と電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスの整備が必要です。医療機関ごとにDXを推進し、より効率的な運営を実施していくことが求められます。
感染症対策
改正感染症法と第8次医療計画に基づく協定指定医療機関では、感染対策向上加算と外来感染対策向上加算が可能です。感染対策を強化し、患者が安心して来院できる医療機関へと変えていくことが必要です。
また、次の加算も新設されました。
- 発熱患者等対応加算
- 特定感染症入院医療管理加算
生活習慣病にかかる疾病管理
特定疾患療養管理料の対象疾患から、糖尿病、脂質異常症および高血圧が除外されました。除外された疾患の管理については、療養計画書への同意や診療ガイドラインを参照することなどを要件に、出来高算定で生活習慣病管理料(Ⅱ)として新設されます。なお、生活習慣病管理料(Ⅱ)は、月に1回の加算です。
また、地域包括診療加算と認知症地域包括診療加算を見直し、かかりつけ医とケアマネージャーの連携を促進します。いずれも(1)と(2)に分けられ、状況に応じたきめ細かな加算が実施されます。
地域包括医療病棟の新設
高齢者の急性疾患の治療にあたり、早期退院に向けたリハビリテーションおよび栄養管理等を適切に提供する地域包括医療病棟が新設されました。地域包括医療病棟では重症度や医療・看護の必要度などの見直しにより、急性期医療の機能分化促進を目指します。
これに対応し、地域包括医療病棟入院料と特定集中治療室管理料が新設され、急性期や周産期、回復期など患者の状態に合わせた加算も実施されます。
診療報酬改定はいつから?
従来、診療報酬改定は前年の12月に予算編成を実施し、4月1日に施行されていました。しかし2024年の診療報酬改定については、2023年12月に予算編成を実施した点は例年通りでしたが、4月1日には薬価改定のみ、材料価格の改定を含む本格的な施行は6月1日となりました。
なお、2024年度の診療報酬改定に伴う施設基準の届出については、2024年5月2日~6月3日(必着)の提出が必要です。期限に遅れた場合は、各月の末日までに届出を受理された分については翌月1日からの適用となります。
診療報酬改定による事業者への影響は?
2024年度の診療報酬改定を受け、事業者は以下の対応をすることが求められます。
- 従業員の賃上げ
- 基本料金の見直し
- 意思決定支援に関するガイドラインの作成
- 身体的拘束を最小限にする取り組みの実施
- DXに対応したシステムの導入
それぞれの対応について解説します。
従業員の賃上げ
定期昇給分とは別に、従業員の基本給の引き上げを、2024年には2.5%、2025年には2.0%の割合で実施することが求められます。賃金増率が低い場合は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)や訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)などの上乗せ評価も実施します。
基本料金の見直し
初診料や再診料、入院基本料、外来診療料などの診療報酬が改定されるため、それに合わせて基本料金の見直しを実施することが求められます。また、料金をホームページなどに掲載している場合は、合わせて見直し・修正が必要です。
意思決定支援に関するガイドラインの作成
人生の最終段階において、適切な意思決定支援を推進する観点から、厚生労働省のガイドラインの内容も踏まえ、意思決定支援に関する医療機関のガイドラインを作成することも必要です。なお、入院料などの基本料金の中には、意思決定支援に関するガイドラインの作成が要件となるものもあります。
身体的拘束を最小限にする取り組みの実施
医療機関では、身体的拘束を最小化する取り組みの強化が求められます。入院料の施設基準として、患者もしくは他の患者などの生命・身体を保護するために緊急かつやむを得ない場合を除いて、身体的拘束をしてはならないことを規定することが必要です。また、身体的拘束を最小化する体制の整備も求められます。
DXに対応したシステムの導入
マイナ保険証を利用できる環境を構築し、電子カルテや電子処方箋の共有サービスの導入・利用も求められています。DXに対応したシステムを導入することで、業務効率化や人件費削減などの効果も期待できます。
診療報酬改定に関する注意点
2024年度の診療報酬改定に対応するにあたり、以下の点に注意が必要です。
- オンライン診療の対応
- 働き方改革の対応
感染対策や過疎化対策の影響もあり、オンライン診療が普及してきています。オンライン診療への対応も検討し、体制整備に取り組むことも必要です。また、セキュリティ上の不安をなくすためにも、電子カルテや電子処方箋を利用できる環境を整えることも求められます。
働き方改革への対応も必要です。ICTの導入による業務効率化を推進し、業務時間の短縮、適切に休養・休暇を取得できる環境を構築しましょう。
診療報酬改定の内容と事業者に求められる対応を確認しておこう
2024年度の診療報酬改定は、医療従事者の働きやすさやICT化などの実現を目指す内容です。新設される加算も多いため、要件を確認しておきましょう。
また、基本料金や薬価の見直しも実施されました。法改正に対応できるシステムの導入も検討し、ミスのない診療報酬計算を実現してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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