- 更新日 : 2024年10月30日
内定ブルーとは?原因や悪化のリスク、解消法、人事のフォローを解説
内定ブルーとは、学生が内定した企業への入社や社会人生活に漠然とした不安を抱くことで、2024年卒業の学生の約65%が経験しています。内定ブルーは内定辞退や早期離職につながる可能性があり、企業としては見過ごせません。この記事では内定ブルーの概要や原因、防止策等を紹介しますので、内定者フォロー等の際の参考としてください。
目次
内定ブルーとは?
内定ブルーとは、企業から内定を受けたものの、その企業への就職を選んだことや社会人生活に対して漠然とした不安感が高まり、憂鬱な気分になることです。結婚前後のマリッジブルーや出産前後のマタニティーブルーになぞらえて内定ブルーと呼ばれています。
以下では内定ブルーの主な症状、内定ブルーの発生割合などを解説します。
内定ブルーの主な症状
内定ブルーの主な症状には以下のようなものが挙げられます。
- 内定後の漠然とした不安な気分とそれによる不眠症状
- 将来に対する憂鬱な気分
- 理由もなく泣いてしまう
- 自分自身に自信が持てない
- 友人の内定先をうらやましく思う
内定ブルーになる割合は?
大学生向け就活情報サイト「就活の教科書」運営会社による2024年卒業の大学生へのアンケート調査結果によると、内定ブルーを経験したことがある学生の割合が約65%に達していることが分かりました。
第一志望の企業に内定した学生に限定しても58.6%、第一志望以外の企業に内定した学生に至っては75.5%を占める状況で、非常に多くの学生が内定ブルーを経験しています。
参考:【調査報告】内定ブルーで2割以上の学生が就活を再開! 対処法は「学生に評価した点を伝える」が効果的|就活の教科書 | 新卒大学生向け就職活動サイト
内定ブルーが起こる原因
以下では内定ブルーの発生原因を4点解説します。
社会人になることへの不安
アルバイトとは異なり、社会人として働く際の責任の重さについては、学生であっても理解しているでしょう。一方で、仕事上求められるスキルや実際の業務内容などについては未知の世界です。「自分に本当にできるのか」といった漠然とした不安を覚えることもあり、それが内定ブルーの原因となり得ます。
内定先の選択への不安
第一志望の企業に内定したものの、他に自分に合った企業があるのではないかと考えたり、第一志望の企業に内定できずに妥協したことを後悔したりすることもあるでしょう。このような形で、内定先の選択に不安を覚えることが内定ブルーの原因として考えられます。
企業イメージとのギャップ
就職活動の企業研究等で抱いた企業イメージと、内定後の懇親会等で企業の社員に関わることで感じるイメージとの間にギャップを感じることも内定ブルーの原因になります。
また、入社までの間に内定した企業に関する悪い評判などを口コミや友人などから得ることもあるでしょう。就職活動中に抱いていたポジティブな企業イメージとのギャップを感じることも内定ブルーの原因となり得るでしょう。
入社後に自信が持てない
内定者懇親会や内定後インターンシップなどで、高いスキルを持つ優秀な内定者に接したり、実際に業務の一部を経験したりすることがあります。そのようなとき、入社後自分がうまくやっていけるか自信が持てなくなることも内定ブルーの原因です。
内定ブルーが悪化するとどうなるか
内定ブルーの状態は入社への意欲低下につながるため、決して放置してはなりません。以下では、内定ブルーの状態を放置し、症状が悪化した場合に発生し得ることを3点紹介します。
内定辞退につながる
内定ブルーにより、内定者が社会人として働くことに自信をなくしてしまうことから、その状態を放置していると内定辞退につながる可能性があります。内定の早期化が進み、内定から入社までの期間も長期化しているため、その間の内定者フォローが非常に重要と言えるでしょう。
早期離職の可能性
内定辞退に至らずに入社したとしても、内定ブルーに至った原因が解決されない状態で放っておくと、早期離職につながる可能性もあるでしょう。入社後の継続的なフォローアップも重要と言えます。
再就職の活動
内定ブルーの状態が続くと、内定企業に入社することへの不安が増幅されるため、他の企業に入社したいと考えることもあるでしょう。そのような学生は一旦やめた就職活動を再開する可能性があります。
就職活動の結果、本人が納得できる企業の内定が得られたら、先に述べた内定辞退につながります。就職活動をやり直しても、多くの企業が内定者を出した後のため、うまく内定を取れないこともあります。その結果、内定辞退をせずに入社する場合もありますが、内定ブルーが解消されていないと離職につながる可能性があります。
内定ブルーになりやすい人
内定ブルーになりやすい人にはどのような特徴があるでしょうか。以下で代表的な特徴を3点紹介します。内定者とのコンタクトを通じて内定ブルーになりやすい人を把握し、きめ細かいフォローにつなげることで内定ブルーの発生を防止することが、人事担当者にとって大変重要です。
変化に対応しづらい人
社会人になることで、生活リズムも大きく変わり、ビジネスマナーや業務に関するスキルなど覚えなければならないことが多いため、変化が大きいと言えます。変化に対応することが苦手な人は、上記のような変化への不安が増幅しやすく、内定ブルーになる可能性が高いと言えるでしょう。
自分に自信がない人
自分自身の能力に自信がない人も内定ブルーになりやすいと言えるでしょう。社会人として活躍するためには、他人から教えてもらうのを待つだけでなく、仕事を通じて自ら積極的にスキルや経験を積み上げて成果を挙げる必要があります。
そのため、自分自身の能力に自信がない場合、社会人としてうまくやっていけるのか漠然とした不安を抱えやすく、内定ブルーにつながりやすいと言えます。
物事をマイナスに捉えがちな人
物事をマイナスに捉えがちな人は、社会人になるという人生のターニングポイントを前向きに捉えられずに不安や恐怖心が先行してしまいます。実際に取り組んでみなければ分からないにも関わらず、入社前から仕事で失敗してしまうのではないかといったネガティブ思考にさいなまれ、内定ブルーを引き起こしてしまいます。
内定ブルーを解消・克服するには?
内定ブルーを放っておくと、本人にとっても会社にとっても良からぬ結果を招きます。以下では内定ブルーを解消、克服する方法について3点紹介します。
信頼できる人に相談する
信頼できる人に相談することも内定ブルーのよい解消法です。社会人経験のある大学の先生やサークル等の信頼のおける先輩であれば、自らの経験などを通じてアドバイスを受けられることでしょう。
経験豊富な信頼できる人への相談により漠然とした不安を言語化することで、不安の解消だけでなく、自分自身の考えを整理できるため、内定ブルーの解消につながると言えます。
内定先の社員や同期と交流する
内定先の企業では、内定者懇親会や研修などを開催することがあります。そのような場を利用して内定先の企業の社員や同期となる学生と入社前に抱いている悩みを共有したり、アドバイスを受けたりすることで不安を解消できます。
このような機会を通じて、一緒に働く人たちと人間関係を構築できれば、入社への安心感が得られ、内定ブルーの解消につながることでしょう。
内定先で役立つことを勉強する
入社後の仕事の内容をある程度知っている場合には、その仕事に役立つ資格取得等のための勉強をすることで自信につながるため、内定ブルーの解消に重要と言えます。
内定ブルーを防ぐための人事の対応法
人材確保が難しい昨今において、内定辞退を招くことは企業にとって大きな問題です。よって、内定ブルーの発生を防ぐことは人事担当者にとって重要なタスクと言えます。
先に述べた内定ブルーの原因の多くに共通しているのは、内定者の漠然とした不安感のため人事担当者としてその解消策を考え、実行に移すことが重要です。以下で代表的な対応法を4点紹介します。
定期的にフォローアップ研修を行う
内定者の不安の解消のためには、企業に関する情報発信や内定者の交流を図るために定期的にフォローアップ研修を行うことが効果的です。カリキュラムに内定者と年齢の近い若手社員が出席する座談会を取り入れるなど、内定者が企業をより身近に感じ、入社への不安感を解消できる取り組みが効果的と言えます。
内定者同士でコミュニケーションできる場を作る
上記のフォローアップ研修の際、またはそれ以外でもよいですが、内定者同士がコミュニケーションできる場を設けることも重要です。内定者懇親会などを開催し、入社後に同期となるメンバーと不安を共有したり、将来の夢を語ったりすることで内定ブルーに陥ることを防げるのではないでしょうか。
先輩、上司とコミュニケーションできる場を作る
先輩社員や将来の上司にあたる社員とのコミュニケーションの場を作ることは、内定者が入社後の自らの姿をイメージし、会社の雰囲気を実感できるため、内定ブルーの防止には効果的と言えます。
フォローアップ研修時に先輩社員等との懇親会を設けるのもよいですし、人事担当者が内定者から1on1形式で相談に乗る場を設けるのもよいでしょう。メンター制度を通じて、内定者が先輩社員から直接アドバイスを受けられる場を設ける形もあるかもしれません。このような形で会社が内定者の不安に寄り添うことが内定ブルーを防ぐことにつながります。
実際に仕事を体験してもらう
内定者が仕事の内容や社風、職場の雰囲気が分からないことに不安を感じるのも内定ブルーの原因の一つです。
この不安を解消するために、内定者アルバイトやインターンシップを通じて、内定者に実際に職場に足を運び、仕事を体験してもらうことは効果的と言えます。入社後に一緒に働くであろう先輩社員の仕事ぶりを見たり、実際に業務の一部を体験したりすることで、入社後の仕事がイメージできます。
また、仕事に必要とされるスキル等を把握することで、入社前に準備すべきことも具体化でき、入社に対して前向きになれるため、内定ブルーを防ぐことができるでしょう。
内定者の不安に寄り添い、大切な人材を確保しよう
昨今の内定の早期化により、内定から入社までの期間が長くなったことで、内定ブルーが発生しやすくなっていると言われています。
内定者は、社会人になることや内定した企業に入社することに対して漠然とした不安を抱いており、それが内定ブルーの主な原因とされています。内定ブルーを放っておくと、内定辞退や入社後の早期離職につながることも考えられます。人材確保がますます難しい状況の中、内定者の確保への取り組みは大変重要です。
この記事で紹介した内容を参考にして、内定者の不安に寄り添い、大切な人材の確保につなげましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
退職者に関して会社がやること – 手続きの方法を解説!
従業員が退職する際には、社会保険や雇用保険、所得税・住民税などに関するさまざまな手続きが必要になります。 ここでは、労務担当者の方に向けて、退職者が出たときに必要な手続きや書類について詳しく解説します。 従業員の退職が決まったら、労務担当者…
詳しくみる社宅のデメリットとメリットとは?制度を導入する手順も解説
社宅制度にはメリットがある一方で、コストの増大や管理業務の負担などデメリットが存在します。 本記事では、企業と従業員の視点から社宅制度のメリット・デメリットを解説するとともに、社宅制度を導入するための具体的な手順も紹介します。 社宅のデメリ…
詳しくみるクライシスマネジメントとは?リスクマネジメントとの違いやプロセスを解説!
企業経営において、予期せぬ危機に直面することがあります。自然災害や製品不具合、情報漏洩など、さまざまなクライシスが企業の存続を脅かす可能性は否めません。このような状況下で、企業が迅速かつ適切に対応し、被害を最小限に抑えるためには、効果的なク…
詳しくみるエンプロイアビリティとは?意味やチェックシートの活用方法を解説!
エンプロイアビリティとは、従業員の「雇用され得る能力」という意味です。対外的には転職するための能力を示し、対内的には会社に適応し、成長し続けられる能力を指します。 本記事では、エンプロイアビリティの意味や種類、3つの要素を解説します。厚生労…
詳しくみるES(従業員満足度)とは?調査方法・ひな形、向上への取り組みを解説
ES(従業員満足度)とは、職務内容や待遇などの労働条件、労働環境や福利厚生、人間関係など、仕事や職場に対する従業員の満足度を表す指標のことをいいます。 近年、ES向上に取り組む会社が増えています。この記事では、ESの意味や構成要素、ESを高…
詳しくみる特定求職者雇用開発助成金とは?対象者や各コースの詳細、申請方法を解説!
特定求職者雇用開発助成金とは、障害者や高齢者などの就職困難者を採用した事業主に向けた助成制度です。令和5年度からは生涯現役コースと被災者雇用開発コースが廃止され、コースの種類や対象者も大きく変わりました。助成金の支給要件や各コースの詳細、申…
詳しくみる