- 更新日 : 2024年1月30日
ダイアローグとは?意味や実施方法を解説!
ダイアローグとは、単なる情報交換にとどまらずに相互理解を通じて意識や行動の変化を引き出し合う創造的コミュニケーション手法です。チーム内のコミュニケーションの質を高め、パフォーマンスを向上させるものであり、昨今注目されています。この記事ではダイアローグの定義、メリット、実施方法と注意すべきポイントについて解説します。
目次
ダイアローグとは?
ダイアローグ(dialogue)は一般的には「対話」「対談」の意味ですが、ビジネスシーンにおいては相互理解を深めて、互いに意識や行動の変化を引き出し合う創造的なコミュニケーション手法を意味します。
テレワークの機会が増えたり、フレックスタイム制が浸透したりすることで、同じ職場の従業員同士が顔を合わせる機会が減り、コミュニケーション不足が懸念されています。また、生産年齢人口減少に直面し、企業においては人材や働き方の多様化が進んでいます。
多様な人材が共に働く中で、チームとしての生産性を高めるには、メンバーが相互理解を深めて協力することが不可欠です。このような背景から、ビジネスシーンにおけるダイアローグの活用が求められています。
以下では、ダイアローグの意味をより明確にするため、会話、ディスカッションとの違いについて解説します。
会話との違い
対話、対談を意味するダイアローグと会話とは似て非なるものです。会話は単なる情報交換の手段であり、おしゃべりにすぎません。対して、ダイアローグはやり取りを通じて物事や互いの考え方や立場を理解するなど、行動に移すきっかけになる形の創造的なコミュニケーションであることに違いがあります。
ディスカッションとの違い
ディスカッションはテーマに対して最終的な意思決定を行うことを目的としています。参加者がそれぞれの意見を主張し合いながら、ときには反対意見に対して説得を行うことなどを通じて、チームにとっての正しい結論を見出します。
一方、ダイアローグは互いの意見に優劣をつけたり、一定の結論を見出したりするために行うものではありません。対話を通して意見や体験を共有し合いながら立場や価値観などの相互理解を深め、次の行動につなげる形の話し合いです。ときには他の選択肢や視点がないかなどを探究しながら話し合いを深めていくこともあります。
ダイアローグを導入するメリットは?
ダイアローグを導入することによってメンバー間の相互理解が促されるため、チーム内のコミュニケーションを通じて企業、従業員双方に以下の3つのメリットが期待されます。
相互理解・自己理解を深める
ダイアローグでは対話を通じてお互いの価値感や考え方を知ることになるため、相互理解が深まり、協力の姿勢などが育まれます。またメンバーの間に気遣いや思いやりも生まれ、チームワークによい影響を与えます。
また、自分の意見を参加者に発信したり、他の参加者の意見に耳を傾けたりすることで、考え方の違いを見出すことが可能です。なぜその考えに至ったのかを深く考えることで、自分自身をより深く理解したり、新たな気づきを得たりすることにもつながるでしょう。
新しい価値観やビジョンを見出す
ダイアローグではディスカッションのように一定の結論を求めて論争をするのではなく、参加者がお互いにフラットな立場で自由に意見を出し合います。他者が持っていて自分が持っていない新しい価値観やビジョンに関する気付きを得られるでしょう。従来の価値観や既存の考え方に捉われないアイディアを創造することにつながり、自分自身やチーム全体に一層の成長をもたらします。
チームの結束力・一体感を強化し、生産性を高める
ダイアローグの参加メンバー全員が分け隔てなく自由に発言でき、各自の発言に耳を傾けながら進めるため、相互理解が深まり、メンバー間の結束力や一体感を高めることができます。チームワークは強化され、業務やプロジェクトを進める上での生産性を高めることにつながるでしょう。組織の変更や新たなチームメンバーを迎えた際などに実施すると効果的です。
ダイアローグの実施方法は?
ダイアローグの実施方法について以下に解説します。参加者の相互理解を深め、新たな発見につなげることが重要です。
対話を始める前にアイスブレイクを行う
ダイアローグの前に、参加者が発言しやすい雰囲気を作ることが大変重要です。発言しやすい雰囲気づくりのためにはアイスブレイクを行うのがおすすめです。無理に深い話や難しい話をするのではなく、普段通りの当たり障りのない会話ができるよう、自己紹介や簡単なゲームなどを通して、和やかな雰囲気を作ります。後ほど紹介するファシリテーターが中心となって進行するとよいでしょう。
参加者が平等に発言する
アイスブレイクを通して場が和んだところで、対話を始めます。参加者全員が平等に発言できるようにすることが重要です。参加者は率直に自分の意見を述べ、相互理解を深める一歩とします。なぜその考えに至ったかや具体的な経験なども交えながら意見を述べるようにすると、理解が深まるでしょう。
相手の意見を傾聴する
他の参加者の発言内容を傾聴することも重要です。相互理解を深めることはもちろん、発言しやすい雰囲気を作るためにも傾聴は欠かせません。どのような意見であっても先入観を持たずにしっかりと聞く姿勢を持つ必要があります。
対話を通して新たな気づきを得る
発言者の意見を傾聴するだけでなく、意識的に問いかけを行うことも重要です。質問やその回答を通じて、発言者においては新たな気づきを得られます。他のメンバーにおいては意見の背景にある価値観や考え方が明らかになるため、発言者へのより深い理解につながり、ダイアローグを効果的に進められます。
ダイアローグを効果的に実施するポイントは?
ダイアローグを効果的に実施するためのポイントを以下に解説します。参加者が話しやすい仕掛け作りが重要です。
ファシリテーターを設ける
ファシリテーターは、会議などを進行する役割を果たす人です。参加者の積極的な意見交換を促し、よりよい結果を生み出すことを目的としているため、参加者の相互理解を通じたコミュニケーション手法であるダイアローグの進行役に適しています。ファシリテーターはダイアローグの進行に必要なスキルを持っていますが、ダイアローグの経験者がより適任と言えるでしょう。
参加者が主体的に発言する雰囲気を作る
相互理解を深めるためには、意見の背景にある価値観や考え方などを述べることが効果的です。しかし、そのような発言を引き出すには、参加者が主体的に発言できる雰囲気を作ることが重要です。ファシリテーターは進行役として参加者に発言を強いるのではなく、発言しやすい雰囲気づくりを心がけるようにしましょう。
他人の意見を尊重する
相互理解には他人の意見を尊重することが重要です。異なる意見に関心を持つことや、お互いを理解し合えるプロセスがあることが分かると、安心して意見を述べることができ、主体的な発言にもつながります。
また、意見に関心を持ち、尊重していることを表すのに、発言者への問いかけは非常に重要です。参加者から質問が出ない場合には、ファシリテーターがそのスキルを活かし質問役に回るとよいでしょう。
アイメッセージに心がける
ダイアローグの際に意見を出しやすい雰囲気にするには、発言者を否定したり、断定的な口調で話したりしないようにする必要があります。そのためには「アイメッセージ」を心がけることが求められます。
アイメッセージとは「私はこのように考える」など、意見を述べる際に「私は=アイ(英語のI)」を主語に置くことを意味します。あくまで自分の感情を相手に伝え、その内容に関する判断を相手に委ねる形の主張のため、相手を尊重したコミュニケーション手法と言えます。アイメッセージは場の雰囲気を和ませることにつながるでしょう。
ダイアローグを取り入れ、チームのパフォーマンスを高めよう
メンバー間の相互理解を通じて、意識や行動を引き出すことができるダイアローグは、チームのコミュニケーションの質を高められる手法です。IT化や従業員の多様化が進む昨今においては、ダイアローグを通じたコミュニケーションのレベルアップと組織の強化がますます重要になるでしょう。この記事で紹介した内容を参考に、ダイアローグを取り入れて、チームのパフォーマンスを高め、自社の業績向上につなげましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
プロボノとは?ボランティアとの違い・メリットを解説!
プロボノとは、職業上のスキル・経験を活かして社会的または公共的な目的のために取り組む社会貢献活動のことです。近年では、東日本大震災の復興活動などをきっかけに、その取り組みが広く認知され、企業としても自社社員のプロボノ活動を支援する動きが見ら…
詳しくみるさとり世代とは?ゆとり世代やつくし世代との違いや特徴を解説!
さとり世代とは、「物欲が少なく消費行動よりも安定した生活を好む」若者気質を指した言葉です。1980年代後半から2000年代前半に生まれた人々を指します。「インドアを好む」「合理的」「非ブランド志向」などのいくつかの特徴があります。ここでは、…
詳しくみる社宅代行サービスとは?利用時のメリット・デメリット〜流れを解説
企業の社宅管理には、新規契約・更新・解約手続き、家賃管理など多くの業務が発生します。 業務をすべて社内で対応するのは、担当者の負担が大きく、コストや手間もかかるのが現実です。 社宅代行を利用すると、業務の効率化やコスト削減が可能になり、企業…
詳しくみるアルバイトにも労働基準法が適用!労働条件や違反となる事例を解説
人手不足の昨今において、アルバイトは貴重な労働力となります。アルバイトは好きな時間や曜日に働けるため、労働者側にとってもメリットのある形態です。しかし、アルバイトを雇用する企業のなかには、知らぬ間に労働基準法に違反している場合も少なくありま…
詳しくみる振替休日を土曜日に設定できる?企業の休日運用のルールと注意点
「休日出勤の振替休日を、土曜日に設定してもいいのだろうか?」企業の経営者や労務担当者の方であれば、一度は考えたことがある疑問かもしれません。 振替休日を土曜日に設定できるかどうかは、その土曜日が貴社にとって「労働日」か「休日」かによって決ま…
詳しくみる労働条件通知書はいつまでに渡すべき?発行のタイミングや明示方法も紹介
基本的に労働条件通知書は、雇用契約を締結するときまでに渡すべきです。労働基準法でも、労働契約の締結に際して労働条件を明示しなければならないと規定されています。 ただ「具体的にはいつまでに渡した方がいい?」「社員が入社するタイミング以外にも発…
詳しくみる