- 更新日 : 2024年2月22日
勤怠管理の丸め処理とは?丸めることの違法性や処理方法について解説
勤怠管理の丸め処理とは、打刻時間における端数の切り上げや切り捨てを行うことです。勤怠管理の丸め処理を行っている会社は多くありますが、間違った運用をすると法律違反になりますので注意が必要です。
本記事では、勤怠管理の丸め処理とはどういうものかや、違法性、処理方法について解説していきます。
目次
勤怠管理の丸め処理とは?
勤怠管理の丸め処理とは、打刻時間における端数について、決められた単位により切り上げや切り捨てを行うことです。本項では、勤怠管理の丸め処理とはどういう処理なのかや、企業ごとに処理方法が異なることについて解説していきます。
打刻時間を切り上げ・切り捨てること
勤怠管理の丸め処理による打刻時間の切り上げとは、以下のようなケースです。
たとえば、出社時のタイムカードなどの打刻時間が8時5分の場合、15分間隔で丸め処理をしていれば出社時の打刻時間が8時15分になります。
退社時の打刻時間の切り上げは、タイムカードなどの打刻時間が17時20分の場合、15分間隔で丸め処理をしていれば退社時の打刻時間が17時30分になります。
一方、勤怠管理の丸め処理による打刻時間の切り捨てとは、以下のようなケースです。
たとえば、出社時のタイムカードなどの打刻時間が8時5分の場合、15分間隔で丸め処理をしていれば出社時の打刻時間が8時になります。
退社時の打刻時間の切り捨ては、タイムカードなどの打刻時間が17時20分の場合、15分間隔で丸め処理をしていれば退社時の打刻時間が17時15分になります。
丸め処理のやり方は企業ごとに異なる?
勤怠管理の丸め処理は、丸める分数の設定や、始業時刻と終業時刻の片方を丸めるのか、両方丸めるのかなど企業ごとにやり方が異なります。
また、丸め処理の方法として、打刻時間を切り上げるのか、切り捨てるのかなどについても企業によって異なるでしょう。勤怠管理の丸め処理は、状況に合わせて企業ごとに決めることができます。
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丸め処理は違法?
勤怠管理の丸め処理は、給与計算を行う上では複雑な計算を防げるため、業務の効率化につながるメリットがあります。しかし、丸め処理の運用方法を間違えた場合は、違法になる可能性があるため注意が必要です。
本項では、勤怠管理の丸め処理は違法なのかどうかについて解説していきます。
基本的には違法
労働基準法第24条では、従業員が使用者から受けとる賃金について「賃金支払いの5原則」を定めています。その中の1つである「全額払いの原則」では、所得税や社会保険料などの控除や、労使協定を結んでいる場合以外は賃金を全額残らず支払われなければならないのです。
この「全額払いの原則」により、従業員が働いた時間はたとえ1分であっても賃金を支払わなければなりません。そのため、従業員の不利になるような丸め処理は、基本的には違法になります。
本来は1分単位での労働時間管理が原則
労働時間管理は、本来1分単位で行われるのが原則です。このことは、実際には労働基準法で明文化されているわけではありません。しかし、賃金支払いの5原則の全額払いの原則から、たとえ1分でも労働時間を切り捨てずに労働時間管理が行われなければならないと解釈されています。
従業員にとって不利益になる丸めには特に注意
労働時間は、1分単位で計算するのが原則です。しかし、1分単位での計算は給与計算が複雑化するため、勤怠管理の丸め処理をすることが現実的になります。ただし、従業員にとって不利益になる丸め処理は違法の可能性があるため、特に注意が必要です。
認められている丸め処理の具体例
勤怠管理の丸め処理による労働時間の切り捨てについては違法となる可能性が高いです。
ただし、以下のケースについては、給与計算事務の複雑化を防ぐために、行政通達(昭和63年3月14日、基発第150号)により例外的に以下の丸め処理による労働時間の切り捨てが認められています。
1か月における時間外労働・休日労働・深夜業の合計時間数に1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨ててそれ以上の端数を1時間に切り上げること
たとえば、1月の時間外労働は、1月5日に45分、1月10日に1時間15分、1月17日に1時間20分だったとします。この場合の1月の時間外労働は合計で3時間20分ですが、端数の20分を切り捨てて3時間として割増賃金の計算をしても問題ありません。
労働時間の切り捨てが認められる丸め処理のポイントは、時間外労働、休日労働、深夜業であることと、1日単位でなく1か月単位で端数が発生することです。
運用方法が正しい場合の丸め処理のメリット
勤怠管理の丸め処理は、運用方法を間違えると違法になるため注意が必要です。しかし、丸め処理を正しく運用すれば、人事労務担当者にとって大きなメリットになります。本項では、勤怠管理の丸め処理のメリットについて解説します。
労働時間の計算業務を簡略化できる
勤怠管理の丸め処理を行わない場合には、1分単位にて労働時間の計算をしなければなりません。1分単位での労働時間の計算は従業員の数が多いほど複雑化するため、計算ミスのリスクが高まります。
一方、15分単位や30分単位で丸め処理を行えば、労働時間の計算業務を簡略化できるため、計算ミスのリスクを減らすことができます。その結果、人事労務担当者の業務負担も減らすことができるのです。
運用方法が間違っていた場合の丸め処理のデメリット
勤怠管理の丸め処理は、運用方法を間違えた場合には大きなデメリットになります。本項では、勤怠管理の丸め処理のデメリットについて解説します。
労働基準法違反になる
労働基準法の第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。
勤怠管理の丸め処理により労働時間の切り捨てを行った場合、切り捨てた分の賃金が未払いと判断されると労働基準法第24条違反にななります。そのため、基本的には労働時間を切り捨てる勤怠管理の丸め処理は、行わないほうがよいでしょう。
違反になる丸め処理の具体例
労働時間を切り捨てるなどの従業員にとって不利益になる丸め処理は、違反となる可能性があります。たとえば、所定労働時間を越える残業時間について、15分未満を切り捨てて給与計算していたとします。
労働時間は、残業時間も含め1分単位で計算することが原則です。このケースでは15分未満の時間を切り捨てているため、1分単位で計算する原則から反しています。そのため、従業員にとって不利益になり、違反となる丸め処理になります。
また、10分の遅刻を30分の遅刻として計算したり、10分の早退を30分の早退として計算したりすることも違反となる丸め処理です。
エクセルを使用した丸め処理の関数
勤怠管理の丸め処理をした時刻をエクセルで集計するときに、以下の関数を使用すると簡単に集計できます。本項では、エクセルを使用した丸め処理の関数について解説します。
切り上げ:CEILING関数
CEILING関数とは、基準値の倍数のうち最も近い値に切り上げられた数値を返却する関数です。 CEILING関数の数式は、「=CEILING(数値,基準値)」で表します。
たとえば、打刻時間が8時55分で15分切り上げたい場合には、CEILING関数の数値に8時55分を入力して基準値に15を入力すれば、このセルは9時と表示されるのです。
切り捨て:FLOOR関数
FLOOR関数とは、指定された基準値の倍数の中で最も近い値かつ 0に近い値に切り捨てられた数値を返却する関数です。FLOOR関数の数式は、「=FLOOR(数値,基準値)」 で表します。
たとえば、打刻時間が9時5分で15分切り捨てたい場合には、FLOOR関数の数値に9時5分を入力して基準値に15を入力すれば、このセルは9時と表示されるのです。
勤怠管理システムの活用
エクセルで関数を活用して勤怠管理の丸め処理を計算する方法もありますが、丸め処理自体が労働基準法違反になる可能性があります。
そのため、丸め処理なしに労働時間を1分単位でデータ集計・計算できる勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。
マネーフォワードの勤怠管理システム「マネーフォワード クラウド勤怠」は、出勤、休憩開始、休憩終了、退勤の打刻について1分単位で集計する仕組みになっています。法律を犯すリスクを避けたい方は、ぜひ導入を検討してみてください。
勤怠管理の丸め処理は正しく運用することを心掛けよう
勤怠管理の丸め処理は、正しく運用すれば給与計算が簡略化して業務の効率化を図れるメリットがあります。しかし、労働時間を切り捨てるなどの従業員に不利益を与えるような丸め処理は、違法となる可能性があるため注意しなければなりません。基本的には丸め処理は行わずに、労働時間は残業時間も含め1分単位で計算することが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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