- 更新日 : 2024年10月30日
キャリアデザインとは?意味や考え方・企業にとってメリットを解説
キャリアデザインとは、企業ではなく自分自身で将来のキャリアを設計していく考え方のことをいいます。最近では企業もキャリアデザインに注目していて、従業員の人材育成のために積極的な支援をしているところが多いです。
本記事では、キャリアデザインの意味や考え方だけでなく、企業にとってのメリットについても解説します。
目次
キャリアデザインとは?
キャリアデザインとは、自分の人生や仕事をしていく上での将来の目指す姿や目標を自分自身で主体的に設計していく考え方のことです。企業内での昇進や昇給などのキャリアを目的とするのではなく、社内に限定されずに将来どのような仕事や働き方をするかがポイントになります。
キャリアデザインと混同されそうな言葉として、キャリアパス、キャリアプラン、キャリア形成などがあります。本項では、キャリアデザインとキャリアパス、キャリアプラン、キャリア形成との定義の違いについて解説します。
キャリアパスとの違い
キャリアパスとは、企業内での昇進や目標とするポジションにつくことを目指す姿のことです。一方、キャリアデザインは、企業内での昇進などは意味ないことであり、社内に限定されずにキャリアを作成していくことになります。
企業内でのキャリアなのか、企業内に限定されないキャリアなのかが、キャリアパスとキャリアデザインの違いです。
キャリアプランとの違い
キャリアプランとは、今後やりたい仕事や理想の働き方などをプランニングすることです。転職や独立などの職業のみの行動計画のことをいいます。一方、キャリアデザインは、職業のみならずプライベートを含めた理想の人生を送るための行動計画のことです。
キャリア形成との違い
キャリア形成とは、まずは自分で進むべきビジネスキャリアや目的を計画し、その計画に対して知識やスキルを得て課題を克服して経験を積んでいく活動のことをいいます。一方、キャリアデザインは、キャリア形成のためにどのような人生を送っていくのかを人生設計することです。
キャリアを構成する要素
キャリアとは、以下3つの要素から構成されます。
技能、知識、資格、人脈
業務を遂行するために必要性があるスキル、知識、資格、人脈は、キャリアの基盤を作成する要素です。
行動特性、思考特性、態度、習慣
それぞれの人が持つ異なったもので、目に見えない要素です。
価値観や信念
どうあるべきかや、どのような価値を提供できるかなど、中長期的な人生のキャリアに関わる要素です。
キャリアデザインに意味はある?必要性について
昨今の社会情勢、企業、従業員の意識や価値観の変化の中では、キャリアデザインを設計することは意味がないことではありません。キャリアデザインを設計して、実現するためのキャリア形成や人生を送っていくことはとても大切なことです。本項では、キャリアデザインを設計することがなぜ必要か、その必要性について解説します。
先行きが不透明な社会への対応
近年では社会情勢が変化していて、不透明な状況が続いています。不透明な社会情勢は、グローバル化が進む現代では企業の業績にも大きく影響するのです。従業員がキャリアデザインを設計することで、社会情勢の変化に柔軟に対応できます。その結果、企業にもよい影響を与えることになるのです。
年功序列体制の崩壊・人材の流動性
昨今では、企業はすでに年功序列体制から、成果主義へ方針の転換をしています。また、一つの企業に定年までいられる終身雇用制度も崩壊し、人材の流動化はもはや当たり前の状況です。その中で、従業員がキャリアデザインを設計することは、スキルや能力が重視される現在では重要性があるのです。
キャリアの進め方に関する個人の考え方の変化
働くことへの個人の考え方も、社会情勢の変化とともに変わってきています。従来ではよくないこととされていた転職も、昨今ではキャリアアップによいことと捉えられています。転職を何回も繰り返す人も多い現代では、キャリアデザインを設計することが重要になってきているのです。
キャリアデザインを行う目的
キャリアデザインを行うことは、従業員のみならず企業にとっても様々なメリットがあります。本項では、キャリアデザインを行う目的について解説していきます。
従業員の自己実現
キャリアデザインを設計することにより、自分の目標としているキャリアや人生についての自己実現の目的が明確化されます。自己実現のための目指す姿が決まっていれば、異動や転勤などの意図しない偶発的な出来事があっても前向きに捉えられるでしょう。
アクションを明確化できる
キャリアデザインを設計することで、自分の将来の目指す姿が決まってきます。目指す姿を実現するために、どのように行動するかや、どのような目標を達成していくかなどの自分自身のアクションが明確化できるでしょう。
人材の採用・確保ができる
キャリアデザインの重要性を理解し推奨している企業では、高い成果をあげる人材価値の高い従業員が多い傾向にあります。また、キャリアデザインを従業員が意識することで、今の働き方が自分自身のキャリア形成に合っていると考え直す機会になることもあります。その結果、企業価値も高くなり、人材の採用・確保につながるのです。
キャリアデザインの考え方・やり方
従業員が自分自身でキャリアデザインを設計するためには、キャリアデザインの考え方、やり方、内容を構築していく必要があります。本項では、キャリアデザインを設計するための方法について、ステップごとに解説します。
① 現状把握・過去の振り返り・診断等の活用
まずは、保有しているスキルや、自分の強みや弱みなどの現状把握を行います。同時に従業員自身が今までに行ってきた業務、資格やスキル、やりがいや嫌な思いなどの感想など、過去の振り返りを行います。自分自身を客観的に見つめるためには、心理テストや適性検査などによる診断を活用してもよいでしょう。
➁ ありたい姿・将来像を描く
現状把握や過去の振り返りによる現状や過去を踏まえて、ありたい姿や将来像を考えていきます。ここでのポイントは、どのキャリアを進んでいけば自分らしいキャリアに到達できるのかを考えることです。ありたい姿や将来像を描くのに大切なのは自分らしさであり、決して勝ち負けではありません。
③ 現状とありたい姿のギャップ洗い出し・フィードバックを貰う
ここまで見てきた現状のスキルや強み弱みと、ありたい姿のギャップを洗い出します。また、自分自身を客観的に見ることができるためにも、自分の周りにいる上司や同僚からフィードバックをもらうことも重要です。
④ キャリアの段階を考える
自分自身のありたい姿や将来像が描けたら、目標に到達するまでのキャリアの段階を考えていきます。将来のありたい姿や目標にたどり着くまでに、具体的にどのような業務を行い、どのスキルに必要性があるかなどを考えることが重要です。
⑤ アクションを考える
キャリアの段階を考えたら、それらを習得するためのアクションを考えます。将来のありたい姿や目標だけは決まっていても、実際に動かなければ実現はできません。どのようなアクションをすれば、キャリアが実現できるかが大切です。
企業が従業員のキャリアデザイン構築に対してできること
従業員がキャリアデザインを設計することを企業が支援することは、企業にとってもメリットのあることです。本項では、企業が従業員のキャリアデザイン構築に対して何ができるのかについて解説します。
研修制度行う
キャリアデザインに対しての集合研修を行っている企業は、数多くあります。集合研修を行うメリットは、研修を受ける従業員同士でお互いにフィードバックをしあえることです。フィードバックにより、自分自身が気づけなかったことも客観的に見ることができます。
キャリアコンサルタントの活用
企業内でキャリアデザインについて相談できる体制をつくるには、キャリアコンサルタントを活用するとよいでしょう。仕事やキャリアデザインだけでなく、育休産休からの復帰に対する支援や転職支援なども行います。
キャリアコンサルタントは企業と利害関係のない人が就任するため、企業内の人に相談しにくいことも相談できるのがメリットです。
キャリア面談の実施
キャリア面談とは、企業内の上司や人事担当者などと将来のキャリアデザインについて面談することです。従業員が自分自身で気づきを見つけられるように促すことや、キャリアステージの確認などにより目的を明確にすることが面談の目的です。
目標設定の再検討
企業内の面談などにより、将来のキャリアステージを意識した目標管理を行っていきます。目標の到達具合により、状況によっては目標設定の再検討を行っていくことが重要です。キャリアステージと整合性がとれる目標を設定することで、従業員のモチベーションアップが図れます。
キャリアデザイン制度の企業事例
株式会社みずほフィナンシャルグループでは、社員が自身のキャリアを主体的に考えて行動する人材になることを目的として、様々なキャリア支援を行っています。キャリアデザイン研修とは、自分自身の役割や期待を認識した上で自らキャリアデザインができる機会やコンテンツなどが提供される研修です。
また、自律的なキャリアデザインを支援するために、みずほフィナンシャルグループのキャリア情報を発信する部署説明会も開催しています。
キャリアアドバイザー相談制度は、結婚、出産、育児、介護などの従業員の生活の環境変化に対応しながら中長期的なキャリアデザインを構築したい場合に相談できる制度です。
みずほフィナンシャルグループでは、従業員それぞれのキャリア形成が実現できるように、人事制度の整備と、様々なキャリアアップのための機会を提供しています。
参考:みずほFG:人材育成|株式会社みずほフィナンシャルグループ
キャリアデザインシートのテンプレート
キャリアデザインシートは、以下からダウンロードできます。
キャリアデザイン制度の導入の勧め
キャリアデザイン制度を導入することで、従業員だけでなく企業にとっても大きなメリットがありますので、ぜひ導入を検討してみて下さい。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
会社の備品を紛失したときの始末書の書き方は?【無料テンプレートつき】
働くうえでは、会社から制服や作業着といった様々な備品を貸与される場合があります。テレワークが一般的となった近時では、PCなどを貸与される場合も多いでしょう。しかし、備品を紛失してしまう場合もあります。そのような際に、作成する始末書の書き方を…
詳しくみる借り上げ社宅とは?メリット・相場、大企業の導入事例を紹介
「借り上げ社宅」とは、企業が賃貸契約を結び、賃料の一部を従業員に負担させる形で提供する福利厚生制度です。近年、多くの大企業がこの制度を採用し、従業員の満足度向上や採用競争力の強化に役立てています。 本記事では、借り上げ社宅のメリットや相場、…
詳しくみる面接官の役割とは?質問の例文や意図、タブー、人材を見極めるコツを解説
企業が人材を採用する場合には、面接官による面接が行われることが通常です。正社員だけでなく、パートやアルバイトなど非正規雇用の採用においても面接を実施する企業もあるでしょう。 当記事では、採用における面接官の役割について解説します。面接におい…
詳しくみるギグワーカーとは?意味を解説!雇用や働き方のメリット・デメリット
ギグワーカーとは、主にインターネット上のプラットフォームを介して、単発の仕事を請け負って働く人を指す言葉です。フリーランスよりもさらに短いサイクルで企業の依頼を受けられることから、自由に働く仕事のスタイルとして近年浸透してきました。 ここで…
詳しくみる「休職するなら退職しろ・休職したら終わり」はパワハラ?どちらを選ぶべき?
従業員が何らかの理由で休職を申請する際に、上司から「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」と言われた場合は、パワハラになる可能性があります。 本記事では、休職を申請した際の上司のパワハラと思われる対応について解説します。上司から退職を…
詳しくみる労働組合法とは?労働三法の違いやメリット、違反した場合の罰則を解説!
労働者は、雇用する使用者に対して弱い立場に置かれがちです。そのため、労働者を保護するために、労働基準法などの法律が定められています。 当記事では、労働三法のひとつである労働組合法について解説します。労働三法それぞれの特徴や労働組合加入のメリ…
詳しくみる