- 更新日 : 2026年1月14日
KJ法とは何の略?やり方や活用方法をわかりやすく解説!
KJ法という言葉を耳にしたとき、「また新しい海外のビジネス用語なのだろうか」「特別なツールが必要な難しい方法なのでは?」と不安に思う人もいるでしょう。
KJ法は日本の文化人類学者である川喜田二郎(Kawakita Jiro)氏のイニシャルから名付けられた、情報整理や問題解決のための手法です。特別なツールや高度なスキルは必要ありません。
本記事では、KJ法の名前の由来と、現代の課題解決に役立つ手法である理由を分かりやすく解説します。
目次
KJ法とは?何の略?
KJ法とは、カードや付箋を用いて、情報やアイデアを効率的に整理する手法です。たとえば、付箋に一つ一つの情報やアイデアを記載し、最初に情報の言語化と可視化を行います。付箋を並び替えたりグループ化(グルーピング)することで、情報やアイデアを論理的に整理し、問題解決の方法を解明していきます。アイデアの言語化と可視化を通じて、分析を効果的に行うことで、問題解決や新たな発見につながります。
考案者である川喜田 二郎氏の頭文字をとって、KJ法と呼ばれています。
KJ法は川喜田二郎の書籍で有名に
KJ法が広く知られるようになったのは、文化人類学者である川喜田 二郎氏の著書によるものです。1967年に発売された『発想法』で、「効果的な研究・研修方法である」と紹介され、学問の場で広まりました。
KJ法は、文化人類学のフィールドワークで得た膨大な情報を効率的に整理するために生み出されたものです。実際に使用されるなかで、アイデアの整理だけではなく、本質的な問題の特定や課題の発見、新たなアイデアの創出につながることがわかり、分析手法・発想手法として、ビジネスシーンでも支持されています。
ブレインストーミングにも活用できる
KJ法の真価を引き出すためには、事前に行うブレインストーミングの質が重要です。
KJ法とは、散在する情報を統合し本質的な構造を発見する手法です。
材料となるアイデアが少ない場合、深い洞察を得るのは難しくなります。自由な発想を十分に引き出し、深い洞察につなげるためにも、ブレインストーミングとKJ法を組み合わせて使うことが大切です。
ブレインストーミングを成功させるには、以下の「4つの原則」を徹底してください。
- 批判厳禁:他の人の意見を否定せず、誰でも自由に発言できる雰囲気を作ること
- 自由奔放: 常識や実現の可能性にとらわれず、奇抜な発想も歓迎すること
- 質より量:アイデアの質を気にせず、とにかくたくさんのアイデアを出すことを優先すること
- 結合・便乗:他の人の意見にヒントを得て、さらに新しい着想へ発展させること
原則をしっかり意識しつつ、ブレインストーミングの前に司会や書記の担当を決めたり、20分から30分程度の短時間で集中して行うなどの準備をするとよいでしょう。
また、異なる立場や役職のメンバーを集めることで、さまざまな視点から質の高いアイデアが集まります。
ブレインストーミングで生まれた多様な「言葉の断片」は、KJ法でカード化する際の大切な素材となります。整理や構造化のプロセスを経ることで、個人の先入観にとらわれない、客観的な解決策を導き出すことが可能です。
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KJ法のやり方・ルール・手順は?
KJ法は、カード作りからグルーピング、図解化、文章化という4つのステップで進めます。直感的な整理と論理的な構造化を組み合わせることで、バラバラな情報から問題の本質を導き出し、具体的な解決策を立案できます。
- アイデアを書き出す
- アイデアをグルーピング
- 関係性を図解化
- 文章化(叙述化)
各ステップを順番に解説します。
アイデアを書き出す
アイデアをカードや付箋に書き出すステップであり、カード作りとも呼ばれ、集めた情報を、1枚につき1項目ずつカードや付箋に書き出します。
バラバラの意見を同じ形式のカードにまとめることで、後のグループ分けがスムーズに進む基盤ができあがります。
作業時には、「1情報1カード」の原則を必ず守ってください。複数の内容を1枚に記入してしまうと、整理の段階で分類が難しくなるためです。
カードに書き出すときは「頑張る」などのあいまいな表現は避け、第三者が客観的に判断できる具体的な事実や内容を記載することが重要です。
ここで扱う素材はアイデアだけではありません。たとえば顧客アンケートの不満や、調査データなどの断片的な事実も、すべて書き出して活用します。
事前のブレインストーミングを行う場合は、「批判をしない」などの4つの原則を徹底することをおすすめします。
心理的安全性が保たれた環境でこそ、潜在的な課題を浮き彫りにする有益な情報が集まりやすくなるでしょう。
丁寧に作成されたカードの集まりが、問題解決の精度を左右する貴重な資産となります。
アイデアをグルーピング
グルーピングでは、カードを整理し分類します。
単なる機械的な分類ではなく、カード同士がどこか通じ合う感覚や親しみやすさを大切にします。論理的な整合性ばかりを重視すると、既存の枠組みにとらわれて新しい発想が生まれにくくなる恐れがあるからです。
まずはカードを机いっぱいに広げて内容をよく読み、深く考えず印象が似ているもの同士を小さな束にまとめていきます。
どのグループにも入らないカードは「離れザル」や「一匹狼」として扱い、無理に他とまとめず独立させておくルールを守ってください。
小さなグループには見出しを付け、さらにまとめて中グループ、大グループと、階層を上げて全体を統合します。
直感を頼りに情報をまとめていくことで、情報の背後にある本当の課題が自然と明確になってきます。
関係性を図解化(A型図解)
その後、各アイデアの関係性を見出しながら論理的整序を行い、図解化していきます。
論理的整序のポイントは、以下の通りです。
- 各カードのグループごとに関連性があるもの同士を近くに配置する(空間配置)
- 線でカード同士をつないだり、囲んだりして関係性を可視化する
- 対立、因果関係、原因・結果などの関係性を矢印などで書き表す
図解化のステップとは、直感的に集めた情報のまとまりを、論理的な順序に整理して全体像を見える形にする作業です。
作業の目的は、複雑で入り組んだ問題の構造を「地図」のように可視化し、全体の流れを把握しやすくすることです。最初はバラバラだったアイデアの相互関係を明確にすると、解決すべき本質的な課題がはっきりと見えてきます。
具体的な進め方としては、「A型図解」と呼ばれる手法を使い、関連性の強いグループ同士を近くに並べて、内容にストーリー性を持たせるように配置します。
次に、グループ同士を線で囲み、対立や因果の関係がある場合は矢印で結び、図として視覚的に示してください。
記号を活用して関係性を明確にしていくと、個人の主観によらない客観的な構造図が出来上がります。
文章化(叙述化/B型文章化)
文章化とは、図解で示した構造を、客観的で説得力のある論理に仕上げる作業です。
「B型文章化」と呼ばれる工程を経ることで、具体的な解決策や取るべきアクションが明確になります。
「B型文章化」は、図解の視覚的な情報を言葉に置き換え、誰もが理解できる報告の形にまで整える作業です。
記述の際には、図解の構造に従い、大きなテーマから小さなテーマへと順を追って書き進めます。各カードに記載された言葉を積極的に引用し、現場のリアリティを反映させるのがコツです。
最後に内容を共有して重要度について意見を交わすことで、組織として共通の認識を持てます。
こうした論理的な記述が、確実な意思決定を支えます。
KJ法のポイント
KJ法では、ブレインストーミングなどを実施して、なるべく多くのアイデアを出すことが第一歩です。発想を妨げないために、以下のルールを守ることが重要です。
- 自由に発言する
- アイデアを批判しない、判断や決断もしない
- 少数意見を活用する
ブレインストーミングでは、アイデアの質にこだわらず、量を重視します。役に立つか、良いアイデアかを悩まず、活発な発言ができるようにメンバー同士が心がけます。
アイデアへの批判や判断を控えることで、自由な発想が生まれます。どのような意見でも、歓迎する雰囲気を作ることが理想的です。
会議などでは、発言力があるメンバーの意見ばかりが重視されると偏った結論に至るケースがあります。KJ法では少数意見もアイデアの1つとして取り入れることが重要です。
KJ法のメリット・デメリットは?
KJ法は、少数意見を見えやすくしたり、チーム内で共通の理解を深めたりするのに優れた方法です。
一方で、運用にはそれなりの時間とスキルが必要となる点もあります。導入する前にメリットとデメリットの両方を把握し、費用対効果の高い議論を目指しましょう。
KJ法のメリット
アイデアを可視化できる
カードに書き出すことで、メンバーの頭の中にある考えや意見が可視化されます。断片的であったアイデアを最終的には文章化するため、メンバー同士で各情報をまとめたグループごとの関連性を、同じ認識として共有できます。
論理的に情報整理ができる
アイデアの関係性や、近しいアイデアを組み合わせるなど、KJ法では論理的視点に基づいて情報を整理します。そのため、テーマに対して話題がそれることなく、議論を深められます。
新たな問題の特定や意見を創造できる
さまざまな意見をまとめることで、新しい問題や可能性に気づくこともあります。論理的視点で状況を整理することで、問題の改善点が明らかになるなど、建設的な話し合いが可能です。
手軽に実施できる(高い汎用性)
KJ法は、高度なツールや専門的な知識がなくても、誰でもすぐに実践できる汎用性の高い方法です。
用意する道具も、付箋とペン、模造紙などの掲示スペースのみで、とてもシンプルです。
高価なソフトウェアを購入したり、長期間の特別な訓練を受けたりする必要はありません。
心理的にも物理的にも導入のハードルが低く、思い立ったときにすぐ議論を始められる点が大きな魅力です。
KJ法は、企業の組織課題の解決や個人の思考整理、さらには研修の設計など、さまざまな場面で活用できます。
手軽に試せる仕組みが、日々の業務改善を後押しします。
少数意見の活用
KJ法は、通常の会議では見逃されやすい少数意見や隠れた知見を活かせる、優れた手法です。
すべての意見を1枚のカードとして平等に扱う仕組みが、情報の重要性を保つ役割を果たしているからです。
一般的な議論の場では、発言力の強い参加者の意見が目立ってしまいがちですが、KJ法ではカード化によって発言者の立場に左右されず、どの意見も同じ価値を持つようになります。
グルーピングの工程では、多数派の意見に埋もれていた小さな気づきが他の情報と結びつき、思いがけない新しい発見が生まれることがよくあります。
もともと孤立していた知見も全体の構造の一部として取り入れられ、問題の核心を見抜くヒントへと発展するでしょう。
埋もれがちな知恵を見つけ出し活用する仕組みが、組織の意思決定をより確かなものへと導きます。
共通理解とチームビルディング
KJ法を実際に行うことで、チームの共通理解が深まり、強い一体感を生み出すチャンスとなります。
付箋とペンがあれば始められる共同作業を通じて、自然とメンバー同士の認識がそろうからです。
全員が手を動かしてひとつの構造図を完成させる過程は、単なる言葉だけの議論では得られない、深い相互理解を生み出します。
自分の意見や視点が構造の一部として反映される体験は、課題に対する当事者意識を大きく高めることにつながります。
特別なスキルがなくても誰もが参加できる仕組みは、チームの結束力を高めるうえで効果的です。
対話を重ねる中で納得できる結論にたどり着く経験は、チームビルディングに大きな貢献をもたらすでしょう。
KJ法のデメリット
準備に手間がかかる
参加者を集めるだけではなく、カードなどの備品の準備、事前のテーマ設定が重要です。さらに、司会や書記のように、KJ法を理解したメンバーがいなければ、議論をまとめられません。
参加者によってアイデアが変わる
ブレインストーミングで出されるアイデアは、参加者一人ひとりの特性に大きく関係します。メンバーの構成次第では、意見が出しにくい雰囲気が生まれることや情報が大きく偏る恐れがあります。こうした状況を防ぐために、多様な立場のメンバーを集めたり、事前にテーマを共有し、一人ひとりの発想の柔軟性を高めたりしておく必要があります。
費用対効果の不明確さ
KJ法には、時間や人員をかけても必ずしも画期的な成果が得られるとは限らないというリスクがあります。
事前の準備から最終的な文章化まで、チーム全体が長時間にわたって作業に取り組む必要があり、その分人件費を含めたコストが大きくなりやすいからです。
多くのリソースを投入しても集まってくる情報がすでに知られているものばかりであれば、新しい発見につながらないこともあります。
収集した情報の質が低い場合、費用をかけても得られる成果が十分でないという不確実性が残ります。
KJ法を実施する際は、期待する成果と必要な労力のバランスを慎重に判断することが大切です。
とくに、適切なテーマの設定や質の高い情報収集が行われなければ、費用対効果という点で課題が残る手法であると言えるでしょう。
誤った運用による問題
KJ法の運用において、手順を表面的に整理しただけで終わってしまうと、本来期待される効果が得られないリスクがあります。
KJ法の核心が、グルーピングの後に行う図解化や文章化を通じて、情報の背景にある本質的な意味を明らかにする点にあるためです。
たとえば、付箋を似た内容でまとめる作業だけで満足し、構造化や論理化のプロセスを省いてしまうと、単なる情報の分類で終わってしまいます。
不適切なファシリテーションによって議論の流れが滞ると、新しい発見や問題解決の機会を失いかねません。
価値あるアウトプットを得るには、手順の全工程をしっかりと実施させる必要があります。
最後まで正しいステップを守ることが、KJ法のデメリットを回避するポイントです。
進行の難しさ
KJ法を円滑に進めるためには、参加者それぞれの主観的な気付きや発想をうまく引き出しながら、最終的に客観的な結論へとまとめていく高度な運用スキルが必要です。
とくにグルーピングの段階では、参加者が直感的に感じる親近感やつながりを大切にしつつも、組織として目指す論理的な結論に導くための調整が難しくなります。
進行役が参加者の意見を軽視したり、事前に決めた結論へ無理に誘導したりすることは、避けなければなりません。
不適切なファシリテーションが行われると、KJ法本来の柔軟性が失われてしまい、ただ形だけの分類作業に終始するリスクが高まるからです。
個人の直感的な視点と組織としての論理的な考え方を、より高いレベルで結び付けることには大きな難しさがあり、KJ法の成否を左右する課題となります。
KJ法が人事労務において活用できる場面は?
人事労務の現場では、人材要件の定義や研修計画の立案、組織課題の抽出など、複雑な意思決定の場面でKJ法は有効です。
KJ法を使って断片的な情報を整理し構造化することで、判断の客観的な根拠が明確になります。結果として、経営課題の解決につながる実効性の高い施策を立案できます。
採用における人材要件定義
採用における人材要件を明確に定義する際、KJ法は有効な手段です。面接官ごとにばらつきがちな評価基準を統一し、自社に最適な人材を確実に選べる体制を整えられるからです。
たとえば、スキルや価値観など多様な要望を書き出してグループ化し、要素同士の関連性を図で可視化することで、理想とする人物像が構造的に浮き彫りになります。
共通の優先順位を言葉で明確にできれば、社内で認識の食い違いが生じにくくなるだけでなく、外部のエージェントとも精度の高い連携が可能です。
KJ法は、人事業務全般において高い汎用性を発揮する点も大きな特徴となっています。
組織の課題を抽出する場面では、アンケートの自由記述内容を分析することで、離職の根本的な理由を特定するのにも有効です。
また、人事評価制度の見直しや、現場のニーズを反映した研修プログラムの設計など、複雑な意思決定が求められる場面でも、KJ法を活用することで情報の整理や優先順位付けがしやすくなります。
情報を構造化するプロセスは、客観性の高い人事施策を立案するための強固な基盤となります。
研修計画の立案
人事労務における研修計画を立てる際、KJ法は「本当に解決すべき組織課題」を見つけ出すのに役立つ方法です。
現場の潜在的なニーズをわかりやすく整理できるうえ、経営目標と直接結びつく教育プログラムを論理的に選べるからです。
現場のマネージャーや若手社員へのヒアリング、アンケートで集めた実際の声や、経営層の期待といった様々な情報をカードにまとめます。
それぞれ異なる要望を、内容の似ているもの同士で整理し、図にまとめることで、組織に本当に必要な力のギャップがはっきり見えてきます。
最近は外部の研修サービスが増えていますが、自社の課題をはっきりさせずに導入してしまうと、ただの自己満足で学習に終わりかねません。
KJ法で優先順位を明確にできれば、多くの研修プログラムの中から自社に本当に合った内容を選び抜くことが可能です。
情報を整理して作成された計画は、経営課題の解決に大きく役立ちます。
論理的な根拠に基づいて計画を立てることで、研修の費用対効果も最大限に高められます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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