- 更新日 : 2024年12月3日
付加年金とは?厚生年金においても活用できる?
付加年金は国民年金第1号被保険者が納付することで、将来受け取る年金額を増やすことができる制度です。月額400円を国民年金保険料と一緒に支払うことで、「200円×付加保険料納付済期間の月数」の付加年金が、老齢基礎年金に上乗せされます。国民年金保険料を支払う第1号被被保険者のみを対象にした制度で、厚生年金加入者は利用できません。
目次
付加年金とは?
付加年金とは国民年金第1号被保険者が、将来受け取る年金額を増やすための制度です。国民年金保険料と一緒に付加保険料を納付することで、付加年金が上乗せされた老齢基礎年金を受け取ることができます。以下のように、国民年金法第87条の2に規定されています。
国民年金法第87条の2
第1号被保険者(第89条第1項、第90条第1項又は第90条の3第1項の規定により保険料を納付することを要しないものとされている者、第90条の2第1項から第3項までの規定によりその一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされている者及び国民年金基金の加入員を除く。)は、厚生労働大臣に申し出て、その申出をした日の属する月以後の各月につき、前条第3項に定める額の保険料のほか、400円の保険料を納付する者となることができる。
付加年金の対象者は?厚生年金でも活用できる?
付加年金の対象者は国民年金第1号被保険者です。国民年金の被保険者は以下のように、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者に区分されます。
- 第1号被保険者:自営業者、学生、農業者、無職の人など
- 第2号被保険者:厚生年金加入方者(会社員、公務員など)
- 第3号被保険者:第2号被保険者(厚生年金加入者)に扶養されている配偶者
第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者のうち、第1号被保険者のみが国民年金保険料支払い義務を負っています。第1号被保険者が付加年金に加入する場合は、国民年金保険料と付加保険料を一緒に支払うことが求められます。
付加年金に加入できる人
付加年金は国民年金保険料支払い義務を負う、第1号被保険者のみに加入が認められています。また65歳未満の任意加入者も、付加年金保険料を支払うことができます。
付加年金に加入できない人
国民年金第1号被保険者でも、以下の人は付加年金に加入できません。
- 国民年金基金に加入している人
- 国民年金保険料の納付を免除されている人
第2号被保険者は基本的に付加年金を活用できない
3種類の国民年金被保険者のうち、第2号被保険者と第3号被保険者は国民年金保険料の支払い義務を負っていません。第2号被保険者と第3号被保険者が負担すべき国民年金保険料は、厚生年金から拠出されているためです。国民年金保険料を被保険者が自ら支払わなければならないのは第1号被保険者に限られ、第2号被保険者は付加年金を活用することはできません。
付加年金と国民年金基金どっちがお得?
国民年金第1号被保険者は、付加年金を活用することで将来に受け取る年金額を増やすことができます。また第1号被保険者は、国民年金基金の加入によっても老齢時の年金受取額を増やせます。
付加年金のメリット・デメリット
付加年金のメリットは以下のとおりです。
- 負担が少ない
毎月の付加保険料は400円と少額なので、負担が小さいです。
- 負担が少ない
- 効率的に年金額が増やせる
付加年金によって、老齢基礎年金に「200円×付加年金保険料を支払った月」分の金額が上乗せされます。1年分の付加保険料は2年間の年金受給で取り戻せるため、効率的です。
- 効率的に年金額が増やせる
- 繰り下げ受給により割り増しになる
付加年金は老齢基礎年金と一緒に繰り下げ受給ができ、割り増しになります。
- 繰り下げ受給により割り増しになる
- 脱退や再加入ができる
付加年金は、それぞれの事情に応じて自由に脱退や再加入ができます。
反対に付加年金のデメリットは以下のとおりです。
- 年金を少ししか増額できない
付加年金による老齢基礎年金の増額は、少額にとどまります。
- 年金を少ししか増額できない
- 繰り上げ受給により減額される
繰り上げ受給をすると、付加年金も老齢基礎年金と同じ割合で減額されます。
国民年金基金のメリット・デメリット
国民年金基金のメリットは以下のとおりです。
- 口数を選べる
掛金上限額(1ヵ月あたり6万8,000円)を超えない範囲で、1口から口数を選べます。
- 口数を選べる
- 将来の年金額を大きく増やすことができる
選ぶ口数によっては、将来受け取る年金額を大きく増やすことができます。
反対に国民年金基金のデメリットは以下のとおりです。
- 脱退や中途解約ができない
口数の増減は自由にできますが、脱退や中途解約はできません。
サラリーマンの場合でも付加年金をさかのぼって支払うことはできる?
付加保険料は、付加年金の加入を申し込んだ月から納付することができます。申し込み前について、さかのぼって付加保険料を支払うことはできません。
厚生年金加入者は付加年金以外の方法で年金受給額を増やそう
付加年金は、将来受け取る年金額を増やすための制度です。毎月400円の付加保険料を支払うことで、老齢基礎年金の受給額に「200円×付加年金保険料を支払った月数」が上乗せされます。少ない負担で確実に、効率よく年金受給額を増やすことができます。
付加年金は国民年金保険料を自ら納付する第1号被保険者を対象にした制度で、厚生年金に加入している第2号被保険者は活用できません。サラリーマンは付加年金以外で年金受給額を増やす方法を考えましょう。
よくある質問
付加年金とは何ですか?
付加保険料を支払うことで、将来受け取る年金額を増やすことができる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生年金でも付加年金の制度を活用できますか?
付加年金を活用できるのは第1号被保険者に限られ、厚生年金加入者は活用できません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
介護保険サービスを受けるための手続き
介護保険は、要介護状態になった場合に介護サービスを受けることができる制度ですが、被保険者になる年齢は第1号被保険者と第2号被保険者では異なります。 今回は、介護保険サービスを受けるための手続きについて解説していきます。 介護保険の被保険者年…
詳しくみる育休手当の雇用保険の加入期間は?2人目、3人目はどうなる?
育児休業(育休)を取得している期間は、基本的に雇用保険料が免除されます。 育休は、労働者であればだれもが取得できる権利ですが、育休中は働いていないため無給です。雇用保険料は、働いた分の給与にかかる保険料のため、育休中は雇用保険料が発生しませ…
詳しくみる労働保険の一般拠出金とは
労働保険では、2007年4月1日から「一般拠出金」についての申告および納付を行うことになっています。この「一般拠出金」は、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づいたものです。石綿はアスベストという名で知られており、アスベストを使用し…
詳しくみる労働保険確定保険料申告書とは?書き方や記入例、事業廃止の場合を解説
労働保険の確定保険料申告書は、労働保険料の計算や納付時には欠かせません。本記事では労働保険の確定保険料申告書について、書き方や記入例、事業廃止の場合の手続きなどをわかりやすく解説し、雇用保険や労災保険との違いもご紹介します。 労働保険確定保…
詳しくみる国民年金保険料が免除される年収はいくら?申請に伴う注意点も解説!
収入の減少や失業、産前産後といった理由により国民年金保険料の支払いが困難になった場合には、免除や猶予を受けることができます。前年の年収(所得)が基準の範囲内である場合に対象になりますが、収入の見込額を用いる新型コロナウイルスの特例も設けられ…
詳しくみる介護保険料はいつから支払う?40歳の誕生月から?
介護保険料の支払いは、40歳になった誕生月から発生します。いつまでという基準はなく、生涯にわたり支払う保険料です。今回は、いつから介護保険料の支払いが発生するのかを具体例をもとに解説します。また、介護保険料がいくら引かれるのかなど、基本情報…
詳しくみる