- 更新日 : 2025年7月7日
厚生年金の保険料は一括払い・前納ができる?
厚生年金保険料は毎月支払う必要があり、数ヵ月分をまとめて支払う一括納付は認められていません。厚生年金の一括適用とは、社会保険の被保険者資格に関する各種手続きや保険料納付などを本社でまとめて行うことです。国民年金保険料は前納制度があり、定められた月数分の保険料を一括払いしておくことができます。
目次
厚生年金の保険料は一括払い・前納ができない
厚生年金保険料は健康保険料と併せて、日本年金機構が徴収しています。企業は従業員の給料から従業員負担分の厚生年金保険料を天引きし、事業主負担分と合わせて納付しなければなりません。納付期限は翌月末日です。
納付する厚生年金保険料は、日本年金機構から送付される「保険料納入告知額通知書」または「保険料納入告知書」に記載されている金額です。事業主から提出された被保険者の資格取得・喪失や標準報酬月額、賞与支払等の変動に関する届出内容に基づく金額で、口座振替・金融機関窓口での納付・電子納付のいずれかの方法で納付します。
一括払いや前納ができない理由
厚生年金保険料は口座振替・金融機関窓口払い・電子納付のいずれかによって毎月支払わなければならず、一括払いや前納はできません。
入社や退社による被保険者資格取得・被保険者資格喪失があると被保険者の人数が変わり、厚生年金保険料も変更されるためです。また、厚生年金保険料の金額は随時改定によっても変わります。企業は納入告知書に記載された金額を納付する必要があるため、一括払いや前納が認められていないのです。
厚生年金の一括適用は一括払いではない
厚生年金の一括適用とは、本来は事業所単位とする厚生年金の取り扱いを本社でまとめて行う制度のことで、厚生年金保険料の一括払いのことではありません。厚生年金は事業所単位で取り扱われるため、本社・本店と別の場所にある支社や支店、営業所などは違う事業所として取り扱う必要があります。それぞれにおいて厚生年金事務手続きを行うのが困難な場合に認められるのが、一括適用です。本社・本店でまとめて厚生年金事務手続きを行うことができ、各事業所をまたぐ人事異動が発生した際も厚生年金被保険者資格の喪失・取得の手続きが不要になります。
厚生年金の一括適用が行われると、保険料も本社でまとめて納付することができます。
国民年金保険料は前納が可能
厚生年金保険料とは異なり、国民年金保険料には前納制度があります。国民年金保険料を前納するメリットや、どのぐらい前納できるかを知っておくと、厚生年金保険料との違いを理解しやすくなります。
前納のメリット
前納によって納付忘れを防止したり、支払いにかかる手間・時間をなくしたりすることができます。また、一定期間の保険料を前納すると、割引を受けられる場合もあります。国民年金保険料の前納にも割引制度があり、定められた期間分の前納を行うと支払う保険料を抑えることができます。
前納は何年分できる?
国民年金保険料は、最長で2年度分まで前納することができます。6ヵ月分、1年度分、2年度分から前納期間を選ぶことができ、前納額は以下のとおりです。
国民年期保険料前納額(令和4年度)
支払方法 | 6ヵ月分 | 1年度分 | 2年度分 |
---|---|---|---|
現金・クレジットカード | 9万8,730円 | 19万5,550円 | 38万2,780円 |
口座振替 | 9万8,410円 | 19万4,910円 | 38万1,530円 |
厚生年金保険料の納付は忘れないように注意しよう
厚生年金保険料は、一括払いや前納ができません。毎月送付される納入告知書で都度納付する必要があります。厚生年金保険料は、月末日までに前月分を支払います。納入告知書は毎月20日前後に届くため、忙しい月末に忘れないように注意しましょう。
厚生年金保険料の支払い方法は、口座振替・金融機関窓口での納付・電子納付の3つです。口座振替を利用するなどして、期限までに厚生年金保険料を納付しましょう。
よくある質問
厚生年金の保険料は、一括払いや前納はできますか?
厚生年金保険料は一括払いや前納はできないため、毎月納付する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生年金の保険料は、なぜ一括払いができないのですか?
被保険者資格の取得・喪失や標準報酬月額の変更などによって、支払う厚生年金保険料が変わるためです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
配偶者や親族の扶養に入るためには?手続きや条件を解説!
夫婦で働いている人は、それぞれが社会保険に加入して働くか、それとも、夫か妻の扶養に入って働くかの選択によって、それぞれの働き方が違ってきます。被保険者の扶養に入ることで、保険料が免除になったりするようになります。 今回は、被扶養者について再…
詳しくみる社会保険未加入の問題点は?加入が義務づけられる条件や罰則について解説
会社は従業員を社会保険に加入させる義務があります。ただし、条件によっては義務とならない会社もあります。この記事では、社会保険に加入する義務がある会社の条件や未加入の場合の罰則などについて説明します。 この記事で人気のテンプレート(無料ダウン…
詳しくみる転職したらマイナ保険証はどうする?必要な手続きや注意点を解説!
転職する際に健康保険の手続きを正しく行わないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。例えば、前の会社の健康保険を抜けたあと新しい保険に加入しないまま放置すると「無保険」の空白期間が生じ、その間の医療費は全額自己負担となってしまいます。 本記…
詳しくみる社会保険の月額変更届(随時改定)を忘れたらどうなる?罰則や遡及適用について解説
月額変更届(随時改定)は、従業員の給与に大きな変動があった際に必要です。しかし、もし提出を忘れてしまうと、社会保険料の過不足が発生し、罰則やトラブルの原因になる可能性があります。 本記事では、月額変更届を出し忘れた際の影響や罰則、遡及適用に…
詳しくみる育休中に年金を払わなくても将来減らない?産後パパ育休との違いも解説
育児休業を取得すると年金の支払いはどうなるのか、将来の年金額に影響はあるのかと不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。人事労務担当者や育休を予定している従業員にとって、年金制度の仕組みを正しく理解しておくことは欠かせません。この記…
詳しくみる厚生年金保険料が急に上がったのはなぜ?原因や計算方法を解説!
厚生年金や健康保険などの社会保険料は、会社勤めや公務員の場合、給与から天引きされるのが一般的です。そのため、給与明細を見て保険料が上がったのを知り驚く方も多いでしょう。保険料が上がるのは通常、1年に1度ですが、例外もあります。本記事では、厚…
詳しくみる