- 更新日 : 2025年6月23日
従業員の結婚に関する社会保険・雇用保険の変更手続きは?
従業員から結婚の報告があった場合に人事担当者がまず行うのが結婚に伴う各種手続きになります。手続きを行うためには、従業員に確認すべき項目や変更に伴い必要な手続きについて理解する必要があるでしょう。
まず従業員に確認するべき項目について確認し、次に、社会保険、雇用保険の変更手続き、注意が必要なことについて解説していきます。
目次
従業員が結婚したときにまず確認すべきことは?
従業員から結婚について報告を受けたときは下記のような項目について確認します。
入籍日
入籍する日がいつであるかを確認してください。社内システムの情報や書類の届出の際に必要になります。
姓の変更の有無
仕事上の呼称を変更する場合は、結婚後に新旧どちらの姓で仕事をするのか、社内での周知が必要です。また、社会保険や雇用保険の手続きも発生する場合があります。
住所変更の有無
居住地が変更になった場合には、社会保険の変更手続きのほか、社内の住所管理情報を変更する必要があります。
配偶者は健康保険の被扶養者になるか
結婚したことにより配偶者が扶養に入る場合があります。また、子供がいる人と結婚した場合や配偶者の親が扶養に入る場合もあるので、その点の確認が必要になります。対象者の年収の確認も忘れないように行いましょう。
通勤手当などの変更の有無
住所が変更になった場合には、通勤経路も変更になっている場合があるため、通勤ルートの確認も行い、必要があれば通勤手当も変更しましょう。
結婚に関する社会保険(健康保険・厚生年金保険)の変更手続きは?
結婚によって姓や住所が変わった場合は、社会保険の変更の届出が必要です。ただし、現在はマイナンバーと基礎年金番号が紐付けられている従業員については氏名や住所の変更の届出が原則不要になっています。
マイナンバーと基礎年金番号が紐付けられていない従業員や外国籍の人のようにマイナンバーが付番されていない人については、従前の手続きを行ってください。
氏名を変更する場合
事業主が「健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更(訂正)届」を日本年金機構に提出します。その際、現在の健康保険証を添付してください。
住所を変更する場合
事業主が「健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届」を日本年金機構に提出します。添付する書類は特にはありません。
配偶者が健康保険の被扶養者になる場合
事業主が「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を日本年金機構に提出します。その際には、続柄の確認できる戸籍謄本・抄本や住民票の写し、収入を確認するための証明書類を添付してください。
配偶者が国民年金第3号被保険者になる場合
配偶者が国民年金第3号被保険者になる場合も、上記の「配偶者が健康保険の被扶養者になる場合」と同様の手続きになります。
給与が変更になる場合
配偶者手当、家族手当の加算や通勤手当の変更で給与額が変更になり、一定の要件を満たした場合、事業主が「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」を提出します。
結婚に関する雇用保険の変更手続きは?
結婚により氏名が変更になった場合の雇用保険の氏名変更手続きについては、法改正により、氏名が変更になった時に変更しなくてもよくなりました。被保険者が資格喪失した時や被保険者の転勤の時など、他の申請と合わせて氏名変更届を提出することで問題ないことになっています。
住所変更については、雇用保険では、住所の管理をしていないため住所が変更になっても必要な手続きはありません。
従業員の結婚に関する手続きで注意が必要なことは?
結婚に関する手続きで注意すべきことは、ハローワークや日本年金機構など、行政機関への届出や社内で管理している情報が古いままにならないようにすることです。
情報が古いままの場合、郵便物が届かなかったり、本人と正しく識別されなかったりして困ることにもなりかねません。
結婚に関する変更手続きは個人ごとに違うので注意しましょう
結婚に関する変更手続きは書類提出だけのため、それほど難しくはありません。また、マイナンバーと基礎年金番号が紐付けられている従業員は行政機関の方で処理が行われるので、事業主や従業員本人が手続きを行う必要がない場合があります。
しかし、マイナンバーと基礎年金番号が紐付けられていない従業員や外国籍の人の場合は従来通りの変更手続きが必要など、従業員によってその手続き方法が異なります。変更手続きが必要な従業員については、事業主が書類を提出する必要もありますので、早めに確認して対応の準備を行いましょう。
よくある質問
結婚に関する社会保険の変更手続きは?
マイナンバーと基礎年金番号が紐づけられている従業員は、氏名・住所変更の届出は不要です。紐づけられていない場合は、従来の氏名・住所変更手続きが必要です。他に「被扶養者(異動)届」などを手続きします。詳しくはこちらをご覧ください。
結婚に関する雇用保険の変更手続きは?
氏名や住所の変更の場合、氏名変更時の手続きは法改正により不要で、他の申請手続きの際に合わせて氏名変更届を提出すれば問題ありません。住所変更は、雇用保険では住所管理をしていないため手続きはありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
厚生年金の報酬比例部分とは?定額部分との違いや計算方法、支給開始年齢を解説
公的年金制度には厚生年金と国民年金がありますが、その仕組みは複雑です。 支給開始年齢が65歳であることは知っていても、年金を構成する報酬比例部分や定額部分がどのようなものなのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。 本稿では年金制度…
詳しくみる社会保険の種類について解説!一覧表付き
社会保障制度のなかでも最も身近に感じるのが社会保険制度といえるでしょう。病気やケガの際には医療保険や労災保険、老後の生活には公的年金、会社退職時には雇用保険と、誰にとっても頼りになります。 企業の人事労務担当者にとって社会保険の知識は必須で…
詳しくみる労災を使うと会社の信用や責任はどうなる?従業員への不利な扱いも解説
労災(労働災害)が発生した場合、会社は法令に基づく手続きを進める必要がありますが、その対応次第では、社会的信用の低下や法的責任が問われることもあります。一方で、従業員側も「申請すると不利な扱いを受けるのでは」「申請後、職場にいづらくならない…
詳しくみる厚生年金における標準報酬月額表について見方を解説!
標準報酬月額表は、報酬額に応じた厚生年金の保険料をまとめた一覧表です。「給料ごとの保険料の早見表」とも言い換えられます。 標準報酬月額表を参照すれば、被保険者と企業の負担額を一目で確認することが可能です。ここでは、厚生年金における標準報酬月…
詳しくみる社会保険料(国民年金保険料)の免除制度とは
国民年金保険料は、世代・所得問わず定額です。 しかし、国民年金保険料の納付義務期間に職を失った場合や給料をカットされた場合など、保険料を納めることが厳しくなった場合に備え、「免除制度」が設けられています。 ここで注意していただきたいことです…
詳しくみる社会保険の月額表の見方 – 関連する知識も解説
社会保険の月額表とは等級ごとに標準報酬月額を区分した表のことで、健康保険や厚生年金保険などの保険料率と保険料が記載されています。標準報酬月額は社会保険料計算をしやすくするために、給与や手当などのいわゆる「報酬」を一定の範囲ごとに区分し、当て…
詳しくみる