- 更新日 : 2026年1月5日
【無料テンプレート付】残業時間管理表とは?記載項目や管理を解説
労働基準法の改正に伴い、時間外労働が厳しく制限されるようになりました。労使協定を締結することで残業を課すことは可能ですが、上限時間が定められているため厳格に管理しなければなりません。残業時間を管理するために用いられるのが、エクセルなどで作成された残業時間管理表です。この記事では、残業時間管理表の概要などを紹介します。
目次
残業時間管理表とは?
残業時間管理表とは、法令に基づき残業時間を適切に管理するために作成する帳票です。残業時間管理シートなどと呼ばれることもあります。まずは残業時間管理表の紹介に先立ち、労働時間にまつわる規定を説明しましょう。
使用者が労働者に課すことができる労働時間は労働基準法に定められており、1日8時間・週40時間です。これを法定労働時間といいます。労働基準法の該当箇所は下記の通りです。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(労働時間)第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
休日についても規定があり、使用者は週に1日以上もしくは4週間にわたり4日以上の休日を労働者に与えなければなりません。労働基準法で付与することが定められた休日を法定休日といいます。さらに、週休2日制などで法定休日以外の休日を付与することも可能です。そして労使協定で定められた、法定休日以外の休日を法定外休日といいます。法定休日に労働を課すと法定休日労働、法定外休日に労働を課すと時間外労働として取り扱われるため注意しましょう。休日の規定について、労働基準法の該当箇所は下記の通りです。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(休日)第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
法定労働時間を超える時間外労働を課す場合は、労働基準法第36条に基づく労使協定、いわゆる36協定を締結し労働基準監督署に届け出なければなりません。今までも残業時間の上限は定められていたものの、厚生労働省の告示に留まっていたため、過労死などが社会問題となりました。そうした状況を改善するために、働き方改革に伴う労働基準法の改正により、時間外労働がより厳格に制限されるようになったのです。大企業は2019年4月から、中小企業は1年間の猶予期間を経て2020年4月から、罰則付きの制限を課されるようになりました。労働基準法では、下記の通り残業時間の上限を月45時間・年360時間と定めています。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(時間外及び休日の労働)第三十六条 使用者は、(中略)書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、(中略)労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
(略)
④ 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(中略)とする。
また、繁忙期など臨時的な事情がある場合は、特別条項付きの36協定を締結することで、時間外労働を延長することができます。しかし、特別条項付き36協定にも上限が設けられているため気を付けましょう。
特別条項付きの36協定に関する制限事項をまとめると下記の通りです。
- 時間外労働と法定休日労働の合計が月100時間未満
- 2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の平均が全て月80時間以内
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働を⽉45時間以上課すことができるのは年6ヶ月が限度
使用者は、これら規定の範囲内で労働者に労働を課さなければなりません。違反した場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるため、残業時間管理表を作成し厳格に管理する必要があります。
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残業時間管理表の保存期間
残業時間管理表の作成・保管を直接定めた法律はありませんが、勤怠管理表と一体で作成している場合は法令で保存期間が定められているため気を付けましょう。残業時間管理表は、時間外勤務申請に基づき作成されるのが一般的です。一方、勤怠管理表は出退勤時間や残業時間をもとに、労働者の勤務実績を管理するために作成されます。労働基準法で作成・保管が義務付けられており、賃金計算のもととなる重要な帳票です。
会社によっては、残業時間管理表を勤怠管理表と合わせて作成することがあります。勤怠管理表の保存期間は、民法の定める消滅時効に則り5年と定められています。しかし、現在は経過措置として3年となっているため、この期間は残業時間管理表も保管しておきましょう。
残業時間管理表に記載が必要な項目
残業時間管理表には所定の様式やフォーマットはありませんが、下記の項目を記載するのが一般的です。
- 日ごとの残業時間
- 月ごとの残業時間
- 36協定で定められた月あたりの上限時間
- 36協定で定められた年あたりの上限時間
- 特別条項で定められた月あたりの上限時間
- 特別条項で定められた年あたりの上限時間
- 特別条項付き36協定を締結できる上限回数
さらに特別条項付き36協定を締結するためには、2ヶ月ないし6ヶ月の平均残業時間が月80時間以内でなければならないため、過去5ヶ月の残業時間については事前に記載しておかなければなりません。勤怠管理表と一体で作成する場合は出退勤時間、労働時間、早退・遅刻・欠勤の有無なども合わせて記載が必要です。記載項目や内容は、帳票の位置付けや業務形態に合わせて調整しましょう。
エクセルで勤怠管理を行うメリット・デメリット
残業時間管理表や勤怠管理表は、紙媒体やエクセルで作成するのが一般的です。ここではエクセルを使った勤怠管理のメリット・デメリットを紹介します。
メリット
エクセルで勤怠管理を行う1つ目のメリットとしては、エクセルの購入・契約以外に追加のコストがかからない点が挙げられます。一度フォーマットを作成してしまえば、ランニングコストを気にすることなく継続利用可能です。フォーマットの作成には知識が必要ですが、インターネットには無料で利用可能なテンプレートも多数公開されているため、それらを利用するのもよいでしょう。2つ目のメリットとしては、業務形態に合わせたカスタマイズが比較的しやすい点が挙げられます。勤怠管理システムなどは、カスタマイズは有料なのが一般的です。エクセルであれば、関数やマクロを使って自社の勤務形態に合わせて自由にカスタマイズできます。3つ目のメリットは、データの管理がしやすいことです。紙媒体と異なり保管場所も不要で、検索や共有なども簡単に行うことができます。
デメリット
一方、デメリットとしては、データの入力に手間がかかる点が挙げられます。出退勤や残業に合わせて毎日データを手入力しなければならないため、とても非効率的です。従業員の人数が多ければ確認や集計にも時間と手間がかかるため、エクセル管理の非効率性は大きな課題となります。また、手入力に頼っている以上はヒューマンエラーも避けられません。入力ミスの確認や修正にも、多大な時間と手間がかかるでしょう。さらに、法改正に合わせた改修も大きな負担となります。カスタマイズしやすいのはエクセルのメリットですが、法改正に合わせて逐一自前で改修するのは現実的ではありません。正しく改修できていないと賃金計算にミスが起こったり、法令違反で罰則を科されたりする恐れもあります。低コストで簡単に導入できるエクセル管理ですが、業務の非効率性やヒューマンエラー、法改正への対応など気を付けなければならない点が多いのも事実です。
残業時間管理表への記載例 – 無料テンプレート付き
残業時間管理シートをエクセルで作成する場合は、労働基準法や36協定の規定に従い計算式や関数を組み込んでおくと効率的です。しかし、計算式が間違えていたり、テンプレートが適切でないと法令違反に繋がりかねません。法令の規定を全て把握し一からテンプレートを作成するのが難しい場合は、インターネットで公開されているテンプレートを利用するのも一つの方法です。マネーフォワードでは、無料でダウンロードならびに利用が可能なテンプレートを公開しています。残業時間管理表のテンプレートは以下からダウンロードが可能です。勤怠表と併せて利用することで法令を順守した勤怠管理が実現可能なので、ぜひ活用してください。
▼ 残業時間管理表のテンプレートをダウンロードする(クリック後、ダウンロード用のフォームに遷移します)
勤怠管理システムなら勤怠管理をもっとスムーズに行える
勤怠管理システムを利用することで、より効率的な勤怠管理が実現できます。エクセルは毎回手入力で出退勤時間や残業時間を記載しなければなりませんが、勤怠管理システムなら出勤ボタンや退勤ボタンを押すだけで自動的に時刻を記録することが可能です。残業時間の計算や集計も自動なのでヒューマンエラーの心配もありません。クラウド型の勤怠管理システムであれば法改正にも即日対応されるため、利用者側で意識することもないでしょう。また、必要に応じてプリントアウトすることもできるため、紙媒体で管理している場合も安心です。無料で利用可能なエクセル管理も魅力ですが、勤怠管理システムを導入すればより効率的に勤怠管理を行うことができます。一定のコストはかかりますが、費用対効果を考えて導入を検討してみましょう。
残業時間を正しく把握し、適切な勤怠管理を行いましょう!
残業時間管理表について解説しました。残業時間管理表は、法令ならびに36協定に規定された内容に基づき、残業時間を管理するための帳票です。労働者の時間外労働は労働基準法で厳しく制限されているため、厳格に管理しなければなりません。制限を超えた残業を課すことは労働基準法違反となり、罰則が科されるので気を付けましょう。
残業時間管理表は、紙媒体やエクセルなどで作成するのが一般的です。インターネットには無料で利用可能なテンプレートも多数公開されているため、これらを活用することでコストをかけずに勤怠管理を行うことができます。従業員数が多い場合などは、勤怠管理システムを導入することで、より効率的な勤怠管理が実現可能です。エクセルや勤怠管理システムを活用して残業時間を正しく把握し、適切な勤怠管理を行いましょう。
よくある質問
残業時間管理表とは何ですか?
残業時間管理表は、法令や36協定に定められた規定に基づき残業時間を適切に管理するための帳票です。時間外労働は労働基準法で厳しく制限されているため、残業時間管理表を利用し厳格に管理しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
残業時間管理表には、どんな項目を記載するのですか?
日ごと・月ごとの残業時間、36協定に規定された月・年あたりの上限時間、特別条項に規定された月・年あたりの上限時間、特別条項付き36協定を締結できる上限回数などを記載するのが一般的です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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