- 更新日 : 2018年8月9日
雇用保険における再就職手当とは
失業や休業の場合にはもちろん、労働者が能力開発のため教育を受ける場合にも利用できる雇用保険。一般的には失業保険と言われる、自己による都合や会社側の都合によって離職した際に支給される基本手当がよく知られていますが、さらに、知っておくと得する意外な給付制度もあります。
雇用保険の給付制度の中には、雇用保険の基本手当を受けている人が、新しい職場に再就職した際に受給できる給付手当もあります。
ここでは、会社を退職した人が、再び安定した職業に就くことができた際に受給することができる、再就職手当について説明します。
再就職手当とは?
雇用保険の一般被保険者が会社を退職した際には、必要な手続きを行うことで、雇用保険の基本手当を受給することができます。さらに、その受給資格がある人の中で、安定した職業に再就職がすることができた上に、一定の条件を満たしている人は、再就職手当と呼ばれる給付を受けることができます。
この制度は、失業中の人が、より早く安定した職業に再就職できるように整えられている雇用保険の制度になります。この再就職手当の制度を活用して、社会復帰を目指しやすくなっているのです。
再就職手当を受給できる条件について
雇用保険の一般被保険者の再就職手当を受けるための条件は以下のとおりです。このすべてに当てはまっていなければ支給されません。
・再就職先が未定の状態で雇用保険の基本手当受給資格が認められ、その後、再就職先が見つかった場合
・雇用保険の基本手当の受給資格が決定した後、7日間の待機期間を終了していること
・基本手当が支給されている日数の合計が所定給付日数の3分の2を超えていないこと
・再就職先で雇用保険に加入し、1年を超えて勤務することが確実であること
・再就職先およびその関連会社でこれまでに雇用の経験がないこと
・過去3年以内に同様の給付を受けたことがないこと
・支給決定日の時点で引き続き就業していること
なお、自分の都合で会社を退職し、待機期間である7日を過ぎてから1カ月以内に再就職手当の申請を行う場合には、ハローワークなど特定の紹介者によって見つけた職場に再就職することが条件となっています。
以上が、再就職手当受給のための条件となります。
再就職手当の支給額について
再就職手当は支給される額が決められています。支給額を算出する計算式は、以下の通りとなっています。
・所定の給付日数の残りが3分の2以上:(残りの所定給与日数×70%)×基本手当の日額
・所定の給付日数の残りが3分の1以上:(残りの所定給与日数×60%)×基本手当の日額
上記の計算式を使って、再就職手当の支給額を計算しますが、基本手当の日額は、60歳未満は6,070円、60歳以上65歳未満は4,914円が上限と定めらています。
なお、この上限額は毎年8月1日に「毎月勤労統計」の平均給与に改訂されますので、支給額算出の際は注意してください。
再就職手当受給の具体例
実際に再就職手当の受給を考える場合には、どれくらいの所定給付日数があり、基本手当の日額と、消化した給付の日数を考慮し、支給額を算出していきます。
再就職手当の支給を受けるに当たって金額を算出する場合の具体例を見てみましょう。
所定の給付日数が230日で、基本手当の日額が5,000円の場合でかつ、これまでに85日を消化している場合の計算式は、(残145日×60%)×5,000円=435,000円となります。
上記の具体例を参考にして、再就職手当の支給額を算出してみてください。
まとめ
失業してしまった人が一日も早く再就職できるようにバックアップしてくれる雇用保険による再就職手当の制度は、諸条件があるものの、再就職に向けての意欲を持つことができます。再就職先を見つけると同時に、受給の条件をしっかりと理解して手続きを行い、再就職手当の制度を活用するようにしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
雇用保険被保険者証とは?紛失したときの再発行なども解説!
雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入していることを示す証明書のことです。雇用保険に加入できる条件を満たしている従業員について会社からハローワークに加入の申請を行います。紛失した場合には、従業員が再発行の申請を行います。 本記事では雇用保険…
詳しくみる育児休業とは?育児休暇との違い、取得可能な期間を解説
育児休業は、1歳未満の子どもを育てるために取得することができる休業です。育児・介護休業法に定められており、女性労働者だけではなく、男性労働者にも育児休業の取得が推奨されています。 今回は、育児休業の解説、育児休暇や産前・産後休業との違い、育…
詳しくみる派遣スタッフは社会保険に加入できる?条件や手続きについて解説!
社会保険は病気・ケガ・労働災害・失業・高齢化などの誰にでも発生しうるリスクに対して、社会全体で備えることを目的に運用されている制度です。派遣スタッフであっても加入条件を満たせば社会保険には加入しなければなりません。 そこでこの記事では社会保…
詳しくみる雇用保険被保険者証をもらってない時、どうすればよい?対処法を解説
雇用保険被保険者証は、労働者の雇用保険加入を証明する重要なものですが、場合によっては手元に届いていないこともあります。本記事では、そのような状況に直面した際の対処法を詳しく解説します。 加えて、雇用保険被保険者証の基本情報、もらえるタイミン…
詳しくみる失業保険をもらうと育休手当はもらえない?受給条件や代わりの支援策を解説
「失業保険を受け取ったら育休手当はもうもらえないの?」そんな疑問を抱える方も少なくありません。失業保険と育児休業給付金は、それぞれ目的や支給条件が異なるため、原則として同時に受け取ることはできません。この記事では、両制度の違いやどちらが得か…
詳しくみる社会保険における等級とは?標準報酬月額とあわせて解説
社会保険の保険料は、4月から6月までの平均報酬から算出される標準報酬月額によって決まります。標準報酬月額は金額ごとに等級が分かれており、健康保険は全50等級、厚生年金は全32等級です。健康保険の保険料率は毎年改定され全国健康保険協会等から料…
詳しくみる