- 更新日 : 2025年12月24日
労働保険の一般拠出金とは
労働保険では、2007年4月1日から「一般拠出金」についての申告および納付を行うことになっています。この「一般拠出金」は、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づいたものです。石綿はアスベストという名で知られており、アスベストを使用した建築物等による健康被害が報告されてきました。一般拠出金は、そういった場合の救済に利用されます。
目次
労働保険の一般拠出金の申告および納付について
事業主が労働保険の一般拠出金を申告および納付する際には、原則として労働保険料の申告および納付と同じ方法で行います。
事業主は、労働保険の一般拠出金の申告および納付に関して、労働局への新たな事務手続きが必要となることはありません。
労働保険の一般拠出金の対象
労働保険の一般拠出金は、原則として労災保険が適用される事業を営んでいるすべての事業主から徴収されます。石綿(アスベスト)の製造や販売に関係する事業に限りません。
これは、どの事業であっても業務を行う施設や設備、使用している機材において石綿(アスベスト)が広範囲にわたって使用されてきたことをふまえての措置です。
ただし、労災保険に特別加入している場合や、雇用保険のみの適用を受けている事業主は除きます。
労働保険の一般拠出金の申告および納付方法
労働保険の一般拠出金の申告は、労働保険の年度更新手続きに併せて行います。納付も同時に行います。口座振替で労働保険の確定保険料を納付している場合は、事務手続きを新たに行う必要はありません。事業が終了したり、事業を廃止した際の申告も、労働保険の申告と併せて行います。
なお、労働保険の一般拠出金の納付手続きは、確定納付のみになります。概算納付や、分割して延納する方法はありません。
労働保険の一般拠出金の料率
2014年4月1日より一般拠出金の料率が変更されました。該当時期によって料率が違うため、注意が必要です。2014年4月1日以降に事由が発生した場合の料率は0.02、2007年4月1日から2014年3月31日の場合には0.05となります。
労働保険の一般拠出金の料率は一律です。これは業種を問わず、すべて同じ料率となります。割増や割引を受けている事業(労災保険におけるメリット制適用対象事業場)の場合でも同じです。
労働保険の一般拠出金の申告および納付が必要な事業の期間
労働保険の一般拠出金の申告および納付における対象事業所は、まず、その事業開始が2007年4月1日以降である場合に該当します。有期事業も2007年4月1日以降に開始した事業(工事)の分を申告・納付します。
単独有期事業の場合
事業(工事)終了時に、労働保険の確定保険料と併せて申告・納付します。
一括有期事業の場合
2007年度の年度更新(確定保険料)は2007年3月31日までに終了した事業(工事)が対象となるため、一般拠出金の申告・納付の必要はありません。(2008年度の年度更新より申告・納付します。)
事業を廃止した場合
事業廃止が年度末でなかった場合には、その時点までに支払った賃金総額を基にして納付手続きを行います。なお、労働保険料において還付金が発生する場合には、希望すれば還付金を一般拠出金へ充当することができます。還付金の一般拠出金への充当は、労働保険料の「還付請求書」の提出時に行います。
労働保険の一般拠出金の算定方法
労働保険の一般拠出金の金額は、年度中に支払った千円未満を切り捨てた賃金総額に一般拠出金率を掛けて求めます。
賃金の総額が1,000万円の場合(2014年4月1日以降に発生した事由に関するもの)は、1,000万円×0.02/1,000=200円となります。
まとめ
「石綿による健康被害の救済に関する法律」が制定されるまでは、石綿(アスベスト)が原因とされる健康被害は特定が難しく、特殊であるとして、労災補償の対象が限られていました。
法律の施行によって救済の範囲が広がり、その財源として徴収されることになったのが、労働保険の「一般拠出金」です。「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づいて支給される医療費に必要な財源はこの「一般拠出金」のほか、国からの交付金、地方公共団体からの拠出金があてられています。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
スメルハラスメント(スメハラ)は労災認定される?具体的な基準や手続き、事例なども解説
職場におけるスメルハラスメント(スメハラ)は近年増加しており、深刻な社会問題になっています。自分自身が被害を受けた際にどのように対処すればよいのか、特に精神的な病気を発症した場合に労災申請が可能なのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょ…
詳しくみる従業員が異動(転勤)したら雇用保険の変更はどう行う?手続き方法や電子申請について解説
従業員が異動(転勤)した場合、事業主は14日以内に「雇用保険被保険者転勤届」を管轄のハローワークに提出する必要があります。この手続きは、事業所の所在地が変更になることで、雇用保険の適用事業所が変わるためです。 本記事では、従業員の転勤時の雇…
詳しくみる産休手当を受給できる条件は?計算方法についても解説!
産休手当は、健康保険の被保険者が出産のために会社を休んだときに支給される手当のことで、正式名称は「出産手当金」です。産休手当として支給される金額がいくらくらいなのか、支給される条件にはどのようなものがあるのか、気になっている方も多いでしょう…
詳しくみる社会保険における106万円の壁とは?適用拡大の変更点も解説!
社会保険の扶養から外れる130万円の壁のほかにも、106万円の壁を気にして週20時間未満で働く方が増えています。 2022年10月から適用拡大の対象企業の範囲が広がり、パート従業員の労務管理は益々重要となるでしょう。106万円の壁はいつから…
詳しくみる育児休業等終了時報酬月額変更届とは?適用条件や記入方法をわかりやすく解説
育児休業から復帰したあと、思ったより手取りが少ないと感じる方もいるでしょう。これは社会保険料が、育休前の給与をもとに計算されているのが原因です。 育児休業等終了時報酬月額変更届という制度を利用すれば、育休後の実際の給与にあわせて標準報酬月額…
詳しくみる厚生年金保険は20年加入するとお得?受給額はいくら増える?
現行制度では、厚生年金は10年以上かけると65歳以降に老齢年金を受給することが可能です。さらに、20年以上かけると加給年金が加算され、支給額が増額されます。厚生年金に20年加入した場合と20年未満では、いくらくらい受給額に差が出るのでしょう…
詳しくみる