【2020年版】「源泉徴収票」の見方を解説 チェックすべき項目はここ!

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年末になると、会社から発行される源泉徴収票。その中身を理解しているかと聞かれたら、自信がないという方が多いと思います。

サラリーマンの大半は、自分自身で税金の計算を行う場面がほとんどないのが現状です。なぜなら、給与から所得税が差し引かれる仕組みである源泉徴収制度と、給与支払者が行う年末調整によって、税金の計算も支払いも自ら行う必要がないことが多いからです。

ですが、源泉徴収票の簡単な見方は知っておきたいですよね。源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「公的年金等の源泉徴収票」の3種類がありますが、ここでは「給与所得の源泉徴収票」をもとにチェックすべきポイントを見ていきましょう。

源泉徴収票の発行とゆくえ

会社などの給与支払者は1月から12月までの給与をもとに年末調整を行います。年末調整後、1月31日までに2通の源泉徴収票を発行することが定められています。年の途中で退職した方には、退職後1カ月以内に発行するのが原則です。

発行した2通の源泉徴収票のうち、1通は本人に、もう1通は税務署に提出します。税務署に提出する対象者は限定されています。提出要件は次のとおりです。

  • 年末調整したもののうち給与の支払金額が500万円を超えるもの
  • 年の途中で退職して、給与の支払金額が250万円を超える場合 など

給与支払者は、受給者が住んでいる市区町村あてにも「給与支払報告書」を提出します。これは、翌年に課税される住民税の計算に使用されます。この書式の内容は源泉徴収票とほぼ同じです。

源泉徴収票はなにに役立つ?

そもそも、源泉徴収票とは、給与支払者がその年に支払った給与の合計額と源泉徴収した税額の合計額を記載する書類です。

1カ所からのみ給与を受け取っていて他に所得がないケースなど、確定申告をする必要がない人の場合には、源泉徴収票がその年の“所得証明”の書類となります。そのため、活躍する場面をあげるとすれば、所得に応じて審査を受けるような場合です。例えば住宅ローンの借り入れや賃貸契約時の信用判断に利用されたりします。また、公的な手続きで提出を求められたりすることも珍しくありません。

確定申告をする場合には、給与所得の金額の証明として源泉徴収票を添付することになります。e-taxを利用して電子申告をすれば源泉徴収票の添付を省略することもできますが、省略した確定申告の提出期限から5年間は税務署からの提示または提出を求められる可能性があるため、必ず保管しておく必要があります。
年の途中で転職した場合には、転職先の会社の年末調整の際に源泉徴収票を提出しなければなりません。

源泉徴収票の読み解き方

では、給与所得の源泉徴収票の記載事項をどのように読み解くかを見ていきましょう。最大のポイントである「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4種類の金額の違いを知ることで源泉徴収票がとてもわかりやすくなります。ひとつひとつ意味を見ていきましょう。

支払金額

まず「支払金額」というのは、その年の1月から12月中に支払いの確定した給与等の総額です。支払いの確定した給与等、という意味は、支払いの有無にかかわらず支払われる金額が決定しているということです。つまり、給与支払のサイクルが月末締め翌月5日払いといったケースの場合には、1月5日に受け取る金額も前年の源泉徴収票に含まれていることになります。支払金額欄に内書きされている金額があればその金額は源泉徴収票作成時で未だ支払われていなかった金額です。

給与所得控除後の金額

次に「給与所得控除後の金額」は、「支払金額」から給与所得控除額を差し引いた金額です。「支払金額」と給与所得控除額の関係は、売上と必要経費の関係に似ています。売上から必要経費を差し引けば利益が算出できるように、「支払金額」から給与所得控除額を控除すれば利益(所得)が算出できるイメージです。

この欄には年末調整をした場合にのみ金額が記載されますので、1カ所のみから給与を受給している場合や年の途中に退職した前職分の給与も合算している場合には、給与所得控除後の金額が給与所得の金額と等しい金額となります。

所得控除の額の合計額

さらに「所得控除の額の合計額」も年末調整した場合にのみ金額が記載されます。この金額は社会保険料控除、小規模共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除の合計額です。この金額を前出の「給与所得控除後の金額」から差し引いた金額をもとに所得税の計算をすることになります。

源泉徴収税額

「源泉徴収税額」については、年末調整した場合には年末調整で還付等された金額も合算した税額が表示され、年末調整していない場合には給与受給の際に源泉徴収されていた金額の合計額が記載されます。「支払金額」の説明で触れた内書きされている未払いの給与がある場合には、ここで未徴収の源泉所得税が内書きされます。

その他の記載事項については、概ね税額計算の根拠となった条件を表示しています。

配偶者、扶養親族に関する控除

2018年に大幅な見直しがされた「源泉控除対象配偶者」「配偶者控除及び配偶者特別控除」についても触れておきましょう。

(源泉)控除対象配偶者の有無等

この欄は、年末調整していれば控除対象配偶者を有している場合、年末調整していなければ源泉控除対象配偶者を有している場合に丸印が付されます。控除対象配偶者とは、同一生計配偶者のうち、合計所得金額1,000万円以下である受給者の配偶者をいいます。源泉控除対象配偶者とは、合計所得金額900万円以下の給与所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が85万円以下である方をいいます。

配偶者(特別)控除の額

配偶者控除の額あるいは配偶者特別控除の額を記載します。受給者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることはできません。また配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合または123万円を超える場合には配偶者特別控除の適用を受けることはできません。

(源泉・特別)控除対象配偶者

「(源泉・特別)控除対象配偶者」の欄には控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者、源泉控除対象配偶者のいずれかの対象となる配偶者の氏名等を記載することになります。

【参考】国税庁 配偶者特別控除
国税庁 源泉徴収票の記載の仕方

2020年(令和2年)分の源泉徴収票の主な変更点

2020年(令和2年)分の源泉徴収票は、通常であれば年末調整後に交付されるので、確認できるのは2021年(令和3年)です。

主な変更点について触れておきましょう。

基礎控除額の引き上げ

基礎控除とは、所得控除のうち全ての納税者に適用される控除です。これまでは一律38万円が控除されていましたが、2020年分から最大48万円に引き上げられます。合計所得金額が2,400万円を超える場合には段階的に控除額が少なくなります。

【参考】国税庁 基礎控除

給与所得控除額の引き下げ

給与所得控除額は一律10万円、減額されます。また給与等の収入金額が850万円を超える場合には、給与所得控除額は一律195万円となり、これまでの上限だった220万円から195万円に引き下がります。

【参考】財務省 個人所得課税

所得金額調整控除の新設

介護や子育て世帯の負担が増えないよう、新しく所得金額調整控除という控除が創設されることになりました。対象者は年収が850万円を超え、かつ以下3つの条件のいずれかに該当する従業員となります。

  • 本人が特別障害者である場合
  • 23歳未満の扶養親族がいる場合
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる場合

上記項目に関連する合計所得金額要件の引き上げ

例えば、同一生計配偶者の合計所得金額、扶養親族の合計所得金額要件は、これまでは合計所得金額が38万円以下であることとされていましたが、2020年度以降は48万円以下に変更されます。ただし給与収入の要件が変わるわけではありませんので年収額は103万円以下のまま変更はありません。

【参考】国税庁 各種控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正

納税意識を高めるきっかけに

源泉徴収票には、その年に自分が納税した金額が書かれているため、その記載内容を理解すると、様々な意識改革のきっかけになると思います。毎月の給料は、すでに所得税を源泉徴収された金額を受け取っていますが、源泉徴収されているということは毎月コンスタントに所得税を納めているということです。

例えば、脱サラして個人事業主になると、所得税の確定申告をしなければなりません。その際に納税に対する意識が薄いと、所得に対する税金のイメージがわきにくく苦労される方がたくさんいらっしゃいます。これを機に納税に対する意識が少しでも高まり、興味を持っていただければ幸いです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年6月9日)のものです。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:伯母 敏子(税理士)

伯母敏子税理士事務所
大学卒業後、大手リース会社の営業職として中小企業経営者に向けた融資、リース契約、保険の販売等様々な金融商品の取り扱いを経験。その後、個人税理士事務所へ転職。平成27年に税理士試験合格。平成28年4月に税理士登録、平成29年11月に伯母敏子税理士事務所として独立開業。現在は新宿区神楽坂にて中小企業の経営、事業承継、法人成り、クラウド会計、経理事務改善の提案等のサポートを通じて中小企業経営者向けサービスを提供している。



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