- 更新日 : 2025年7月14日
国民年金へ切り替えるときに離職票がない場合はどうする?代用できる書類を紹介
国民年金へ切り替えるときに離職票がなくても手続き自体は可能です。代用できる書類を使用すれば切り替えられます。
ただ「どのような書類が離職票の代わりになる?」「代用した書類で切り替え手続きを行う方法を知りたい」などと気になっている人もいるでしょう。
そこで本記事では、国民年金へ切り替えるときに離職票がない場合の対処法や切り替え時に必要な書類などを紹介しています。また、離職票の代わりとなる書類とその発行方法もまとめています。
目次
離職票は通常いつ届く?
離職票は退職してから10日~14日後に届くのが一般的です。離職票は会社での手続きだけで発行されるわけではなく、以下のようにハローワークとのやり取りを経て発行されます。
- 自身で発行を依頼する
- 前職が離職証明書を作成してハローワークに提出する(退職日の翌々日から10日以内)
- ハローワークが離職票を発行して前職へ送付する(1日から5日ほど)
- ハローワークから送られた離職票を前職が受け取り、退職者の自宅へ郵送する(1日から3日ほど)
上記の流れで離職票が届くため、2~3週間ほどは待ちましょう。雇用保険法の第76条の第3項により、離職票の発行を依頼されたら会社は必ず対応しなければならないと定められているため、発行を拒否されることはありません。
国民年金へ切り替えるときに離職票がない場合はどうすればいい?
離職票がなくても国民年金への切り替えは可能です。ただ、国民年金への切り替え手続きができる期限は退職日の翌日から14日以内となっています。
よって、しばらく待っても離職票が届かない場合は、離職票の代わりとなる書類を使用して切り替え手続きを行うと良いでしょう。「退職証明書」や「健康保険資格喪失証明書」など退職日が分かる書類で代用できます。
退職証明書は、会社を退職したことを証明するための書類です。自身では発行できず、会社に発行を依頼する必要があります。
健康保険資格喪失証明書は、社会保険の資格を喪失したことを証明するための書類です。同じく自身では発行できず、会社もしくは健康保険組合に発行してもらう必要があります。
もしどちらの書類もない場合は、日本年金機構に届出を提出すれば健康保険資格喪失証明書を発行してもらえます。それぞれの書類の発行方法については、本記事の「国民年金への切り替え手続きで必要な書類」をご参照ください。
なお、離職票は保険料減免や納付猶予を申請できるため、減免や猶予の適用を受けたい場合は離職票が必要です。
離職票なしで国民年金に切り替える方法は2つ
離職票なしで国民年金に切り替える方法は、窓口で手続きする方法とマイナポータルで手続きする方法の2通りあるため、それぞれの方法について詳しく解説します。
なお以下より紹介するのは、配偶者の扶養に入らず自身で保険料を支払う場合の切り替え方法です。配偶者の扶養に入る場合は、本記事の「配偶者の扶養に入る場合も国民年金への切り替えが必要?」をご参照ください。
市区町村の窓口で切り替え手続きをする方法
市区町村の窓口にて国民年金への切り替え手続きをする方法は、以下の通りです。
- 市役所や区役所の保険年金課へ行く
- 「国民年金被保険者関係届書(申出書)」に必要事項を記入する
- 窓口で届書と必要書類を提出する
市役所や区役所では特に予約は必要なく、窓口が開いている時間帯に行けば手続きができます。営業時間や切り替え手続きができる市役所・区役所を事前に調べておきましょう。必要書類については、本記事の「国民年金への切り替え手続きで必要な書類」にて紹介しています。
なお一般的には、国民健康保険への切り替え後に国民年金の切り替え手続きも行ってもらえます。
マイナポータルで切り替え手続きをする方法
マイナポータルにて国民年金への切り替え手続きをする方法は、以下の通りです。
- マイナポータルにログインする
- 国民年金への加入手続きをする画面へ行く
- 必要事項を入力する
- 入力内容を確認して申請する
マイナポータルを利用すると数分で申請できるため、切り替え期限が迫っている人はマイナポータルで手続きすることをおすすめします。
ただ、マイナポータルで申請するには、事前にマイナポータルに登録しておく必要があるため気をつけましょう。マイナポータルの登録方法は公式サイトをご参照ください。
国民年金への切り替え手続きで必要な書類
国民年金への切り替え手続きで必要な書類は以下の通りです。
必要な書類 | 具体例 |
---|---|
本人確認書類 |
|
個人番号を確認できる書類 |
|
年金手帳もしくは基礎年金番号通知書 | – |
退職年月日を証明できる書類 |
|
窓口で切り替え手続きをする場合は、上記の書類を持参してください。マイナポータルから行う場合は、マイナンバーカードと退職年月日が証明できる書類があれば手続きできます。
退職証明書や資格喪失証明書など退職年月日が証明できる書類は、自身で発行できません。会社や健康保険組合などで発行してもらう必要があるため、以下より発行方法を解説します。
退職証明書の発行方法
退職証明書は、退職時や退職後に作成してほしいと会社に依頼する必要があります。
依頼する際は、退職証明書に記載してほしい項目も一緒に伝えると良いでしょう。労働基準法の第22条の第3項にて、労働者の請求しない事項を記入してはならないと定められているためです。
退職証明書に記載する主な事項を以下にまとめました。
- 使用期間
- 業務の種類
- 従事した事業における地位
- 賃金
- 退職の事由
退職証明書の発行にかかる時間は会社によって異なります。ただ労働基準法の第22条の第1項によって、依頼されたら必ず発行しなければならないと定められているため、発行を拒否されることはありません。
なお会社を退職して2年が経過すると、発行を依頼できなくなるため注意してください。すでに退職している場合は、忘れないうちに退職証明書の発行を申請しましょう。
健康保険資格喪失証明書の発行方法
健康保険資格喪失証明書も自身では発行できません。退職証明書と同じく、退職時や退職後に会社へ作成を依頼してください。もしくは健康保険組合へ作成を依頼することもできます。
また、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)」を自分で提出して発行してもらう方法もあります。
年金事務所の窓口へ持参するか郵送することで、資格喪失証明書を発行可能です。急いでいる場合は窓口へ持参すると良いでしょう。請求書は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
なお、健康保険資格喪失証明書を発行してもらえるのは、資格喪失の手続きが完了したあとです。手続きが完了するまでは発行されないため注意してください。
参考:7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき|日本年金機構
期限の14日を過ぎても国民年金への切り替え手続きは可能
本来であれば退職日の翌日から14日以内に国民年金への切り替え手続きをする必要がありますが、期限を過ぎたとしても手続きは可能です。気づいた時点で早めに窓口やマイナポータルから切り替え手続きをすると良いでしょう。
もし切り替え手続きをするのを忘れてしばらく日数が経った場合、国民年金の納付書が送られてきます。会社が厚生年金の喪失手続きをしたら、自動的に国民年金に加入したことになるためです。
納付書が届いたら未納分の国民年金保険料を納めてください。ずっと未納のままでいると、延滞金が発生したり財産の差し押さえとなったりする可能性があるため、必ず期限内に保険料を納めましょう。
離職票や国民年金への切り替えに関するよくある質問
離職票や国民年金の切り替えに関するよくある質問をいくつか紹介します。
配偶者の扶養に入る場合も国民年金への切り替えが必要?
会社を退職して配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の会社に国民年金への切り替え手続きをしてもらう必要があります。
具体的には配偶者の会社が「被扶養者(異動)届」を年金事務所の窓口へ提出するか、電子申請することで切り替えられます。提出期限は扶養対象となった事実が発生から5日以内であるため、なるべく早く配偶者に切り替え手続きについて伝えましょう。
なお被扶養者の条件に該当していない場合は、退職後に自身で保険料を支払う必要があります。被扶養者の条件は以下の通りです。
- 日本国内に住民票があること
- 主に被保険者によって生計を維持されていること
- 年間の収入が130万円未満であり、かつ収入が被保険者の収入の半分未満であること(別居の場合は収入が被保険者からの仕送り額未満であること)
- 被保険者と3親等内の親族もしくは内縁関係の家族であり、同居していること(被保険者の配偶者、子ども、孫などは別居でも可)
上記の条件をいずれも満たす必要があり、どれか一つでも該当していない場合は自身で保険料を支払わなければならないため注意してください。
参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
国民年金への切り替え手続き以外で離職票が必要なタイミングはある?
切り替え手続き以外だと、主に失業保険を申請するときに離職票が必要です。
実際は申請するときに離職票がなくても仮手続きが可能ですが、手続きから約2~3ヶ月後の初回の認定日までには必ず用意しなければなりません。離職票がないと失業手当を受給できず離職票の代用となる書類もないため、必ず初回の認定日までに用意しておきましょう。
2~3週間待っても離職票が届かない場合は、会社に連絡するかハローワークで相談することをおすすめします。
また、離職理由によっては国民健康保険の減免制度が適用されるため、減免制度を利用したい場合も離職票を用意する必要があります。
会社を退職したあと、いつから国民年金に切り替わる?
基本的には、退職日の翌日から国民年金に切り替えとなり保険料を納付する必要があります。
たとえば、6月15日に退職したら6月16日から切り替えとなります。国民年金保険料は6月分から支払い、厚生年金保険料を納めるのは前月の5月分までです。もし月末で退職した場合は、翌月分から国民年金保険料を支払います。
なお、退職から再就職までの期間が数日だとしても、空いた期間分の国民年金保険料を支払わなければなりません。仮に6月15日に退職して6月30日に再就職した場合、6月16日~6月29日までの国民年金保険料を支払う必要があります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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