• 更新日 : 2025年7月14日

アルバイトが休憩を取れるのは何時間から?給料計算やルールについても解説

日々の仕事において「休憩時間」は自身のリフレッシュやメンテナンスのための重要な時間です。アルバイトの人でも、休憩時間については法律で定めがあります。

しかし「休憩は何時間から取れるのか」「休憩のルールはどのようになっているのか」と休憩時間に関する疑問を持つ人もいるでしょう。この記事では、アルバイトに与えられる休憩時間や休憩のルール、休憩中の給料計算などを解説します。

アルバイトの休憩に関する基礎知識

アルバイトが休憩を取れるのは何時間からなのでしょうか。また、休憩時間にはどのような原則があるのでしょうか。アルバイトの休憩に関する基礎知識を解説します。

アルバイトに休憩が与えられるのは6時間超の労働から

アルバイトに休憩が与えられるのは、労働時間が6時間を超えてからです。これは、アルバイトにかかわらず、パートや正社員にも当てはまるルールです。

労働基準法第34条では、以下のように定められています。

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

引用:e-GOV法令検索「労働基準法 第34条」

この法律にもとづき、6時間を超えると45分、8時間を超えると1時間の休憩が与えられます。

なお、休憩が与えられるのは労働時間が6時間を1分でも超えた場合です。労働時間が6時間ちょうどの場合、企業は休憩時間を与える法律上の義務がないため、基本的に休憩時間はないと考えてよいでしょう。

休憩時間と休息時間の違い

「休憩時間」は、法令で定められたものであり、要件に合致すれば必ず取得できるものです。

一方「休息時間」には法律による明確な定義がなく、企業ごとに規則が定められています。労働基準法に定められている規定は、あくまで最低限のラインです。そのため、法律の基準を下回る労働時間であっても、企業が任意で休憩する時間を設けること自体は可能です。

よって、労働基準法で定められる「6時間超で45分」「8時間超で1時間」の休憩を「休憩時間」、労働時間が6時間以下の場合でも設けられる任意の休憩を「休息時間」と捉えておくと分かりやすいかもしれません。

休憩時間に関するルール・豆知識

休憩時間に関するルールとして、以下の5つをおさえておきましょう。

  • 休憩時間は働いている途中で取る必要がある
  • 休憩時間は労働者一斉に取れる
  • 休憩時間は自由に過ごして構わない
  • 分割して休憩時間の取得ができる
  • 6時間超の勤務なら「休憩時間はいらない」と断れない

これらのルールをおさえて、適切に休憩を取るようにしてください。

休憩時間は働いている途中で取る必要がある

休憩時間は、労働時間の途中で取る必要があります。労働基準法第34条にも「休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と明記されているため、働いている間に取ることが求められます。

参照:e-GOV法令検索「労働基準法 第34条」

勤務が始まる直前や、勤務開始直後、勤務終了後にまとめて取得することは認められていません。

休憩時間は自由に過ごして構わない

休憩時間は自由に過ごして構わないとされています。労働基準法第34条の3には、次のような規定があります。

使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

引用:e-GOV法令検索「労働基準法 第34条の3」

よって、休憩時間中は完全に労働から離れてよいのです。休憩時間には、昼食を取ったり、私的な用事を済ませたりできます。もし休憩時間中に電話対応・来客対応・午後の仕事の準備などをしているのであれば、その時間は休憩しているとはみなされない可能性があります。

休憩時間は労働者一斉に取れる

休憩時間は、基本的にその事業場の労働者が一斉に取得するものとされています。労働基準法第34条の2には「休憩時間は、一斉に与えなければならない」とあります。

参照:e-GOV法令検索「労働基準法 第34条の2」

ただし、企業が労働組合や労働者の過半数の代表者との間で書面による協定(労使協定)を結んでいる場合は、一斉に取得しなくても構いません。

また、以下のような業種は労使協定がなくても交代で休憩時間を取ることが認められています。

  • 運送業
  • 商業
  • 金融・保険業
  • 映画・演劇業
  • 郵便・電気通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公庁の事業

上記の業種の会社で働いていて、窓口を交代してもらえないといったことが起きている場合は、会社の労務担当や労働基準監督署に相談しましょう。

分割して休憩時間の取得ができる

休憩時間は分割して取得できます。たとえば、45分の休憩時間を「30分と15分」のように、労働時間の途中で複数回に分けて取ることも可能です。

ただし、あまりにも休憩時間が細切れで短いと、心身を十分に回復できず、休憩していないと判断される可能性があります。適切な長さと回数で休憩時間を取得するようにしましょう。

6時間超の勤務なら「休憩時間はいらない」と断れない

6時間を超えて勤務する場合、法律にもとづいて最低でも45分の休憩を取る必要があります。これは法律で定められたルールのため、効率を重視して「休憩時間はいらない」と労働者側から断ることはできません。

もし休憩なしで働きたいのであれば、労働時間を6時間以内におさえる必要があります。

休憩時間の給料はどう計算される?

休憩時間も労働時間として給料計算に含まれるのでしょうか。シミュレーションを交えながら、休憩時間がある場合の給料計算の仕方を解説します。

休憩時間は給料が発生しない

休憩時間は労働時間とはみなされず、その時間に対して給料は発生しないのが原則です。労働基準法第11条では、賃金を「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義しています。休憩時間は労働から解放されている時間のため、労働の対償である賃金は発生しません。

ただし、休憩時間中に来客対応や電話番を頼まれたり、午後の仕事の準備をしたりした場合、その時間は業務にあたっているとみなされ、賃金が発生します。この際は、本来の休憩時間から時間をずらして、別途休憩時間を取得する必要があります。

休憩時間がある場合の給料計算の仕方

時給1,200円で働く人を例に、6時間勤務・7時間勤務・8時間勤務の際の給料を計算してみましょう。

6時間勤務の場合

  • 始業時間:9時
  • 終業時間:15時
  • 休憩時間:なし

6時間勤務の場合は休憩時間がないため、実労働時間は6時間です。「1,200円×6時間=7,200円」で、1日の給料は7,200円となります。

7時間勤務の場合

  • 始業時間:9時
  • 終業時間:16時
  • 休憩時間:45分

7時間勤務の場合は、拘束時間の7時間から休憩時間45分を引くため、実労働時間は6時間15分(6.25時間)です。「1,200円×6.25時間=7,500円」で、1日の給料は7,500円となります。

8時間勤務の場合

  • 始業時間:9時
  • 終業時間:17時
  • 休憩時間:1時間

8時間勤務の場合は、拘束時間の8時間から休憩時間1時間を引くため、実労働時間は7時間です。「1,200円×7時間=8,400円」で、1日の給料は8,400円となります。

なお、実労働時間が8時間を超えて労働した場合は時間外労働に該当します。時間外労働分の賃金は割増賃金であり、金額は通常の賃金の1.25倍以上です。

休憩時間に該当する?仕事中によくある3ケース

日常の仕事においてよくあるシーンが、休憩時間に該当する可能性はあるのでしょうか。いくつかのシーンについて、休憩時間とみなされるかどうかを解説していきます。

トイレ休憩をした場合

トイレに行く時間は、基本的に数分で仕事に戻ることから、法律上の「休憩時間」には含まれません。これは、業務から完全に解放されているわけではなく、職務専念義務が免除されていない「手待ち時間」や、軽い休息の時間とみなされるものです。

ただし、故意に何度もトイレに立ったり、個室で長時間過ごしたりしている場合は、休憩時間とみなされ賃金が支払われない可能性も出てきます。トイレにいる時間が休憩時間かどうか判別するのは難しく、基本的には「トイレ休憩=休憩時間ではない」とされますが、常識の範疇を超えるものにはそうしたリスクがあることはおさえておきましょう。

休憩時間中に来客・電話対応をした場合

休憩時間中に来客や電話の対応をした場合は、その時間は労働時間とみなされます。休憩時間は労働から完全に離れている必要があり、来客対応や電話対応は業務の一環だからです。

この場合、対応にかかった時間分は労働時間として扱われ、本来の休憩時間とは別に休憩を取得できます。業務の都合上まとめての休憩取得が難しいのであれば、分割して終業前までに取得するようにしましょう。

残業した場合

残業時間中に、法律上、追加で休憩を与える義務は基本的にありません。しかし、長時間働くことになるため、集中力維持や健康のためにも、自身で短い休息を設けるとよいでしょう。その際は、休憩した時間と残業して勤務した時間を正しく会社に報告することが大切です。

なお、普段の勤務時間が8時間に満たない人が残業によって実労働時間が8時間を超える際は、合計で1時間の休憩が与えられます。たとえば、所定労働時間が7時間(休憩45分)の人が1時間残業した場合、実労働時間が8時間となるため、さらに15分の休憩が必要です。

また、普段6時間勤務(休憩なし)の人が1時間残業して実労働時間が7時間になった際は、新たに45分の休憩が必要です。

アルバイトで休憩時間をもらえない場合はどうしたらよい?

アルバイトでも法律の要件を満たせば休憩時間がもらえます。もし6時間以上働いているのに休憩をもらえない場合は、すぐに会社や専門機関に相談しましょう。休憩時間がもらえない際の対策を解説します。

雇用契約書や就業規則を確認する

まずは、雇用契約書や就業規則を確かめてください。雇用契約書には、労働契約の期間や就業場所に加えて、休憩時間に関する内容が記載されています。

もし休憩時間の記載があるにもかかわらず休憩が与えられていない場合は、勤務先が法令に違反しています。また、万が一記載がないとしても、労働時間が6時間を超える場合は、企業は従業員に休憩を与えなければなりません。

現在の働き方における労働時間の実態と、雇用契約書の内容などをもとに、あらためて上司や労務担当者に相談してみましょう。

労働基準監督署に相談する

上司や会社の担当者に相談しても状況が改善されないのであれば、労働基準監督署に相談するとよいです。労働基準監督署は、企業が労働基準法などを守っているかを監督する国の機関です。相談したのちに労働基準監督署が悪質だと判断した場合は、勤務先に行政指導や是正勧告といった措置が取られる可能性があります。

相談する際は「休憩時間が取れるように職場環境を改善してほしい」「休憩時間に働いた分の未払い賃金を払ってほしい」など、自身の要望を明確に伝えるようにしましょう。

アルバイトの休憩時間に関するQ&A

アルバイトの休憩時間に関するよくある質問や疑問をまとめました。アルバイトとして働いている人で、日々の働き方に疑問がある場合は、参考にしてください。

休憩なしで効率よく働ける労働時間はありますか?

休憩時間を「職場に拘束される時間」と感じ、なくしたいと考える人もいるでしょう。労働時間が6時間までなら、法律上は休憩を付与する義務がないため、休憩なしで効率よく働けます。

アルバイトの休憩時間が30分しかないのは違法ですか?

アルバイト・正社員にかかわらず、労働基準法では労働時間が6時間超で45分、8時間超で1時間の休憩を与えるよう定めています。

もし6時間を超えて働いているにもかかわらず30分しか休憩時間が与えられていない場合は法令違反となるため、上司に相談するか、労働基準監督署に相談するとよいでしょう。

7時間勤務なら休憩時間はいらないですか?

7時間勤務の場合は労働時間が6時間を超えるため、最低でも45分の休憩時間が必要です。もし1時間以上残業して実労働時間が8時間を超える場合は、合計で1時間の休憩時間が必要となり、さらに15分追加で休憩します。

勤務時間が6時間以内でも休憩時間を取ってよいですか?

勤務時間が6時間以内であっても、休憩時間を取ること自体は問題ありません。ただし、こうしたケースでは企業に休憩を与える法律上の義務がないため、そもそも休憩時間が設けられていない可能性が高いです。

6時間以下の勤務の場合に休憩を与えるかどうかは企業が任意に決めるものです。もし休憩時間の取得を希望する場合は一度上司や担当者に相談してみましょう。


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