ICカードの押し忘れや勤怠届忘れで厳しい処分、その時どうする?

勤怠押し忘れ・付け忘れだけでとんでもない処分!?

勤怠の押し忘れやつけ忘れで、「罰金や減給」「始末書を書かされた」という話を耳にすることがあります。このような場合、どうしたらよいのでしょうか。労働者の目線で具体的な対応の仕方を解説します。

恣意的な懲戒処分は不可

罰金や減給、始末書などは、懲戒処分やそれに準ずるものと考えられます。懲戒処分は、就業規則等の根拠が必要であり、しかも、公正かつ適切に行わなければなりません。勤怠押し忘れ・付け忘れといった軽微な問題で、罰金や減給、始末書という重い処分はどう考えても不当と思われます

1.「懲戒処分」について

多くの企業では、労働者がルール違反をした場合に、就業規則で譴責、戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇などの懲戒処分制度を設けています。懲戒処分の理由を「懲戒事由」といいますが、その主なものとしては、業務命令違反、職務懈怠、無断欠勤、信用失墜行為、職務外非行などがあります。勤怠押し忘れ・付け忘れも懲戒事由に該当するルール違反行為と一応はいえるでしょう(「一応」と言ったのは、勤怠押し忘れ・付け忘れは労働者だけの問題とは必ずしも言えないからです。後ほど詳しく説明します)。

2. 懲戒処分を行うにはルールがある

企業が懲戒処分をするときは、あらかじめ処分の事由、内容と程度を、就業規則や労働契約に定め、それを労働者に事前に知らせておくことが必要です。処分は、その規定に従って、本人に弁明の機会を与えるなど適正な手続きに則って行う必要があります。懲戒処分が上記の条件を満たして行われていても、処分の目的が不当であったり、処分の内容が当該の行為に対して重すぎる場合には、無効になることがあります。

3. この処分は、適切とは言えない

勤怠押し忘れ・付け忘れは軽微な過失です。それだけで懲戒処分とするのは、不当に重いと考えられます。

勤怠管理の基本を確認しておこう

勤怠管理は、本来は会社の責任です。労働者のうっかりミスを見逃すこと自体が、会社として適切な管理をしていなかったことを示すものです。出退勤等の勤怠管理は、労働者の手続きのみでなく、タイムカードその他の客観的な資料で管理されるべきであり、労働者の押し忘れ・付け忘れをチェックできず放置していたこと自体が、会社の管理者の怠慢とさえいえます。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を確認してみましょう。

ガイドライン中の「使用者」は会社あるいは管理者とお考えください。少し分りにくい言い回しなので、説明を補っています。このガイドラインは、管理者や人事労務の担当者なら必読となります、重要な部分を一緒に確認しましょう。

労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること

ガイドライン中の4項で示されている内容になります。
始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法として、(1)使用者が、自ら現認することにより確認すること (2)タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することの2点が挙げられています。
やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合についても、使用者の責任を厳格に規定されています。(1)労働者や管理者に労働時間管理の適正な運用とはどういうことなのか、説明すること。(2)自己申告された時間と入退場記録やパソコンの使用時間等とがかけ離れている場合には、実態を調べること。(3)自己申告できる時間の上限を設けたり、36協定違反の労働時間でありながら、協定を守っているかのように記録しているような事はないか確認すること。といった大きく3点が挙げられます。

困ったときの相談窓口

実際に上記に示したような問題が起こったときにはどうすればよいでしょうか。泣き寝入りは禁物です。「社内相談の大切さ」と「公の相談窓口」について簡単に解説します。

社内相談の大切さ

現場の管理者などが就業規則や労働関係法令をよく理解しないままに、思いつきで懲戒処分などに至ることもしばしば見られるようです。困った時には遠慮なく会社の人事部に相談するようにしましょう。これで案外簡単に解決することもあります。また、労働組合があるなら労働組合に相談してみましょう。労働組合がなくても職場の先輩など信頼できる人にまず聞いてみることが大切です。

公の相談窓口への相談

社内で解決ができないなら公の相談窓口に相談してみましょう。労働基準監督署総合労働相談コーナーが全国各地に設置されています。

1人で悩むのは自分のためにも会社のためにもならない

勤怠押し忘れ・付け忘れによる不当処分のような問題が起こった場合は、社内で相談してみることをおすすめします。なかなか解決しないなら、公の相談窓口に相談してもよいでしょう。それが自分を守るだけでなく、会社を守ることにもなります。
不当な処分を放置することは、会社にとっても将来の紛争の種になりかねないのです。SNS などで情報が容易に拡散される昨今、会社・あるいは現場管理者の不当な対応は、社会からの大きな批判を受けることにつながってしまいます。問題に気づけば声を上げ、労使ともに適切な人事労務マネジメントのきっかけにすべきでしょう。

【執筆協力】玉上 信明(たまがみ のぶあき)社会保険労務士 健康経営アドバイザー

紙芝居型講師(登録商標)/日本公認不正検査士協会アソシエイト会員
2015年10月三井住友信託銀行を65歳定年退職。現在社会保険労務士玉上事務所所長。 本業の他、執筆・セミナー活動を継続。人事労務管理全般、不正不祥事防止対策が専門。
「紙芝居型講師」は専門士業者のグループです。専門知識を紙芝居・ストーリー形式でわかりやすく伝える活動を進めています。

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