就業規則を作成!絶対的必要記載事項は?使える雛形・テンプレート

就業規則は何のために作成するの?

就業規則とは、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めた職場における規則集です。
職場でのルールを定め、労使双方がそれを守ることで、労働者が安心して働くことができ、労使間の無用のトラブルを防ぐことが期待できるので、就業規則の役割は重要です。
労働基準法89条で、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出なければならず、就業規則の内容を変更した場合も、同様に届け出なければならない、とされています。なお、作成・届出義務が発生するのは常時10人以上の労働者を使用する事業場のみですが、会社のルールを明文化することで労使間の無用なトラブルを防ぐことにつながりますので、10人未満の事業場でも就業規則の作成が全く不要かというと、そうではありません。
また、就業規則の作成にあたっては、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と定めをする場合には記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。以下それぞれについて説明していきます。

就業規則作成のポイント、必ず盛り込まなければならない”絶対的必要記載事項”

まず、必ず就業規則として定めて明文化しなければならない「絶対的必要記載事項」は以下の3つです。

1)始業及び就業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

大前提として、各社の就業規則は法律に違反する内容を定めることはできません。
例えば、労働時間については労働基準法において、1週間の労働時間の上限は40時間、1日の上限は8時間と定められています(変形労働時間制等を適用していない場合)。そのため、就業規則に定める就業時刻はその範囲内となるよう定めなければなりません。また、休憩時間、休日についても法定で定められている時間、日数以上としなければなりません。

就業規則例(雛形・テンプレート)

(労働時間及び休憩時間)
第○○条  労働時間は、1週間については40時間、1日については8時間とする。
2- 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。この場合、前日までに労働者に通知する。
”始業・終業時刻: 始業 午前_時_分 終業 午後_時_分
休憩時間:_時_分から_時_分まで”
(休日)
第○○条 休日は、次のとおりとする。
1. 土曜日及び日曜日
2. 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
3. 年末年始(12月✖日~1月●日)
4. 夏季休日( 8月△日~ 8月○日)
5. その他会社が指定する日
2- 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。

2)賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

労働基準法第24条で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とされており、就業規則上でも賃金について毎月1回以上、一定の支払日を定めて支払うことを定める必要があります。
なお、労働者が欠勤、遅刻、早退等をした場合は「ノーワークノーペイ」の原則が適用されますので、労働しなかった日及び時間については、賃金を支払う必要はありません。使用者はその日数及び時間数に応じて賃金を減額することも可能ですので、その場合の計算方法を明確にしておく必要があるでしょう。

就業規則例(雛形・テンプレート)

(賃金の計算期間及び支払日)
第○○条  賃金は、毎月_日に締め切って計算し、翌月_日に支払う。ただし、支払日が金融機関休業日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。
2- 前項の計算期間の中途で採用された労働者又は退職した労働者については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。
(賃金の支払と控除)
第○○条 賃金は、労働者に対し、通貨で直接その全額を支払う。
2- 前項について、労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により賃金を支払う。
3- 次に掲げるものは、賃金から控除する。
1. 源泉所得税
2. 住民税
3. 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
4. 労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費
(昇給)
第○○条 昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年_日_日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
2- 顕著な業績が認められた労働者については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。
3- 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

3)退職に関する事項

退職に関する事項とは、任意退職、解雇、契約期間の満了による退職等、労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項となります。この条項に解雇の事由、定年の年齢や再雇用制度についても記載します。

就業規則例(雛形・テンプレート)

(退職)
第○○条 前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
1.退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して_日を経過したとき
2.期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
3.第〇条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
4.死亡したとき
2- 労働者が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。
(解雇)
第○○条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
1.勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。
2.勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。
3.業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。
4.精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
5.試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき。
6.第○○条に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
7.事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。
8.その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。
2- 前項の規定により労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3- 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて労働者を第○○条に定める懲戒解雇する場合又は次の各号のいずれかに該当する労働者を解雇する場合は適用しない。
1.日々雇い入れられる労働者(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
2.2か月以内の期間を定めて使用する労働者(ただし、その期間を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
3.試用期間中の労働者(ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
4- 第1項の規定による労働者の解雇に際して労働者から請求のあった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。

ルールを作成する場合は就業規則に盛り込まなければならない”相対的必要記載事項”

上記の絶対的必要記載事項の他に、会社がルールを定める場合には記載しなければならない”相対的必要記載事項”があります。
相対的必要記載事項は以下の8つです。

1)退職手当関係
適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
2)臨時の賃金・最低賃金額関係
臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項
3)費用負担関係
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
4)安全衛生関係
安全及び衛生に関する事項
5)職業訓練関係
職業訓練に関する事項
6)災害補償・業務外の傷病扶助関係
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
7)表彰・制裁関係
表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
8)その他
事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項

注意が必要な「制裁」に関する事項

上述の相対的記載事項 7)表彰・制裁関係の「制裁」については、記載にあたって注意が必要です。
会社は労働者に対する制裁に関する事項を、法令や労働協約などに反しない限り一方的に定める事ができます。しかし、この制裁が無制限に認められると、多額の減給によって労働者の生活がおびやかされる恐れがあります。そこで、この減給の額について、一定の制限が設けられています。
「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。(労働基準法第91条)」
「就業規則で」と書いているように、減給などの制裁(懲戒処分)を行う場合は、どういった事象が起きた場合にその制裁を行うのかを就業規則で規定しておく必要があり、規定がない場合はそもそも制裁を行うことができませんので、注意が必要です。

法改正や会社の実情にあわせて就業規則も変化させていく

就業規則を作成する場合、自社内で作成する方法や、社会保険労務士などの専門家に作成を依頼する方法などが考えられます。いずれの場合においても、会社のルールを明文化していて、自社の実態に沿った規則を作成することが大切です。従業員からの社内ルール等に関する質問は、個人的な見解ではなく、規則に沿った一律の回答がなされるべきであり、当然ながら人事・労務担当者は自社の就業規則を熟知しておく必要があるでしょう。また、就業規則は一度作成すれば完了するものではなく、法改正や会社のルールの見直し等に応じて随時改訂していくことも重要です。

<参考>
就業規則を作成しましょう(厚生労働省)
モデル就業規則について(厚生労働省)

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【監修】金田朋子(かねだ ともこ) 社会保険労務士

社労士事務所にて給与計算、各種社会保険事務、就業規則の作成・改定、行政機関調査対応等に関する社会保険・労務コンサルティング業務に従事後、現在はベンチャー企業内の社内社労士として勤務。
社労士事務所での外部コンサルタント、ベンチャー企業内での労務担当者としての経験を生かし、ベンチャー・中小企業に強い社労士として社会保険・労務コンサルティングを行っている。
Twitter : @tok0moco