• 作成日 : 2019年1月8日
  • 更新日 : 2019年6月7日

「法定休日」とは?「振替休日」と「代休」の違いを正しく理解しよう

法定休日・所定休日とは?

休日については、各社の就業規則等で自由に定められており、これを「所定休日」といいます。週休2日制、国民の祝日、年末年始、夏季休日(お盆休み)等を会社の休日として定めている会社が多いかと思います。
一方、労働基準法(以下、「法」と記載します。)第35条1項で、使用者は労働者に対して「毎週少なくとも1回の休日」を与えなければならないと定められています。これを「法定休日」と言います。法定休日は1日単位で付与される必要があり、午前0時~午後12時までの暦日をいいます。曜日の特定は義務ではありませんが、特定することが望ましいとされています。また、週1日の休日の例外として「4週を通じて4日」という定め方も可能です(法35条2項)ただしこれを適用するには、4週間の起算日を就業規則等に定めておくことが必要です。
また、法定休日に勤務する場合、35%以上の割増率での割増賃金の支払いが必要になります。しかし、法定休日以外の所定休日に勤務する場合は、週の労働時間が週法定労働時間(40時間)を超えた部分について、時間外労働として25%以上の割増率での割増賃金の支払が必要となります。それぞれの違いを理解しておきましょう。

振替休日と代休は違うの?

休日に勤務したときの取り扱いとして「振替休日」と「代休」がありますが、それぞれ違いがあります。

1.「振替休日」(休日の振り替え)

労働日と休日を事前に振り替えることです。この場合は、休日に出勤しても、その日が労働日に振り替わっているので「休日労働」とはなりません。法定休日に労働する場合の割増賃金の支払いも不要です(但し、振替休日により働いた日を含む週の労働時間が週法定労働時間を超えた部分については時間外労働となるので、割増賃金の支払が必要となります)。
とはいえ、労働者にとっては振替休日を取るからと言って、休日労働が頻繁に行われると、私生活が乱されるおそれがあります。そのため、労働基準法の解釈として、次のような取り扱いが必要とされています。

  • 就業規則等に振替休日の定めをすること。
  • その上で、実施に当たって振替休日と労働日を特定すること。
  • 事前に労働者に通知すること。
  • 振替休日はできるだけ近接した日が望ましい。

2.「代休」

休日に労働した場合に、事後に他の労働日を休日にすることを代休といいます。振替休日のように「事前の振り替え」ではありませんので、休日に労働した時間は休日労働時間として扱われ、法定休日に労働した場合には原則の規定通り、35%以上の割増率での割増賃金の支払いが必要になります。

休日労働の規制を把握しておこう

前述の通り、休日労働が頻繁に行われると、労働者の私生活が乱される恐れがあるため、法定休日に労働するにあたってのルールとして次の3つが法で定められています。

1.非常災害時
災害その他避けることのできない事由によって臨時に必要がある場合。使用者が労働基準監督署長の事前許可を得ること(法33条1項)。
2.公務上の必要がある場合
労基法の適用事業に該当しない官公署の公務員についての規定。(法33条3項)
3.36協定の定めによる場合
使用者と労働組合又は労働者の代表との協定に基づいて休日労働をさせることができる(法36条)。必要な理由、業務の種類、労働者の数、休日労働の対象となる休日、協定の有効期間等を定めて労働基準監督署長に届け出ることが必要(法施行規則16~17条)。

なお、法定休日以外の所定休日の労働については、労働基準法上で特に規制はされていませんが、労使協定や就業規則等でルールを明確にしておくほうがよいでしょう。

有給休暇とは?休日との違い

上述の「休日」とは別に、法39条では労働者に毎年一定日数の「年次有給休暇」を付与することを義務づけています。これは、労働者の心身疲労回復や労働力の維持はもちろん、ゆとりのある生活を目指して、所定の休日以外に一定の休みを付与する制度です。
フルタイムで勤務する社員の場合、雇い入れの日から起算して「6か月間継続勤務」し、「全労働日の8割以上出勤」することによって、10日の有給休暇が付与されます。その後1年ごとに付与される日数が加算されていき、雇い入れの日から6年半以上勤務する場合は、毎年20日ずつ有給休暇が付与されていくことになります。
有給休暇は労働者の権利であるため、労働者に時季指定権があり、使用者は当然に有給休暇の取得を認めなくてはなりません。労働者が文書や口頭で届けを出すことは、労働者が既に有している権利を行使するために時季を指定するものであり、使用者の「承諾」や「同意」は必要ありません。
ただし、例外として使用者による「時季変更権」があり、労働者の請求の時季に有給休暇を取得することが「事業の正常な運営を妨げる場合」には他の時季に指定するよう求めることができます(使用者の時季変更権:法39条3項)。

なお、「休みを取ると他の人の仕事が増えるから」というのは理由になりません。同僚等のサポートにより当該部署の業務に支障が生じないのであれば、「事業運営を妨げるもの」ではないからです。
また、労働者が退職直前に未消化の有給休暇を一括請求したときはどう取り扱うか、ということがよく問題になるようです。退職直前で、他の時季に変更することができない場合は、使用者の時季変更権の行使はできませんので、労働者からの時季指定を拒むことができないことになります。業務の引継ぎなどを勘案し、退職時には前広に退職の申し出を行うよう事前に注意を促しておく必要がありそうです。

補足:働き方改革関連法による「使用者の年休時季指定権」

有給休暇の取得に関して、これまでは労働者が自ら取得時季を指定して初めて有給休暇が取得できる仕組みでした。しかし、労働者の申し出に基づくため、職場の雰囲気によっては取得しづらいといった事情もあり、有給休暇の取得率は50%程度にとどまっていました。そこで、2019年4月施行の働き方改革関連法の中で、有給休暇の取得促進のため、使用者が労働者の希望を聞いた上で年5日の時季指定を行うことが定められました。対応しない企業には罰則も設けられますので、今から対象従業員が皆、年5日の有給休暇取得を促進できるような体制を作っていく必要があるでしょう。
(関連記事: 年次有給休暇の取得義務化~企業がとるべき対応策~

休日や有給休暇の趣旨を理解し、適切に運用していきましょう

労働者の健康と精神的なゆとりを守り、生活時間を保証するため必要なものとして、法定休日が定められています。振替休日の規制や、休日労働の割増賃金等は、野放図な休日労働を規制する趣旨のものです。また、有給休暇の付与は使用者の義務とされていますが、今後は「対象労働者に年5日以上有給休暇を取得させること」も義務化されます。
それぞれ制度の趣旨を正しく理解し、休日・年次有給休暇を適切に運用していきましょう。これにより、労働者のワークライフバランスが守られ、結果として労働生産性の向上にもつながっていくのではないかと思われます。

<参考>
東京都労働相談情報センター
東京都労働局「使用者のための労働法」53頁以下
東京労働局「労働基準法のあらまし」
厚生労働省パンフレット 「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」
水町勇一郎「労働法第7版」266頁以下

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