• 更新日 : 2021年6月17日

国保計算を基本から理解するための3つのポイント

国保計算を基本から理解するための3つのポイント

職場で社会保険に加入していない人や生活保護を受給していない人であれば加入が義務付けられている国民健康保険(以下、国保)。

ここではこの国保の保険料計算(以下、国保計算)の基本と、保険料がどんなもので構成されていて、どうして支払わなくてはならないかについて3つのポイントに分けて解説します。

国保計算の基本中の基本!平等割・均等割・所得割とは?

国保計算の基本は「平等割」「均等割」「所得割」という3つの計算方法です。

平等割とは?

国保計算における平等割とは国保に加入する全世帯が平等に負担する金額を指します。したがって平等割の分については高所得者でも低所得者でも、同じ国保加入者なら同じ金額を負担します。

ただし国保から後期高齢者医療制度へ移行した人(特定同一世帯所属者)がいる世帯のうち、その世帯の国保加入者が1人の場合は5年間を「特定世帯」、そのあとの3年間を「特定継続世帯」として平等割の減免措置を受けることが可能です。特定世帯の期間は1/2の減額、特定継続世帯の期間は1/4の減額が受けられます。ただし、上記期間中でも世帯構成が変わると減額の対象外になる場合があります。

均等割とは?

国保計算における均等割とは、世帯あたりの国保加入者の人数に応じて均等に負担する金額を指します。これも平等割と同様に所得の多少に関わらず、均等に負担しなくてはいけません。ただしこの均等割を含め、平等割・所得割の各金額は自治体によって変動する点に注意が必要です。

所得割とは?

国保計算における所得割とは、前年中の所得金額に応じて負担する金額です。平等割・均等割とは違い、高所得者ほど多くの保険料を納める必要があります。所得割の金額は前年中の「総所得金額等」から33万円の控除額を差し引いた「算定基礎所得金額」に保険料率をかけて計算します。

算定基礎所得金額=総所得金額等−33万円

国保計算を構成する3種類の保険料とは?

国保計算は「医療分保険料」「後期高齢者支援分保険料」「介護分保険料」の3種類の保険料で構成されています。これら1つ1つに平等割・均等割・所得割の金額及び保険料率が定められており、それらの合計を支払わなくてはいけません。

安心して病院に行くための「医療分保険料」

私たちが国保を利用する最も一般的な場面は病院に行く時です。本来であれば高額な医療費も国保が補てんしてくれるおかげで安く済んでいるのです。このために支払っているのが国保の保険料のうちの「医療分保険料」です。

大阪市の医療分保険料の金額を例にとると、平等割が1世帯当たり32,896円、均等割が被保険者1人当たり20,583円、所得割が算定基礎所得金額に8.18%をかけた金額となります。年間保険料には最高限度額が設けられていて、大阪市の医療分保険料は54万円となっています。また特定世帯の平等割は16,448円、特定継続世帯の平等割は24,672円です。

高齢者世代をみんなで支える「後期高齢者支援分保険料」

後期高齢者医療制度を運営するための資金は、加入者本人の保険料約1割、公費約5割、現役世代の納める「後期高齢者支援金」約4割で構成されています。国保加入者の全世帯が負担することで、高齢者世代をみんなで支えているのです。
大阪市の場合は平等割が1世帯当たり11,421円、均等割が被保険者1人当たり7,147円、所得割が算定基礎所得金額に2.83%をかけた金額となっています。年間保険料の最高限度額は19万円で、特定世帯の平等割は5,711円、特定継続世帯は8,566円です。

自分の老後を守るための「介護分保険料」

介護保険制度の運営は公費から約5割、40歳から64歳の人(介護保険第2号被保険者)から約3割、65歳以上の人(介護保険第1号被保険者)から約2割のお金を集めて行っています。国保の保険料として支払うのは介護保険第2号被保険者がいる世帯にのみです。

大阪市の場合は平等割が1世帯当たり10,264円、均等割は介護保険第2被保険者1人当たり、8,678円、所得割は介護保険第2号被保険者の算定基礎所得金額に2.82%をかけた金額となります。年間保険料の最高限度額は16万円です。介護分保険料については特定世帯及び特定継続世帯の減免措置はされません。

国保計算で重要となる「総所得金額等」とは?

総所得金額に含まれないのはどの所得か?

算定基礎所得金額の計算に必要な総所得金額等には「年金所得」「給与所得」「事業所得」のほか、分離課税として申告した「株式の譲渡所得」「配当所得」「土地等の譲渡所得」「山林所得」などが含まれます。

これらの所得は税制上控除される金額を差し引いた所得(事業所得なら必要経費など)が総所得金額等に計上されます。一方で遺族年金や障害年金等の非課税所得退職所得は、総所得金額等には含まれません。

国保計算には様々な減免措置がある

国保には前述した特定世帯・特定継続世帯に対する平等割の減免措置の他にも、様々な減免措置が設けられています。

大阪市を例にとると、低所得者層に対して各種保険料の平等割・均等割を軽減する「7割・5割・2割軽減、3割軽減」措置や、倒産や解雇などを理由に離職した非自発的失業者に対する措置などがあります。興味がある人は居住地の区役所等の年金保険業務窓口に問い合わせてみましょう。

まとめ

国保計算は平等割・均等割・所得割の3種類で行います。国保の保険料は医療分保険料・後期高齢者支援分保険料・介護分保険料の3種類で構成されており、それぞれに年間保険料の最高限度額が定められています。計算方法を理解するとともに、各保険料がどのような性質を持っているかを理解したうえで確実に納めるようにしましょう。

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よくある質問

国保計算とは?

国民健康保険の保険料計算の略称です。詳しくはこちらをご覧ください。

国保計算はどのように行うの?

「平等割」「均等割」「所得割」という異なる3つの方法で計算します。詳しくはこちらをご覧ください。

国保計算を構成する3種類の保険料とは?

「医療分保険料」「後期高齢者支援分保険料」「介護分保険料」で構成されています。詳しくはこちらをご覧ください。


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