• 更新日 : 2021年10月5日

決算報告書の種類は何がある?作り方・書き方をわかりやすく解説

決算報告書の種類は何がある?作り方・書き方をわかりやすく解説

1年間の事業年度が終わると決算を行います。決算の結果は決算報告書にまとめますが、決算報告書は用途に応じてさまざまな種類があります。

ここでは、中小企業が決算報告書を作成するとき、どのようなものを作成すればよいかをご紹介します。

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決算報告書の種類はさまざま

決算報告書は、会社の1年間の事業の概況、経営成績(損益)や年度末の財政状態(資産、負債、純資産の残高)を記載したものです。株主、取引先、金融機関のほか、税務署など官庁に対して、1年間の会社の経営の状況を報告することが主な目的です。

決算報告書のもとになる会計帳簿は1つだけなので、決算報告書も本来は1つの種類で足りるはずです。しかし、実際には用途に応じてさまざまな種類の決算報告書が作成されます。

決算報告書の種類の比較表

法令名会社法法人税法金融商品取引法
名称決算報告書決算報告書有価証券報告書
作成対象会社すべての会社すべての会社上場会社等
提出先株主総会等所轄の税務署
(法人税の確定申告書に添付して提出)
内閣総理大臣
(実務上は所轄の財務局)
内容l 計算書類
  ・ 貸借対照表
  ・ 損益計算書
  ・ 株主資本等変動計算書
  ・ 個別注記表
l 事業報告
l 附属明細書
l 計算書類
  ・ 貸借対照表
  ・ 損益計算書
  ・ 株主資本等変動計算書
l 会社の概況
l 事業の状況
l 設備の状況
l 財務諸表
  ・ 貸借対照表
  ・ 損益計算書
  ・ 株主資本等変動計算書
  ・ キャッシュ・フロー計算書
  ・ 附属明細表

(参考:決算書とは?|J-Net21に掲載の情報を元に加筆しました)

金融商品取引法の有価証券報告書は、上場会社や株主が一定数以上いる会社に提出が義務付けられています。有価証券報告書の提出義務のある会社は、会社法の決算報告書とあわせて2種類の決算報告書を株主総会までに作成しなければならず、大きな事務負担となっています。

原則として中小企業は会社法の決算報告書を作成すればよいのですが、会社法に従って決算報告書を作成することは負担が大きく、税法上の基準で決算報告書を作成しているのが実情です。

そこで、中小企業がより簡単に利用できる会計ルールとして、2012年に中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)が定められました。

中小会計要領は、決算報告書を開示する相手や事務処理にかかる負担を考慮して、従来の会計基準に比べて簡単な内容になっています。

例をあげると、資産は原則として取得価額で計上して時価評価は行いません。このほか、中小会計要領は税法との調和を図っており、会社法と税法のルールの違いによる差異を調整する税効果会計も行いません。

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会社法の決算報告書のつくりかた

決算報告書は、日々の取引の記録を集計して作成します。具体的には次のような手順で集計していきます。

仕訳帳に日々の取引を記帳
・仕訳帳から総勘定元帳に集計
・総勘定元帳から決算報告書を作成

会計ソフトを使えば、上記の集計は自動的に行われ、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書も作成されます。

ただし、個別注記表、附属明細書や事業報告など、会計ソフトから出力できないものがあれば、別に作成する必要があります。

<個別注記表>
会社が採用している重要な会計方針に係る事項や株主資本等変動計算書の補足情報を記載します。必要に応じて、貸借対照表、損益計算書の補足情報も記載します。また、中小会計要領を適用して計算書類を作成している場合は、その旨も記載します。

<附属明細書>
有形固定資産無形固定資産引当金販売費一般管理費の明細を記載します。

<事業報告>
事業報告には1年間の事業の概況や会社の状況を記載します。会社法では、次の内容を記載することが定められています。
・株式会社の状況に関する重要な事項(計算書類とその附属明細書の内容となるものは除く)
・株式会社の業務の適正を確保する体制の整備についての決定または決議の内容及び体制の運用状況
・株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
・特定完全子会社に関する事項
・親会社等との取引に関する事項

中小企業の場合はこれ以上の規定はないため、実務では業種や規模が似通った会社の事業報告を参考にするとよいでしょう。

決算報告書はいつまでに作ればよいか

決算報告書は、会社法では株主総会までに、法人税法では法人税の確定申告までに作成する必要があります。

株主総会は事業年度の終了から3か月以内に、法人税の確定申告は事業年度の終了から2か月以内に行うものとされています。しかし、決算報告書は2か月以内に作成しなければならないかといえば、そうとは限りません。法人税法の規定には特例があります。

定款で株主総会の期日を「事業年度の終了から3か月以内」と定めていれば、法人税の確定申告の期限を1か月延長して、事業年度の終了から3か月以内とすることができます。(ただし、納税期限は延長されないので、本来の期限までに見込み納付する必要があります。)

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まとめ

決算報告書にはさまざまな種類がありますが、原則として中小企業では、会社法の決算報告書を作成します。

中小企業の実態に見合った中小会計要領が定められたことで、中小企業でも少ない負担で決算報告書が作成できるようになりました。ただし、決算報告書は株主総会までに作成しなければなりません。期限が限られているので、迅速かつ正確に作成することが求められます。

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よくある質問

決算報告書とは?

会社の1年間の事業の概況、経営成績(損益)や年度末の財政状態(資産、負債、純資産の残高)を記載したものです。詳しくはこちらをご覧ください。

会社法の決算報告書のつくりかたは?

まず、仕訳帳に日々の取引を記帳し、そして仕訳帳から総勘定元帳に集計する、そして最後に総勘定元帳から決算報告書を作成します。詳しくはこちらをご覧ください。

決算報告書はいつまでに作ればよいの?

決算報告書は、会社法では株主総会までに、法人税法では法人税の確定申告までに作成する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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