• 作成日 : 2016年8月18日
  • 更新日 : 2019年5月10日
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年末調整の計算方法|具体例を挙げて解説

家族_年末調整

年末調整とは、1年間に給与から源泉徴収した所得税を精算する作業のことをいいます。

源泉徴収された所得税は暫定的なものであるため、正しく計算し直す必要があります。

税の公平性を期するために年末調整を行ないますが、今回は、
・既婚男性(妻(収入なし)+16歳の子ども一人)
・既婚男性(妻(収入あり)+21歳の子ども一人+18歳の子ども一人)
の2人の男性を例に挙げ、どのように年末調整の計算をしていくのか詳しく解説していきます。

例1:既婚男性(妻(収入なし)+16歳の子ども一人(収入なし))の年末調整の計算

例1の男性が1年間に支払った給与と賞与の総額は5,870,000円、給与から源泉徴収された所得税額は140,595円です。

区分金額税額
給料・手当等4,380,000円62,390円
賞与等1,490,000円78,205円
5,870,000円140,595円
(出典:年末調整過不足額の精算|国税庁HP)

給与と賞与の総額5,870,000円から徴収された所得税額140,595円は、毎月の給与から暫定的に天引きしたものであるため、個人の事情が反映されていません。

それでは実際に、給与と賞与の総額5,870,000円に対して年末調整の計算を行ない、既に納付済となっている140,595円と比較してみましょう。

1. まず給与と賞与の総額5,870,000円を、「給与所得控除後の金額の算出表」に当てはめ、4,154,400円という金額を導きます。

2. 次に4,154,400円という金額に対して、個人の事情を反映していきます。

4,154,400円合計所得金額
-829,975円①社会保険料の控除額
-71,550円②生命保険料の控除額
-45,000円③地震保険料の控除額
-1,140,000円④配偶者控除、扶養控除、基礎控除の合計額
2,067,000円≒2,067,875円(1,000円未満切捨て)

①の社会保険料の控除額とは、給与等から差し引かれた健康保険料や厚生年金保険料が該当します。

②と③の保険料は、支払った額に応じて控除額が決定します。

④は、配偶者の有無、子どもの数と年齢によって控除額が変動します。

今回は、

配偶者控除(妻(収入なし))380,000円
扶養控除(16歳の子)380,000円
基礎控除(本人)380,000円
合計1,140,000円

という内訳になっています。

3. 最後に2,067,000円を元に所得税を計算し、復興特別所得税を含めた102.1%を掛けます。

2,067,000円×10%(税率)-97,500円(控除額)=109,200円
109,200円×102.1%=111,400円

年末調整の計算結果111,400円が、扶養している子どもの人数や支払った保険料などの個人事情が反映された所得税額となります。

本来支払うべき所得税額111,400円を、既に納付済となっている140,595円と比較すると、29,195円が納め過ぎとなっているため、過納付額29,195円は本人に還付されます。

例2:既婚男性(妻(収入あり)+21歳の子ども一人(収入なし)+18歳の子ども一人(収入なし))の年末調整の計算

例2の男性が1年間に支払った給与と賞与の総額は8,299,500円、給与から源泉徴収された所得税額は339,990円です。

区分金額税額
給料・手当等5,809,500円124,020円
賞与等2,490,000円215,970円
8,299,500円339,990円

既に納税済となっている339,990円という所得税に対して個人事情を反映し、年末調整の計算をしていきましょう。

1. 最初に給与と賞与の総額を先ほどと同じように「給与所得控除後の金額の算出表」に当てはめますが、6,600,000円以上10,000,000円未満の場合は「給与等の金額に90%を乗じて算出した金額から1,200,000円を控除した金額」となるため、

8,299,500円×90%-1,200,000円=6,269,550円

となります。

2. 次に6,269,550円という金額に対して、個人の事情を反映していきます。

6,269,550円合計所得員額
-1,239,257円①給与から天引きされた健康保険料や厚生年金保険料などの合計額
-85,500円②生命保険料の控除額
-15,000円③地震保険料の控除額
-110,000円④配偶者特別控除額
-1,390,000円⑤扶養控除、特定扶養親族控除、基礎控除の合計額
3,429,000円≒3,429,793円(1,000円未満切捨て)

①から③は、例1の男性と同じように控除額を決定します。

例2の男性の妻には収入があるため、配偶者の合計所得金額を「配偶者特別控除額の早見表」に当てはめて、④の配偶者特別控除額を求めます。

例1の男性の妻には収入がなかったため配偶者控除が適用されましたが、今回は妻に収入があり④で配偶者特別控除が適用されているため、配偶者控除は適用されません。

そのため⑤では、21歳の子どもと18歳の子どもそれぞれの扶養控除と本人の基礎控除に加え、21歳は特定扶養親族に該当するため控除額25万円を加算することになります。

⑤の内訳は以下のとおりです。

扶養控除(21歳の子)380,000円
扶養控除(16歳の子)380,000円
基礎控除(本人)380,000円
特定扶養親族加算額250,000円
合計1,390,000円

3. 最後に3,429,000円を元に所得税を計算し、復興特別所得税を含めた102.1%を掛けます。

3,429,000円×20%(税率)-427,500円(控除額)=258,300円

258,300円×102.1%=263,700円(100円未満切捨て)

年末調整の計算をした263,700円と、既に納付済となっている339,990円と比較すると、76,290円が納め過ぎとなっており、過納付額76,290円は本人に還付されることになります。

まとめ

毎月の給与から所得税が天引きされず、給与所得者も確定申告によって所得税を納税しなければならないと仮定すると、例1の男性は140,595円を、例2の男性は263,700円をまとめて納税しなければなりません。

1年分の所得税をまとめて納税するのは痛税感が大きいため、給与所得者はあらかじめ所得税が徴収される「源泉徴収制度」が採用されています。

源泉徴収制度が採用されると痛税感は小さくなりますが、個人の事情が反映されないため税負担に偏りが出ることが考えられます。

そこで「年末調整」という概念を取り入れることによって、痛税感を緩和しながら個人の事情を反映し、税の3原則の1つである「公平」が保たれることになるのです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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