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  • 更新日 : 2021年2月4日

棚卸資産とは?原価法や低価法による評価方法

会社が所有する資産には様々なものがありますが、損益計算に大きく影響しながらも残高管理が難しい資産のなかに「棚卸資産」があります。今回は「棚卸資産」にはどのような種類があるのか、原価法や低価法による評価方法や「実地棚卸」の重要性について解説していきます。

棚卸資産とは

「棚卸資産」は言葉の中に含まれているとおり、会社が所有する「資産」です。販売目的で仕入れた商品や製品等が、販売されないまま社内に滞留している状態を指します。

簿記会計のルールとして、仕入れた商品等は一旦費用として計上します。一方、収益が実現していない「棚卸資産」については、販売されるまでの間、仕入を減算し資産として計上しなければなりません。

<仕訳の例示>
仕入れた商品100,000円のうち、50,000円分が社内に残っていた

仕入高 100,000 / 現 金 100,000

棚卸資産 50,000 / 仕入高 50,000

「棚卸資産」は決算書上、貸借対照表(バランスシート、B/S)の左側「資産の部」に表記されます。

「資産の部」はさらに

    1. 現金預金のように社内への出入りを繰り返し常に変動する「流動資産

    1. 土地や建物のように長期間にわたって会社で所有する「固定資産

の2つに分類されます。

「棚卸資産」は商品を仕入れて売って、手持ちが無くなればまた仕入れて…を繰り返し、常に変動していますので「流動資産」に分類されます。

貸借対照表(B/S)

資産の部負債の部     
【流動資産】
  <棚卸資産>

【固定資産】
資本の部

棚卸資産の分類

一言で「棚卸資産」といっても該当する資産は様々なものがあります。

(1)仕入れた商品等が、販売されないままその形状を変えずに残っているケース

物品販売業のように仕入れた商品等を加工せずそのまま販売するような業種で、社内に
棚卸資産が滞留するような場合です。「商品」がこれに該当します。

(2)加工目的で仕入れた材料が、加工されないまま残っているケース

製造業や建設業のように、製品の製造や請負工事で売上を計上するような業種で、加工目的で仕入れた原材料等が形状を変えずに社内に滞留するような場合です。「原材料」がこれに該当します。

(3)加工目的で仕入れた材料が、加工途中で残っているケース

上記(2)の原材料が加工している途中で社内に滞留するような場合です。製造業であれば「半製品」「仕掛品、建設業であれば「未成工事支出金」がこれに該当します。

(4)加工が完了した製品が、販売されないまま残っているケース

上記(3)で、加工は完了したがまだ販売されていないような場合です。「製品」「完成品」がこれに該当します。

(5)購入した消耗品等が未使用のまま残っているケース

自社で使用する目的で購入した消耗品等が手つかずのまま滞留しているような場合です。まとめ買いしたコピー用紙の未開封分、年末に配布する予定で購入したカレンダー、大量に購入した切手類や収入印紙、証紙の未使用分などがこれに該当します。

実地棚卸の重要性とは

「棚卸資産」を管理する帳簿として「在庫受払帳」があります。棚卸資産の入庫数は仕入れた際の請求書や領収書で把握できます。出庫数さえ記録しておけば理論上、帳簿によって数量や残高を管理することは可能です。

しかし実務上は「帳簿の記入忘れ」「数量の書き間違い」「出庫時の数量取り違い」などのヒューマンエラーが多々発生します。このままでは「在庫受払帳」の正確性が担保されません。

そこで重要となるのが「実地棚卸」という作業です。

「棚卸」という言葉どおり、倉庫の棚から在庫を卸して実際にある数量を人の手と目を使ってカウントしていくわけです。メリットとしては、実数により在庫を把握することで正確な棚卸残高を計算することができます。
その反面、デメリットとして社内にある棚卸資産の全てを一から数えるので、相当な時間と労力を要することが挙げられます。

「実地棚卸」を実施する時期としては、会社の損益を確定させる時、特に決算日のように正確な棚卸残高が求められるタイミングで行うのがベストです。先にも述べたとおり、実地棚卸には相当な時間と労力を掛けなければなりませんが、棚卸残高の間違いは会社の損益の間違い、ひいては納付税額の間違いに直結します。

正確な損益計算が求められる局面では必ず「実地棚卸」を行うよう心がけましょう。

棚卸資産の評価方法

評価方法は、原価法と低価法に分かれています。原価法は、棚卸資産の取得原価をベースに評価する方法です。取得価額の求め方には6つの評価方法があります。

1.原価法

(1)個別法
各仕入時の価格で評価する方法です。規格に応じて価額が違うものなどには認められていません。

個別の商品を実際の仕入・払出のとおりに計算するので、手間がかかるのがデメリットです。個別に在庫管理をしたい棚卸資産に対して適している評価方法で、特に宝石・貴金属や不動産販売業者の販売する土地などの評価に適しているとされています。

(2)先入先出法
商品や資産は、仕入れた順に販売、使用等されていくものと考え、棚卸資産は期末にもっとも近い仕入時に取得されたものからなるとして計算していく方法です。

先に仕入れたものから順次売り出していく、という仮定は、多くの場合の自然な流れと考えられるので、実際の資産の流れに一致しやすくなる点がメリットです。

デメリットとしては、物価の変動があった場合、インフレ時には利益が多く評価され、デフレ時には小さく評価されてしまう点です。

(3)総平均法
期首の棚卸資産における取得価額の総額と、期中に新たに得た資産の取得価額の総額を合わせて、その金額を期首の個数と期中で仕入れた資産の個数の総数で割って得た金額を取得価額とする方法です。

メリットとしては、先入先出法の欠点であった、物価変動による影響を受けにくいことがある点です。一方、期末まで計算ができない点はデメリットです。

(4)移動平均法
仕入れごとにその時点の在庫と仕入れから棚卸資産の平均単価を随時計算して評価していく方法です。つねに現状を把握できることがメリットといえます。しかし総平均法と違い、毎回計算をしていくことになるため、計算が複雑になる点がデメリットです。

(5)売価還元法
種類の近い商品をグループとして、期末時点の棚卸資産の販売価額の合計額に、原価率をかけて計算した金額で評価する方法です。原価率は、以下のように算定します。

原価率=(期首の棚卸資産の取得価額+期中の仕入棚卸資産の取得価額)÷(期末の棚卸資産の販売額+期中に販売した棚卸資産の販売価額)

メリットは、スーパーや百貨店のように取扱商品が多い場合など、商品ごとの原価を調べるのが困難な場合に便利なところです。また販売価格から計算できるので、小売業等、値札をつけて販売しているような場合、売価が調べやすい場合に適しています。

デメリットは、商品を原価率の近似したグループに区分する作業自体が煩雑であり、かつグルーピングが企業側の判断で行われるため、恣意性が入る余地が生じてしまう点です。

(6)最終仕入原価法
期末に一番近い仕入時の金額を取得価額として計算する方法です。計算はとても簡単な点がメリットですが、期末まで評価ができない点がデメリットです。

評価方法を選択しなかった場合はこの最終仕入原価法によって棚卸資産が評価されます。

2.低価法

低価法は、上記の原価法のいずれかの評価方法により評価した金額と、期末時点での時価のうち、低い方の金額をもって評価する方法です。

低価法を適用した場合は、次の期首に振り戻しの処理が必要です。低価法の場合は時価が著しく変化した場合に、それによる企業の状況を正確にとらえることができます。

評価方法の選択

棚卸資産の評価方法は、棚卸資産の種類ごとにどの評価方法をとるか選択をします。選択の届出は、基本的に法人設立の事業年度分の確定申告提出期限までです。

また、設立後に事業の拡大等により棚卸資産が増えた場合などには、その日を含む事業年度分の確定申告提出期限が提出期限です。

事業開始以後に変更をしようとするときは、その変更しようとする事業年度の開始の日の前日までに「変更承認申請書」を所轄税務署長に提出する必要があります。

評価方法は基本的には継続適用となるため、事業開始時に選択した評価方法で3年以上評価していたり、事業の合併をしていたりなど、相当の理由がなければ変更が認められませんので注意が必要です。

経営全般の鍵を握る「棚卸資産」

期間損益の計算は勿論のこと、原価率や在庫回転率など財務分析においても「棚卸資産」の正確性というのは重要となります。会社の経営判断そのものに影響を及ぼす可能性がある資産の一つといえますので、まずは「棚卸資産」とは何か?を正確に理解しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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