• 更新日 : 2021年9月7日

減価償却費の計算方法や仕訳を解説

減価償却とは?計算方法や減価償却費の仕訳を理解する

企業経営者の方や個人事業主が、会計処理をする際に大切となることのひとつが減価償却ですが、減価償却の方法と減価償却費の仕訳に関しては多くのルールがあります。また、減価償却をすれば、その事実を貸借対照表損益計算書に記載する必要が生じます。今回は、減価償却費を正しく理解するために重要となるポイントや、財務諸表への記載方法などを解説していきます。

減価償却とは

まずは、減価償却に関する基本的な事柄を整理していきます。

減価償却の概要

減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少する資産を取得した際に、取得するための支払額をその耐用年数に応じて費用計上していく会計処理のことを指します。

よって、土地のように時間の経過や使用により価値が減少するわけではないものは、減価償却資産には含まれません。また、ここでの使用可能な期間とは、実際にその資産を用いる期間ではなく、法律により品物ごとに定められている期間のことを指します。詳しくは後ほどご説明します。

なお、減価償却では、資産の価値を減少させ、費用を増やす処理を行います。そのため、貸借対照表では原則、資産の減少として、損益計算書では費用の増加として取り扱われます。

減価償却の目的

減価償却の目的は、収益を得るために利用した期間に応じて費用計上(減価償却)を行い、正しい企業の業績を計算することにあります(費用収益対応の原則)。購入した固定資産はその固定資産を使用している期間に渡って、収益を生み出します。もし、固定資産の取得価格を購入年度ですべて経費にしてしまうと、収益を生み出す年度と費用となる年度に相違が生じてしまいます。

<減価償却できる資産>
時の経過等によってその価値が減っていく資産で、使用可能期間が1年以上のもの、または取得価額が10万円以上のものを取得した場合には、減価償却が必要です。減価償却できる資産には、次のようなものがあります。

資産の種類
内容
建物事務所や工場、倉庫など
建物付属設備電気設備や給排水設備、冷暖房設備など
構築物広告用看板、ブロック塀、アスファルト路面など
車両運搬具営業用の自動車や輸送事業用の自動車、タンク車など
工具検査工具、加工用金型など
器具備品事務机、いす、応接セットなど
機械装置各種製造用の設備や業務用設備
無形固定資産ソフトウェアや特許権など

このほか、家畜や樹木なども減価償却できる資産になります。

<減価償却できない資産>
時間の経過や使用により価値が減少しないものは、減価償却はできません。例えば、次のような資産が減価償却できないものになります。

  • 土地
  • 骨董品
  • 美術品

ただし、骨董品や美術品で100万円未満のもの(時の経過により価値が減少しないことが明らかなものは除く)や、100万円以上のものでも時の経過により、価値が減少することが明らかなものについては、減価償却ができます。

減価償却を理解するための3つのポイント

それでは、減価償却に関する基本事項を抑えたところで、減価償却を正しく理解するためのポイントをみていきます。減価償却を理解するためには、以下の3点が特に重要になると考えられます。

減価償却費の計算方法

実際に、建物や自動車などの価値の減少がどのくらいかを調べるのは難しいことです。そのために、価値の減少を会計に反映させることを目的として、減価償却額の計算を行うためには、主に以下の2種類の方法を選択することができます。

<定額法>

定額法は、減価償却の対象となる固定資産の購入代金を原則、法定耐用年数の期間で同額ずつ償却していく方法のことを指します。

例:200万円で耐用年数5年の物品を購入した場合

単純に全額を5分割し、5年間で40万円ずつ償却していくことになります。

実際の減価償却の計算では、償却率を使って計算します。償却率は、償却方法(定額法、定率法)や耐用年数ごとに定められています。

定額法の計算は「取得価額×定額法の償却率」で行います。

上記の例の場合、耐用年数5年における定額法の償却率は0.200です。計算式にあてはめて計算すると、取得価額200万円×定額法の償却率0.200=40万円となります。

<定率法>

対して定率法は、毎年未償却の金額から一定の割合で償却していく方法のことを指します。定率法を用いると最初の方に多めに償却することになります。

定率法についても償却率を用いて計算します。しかし、定額法のように取得価格に償却率を乗じて計算するのではなく、前年末の帳簿価格(未償却残高)に償却率を乗じて計算します。

定率法の計算は「未償却残高×定率法の償却率」で行います。
なお、定率法の計算方法では、耐用年数以内に減価償却を終わらせることができません。そのため、一定期間経過後に償却保証額を使った調整が入ります。

例:200万円で耐用年数5年の物品を購入した場合

耐用年数が5年の場合、定率法の償却率は0.4と定められています。これをもとに実際の年度ごとの償却額をみていきます。

1年目:200万×0.4=800,000円
2年目:(200万-80万)×0.4=480,000円
3年目:(200万-80万-48万)×0.4=288,000円
4年目:(200万-80万-48万-28.8万)×0.4=172,800円

 

今回の例では、償却保証額は216,000円となります。償却保証額は、計算後の償却金額がこの金額を下回った場合でも、この金額を償却することを定めるために設けられているものです。

なお、償却保証額は保証率によって導かれます。耐用年数が5年の場合、保証率は0.10800と定められています。

償却率を使って求めた減価償却費が償却保証額を下回るため、4年目の償却額は216,000円となります。

5年目:5年目も4年目と同様に216,000円を償却することになります。

※200万-80万-48万-28.8万-21.6万=21.6万

減価償却の方法は、設立時に減価償却の方法の選択(届出が必要)をしない限り、原則、個人が定額法、法人が定率法となっています。減価償却の方法を変更する場合には、個人は変更をしたい年の3月15日まで、法人は新たに償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに所轄の税務署長へ申請書を提出・承認を受ける必要があります。

法定耐用年数

減価償却の対象となる固定資産に対しては、その資産ごとに法律で細かく耐用年数が定められています。これは、前述のように固定資産の取得価額を出来るだけ収益を得るために用いた期間で分割をして、計上することを目的として設けられています。

なお、償却方法は減価償却資産の種類ごとに選定します。この場合、所轄の税務署に償却方法の選定の届出をしなければなりません。

例えば、新たに業務を開始する場合には、減価償却方法を選定してその翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出なければなりません。この届出をしなければ、一般的に定額法での減価償却をすることになりますので、ご注意ください。

具体的には、国税庁による耐用年数表をご参照ください。

少額減価償却資産の特例

青色申告を行っていて、従業員数が1,000人以下の個人事業主や中小企業(資本金1億円以下の法人)の方には、少額減価償却資産の特例という制度が用意されています。これは、取得価額が30万円未満の減価償却資産に関して、一括で減価償却費として費用計上することができるようにするものです。
なお、10万円未満のものに関しては、元々消耗品費として計上することができるので、間違えないようにしてください。

減価償却費、減価償却累計額の仕訳

減価償却を会計処理する際のルールに関してみていきます。
減価償却について記帳する場合には「直接法」と「間接法」の2種類の方法があります。

直接法

直接法は減価償却費を固定資産から直接差し引いていく方法です。

具体的には減価償却費を借方科目として費用計上し、貸方科目に固定資産を記入し、金額には減価償却費と同じ金額を記入します。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費○○○○○固定資産○○○○○

そのため直接法では減価償却累計額を注記として表示する必要があります。これにより以下の計算によって取得価額を導き出すことが可能となります。

固定資産の取得価額=固定資産の帳簿価額+減価償却累計額

 

間接法

一方間接法では減価償却費は減価償却累計額で表示されます。具体的には減価償却費を借方科目として費用計上し、貸方科目には減価償却累計額を記入します。

借方
貸方
減価償却費○○○○○減価償却累計額○○○○○

この方法で記帳すると、次の計算式によって固定資産の帳簿価格を導き出すことができます。

固定資産の帳簿価額=固定資産の取得価額−減価償却累計額

 

このように間接的に固定資産の帳簿価額の表示が可能なことから、この方法は間接法と呼ばれています。なお日本の会計基準では原則無形固定資産に直接法を、有形固定資産に間接法を適用することとされています。

財務諸表での取扱い

減価償却累計額は貸借対照表に表示されますが、表示方法は次の3つの方法があります。

1.科目ごとに控除する形式

この形式は、原則的な表示形式です。建物や車両運搬具など科目ごとに取得価格から減価償却累計額を控除する表示を行います。

例)

建物10,000,000
減価償却累計額△2,500,0007,500,000

車両運搬具1,000,000  
減価償却累計額△250,000750,000 

建物の取得価額10,000,000円に対し、減価償却累計額が2,500,000円あり、帳簿価格が7,500,000円であること、車両運搬具の取得価額1,000,000円に対し、減価償却累計額が250,000円あり、帳簿価格が 750,000円であることが一目でわかります。

2.減価償却累計額を一括して表示する方法

この方法は、例外として認められている方法です。科目別ではなく減価償却累計額をまとめて表示します。
例)

建物 10,000,000
車両運搬具1,000,000
合計11,000,000
減価償却累計額△2,750,0008,250,000

3.減価償却累計額を控除した額のみを表示する方法

この方法も例外として認められている方法です。減価償却累計額は注記します。
直接法の場合は、この方法で表示することが多いです。
例)

建物 7,500,000
車両運搬具750,000

(注) それぞれ減価償却累計額が控除されている
建物 2,500,000 車両運搬具 250,000

減価償却費の損益計算書

減価償却費は損益計算書に記載されます。

法人の場合は、販売費及び一般管理費の、個人事業主の場合は(必要)経費の区分に、表示されます。製造業など原価計算を行う業種の場合は、原価科目に表示されるものもあります。

減価償却の概念と計算方法を理解し、正しく処理をしよう

減価償却を正しく理解することは、会計上で必須です。概念や計算方法をしっかり把握し、減価償却費の正しい処理を行うようにしましょう。

減価償却についてより詳しい情報を知りたい方は以下のサイトをご参照ください
国税庁|減価償却

よくある質問

減価償却とは?

時間の経過や使用により価値が減少する資産を取得した際に、取得するための支払額をその耐用年数に応じて費用計上していく会計処理のことを指します。詳しくはこちらをご覧ください。

減価償却を理解するためのポイントは?

減価償却費の計算方法や法定耐用年数、少額減価償却資産の特例が挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

財務諸表での取扱い方は?

減価償却累計額は貸借対照表に表示されますが、表示方法は3つの方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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