• 作成日 : 2015年6月9日
  • 更新日 : 2017年6月22日
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労働保険料の仕訳の仕方

労働保険料の仕訳の仕方

労働保険料の仕訳の仕方

事業主にとって、支払い義務のあるものがいくつかあり、その代表には、利益に対して課税される法人税や事業税があります。

これらの税金と同じく、労働保険料も租税公課と思われがちですが、実は、労働保険料は法定福利費に分類されます。法定福利費は法律で定められている福利厚生の費用を支払った場合に使用する科目です。

では、労働保険料の会計処理とはどのようなものなのでしょうか?

労働保険料会計の基礎知識

労働保険料の負担者は、事業主と保険対象の労働者(以下、被保険者)です。労働保険料は労災保険と雇用保険に分かれており、それぞれ負担率が異なります。

・労災保険:100%事業主負担
・雇用保険:事業主と被保険者双方が分担

なお、雇用保険における被保険者の負担分は、毎月の給与から天引きされ、事業主がまとめて納付します。

労働保険料とは

労働保険料は、法定福利費に仕訳されます。計上時期は「支払ったとき」です。ただし、申請時に記入する労働保険料額には、賃金見込み額をもとに算出する「概算保険料」と実際の支払賃金で精算した「確定保険料」の2種類があります。

当然、概算保険料の支払いと差額の精算に関しては、それぞれに仕訳が必要です。また、雇用保険の「被保険者負担分」は毎月、給与から天引きされますが、事業主が納付する時期は毎年6〜7月です。そのため、毎月の天引き額は会社で「預り金」もしくは「法定福利費」として計上することになります。

重要な勘定科目

労働保険料の仕訳を理解する上で必要な3つの科目は以下のとおりです。

法定福利費

法律で定められた社会保険料の科目です。労働保険の他にも健康保険料、厚生年金保険料などがあります。

預り金

労働保険料のうち労働者が負担する部分です。毎月の給与から天引きされるものですが、後に支払うことが決まっており、会社のお金とはなりません。そのため、「預り金」となります。反対に、労働者負担分を会社が支出する場合は「立替金」となります。

前払費用

概算保険料は、本来の納付より前に保険料を支払います。そこで、「前払い」勘定を使用し、精算時に「法定福利費」とします。

仕訳例

では、実際の仕訳をどのようにすればよいか、例をあげてお見せします。3月決算で、概算保険料400円×3回(分納)、確定保険料1500円、被保険者が増えたため精算時に300円不足額が発生したという場合、仕訳の仕方は次の3パターンとなります。

1.当初から法定福利費として計上する場合の仕訳例

概算支払い時(3回計上)
概算支払い時

給与預かり時(毎月計上)
給与預かり時
*預り金は被保険者数によって決まります。ここでの金額は25とします。

精算時
精算時
概算保険料と被保険者負担分はすでに法定福利費に計上してあるため、不足分のみを計上します。このパターンは振替や決算期処理がなく一番シンプルな仕訳方法です。

2.精算時に振替が必要な場合

概算支払い時(3回計上):前払い費用とします。
概算支払い時

給与預かり時(毎月計上):預り金とします。
給与預かり時
*こちらも当初預かり金額は25とします。被保険者が変わらない場合は25×12ヶ月=300となりますが、増加という設定なので年間預り金は375になり、その額を精算時に振り替えます。

精算時
精算時
前払い費用は400×3回分計上します。精算時に過不足を法定福利費で調整。不足分は現金で支払いました。

3.月末・決算時に処理する場合

概算払い時と、給与預かり時の仕訳は2のケースと同じです。異なる点は、毎月末に会社負担分を法定福利費として計上することです。
毎月末 法定福利費を未払費用として計上
法定福利費を未払費用として計上
毎月の計上額は年間会社負担分の12分の1ですので900÷12=75となります。年間900円は年度末に法定福利へ振り替えます。同じく従業員負担分は預り金として処理します。
年度末の処理
年度末の処理
未払い費用75×12=900を法定福利費に振り替える仕訳(1列目)と確定保険料の精算としての仕訳(2、3列目)を行います。年度末に精算という言葉がでてくると混乱しそうですが、6〜7月に行う精算を期末に先取りして行うと考えるといいでしょう。

3月の決算により、確定保険料1,500になることから不足額300と算出できました。ただし実際に納付するは6~7月なので「未払費用」とします。

労働保険仕訳のポイント

シンプルな具体例を使い労働保険料の仕訳についてご説明しましたが、実務では還付金が出た場合の益金算入(精算時)や立替金の損金算入など、他にも多くの仕訳が発生します。しかし、慌てることはありません。労働保険仕訳のポイントは、時間の経過によって費用の扱い方が変わるということです。

・概算保険料支払い時
・給与預かり時
・決算期
・精算時

仕訳処理の時期によって、前払費用が未払費用になるといったように、同じ労働保険料でもその仕訳区分が変わります。それさえ理解すれば労働保険料の仕訳は通常の会計処理となんら変わりません。苦手意識を持っている方も多いようですが、制度の趣旨を理解すれば、正しい仕訳が行えるようになるでしょう。