
年末調整が終われば、会社は働いている人に源泉徴収票を渡す義務があります。従業員にとって源泉徴収票は、自分の収入を把握する重要な書類です。
ここでは、年末調整の後に発行される源泉徴収票には何が記載されているのか、何を確認するべきかなど、源泉徴収票の見方を解説します。
源泉徴収票の見方
国税庁がホームページなどで紹介している源泉徴収票は、以下のようなものです。
支払者=会社、支払を受ける者=従業員となります。
次項から、収入などの項目について説明しましょう。
(参照:[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)|法定調書関係|税務手続の案内|申告・納税手続|国税庁サイト)
あなたの年収を確認するには
まず、会社が雇用している人に支払った金額は、「支払金額」でわかります。ただし、この支払金額は、所得税や社会保険料などを含んだものです。
「支払金額」の右隣にある「給与所得控除後の金額」は、国税庁が定めている給与所得控除を差し引いた額です。この金額を所得税の課税対象として、「源泉徴収額」が定められます。
手取金額は、「支払金額」から「源泉徴収額」と「社会保険料」差し引きした額になります(住民税が課税される方は、ここから住民税も控除します)。ただし、これは源泉徴収票には記入がないので、必要があれば自分で計算して確認する必要があります。
共通していえることは、「支払金額」は額面給与、「支払金額」から「源泉徴収額」と「社会保険料などの金額」を引いたものが手取り給与と呼ばれていることです。
例えば、従業員Aさんが年収500万円で妻と子ども1人を養っていた場合、仮に「支払金額」=500万円、そして、所得にあたるのが「給与所得控除後の金額」=346万円となり、この額が所得税の課税対象額となります。
この所得を元に計算すると、「源泉徴収額」=21万8400円、「社会保険料」=50万円となります。
そして、このときの手取り給与を計算すると、500万円-(21万8400円+50万円)=428万1600円となります。
また、源泉徴収票には、住民税や交通費も記載されていないことを覚えておきましょう。正式な手取り給与を知るためには、上記の方法で算出した額から、一年間の住民税額を差し引き、一年間の交通費(非課税)を足す必要があります。
アルバイトやパートタイマー、中途退職者の方は注意!
従業員全員から源泉徴収しているのに、勤続中の正社員の年末調整しか行わない会社もあります。そのため、アルバイトやパートタイマー、中途退職者の方は、源泉徴収票を受け取ったとしても、年末調整がされているものと思い込まず、よく確認しましょう。
年末調整がされていない場合は、源泉徴収票のうち、「支払金額」と「源泉徴収額」だけが記入されており、「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」は記入されていません。
アルバイトやパートタイマーの方の場合
年収103万円以下のアルバイトやパートタイマーの人は、基本的には所得税は引かれませんが、多く働いた月には所得税が引かれることがあります。この場合に年末調整を行っていないと源泉徴収によって過剰に税金を支払ったままになっている可能性があります。
こういったときに確定申告をすると、払いすぎた税金が返ってきます。
中途退職者の場合
また、中途退職者の場合は、基本的に前職の会社での年末調整の対象にはなりません。
そのため、年末調整をしていない源泉徴収票は、仕事を辞めるときに作成されます。同じ年内に違う会社に就職すれば、新しい就職先に源泉徴収票を出して年末調整をしてもらいますが、まだ就職が決まっていなければ、各自で確定申告をすることになるため、忘れないようにしましょう。
まとめ
このように、源泉徴収票は、自分の収入や税金の額を把握し、年末調整されたのか、確定申告すべきかどうかを判断したりするために重要な書類です。
明記されている数字を見ても、どんなふうに計算されたのか理解できていなければ、数字が意味するものがわかりませんね。自分でも数字の意味を把握しておくことで所得税などの払いすぎがないか確認することにもなります。
また、源泉徴収票は、ローンを組むときにも必要になるので、いざというときに困らないように、源泉徴収票の正しい見方を知っておきましょう。
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