• 更新日 : 2025年3月19日

給与計算代行の料金相場は?依頼できる6つの業務も徹底解説

給与計算代行は、給与計算に関する業務を外部委託するサービスです。給与計算は正確性や専門性が求められるため、負担を軽減するために多くの企業が外部への依頼を検討しています。

本記事では給与計算代行に依頼できる業務範囲や料金相場を体系的にまとめたので、自社への導入の参考にしてください。

給与計算代行とは外部に依頼するアウトソーシングサービス

給与計算代行とは、給与計算や賞与計算などの給与に関する経理業務を外部に依頼するアウトソーシングサービスです。

経理業務は多岐にわたるため、業務の一部を外部に依頼することで、業務効率化やコストの削減効果が期待できます。

本記事では、給与計算のみを依頼する場合は「給与計算代行」、年末調整社会保険料手続きなど経理業務全般を依頼する場合は「給与計算アウトソーシング」と定義します。

給与計算のアウトソーシングで依頼できる業務範囲を6つ紹介

給与計算アウトソーシングに依頼できる業務はさまざまです。代表的な業務範囲を以下で6つ紹介します。

  • 給与計算
  • 賞与計算
  • 社会保険手続き
  • 年末調整
  • 住民税特別徴収に関する業務
  • 振込業務

年間を通して実施されるさまざまな経理業務をアウトソーシングできるため、まずは依頼できる業務範囲を把握しておきましょう。

1. 給与計算

アウトソーシングできる1つ目の業務は、給与計算です。給与計算はタイムカードや勤怠ソフトの集計データなどの勤怠情報をもとに給与計算を行う業務であり、代行できる代表的な経理業務になります。

給与計算には以下の要素が含まれており、すべて代行可能です。

  • 給与計算
  • 賞与計算
  • 残業代計算
  • 社会保険料の反映
  • 所得税計算
  • 住民税の反映

代行先によっては、給与明細書の作成や封入、郵送などの明細発行に関わる業務を依頼できる場合もあります。毎月の給与計算に関する業務をすべて依頼することも可能です。

2. 賞与計算

アウトソーシングできる2つ目の業務は、賞与計算です。賞与計算は自社の就業規則にもとづき賞与の計算を行う業務であり、定期賞与や決算賞与、役員賞与なども含まれます。

賞与は会社の業績によって変動するため、計算が煩雑になりやすい特徴があります。賞与計算をアウトソーシングすると、社会保険料や所得税の計算、明細書の発行などの賞与計算に必要な作業も依頼可能です。

それぞれの会社の規定に沿って柔軟に対応してくれるため、給与計算と併せて依頼するケースが一般的になります。

3. 社会保険手続き

アウトソーシングできる3つ目の業務は、社会保険手続きです。一般的に社会保険手続きは総務や人事の業務範囲に含まれますが、中小企業の場合は経理が担当するケースもよくあります。社会保険手続きには、主に以下の業務が含まれています。

  • 社会保険への加入
  • 社会保険の脱退
  • 育児休業や介護休業の給付金に関する手続き業務

ただし、社会保険に関する手続き代行は、社会保険労務士の独占業務です。アウトソーシング先を選ぶ際は、社会保険労務士が在籍している業者でなければ違法になるため、依頼先の選定には注意しましょう。

4.年末調整

アウトソーシングできる4つ目の業務は、年末調整です。年末調整は1年間の納税額を確定させる業務であり、毎年年末から年初にかけて行われる季節性の経理業務のひとつです。

控除申告書類の手続きや内容確認、システムへの入力など幅広い業務を短期間で行う必要があり、短期的に作業負荷がかかります。そのため、年末調整に必要なすべての作業をスポットでアウトソーシングすると、作業負荷の軽減効果を期待できます。

ただし、年末調整をアウトソーシングする場合は、一部税理士の業務範囲が含まれているため、依頼先の選定が重要です。

5. 住民税特別徴収に関する業務

アウトソーシングできる5つ目の業務は、住民税特別徴収に関する業務です。年末調整後に市区町村へと提出する給与支払報告書の作成も、給与計算アウトソーシングできる業務のひとつになります。

一般的な住民税の特別徴収に関する業務の流れは以下のとおりです。

  1. 給与支払報告書の提出
  2. 特別徴収税額の通知
  3. 税金の徴収
  4. 給与支払い
  5. 税金の納入

また、6月以降に届く住民税額が記載された特別徴収通知書をもとに、1年分の住民税を反映する必要があります。給与支払報告書や異動届の提出をスポットで依頼するか、特別徴収業務全体をアウトソーシングするか、状況に応じた検討が必要です。

さらに、給与支払報告書の提出は年末調整業務の一環に含まれますが、アウトソーシング先によっては別料金となる場合もあるため、事前の確認が重要です。中途入社した社員や退職者の住民税の切り替えも考慮したうえで、アウトソーシングするかを検討しましょう。

6. 振込業務

アウトソーシングできる6つ目の業務は、振込業務です。給与計算アウトソーシングには、給与計算結果の振込データの作成や振込業務も依頼できます。

給与の振込だけでなく、税金の納付に対応しているケースもあります。給与や賞与計算に追加して依頼するパターンが多い傾向です。

給与計算アウトソーシングを利用する3つのメリット

給与計算アウトソーシングを利用すると、さまざまなメリットが得られます。主なメリットは以下のとおりです。

  • コストを削減できる
  • コア業務に専念できる
  • 季節性業務に対応できる

メリット1. コストを削減できる

給与計算業務に関わる人件費とシステム関連にかかるコストを削減できる点は、給与計算アウトソーシングを利用するメリットのひとつです。

給与計算を適切に行うには、給与に関する専門知識が求められます。そのため、専門知識の習得にかかる教育費や専門知識を有する人材への報酬が人件費としてかかってきます。

システムに関しては、月額利用料だけでなく法改正や税制変更に伴うシステム改修が必要になるケースもあり、コストの増加が懸念事項です。

給与計算アウトソーシングを利用すると、人件費やシステムにかかるコストを押さえられるため、コスト削減効果が見込めます。ただし、アウトソーシング先や依頼内容によってはオプション料金がかかる可能性もあるため、注意が必要です。

メリット2. コア業務に専念できる

給与計算アウトソーシングを利用すると、コア業務に専念できます。経理業務は給与計算や経費精算、現金出納管理や予算管理などの定型業務が多いです。

さらに、中小企業では総務と経理を兼任しているケースもあるため、日々のルーチンワークを依頼することで企業の生産性を高める作業に専念できるメリットが得られます。アウトソーシングにはコストがかかる一方で、生産性の向上により結果的に企業の利益アップを目指せるため、アウトソーシングコストの回収も達成できます。

メリット3. 季節性業務に対応できる

季節性の業務に対応できる点は、給与計算アウトソーシングを利用するメリットです。年末調整や住民税に関する業務など、経理業務には定期的に繁忙期があります。

繁忙期を乗り切るため、特定の時期だけ人員を補充すると余計なコストや手間の発生リスクが生じます。経理業務は個人情報の取扱いや専門知識を必要とする業務が多いため、社内の特定の時期だけ新たに人を雇うのは困難です。

そのため、特定の業務を特定の時期だけスポットで依頼できるアウトソーシングサービスは、経理業務との相性が優れています。ただし、依頼する時期によっては業者が混み合っている可能性があるため、早めに依頼しましょう。

給与計算の依頼先を3つ紹介

給与計算のアウトソーシング先は、主に以下の3つがあります。

  • 社会保険労務士
  • 税理士
  • 給与計算代行会社

それぞれの特徴や依頼できる内容も併せて解説します。

1. 社会保険労務士

給与計算のアウトソーシング先の1つ目は、社会保険労務士です。社会保険労務士は、労働管理や社会保険手続きの専門家です。

社会保険労務士への依頼は給与計算だけでなく、賞与計算や社会保険手続き、労務に関する相談もできます。社会保険手続きは社会保険労務士の独占業務であり、給与計算とセットで依頼すると相乗効果が見込めます。

ただし、年末調整の税務計算は税理士の独占業務に当たるため、社会保険労務士には依頼できない点には注意が必要です。

関連記事:給与計算は社労士に依頼すべき?メリットや報酬相場、税理士との違いも!

2. 税理士

給与計算のアウトソーシング先の2つ目は、税理士です。税理士は税金に関する専門家であり、給与計算だけでなく、年末調整や源泉徴収票の作成など幅広く依頼できます。

税理士への依頼は、従業員が50名以下の中小企業が主な対象になっています。また、税理士には税金に関する悩みごとも相談可能です。

ただし、社会保険手続きは社会保険労務士の独占業務に当たるため、税理士には依頼ができない点には注意しましょう。

3. 給与計算代行会社

給与計算のアウトソーシング先の3つ目は、給与計算代行会社です。給与計算代行会社は、給与計算や賞与計算などの経理業務を代行できる会社の総称になります。社会保険労務士や税理士と提携している場合もあり、それぞれの独占業務にも対応できる可能性がある点は特徴のひとつです。

経理作業に関するシステムの構築から運用開始までのサポートも対応しているケースもあり、サポート範囲の広さも魅力的です。主に中小企業から大企業に対応している場合が多くなっています。

給与計算業務を依頼する際の料金相場

給与計算業務を依頼する際の料金には、基本料金や月額費用、システム導入費用やオプション費用など、さまざまな費用がかかります。

料金相場は、従業員数や業務範囲、利用するシステムで大きく異なる傾向です。本項では、以下の2パターンの料金相場を解説します。

  • 給与計算のみを依頼する場合
  • 年末調整や住民税に関する業務も依頼する場合

給与計算のみを依頼する場合

給与計算のみの場合は、比較的割安で依頼ができます。たとえば、社員50名程度の企業の場合だと、残業代の計算や税金計算など給与計算に関係する業務も含めると月額4〜6万円が料金相場です。

社員数が少ない場合には、経理担当者を雇うよりもコストを抑えられるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢になり得ます。ただし、依頼する業務範囲を広げるとオプション料金がかかり、コストアップにつながる可能性もあるため注意が必要です。

年末調整や住民税に関する業務なども依頼する場合

給与計算以外に年末調整や住民税に関する業務のオプションを付けると、費用は割高になる傾向です。たとえば年末調整を追加した場合、社員50名程度で月額10〜20万円程度かかる可能性があります。

年末調整や住民税に関する業務は季節性であるため、依頼を検討する際は依頼タイミングに注意が必要です。さらに、年末調整は税理士の独占業務に該当するため、税理士事務所か税理士と提携している給与計算代行会社に依頼する必要があるため、注意しましょう。

給与計算を依頼するの注意点

給与計算を外部に依頼する際の注意点を、以下で3つ解説します。

  • すべての業務を依頼できるとは限らない
  • 自社にノウハウが蓄積されにくい
  • 個人情報の漏洩リスク対策が必要になる

注意点を押さえたうえで依頼を検討すると、失敗や後悔を防げるでしょう。

すべての業務を依頼できるとは限らない

給与計算を外部に依頼する際、すべての業務を依頼できるとは限らないので注意が必要です。たとえば、社会保険労務士や税理士にしか依頼できない業務もあるため、依頼先によっては依頼できない可能性があります。

また、給与計算以外にも明細書の発行や従業員情報の更新など、一部の業務は依頼できずに残る可能性もあります。業務が一部残ることで、かえって作業負荷が増えるリスクも見逃せません。

依頼を検討する際は、あらかじめ業務内容を細分化し、どの業務を依頼するかを明確にしておくと対策できるでしょう。

自社にノウハウが蓄積されにくい

業者に業務を依頼すると、給与計算に関するノウハウが自社に蓄積されにくくなる点には注意が必要です。基本的な業務であればノウハウはあまり必要ありませんが、業務範囲が広がるほど、社内でノウハウを有する人材の減少はリスクになります。

ノウハウが蓄積されないと、将来的に自社で給与計算を対応するタイミングになってもノウハウがなく、対応が困難になる可能性もあります。ノウハウを守るためにも、業務内容のマニュアル化や業者からのフィードバックを適宜もらうなどの対策が必要です。

個人情報の漏洩リスク対策が必要になる

給与計算業務は従業員の個人情報を取り扱うため、情報漏洩のリスク対策が欠かせません。業者を選定する際は、代行業者がどのようなセキュリティ対策を実施しているかを確認しましょう。

契約時に秘密保持契約を結んだりアクセス権限を適切に設定したりすると、個人情報の漏洩リスクを軽減できるため、必要に応じて対策しましょう。

給与計算代行の料金相場を把握して適切に依頼しよう

給与計算代行は、給与計算や社会保険手続き、年末調整の経理業務を外部に依頼できるアウトソーシングサービスです。依頼内容によって料金に差が出るため、依頼内容の明確化が重要です。

代行業者に依頼する際のメリットやデメリット、費用相場を把握したうえで、自社への導入を検討してください。


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