- 更新日 : 2025年11月19日
入社手続き中の従業員が退職したら社会保険はどうなる?退職後の手続きも解説!
従業員は、入社日に社会保険の被保険者資格を取得します。そのため、すぐに退職した場合でも被保険者資格取得日・被保険者資格喪失日に応じて必要な社会保険料を納めなければなりません。従業員負担分を給与から控除できない場合は、別に徴収する必要があります。健康保険証を交付している場合は、回収して返還しなければなりません。
目次
入社手続き中の従業員が退職したら社会保険はどうなる?
雇い入れて間もない入社手続き中の従業員であっても、社会保険の手続きは基本的に通常どおり行います。入社日を被保険者資格取得日として資格取得手続きを行い、退職日の翌日を被保険者資格喪失日として資格喪失手続きを行わなければなりません。被保険者資格は入社日に取得し、退職日の翌日に喪失するため、入社日と退職日が同じだったとしても、社会保険への加入が必要です。
該当の従業員については社会保険料の納付が必要
社会保険の被保険者は、社会保険料を負担します。社会保険料の支払いは月単位で行われ、その月の社会保険料がかかるかどうかは月末日で判断されます。退職した従業員については、以下のように退職日によってその月の社会保険料がかかるかどうかが決まります。
1日から月末日の前日までの日に退職した場合
月末日には資格を喪失しているため、退職日の属する月の社会保険料はかかりません。
月末日に退職した場合
翌月1日が資格喪失日になるため、退職日の属する月の社会保険料がかかります。
1日から月末日の前日までの退職でも、資格取得日が同一月にある場合は「同月得喪」になるため、社会保険料がかかります。
同月得喪について
社会保険資格取得日と資格喪失日が同じ月内にあることを「同月得喪」といいます。同月得喪のあった月は、月末日に資格を喪失していても社会保険料がかかります。
同月得喪について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
退職日が決まった後に労務担当者が行う手続き
従業員が退職する日が決定した後、労務担当者は以下のような手続きを行う必要があります。
社会保険被保険者資格喪失の手続き
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を退職日の翌日から5日以内に提出します。
雇用保険資格喪失の手続き
「雇用保険被保険者資格喪失届」を退職日の翌々日から10日以内に提出します。
源泉徴収票の交付
退職者に対して、速やかに源泉徴収票を交付します。

社会保険・雇用保険の資格喪失手続きには期限があるため、遅れないようにしましょう。源泉徴収票の交付や、雇用保険被保険者資格喪失後に行う離職票の送付も、速やかに行わなければなりません。
退職時に回収・提出・渡す書類
退職時に従業員から回収する書類や従業員に渡す書類、従業員から提出を受ける書類をまとめると、以下のようになります。いずれも大切な書類なので、漏れがないように注意しましょう。
従業員から回収する書類
- 保険証
- 社員証
従業員に渡す書類
- 雇用保険被保険者証
- 離職票
- 源泉徴収票
従業員から提出を受ける書類
- 退職届
同月得喪に注意し、入社手続き中の従業員の退職手続きを正しく行おう
従業員の退職にあたって、会社はさまざまな手続きを行う必要があります。特に社会保険や雇用保険の資格喪失の手続きには期限があるため、速やかに行わなければなりません。また源泉徴収票の交付や離職票の送付も、できるだけ早く行いましょう。
入社手続き中の従業員の退職においては、社会保険料に注意する必要があります。社会保険資格取得日と資格喪失日が同じ月にある場合は、月末日に資格を喪失していても社会保険料がかかります。同月得喪の仕組みを理解し、退職手続きを正しく行いましょう。
よくある質問
入社手続き中の従業員が退職した場合、社会保険はどうなりますか?
資格取得と資格喪失の手続きを行い、月末日に在籍していない場合でも同月得喪として社会保険料がかかります。詳しくはこちらをご覧ください。
退職者に必要な手続きの概要を教えてください。
社会保険については、被保険者資格喪失手続きと保険料の徴収・納付を行う必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
社会保険資格取得届とは?必要な添付書類や提出先を解説!
社会保険資格取得届は、社会保険被保険者となる従業員を雇用した場合に必要な届出です。提出先は、持参する場合は所轄の年金事務所、郵送する場合は事務センターで、資格取得日から5日以内に添付書類と一緒に書類を提出して手続きする必要があります。 社会…
詳しくみる引越し時のマイナ保険証の住所変更はどうする?手続きの流れや必要書類を解説
マイナ保険証とは、「マイナンバーカードの健康保険証利用」の略称です。マイナンバーカードを事前に登録することで、健康保険証として病院受付で利用できます。 政府はマイナ保険証への移行を段階的に進めており、2024年12月2日以降は原則として新た…
詳しくみる労災保険の保険料は全額事業主負担?計算方法や休業補償の負担割合も解説!
健康保険や厚生年金保険などの社会保険は、原則として労使折半という形式で、事業主と労働者がそれぞれ保険料を負担します。一方、労働者の業務災害や通勤災害による怪我や病気に対して給付を行う労災保険は、全額事業主負担となります。 ここでは、労災保険…
詳しくみる労災申請を従業員本人が希望しない場合はどうする?デメリットや企業側の対応を解説
労災申請を従業員が希望しない理由には、心理的な不安や経済的な影響、手続きの煩雑さなど、さまざまな要因が関係しています。会社への影響を懸念したり、自身のミスだからと責任を感じたりするケースも少なくありません。また、軽い怪我だから申請するほどで…
詳しくみる社会保険料はいつから給与天引き?入社・退職・産休育休時のタイミングを解説
新入社員の入社や従業員の退職、産休・育休といったタイミングで、「社会保険料はいつから発生し、いつの給与から天引きすればよいのか」と悩むことはありませんか。社会保険料は資格取得月から発生し、原則翌月給与から控除する仕組みですが、月末退職や育休…
詳しくみる社会保険に加入できる人が増える!平成28年10月施行の制度改正内容を解説
平成28年10月に改正社会保険制度が施行され、加入対象者が拡大されます。ここではこの改正によってどのような基準で加入対象者が拡大されるのか、その目的は何なのかについて解説します。 また、加入対象者の拡大に伴って人材コストが拡大する企業とそう…
詳しくみる