- 更新日 : 2025年11月19日
上司の指示が曖昧なのはパワハラ?対処法やわかりやすい指示を出すポイントを解説
職場には、業務の指示が曖昧で部下を混乱させる上司も存在します。曖昧な指示となると、無駄な作業や作業の漏れが発生し、状況によっては、このような行為が、部下に対するパワハラとみなされるでしょう。
本記事では、上司の曖昧な指示がパワハラに該当するケースについて、対処法や改善例などを交えて解説します。
目次
上司の指示が曖昧なのはパワハラ?
上司の指示が曖昧な場合は、パワハラに該当する可能性があります。パワハラに該当する理由は、厚生労働省が公開している「職場におけるパワーハラスメントの定義」で示す要素が当てはまるからです。
| 上司の指示が曖昧な状況 | パワハラの定義で定める要素 | パワハラに該当する行為の 主なケース |
|---|---|---|
| 上司による指示 | 優越的な関係を背景とした言動 | 職務上の地位が上位の者に よる行為 |
| 上司による曖昧な行為 | 業務の適正な範囲を超えた行為 | 業務を遂行するための手段として不適当な行為 |
| 上司による部下への影響 | 就業環境を害する行為 | 長期にわたる能力に見合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為 |
出典元:厚生労働省|パワーハラスメントの定義について をもとに作成
上司による曖昧な指示は、部下に攻撃的な苦痛を与えるのではなく、指示に従った部下の就業意欲を低下させる可能性があります。曖昧な指示だけで済ましてしまう上司は、部下が求める具体的な指示を出さない(故意に出さないケースもあり)ため、部下が混乱する可能性が高いでしょう。結果的に、業務のやり直しや、締め切りに間に合わせるための時間外労働などが発生するかもしれません。部下にしてみれば、「もっと明確に指示を出してほしい」と心の底から思うのではないでしょうか。
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役割やルールが曖昧な職場ではパワハラが発生しやすい
上司が部下に対して具体的な指示を出せない職場は、役割やルールが曖昧であることが特徴です。このような曖昧さがある職場では、パワハラが発生する可能性が高いでしょう。パワハラが発生しやすいタイプの職場は以下の通りです。
- 職場の役割が決まっていない職場
- 翌日の業務が不透明で作業の予定が立たない職場
- 職場のルールが人によって異なる職場
- 上司と先輩社員の指示が異なる職場
- 日によってルールが変わる職場
- 日に日に役割が増える職場など
役割やルールが曖昧な職場は、上司と部下のトラブルが発生しやすくなります。曖昧な上司の対応により、部下の負担も増えるため、パワハラ行為とも判断できるでしょう。
指示が曖昧な上司への対処法
指示が曖昧な上司には、次の対処法が有効です。
不明点を具体的に質問する
指示が曖昧な上司には、不明点を具体的に質問することが効果的です。例えば、次のように質問をしてみましょう。
上司「この報告書の書き方だと社長に提出できないから明日までにやり直して」 部下「この報告書のどの部分を直せばよろしいですか」 上司「自分で考えて直せたら提出して」 部下「何を参考にして直せば良いですか」 上司「・・・」 部下「書籍やネット情報など同じ報告書の書き方を参考にして直してよろしいでしょうか」 上司「いいよ。それでやってみて」 |
上記の上司と部下のやり取りでは、最後のほうで部下から具体的なやり方を質問しているのがわかります。上司が具体的な指示を出さない場合は、部下から具体的な内容を洗い出して質問することも一つの方法です。
指示を受けた後に復唱し、認識の齟齬がないか確認する
指示が曖昧な上司への対応で効果的なのは、指示を受けたあとに内容を復唱することです。このようなタイプの上司は、部下に対して依頼内容を正しく伝え切れていない可能性があります。また、上司が正しく伝えたつもりでも、部下にとっては曖昧と感じる場合もあるため、注意が必要です。
不明確と捉える指示を受けた場合、上司と部下の間で認識の齟齬(そご)が生まれます。このような齟齬を避けるためにも上司の指示を部下が復唱するのが有効です。
進捗状況を報告してすり合わせる
指示が曖昧な上司への対策は、業務の完了期限の確認(共通認識)により、進捗状況を報告してすり合わせることも一つの方法です。曖昧な指示の場合、取り組んでいる業務に対しての作業計画も不透明になっている可能性があります。このため、不透明な作業計画では、上司との進捗状況のすり合わせができません。
進捗状況をすり合わせるには、業務に取り組む前の期限の確認が必要です。
「今週は、週末に打ち合わせが2件入っているので来週の月曜日に着手して金曜日の提出でよろしいでしょうか」
部下のこのような声がけによって、上司と業務の開始時期や期限について取り決めができるだけでなく、進捗状況の報告によるすり合わせと、状況に応じた変更や調整も可能です。
曖昧な指示と受け取られやすいフレーズと改善例
上司の曖昧な指示には、曖昧だと受け取られやすいフレーズがあります。ここでは、曖昧な指示の例とその改善方法をいくつか紹介しましょう。
| 曖昧に受け取られるフレーズ | 改善例 |
|---|---|
| 「お手すきで対応してください」 「なる早でお願いします」 | 「明日中に対応してください」 (具体的な期限を設定) |
| 「明日の打ち合わせはちゃんとしてください」 | 「ちゃんと」の対象を具体的に伝える (時間厳守のことか服装のことか、資料を用意することかなど具体的に) |
| 「あとで私のところに届けてほしい」 |
|
曖昧な指示と受け取られやすいフレーズは、部下に対して端的かつ具体的に伝える必要があります。
わかりやすい指示を出すポイント
上司は、部下にわかりやすい指示を出すために次の点を意識することが必要です。
優先順位を伝える
上司が部下に指示を出す場合は、開始時期や終了期日を伝えなければなりません。また、部署や担当者が複数の業務を同時進行させている場合は、「どの業務を先に完了させるべきか」を上司の判断による優先順位の確認と調整が必要です。
上司が複数の業務に優先順位を決めた場合は、全ての関係者に正しく伝えましょう。担当者による優先順位の認識違いが発生しないように、複数のワークフローを管理できるスケジュール調整は不可欠です。
一度に出す指示は多くても3点までにとどめておく
上司は、部下への1回の指示を許容範囲で抑える必要があります。多くても3点までに抑えるべきでしょう。もし、一度に出す指示が4点も5点も増えた場合は、間違った作業をしたり、作業を見落としたりなど、ミスにもつながるので注意が必要です。
上司は、一度に指示を出すのではなく、多くても3点までにとどめておき、部下の進捗状況を見ながら次の指示を出す工夫が必要です。
要点を絞り相手の理解度も確認する
上司から部下への指示は、指示内容の要点を絞り、相手の理解度を確認しながら調整しましょう。指示は相手に伝わらなければ意味がありません。相手に伝わってこそ行動に反映するものです。そのため、上司は伝えるべき指示の内容を要点に絞り込む必要があるでしょう。
まずは、要点をまとめた指示を出し、部下の理解を確認する必要があります。そのうえで、足りない情報を補足するような流れで指示を出してはいかがでしょうか。
曖昧な指示から伝わる指示で上司のパワハラ発生を防ごう
本記事では、上司による曖昧な指示を具体的な指示に変えるためのポイントを解説しました。
上司の曖昧な指示によって部下の負担が増える場合、上司の言動がパワハラに該当する可能性があるでしょう。
上司は、部下の理解度を把握したうえで、一人ひとりに合わせた指示を出すことが求められます。部下の理解に合わせるためには、発言を復唱しながら質問をすることが効果的です。
曖昧な指示によって引き起こす要因は、伝達ミスとコミュニケーション不足です。職場全体のモチベーションを低下させないためにも、本記事で参考に自分に適切な方法を考えてみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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