• 更新日 : 2022年5月27日

所得税が非課税になるケース – 非課税所得も解説

所得税が非課税になるケース - 非課税所得も解説

所得税は、納税義務のある人のすべての所得に対して課税されます。しかし、所得の中には、所得税を課さないとする「非課税所得」と定められているものもあります。

ここでは、非課税所得とはどのようなものかについての解説をするとともに、非課税所得となるものには例えばどのようなものがあるのかを具体的に例を挙げて解説していきます。

非課税所得とは?

非課税所得とは、所得のうち、所得税が課税されない所得を言います。

所得税は、納税義務がある人のすべての所得に対して課税されることが原則ですが、所得の中には、さまざまな要因で所得税を課さない所得があります。これを非課税所得と言います。

非課税所得の主なものには以下のようなものがあります。

非課税世帯とは?

住民税の非課税世帯とは、住民税が非課税になる世帯のことを言います。

住民税には「均等割」と「所得割」がありますが、この両方が非課税にならないと非課税世帯にはなりません。

所得税が非課税になるケース

非課税所得は、所得税法や租税特別措置法、その他の法律で規定しています。

非課税所得については、たとえ損失が生じたとしても、その損失分はなかったものとされます。

以下に所得税が非課税となる主な場合を紹介します。

給与に関して

通常の給与の他にもらえる手当、費用などで実費弁償的なものは非課税になります。

サラリーマンの出張費
出張費は、役員や従業員が出張に行く場合に、通常の範囲内で必要だと認められる費用について非課税になります。一方、個人事業主が出張に行く際の費用は課税対象となるので注意が必要です。

通勤手当(公共交通機関を利用)
常識的な通勤手段で最も経済的な方法を取る場合の通勤にかかる費用は、月10万円まで非課税です(10万円を超えた場合は給与所得として、課税対象)。また、この通勤手当には、新幹線も含めることができますが、グリーン車料金は入りません。

通勤手当(自動車、自転車などを利用)
自動車や自転車で通勤する場合には、片道の通勤距離ごとに非課税の対象となる上限が決まっています。平成26年4月以降適用分から、その上限が引き上げられました。例えば、2km未満は全て課税、2km以上から10km未満の場合は4,200円まで、最大55km以上で31,600円の通勤手当が非課税になります。

職務上必要と定められたものの現物支給
ユニフォームや食事などは、費用の種類や従業員の負担割合によって課税されるものと課税されないものがあります。ただ、現物で支給する必要があり、食事手当として現金を渡す場合は課税対象となります。

利子に関して

利子は、貯蓄を奨励する目的や障がい者の税負担を少なくする目的で、非課税になるものがあります。

合計が550万円以下の勤労者財産形成住宅貯蓄(財形住宅貯蓄)、勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金貯蓄)の利子
財形住宅貯蓄とは住宅を購入するために使われる貯蓄のことで、勤労者が家を購入することを促進するために作られました。55歳未満の勤務者が勤務先に届け出をすることで、元本550万円まで(財形年金貯蓄との合計)非課税になります。

財形年金貯蓄とは、老後の生活に備えて蓄えるもので、60歳以降の年金受給開始まで引き出さないことと、5年以上定期に給料天引きで積み立てることを条件に元本550万円まで(財形住宅貯蓄との合計)非課税になります。

350万円以下の障がい者等の少額預金の利子(マル優)、障がい者等の少額公債の利子
障がい者で収入を得ることに難がある方への税金配慮として、元本の合計が350万円以下であれば、預貯金や有価証券などの利子が非課税になります。また、この制度はマル優とよばれています。

少額公債(国債、地方債)も同様に、元本合計が350万円以下であれば非課税です。なお、この制度は特別マル優とよばれています。

当座預金の利子
当座預金では、年利1%を超えない部分は非課税となっています。

譲渡に関して
社会政策に対する配慮から、譲渡に関して非課税になるものがあります。

生活用動産の譲渡所得
家具や衣服、電化製品など日常生活に使うものは原則として非課税です。ただ、宝石、書画などで1品あたり30万円を超えるものは課税対象になりますので、注意が必要です。

その他に関して

その他にも、2重課税防止のためや、公益的目的のために非課税になるものがあります。
相続や遺贈、個人から受け取る贈与
相続税や贈与税の対象にはなりますが、所得税は課税対象外です。

文化功労者年金、学術奨励賞など
文化功労者年金等や、財務大臣が定める学術奨励金等は非課税です。
所得税法以外の法律で定められる非課税
所得税法にはないものでも、非課税となるものがあります。

保険給付金
健康保険、介護保険等の保険給付などに関しては、健康保険法や介護保険法に定められており非課税です。出産一時金、傷病手当金などが含まれます。

宝くじの当選金、toto (スポーツ振興投票券)の払戻金
宝くじの当選金は当せん金付証票法で、totoの払戻金はスポーツ振興投票の実施等に関する法律で非課税と定められています。ただし、海外の宝くじ当選金は、課税対象になります。

非課税所得について再確認しましょう

今回は、所得には「課税所得」と「非課税所得」があること、非課税所得と非課税世帯の概要について説明しました。

また、非課税所得について、所得税が非課税になるケースとして、いくつかのケースに分けて例を挙げたのでぜひ参考にしてください。

このように所得の全てが課税所得だけではなく、非課税所得もあるということに注意して、所得について再度確認しておきましょう。

よくある質問

非課税所得とは何ですか?

所得税は、納税する義務がある人のすべての所得に対して課税されることが原則になります。所得の中には、利子・配当所得にかかるものや給与所得にかかるものなど、さまざまな要因で所得税を課さない所得があります。詳しくはこちらをご覧ください。

所得税が非課税になるケースについて解説してください

利子・配当にかかるもの、通常の給与の他に支給される出張旅費や通勤手当(上限あり)、現物支給などの手当、費用などで実費弁償的なもの、通常必要な動産の譲渡による所得などは非課税になります。詳しくはこちらをご覧ください。


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