• 更新日 : 2026年9月15日

給与所得控除とは?計算方法や所得控除との違い、特定支出控除までわかりやすく解説

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Point給与所得控除とは何か?

給与所得控除とは、給与収入に応じて自動的に差し引かれる「みなし必要経費」であり、年末調整で自動適用される控除です。

  • 所得控除と異なり原則として別途申告は不要
  • 令和8・9年分の最低保障額は74万円
  • 特定支出控除で実費を追加控除も可能

Q. 給与所得控除額はどう計算する?

A. 給与収入の金額区分ごとに定められた計算式を当てはめて算出し、年収850万円超は上限195万円(令和8・9年分は最低74万円保障)です。

給与所得控除とは、会社から給与や賞与を受け取る給与所得者に対して、収入金額に応じて一律に認められる控除のことです。年末調整や源泉徴収税額の計算で差し引かれる仕組みであり、確定申告が必要な所得控除とは性質が異なります。本記事では、給与所得控除の計算方法や所得控除との違い、令和8年度税制改正による最新の控除額、さらに特定支出控除の制度までを整理して解説します。

そもそも給与所得とは?

給与所得とは、会社員や役員が雇用契約に基づいて受け取る給料・賞与などの所得を指します。給与や賞与などの支払い総額をまとめて「給与等」と呼び、そこから給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得の金額です。

給与所得の金額は、その年に支払われることが確定した給与等の収入金額から、収入金額ごとに法律で定められた給与所得控除額を差し引いて算出します。金銭で支給されるもの以外に、現物支給などの経済的利益も収入金額に含めて計算する点に注意が必要です。特定支出控除の特例を利用する場合は、さらに特定支出控除額を差し引いた金額が最終的な給与所得の金額となります。

給与収入・給与所得控除・所得の関係

給与所得は、給与収入から給与所得控除額を差し引いて求めます。式で表すと次のとおりです。

給与所得 = 給与収入 − 給与所得控除額

給与収入とは、雇用契約のある会社から労働の対価として受け取る給料・賞与などの合計金額であり、源泉徴収票の「支払金額」欄に記載される数字にあたります。給与収入がそのまま課税対象になるのではなく、給与所得控除などを差し引いた後の金額に対して所得税が計算される点がポイントです。

参考:No.1400 給与所得|国税庁

給与所得控除と所得控除の違い

給与所得控除と混同されやすい制度に「所得控除」があります。所得控除は、配偶者控除や扶養控除、医療費控除など、要件を満たした場合に支出状況等に応じて課税所得を計算する段階で適用されます。

所得控除は「扶養親族の要件を満たしている」「一定額以上の医療費を支払った」など、控除の種類ごとに個別の条件が定められており、原則として申告をしなければ適用されません。これに対して給与所得控除は、給与等の収入金額に応じて自動的に控除額が決まる点が大きな違いです。給与所得者であれば、年末調整の中で漏れなく適用されます。

参考:No.1400 給与所得|国税庁

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給与所得控除額はどう計算する?(令和8年最新版)

給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて定められた計算式にあてはめて算出します。収入金額が同じであれば、勤務先や職種にかかわらず控除額は一律です。

給与所得控除が認められている理由

給与所得控除は、給与所得者にとっての「みなし必要経費」にあたる控除です。自営業者であれば事業所得の計算において、仕入原価や従業員給与、光熱費など事業に関わる支出を必要経費として差し引くことができます。

一方、給与所得者は収入金額こそ明確であるものの、業務のためにどこまで自己負担しているかを一件ごとに判定することは現実的ではありません。そこで、自営業者との公平性を保つため、必要経費の代わりとして収入金額に応じた一定額を差し引く仕組みが給与所得控除です。

令和8年分・令和9年分の給与所得控除額一覧

令和8年分・令和9年分については、給与等の収入金額に応じて次の表のとおり控除額が定められています。

給与等の収入金額(源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
220万円以下 74万円(最低保障額)
220万円超 360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超 660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超 850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

計算例で確認する給与所得控除額

年収250万円の場合、給与所得控除額は83万円です。収入金額が220万円超360万円以下の区分にあてはまるため、次の計算式で算出します。

2,500,000×30%+80,000=830,000

このように、給与等の収入金額を該当する区分の計算式にあてはめるだけで、給与所得控除額を求めることができます。なお、給与収入が660万円未満の場合は、実務上は所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)を用いて算出します。上記の計算式は控除額の仕組みを理解するための目安として利用できます。

令和8年度税制改正で給与所得控除はどう変わった?

令和8年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額は69万円に引き上げられ、さらに令和8年分・令和9年分に限り時限的な特例として5万円が上乗せされ、合計74万円となりました。この改正はすでに法律として成立しており、税制改正大綱の段階から一歩進んだ確定事項です。

最低保障額が69万円から74万円に引き上げられた理由

物価上昇局面において、実質的な税負担が増えないようにするための措置が今回の改正の趣旨です。令和8年度税制改正では、物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みが新たに創設され、給与所得控除の最低保障額についても本則を65万円から69万円に引き上げたうえで、令和8年・9年分限定の特例として5万円が加算されました。

この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税から適用されます。ただし、特例による5万円の上乗せ分は月々の源泉徴収には反映されず、令和8年12月に行う年末調整でまとめて精算される仕組みになっている点に注意が必要です。

参考:令和8年度税制改正の大綱の概要|財務省

令和10年分以降はどうなる?

令和10年分以後は、時限的な上乗せ措置がなくなり、本則の69万円が給与所得控除の最低保障額として適用されます。令和8年・9年分に適用される74万円はあくまで2年間限定の特例であるため、給与計算や年末調整の担当者は、年分ごとに最低保障額が変わる点をあらかじめ把握しておく必要があります。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

特定支出控除とは?

特定支出控除とは、通勤費や研修費など業務上必要とされる特定の支出が一定額を超えた場合に、その超過分を給与所得控除に加えて差し引ける制度です。給与所得控除だけではカバーしきれない実費負担を考慮するための仕組みといえます。

給与所得控除が「収入金額に応じたみなし経費」であるのに対し、特定支出控除は「実際に支払った業務関連の支出」を、一定の条件のもとで経費として認めるものです。適用を受けるには、支出額の合計が給与所得控除額の2分の1相当額を超えている必要があります。

特定支出として認められる範囲

特定支出として認められるのは、給与を支払う会社側から証明を受けた次のような支出です。ただし、会社から非課税の手当や補助が支給されている部分については、特定支出として重複して認められません。

  1. 通勤のための支出(通勤定期など)
  2. 職務上直接必要な旅行のための支出
  3. 転勤に伴う転居のための支出
  4. 職務上の研修のための支出
  5. 資格取得のための支出(弁護士・税理士・公認会計士などの資格取得費用を含む)
  6. 単身赴任者が配偶者のもとへ帰郷するための支出
  7. 職務に必要な図書費、事務服などの衣服費、取引先のための交際費

特定支出控除を受けるための申告要件

特定支出控除の特例を受けるには、確定申告書に特定支出に関する明細書などを添付して提出する必要があります。年末調整だけでは適用されないため、対象となる支出がある従業員には確定申告が必要になる旨を案内しておくと親切です。

バックオフィス担当者が年末調整で押さえておきたい実務ポイントは?

給与所得控除は年末調整の中で自動的に反映されますが、令和8年分は改正の影響で例年と異なる対応が必要です。実務上のポイントをSTEPごとに整理します。

STEP1:令和8年分の給与所得控除後の給与等の金額の表を確認する

まず、給与計算ソフトや国税庁が公表する最新の源泉徴収税額表・給与所得控除後の給与等の金額の表が、令和8年分の改正内容に対応しているかを確認します。ここで2026年12月の年末調整では、令和8年度税制改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用します。一方、2026年11月までの月次源泉徴収では従来の令和8年分源泉徴収税額表をそのまま使用します。

STEP2:対象従業員の給与等の収入金額から控除額を算出する

次に、対象従業員の年間の給与等の収入金額を確認し、前述の令和8年分・令和9年分の給与所得控除額一覧にあてはめて控除額を算出します。給与収入が660万円未満の場合は、別表第五の速算結果を用います。

STEP3:12月の年末調整で特例分の差額を精算する

最後に、2026年11月までの月次源泉徴収には令和8年度税制改正は反映されていないため、12月の年末調整では改正後の給与所得控除や基礎控除等を適用して年税額を計算し、年間の源泉徴収税額との差額を精算します。給与計算担当者は、11月までの源泉徴収額と年末調整後の最終的な税額に差が生じることをあらかじめ従業員へ周知しておくとトラブルを防げます。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

給与所得控除を正しく理解して年末調整に備えよう

給与所得控除とは、給与収入に応じて自動的に適用される控除であり、所得控除のように自己申告を必要としない点が特徴です。令和8年度税制改正により、令和8年分・令和9年分の給与所得控除の最低保障額は74万円に引き上げられており、令和10年分以降は本則の69万円に戻る予定です。あわせて特定支出控除の制度も理解し、年末調整や確定申告の実務に漏れなく反映させましょう。

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よくある質問

給与所得とは?

その年の間に得た給与等の金額から控除できるものを除いた額です。詳しくはこちらをご覧ください。

給与所得控除額が認められる条件は?

自営業者の事業所得は収入金額から必要経費を控除して計算しますが、給与所得者は経費を正しく算出することができないため、かわりに給与所得控除が認められています。詳しくはこちらをご覧ください。

特定支出とは?

ある一定の条件の範囲内の支出に対して、業務上の必要経費として認めるものです。詳しくはこちらをご覧ください。


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